FIA-F4の開幕大会は混戦。第1戦は三井優介選手、第2戦は小出峻選手が優勝!

レポート レース

2022年5月18日

今年もゴールデンウィークからと遅い幕開けとなったFIA-F4選手権。富士スピードウェイを舞台とし、5月3~4日に第1大会が開催された。FIA-F4も8シーズン目を迎えていまだ活気を保つどころか、ついにエントリーが40台にも達するまでに。そのため、予選は初めて2組に分かれて実施された。

2022 FIA-F4選手権シリーズ 第1戦/第2戦
(2022 SUPER GT Round2内)

開催日:2022年5月3~4日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:株式会社GTアソシエイション、富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 予選のベストタイムで第1レース、セカンドベストタイムで第2レースのグリッドを決めるのは従来どおり。昨年までは計測が30分間だったが、今年から2組に分けられてそれぞれ20分間の計測となったことから慌ただしくなった。また、コンディションの違いで少なからず有利/不利が分かれることも出てくることが予想される。

 実際そのとおりになってしまう。前日までの降雨の影響でA組は路面の一部に雨が残り、しかも残り5分で赤旗が出て終了となったからだ。これに対してB組は路面状態が向上し、しかも20分間フルに計測された。

 A組のトップはルーキーの西村和真選手。だが、セカンドベストタイムは四輪脱輪で採択されなかったため、第2レースは7番手に沈んでいた。一方、B組でベストタイム/セカンドベストタイムともにトップだったのは3年目の小出峻選手だ。

「練習どおりにやればポールポジションが獲れる自信はありましたが、Wポールは初めてなのでうれしいです。でも目標がチャンピオンなので、まだ始まりにすぎません。もちろん油断は大敵です」と語っていた小出選手。油断はしていなかっただろうが、第1レースでいきなり“まさか”の状況に陥ってしまう。

 フロントローに並んだ小出選手と西村選手はチームメイト同士で好スタートを切るも、1コーナーで接触。西村選手はコースに踏み留まったものの、小出選手はスピンを喫してあえなくリタイアを余儀なくされた。さらにこのアクシデントを回避しようとして、3番手スタートの荒川麟選手が15番手まで後退してしまう。これで2番手には初フォーミュラでルーキーの奥本隼士選手が浮上する。

 しかし奥本選手は伊東黎明選手や岩澤優吾選手といった手練れのドライバーや、同じルーキーの三井優介選手にも相次いで迫られ、3周目には5番手に後退。そしてその間に逃げたかと思われた西村選手にはドライビングスルーの指示。スタート直後の接触に対するペナルティだった。

 これでトップに立ったのは伊東選手で、三井選手、岩澤選手と激しくトップを争い合いながら何とか逃げ切って昨年の第10戦SUGO以来の勝利を挙げた……に思われたのだが、さらに波乱が! 伊東選手はスタート手順違反、すなわちグリッドを大きくはみ出すミスがあり、5秒加算のペナルティで3位に降格。三井選手が繰り上がって、デビューウィンを達成した。

 その三井選手、「デビューレースで優勝できたのはうれしいですけど、実際には伊東選手を抜くまでの速さはありませんでした。次は自分でこじ開けて実力で優勝を狙いたいです」というコメントは、心からの本音であったはずだ。2位は岩澤選手で初めての表彰台獲得。伊東選手に続く4位は、激しい追い上げを果たした荒川選手だった。

 インディペンデントカップは鳥羽豊選手がスタートに出遅れ、いったんは5番手まで後退するも、鋭い追い上げで4周目にはDRAGON選手を抜いてトップを奪還。途中、後続車両の追突を受けながらも、逃げ切りを果たしている。

第1戦優勝は三井優介選手(HFDP RACING TEAM)。
2位は岩澤優吾選手、3位は伊東黎明選手。
第1戦表彰の各選手。
第1戦インディペンデントカップ優勝は鳥羽豊選手(HELM MOTORSPORTS F110)。
第1戦インディペンデントカップの表彰式。左から2位のDRAGON選手、1位の鳥羽選手、3位の佐藤セルゲイビッチ選手。

 続く第2レースでは小出選手が意地を見せ、「昨日、あのような状況に持っていったのは自分なので、今日はそのスタートを絶対に決めるぞって気持ちで臨みます」と言うとおり、1コーナーへのホールショットに成功。第1レースでタイヤを使っていない“強み”もあって、早々に逃げの構えに打って出る。

 2番手だったルーキーの平安山良馬選手はスタート後の加速が伸びず、1コーナーまでに伊東選手や荒川選手、三井選手、吉村渉選手に抜かれ、さらに100Rで岩澤選手にも抜かれて6番手に後退してしまう。その後、2番手は荒川選手と伊東選手とで競われるようになり、その背後の吉村選手、三井選手、岩澤選手による4番手争いも激しくなった。だが、5周目の1コーナーで三井選手と岩澤選手に相次いでかわされた吉村選手は、その直後に後続車両に追突されてスピン、順位を落としてしまった。

 ひとり逃げ続ける小出選手の後方で、最後まで激しく繰り広げられたのが2番手争いだった。伊東選手が荒川選手を激しく追い詰めるも逆転ならず、逆に終盤になって三井選手を近づけた伊東選手は最終ラップの1コーナーで3番手に後退。しかしながら、荒川選手には走路外追い越しがあったとして40秒のペナルティで21位に降格。

 またしても繰り上がりで三井選手が2戦連続の表彰台、小出選手に続く2位入賞を得た。3位は伊東選手で、岩澤選手が4位。

「トップに立ってからはいい流れでレースすることができました。これが1戦目だったらタイヤを温存したりしたんでしょうが、2戦目なのでできるだけ攻めてやろうと思っていました」と、5秒差での勝利の小出選手は今度こそ胸を張っていた。

 インディペンデントカップでは鳥羽選手が2連勝。しかし、またしてもスタートを失敗しており、「練習しないといけないなと思いましたね。ペースが良かったので、欲を出して若手に迫っていきましたが、2戦ともミスしているので……」と反省することも忘れなかった。

第2戦優勝は小出峻選手(HFDP RACING TEAM)。
2位は三井選手、3位は伊東選手。
第2戦表彰の各選手。
第2戦インディペンデントカップ優勝は鳥羽選手(HELM MOTORSPORTS F110)。
第2戦インディペンデントカップの表彰式。左から2位のDRAGON選手、1位の鳥羽選手、3位の齋藤真紀雄選手。

■Porsche Carrera Cup Japan 2022 第3戦&第4戦

第3戦Proクラス優勝は近藤翼選手(NIHON KIZAI PORSCHE)。
Proクラス2位は澤龍之介選手、3位は小河諒選手。
第3戦Proクラス表彰の各選手。
第4戦Proクラス優勝は小河選手(SHOWA AUTO with BINGO RACING)。
Proクラス2位は近藤選手、3位は澤選手。
第4戦Proクラス表彰の各選手。

フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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