オートポリスで単走2勝/追走1勝を決めた中村直樹選手がチャンピオン争いでアドバンテージ

レポート ドリフト

2021年11月10日

本来ならD1グランプリシリーズ2021最終ラウンドとなるはずの第9戦&第10戦オートポリスは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、延期となっている第5戦&第6戦エビスラウンドの前に開催された。

2021 D1グランプリシリーズ第9戦&第10戦 2021 AUTOPOLIS DRIFT
開催日:2021年10月30~31日
開催地:オートポリス(大分県日田市)
主催:株式会社サンプロス

 オートポリスラウンドのエントリー台数は31台。だが、事前のトラブルで3台が出走できなかったため、実際に予選に挑んだのは29台となった。この不運な3台の中には、昨シーズンチャンピオンの小橋正典選手(LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE)、去年のオートポリスで単走優勝&追走2位だった藤野秀之選手(Team TOYO TIRES DRIFT)が含まれた。ともに2戦連続のリタイアとなり、シリーズチャンピオン争いから脱落してしまった。

 今回の審査区間は昨年同様で、メインストレートを逆走して最終コーナーに向けてドリフトを開始し、ファイナルコーナ―スタンドの前を通過してフィニッシュ。3か所の指定ゾーンの位置は昨年比でわずかに変更されていた。

 また1週間前に開催されたスーパーGTでコースにラバーが載っていたこと、さらにはD1グランプリでのハイグリップ化により、金曜日の練習走行であらたなラバーが載ったことで、路面コンディションを読むのが難しくなり、思うように得点を伸ばせない選手が続出した。

 とくに第10戦は夜間の降雨によるウェット状態が予選開始まで乾ききらず、ラバーが載った部分は滑りやすくなり、さらに頭を悩ませる路面となっていたようだ。そのためか、予選通過得点は昨年よりダウン、コーナー進入速度も10km/hほど低下した。

例年どおりストレートから最終コーナーが審査区間となった。ストレートを逆走し、最終コーナーの白線がフィニッシュラインだ。
スタートから振り出し地点までシフトアップ(4~5速)すると、ほとんどの選手はそのままのギヤで審査区間を走りきってしまう。
直線から一気に角度をつけるセクター1。アウト側に設けられたゾーン1は昨年より奥に指定された。160km/hからサイドブレーキもしくは軽い逆振りで最大角度までもっていく。

 第9戦の単走は、中村直樹選手(MUGEN PLUS team ALIVE VALINO)が1本目で唯一の98点台を出してトップに立つと、そのまま得点を抜かれずに今季3度目の単走優勝を飾った。

 ヴァリノタイヤの中で最もグリップの高いペルギア08SPをリアに履き、グリップのいい路面に対し、さらにグリップを稼いでの快走だった。

前戦の奥伊吹ラウンドでの第8戦に続いて単走優勝を果たした中村直樹選手。オートポリスラウンドでは幸先の良いスタートを切った。

 続く追走は松井有紀夫選手(Team RE雨宮 K&N)がGRスープラ勢を相手に奮闘。決勝トーナメントでは齋藤太吾選手(FAT FIVE RACING)、畑中真吾選手(横浜トヨペット SAILUN 俺だっ!)、川畑真人選手(Team TOYO TIRES DRIFT)を相手に勝ち進み、決勝戦では松山北斗選手(FAT FIVE RACING)を下し、優勝を遂げた。

 2JZ搭載で1000馬力を超えるマシンが多いD1グランプリの中、それに対抗すべく4ローターターボ化されたRX-7で戦い続けた松井選手。昨シーズンから苦しいシリーズを過ごしてきたが、このオートポリスラウンドで4ローターマシン初優勝を獲得。松井選手は通算で5回目の優勝だ。

ベスト16からすべてGRスープラと対戦した松井有紀夫選手が、4ローターターボのRX-7に念願の追走初優勝をもたらした。
RX-7のチューナーとして名高いRE雨宮が製作した4ローターターボエンジンは、3ローター時代よりもパワーが飛躍的に向上。扱いづらさもあるようで成績は低迷していたが、この松井選手の1勝の価値はチームにとっても大きかった。
第9戦の優勝は松井選手、2位は松山北斗選手、3位は高橋和己選手、4位は川畑真人選手、5位は中村選手、6位は横井昌志選手、7位は村上満選手、8位は畑中真吾選手、9位は末永正雄選手、10位は植尾勝浩選手。

 第9戦追走ではミッションブローでベスト8敗退を喫した中村選手は、次戦に備えて地元からスペアミッションを届けてもらい修復、第10戦の単走に臨んだ。

 前日より難しくなった路面に苦戦する選手が多い中、単走優勝した中村選手は昨日の自分の得点を上回る98.87点を出し、2位に1点以上の差をつけて連続優勝を果たす。単走シリーズランキングは首位をキープし、2番手の横井昌志選手(NANKANG TIRE DRIFT TEAM D-MAX)には13点差をつけた。

路面コンディションを見事に読み切り、オートポリスラウンドで単走2連勝となった中村選手。

 奥伊吹ラウンドでは大クラッシュし、あわや廃車かと思われたレクサスRCを必死の作業で修復し、戦線復帰を果たした上野高広選手(TEAM VERTEX SAILUN TIRE)。このラウンドで連続参戦144戦目を迎える上野選手はD1グランプリ発足時から参戦し続け、「D1界の鉄人」と呼ばれる。第10戦で8年ぶりの決勝進出を決めた。

 その決勝の相手は中村選手だ。決勝戦では中村選手が後追い時に角度が戻ってしまったものの、上野選手の先行のゾーン不通過減点もあり、中村選手が辛勝。上野選手にとって20年ぶりの快挙となる優勝はおあずけとなった。

「2日間を通じて満足できる走りがそれほどなかったです。路面を読むのが難しかったし、相手に接近するのが怖いと思ったことも少なかったです」と終了後の中村選手のコメント。これで今季3勝目を挙げた。

「ブローを恐れず思い切って踏めるのがいい」と追走優勝の中村選手。2JZエンジンはショートストローク型の3.1L化で制作コストが抑えられるとのこと。
シリーズランキング2番手の横井選手と、3番手の高橋選手がこの第10戦のベスト16で敗退したため、チャンピオン争いは中村選手にとってかなり有利となった。
第10戦の優勝は中村選手、2位は上野高広選手、3位は松山選手、4位は植尾選手、5位は北岡裕輔選手、6位は田中省己選手、7位は内海彰乃選手、8位は村上選手、9位は末永正雄選手、10位は横井選手。

フォト/SKILLD川﨑隆介 レポート/SKILLD川﨑隆介、JAFスポーツ編集部

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