勝田貴元選手がラリー・ポルトガルで表彰台まであと一歩の悔しい4位入賞!
2022年5月25日
ポルトガル北部の港湾都市であるポルトを拠点に開催された、2022年FIA世界ラリー選手権(WRC)第4戦「ラリー・ポルトガル」。Rally1規定モデルでの初のグラベルイベントとして注目を集め、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の日本人ドライバー勝田貴元選手が、GR Yaris Rally1で好タイムを連発して4位に入賞した。
2022年FIA世界ラリー選手権 第4戦「ラリー・ポルトガル」
開催日:2022年5月19~22日
開催地:ポルトガル・ポルト周辺
注目のオープニングステージは19日、古都・コインブラの市街地を舞台にしたスーパーSSで幕を明けた。同SSは全長2.82kmのターマックステージで、勝田貴元選手はトップと2.7秒差の7番手タイムでフィニッシュ。しかし、翌20日からグラベルステージを舞台に本格的なラリーが始まると、勝田貴元選手は素晴らしい走りを披露していた。
「Rally1で初めてのグラベルでしたが、昨年までのWRカーと比べると重さもあって、かなり違う挙動でした。とくにセンターデフがなくなったことで、左足ブレーキを多用してグリップを稼ぐようにしていました」と、勝田貴元選手はドライビングでアジャスト。
その順応力を存分に発揮してSS3、SS7、SS8で3番手タイムをマーク。またSS9でセカンドベストを叩き出すなど好タイムを連発した。SS6でハーフスピンする場面こそあったが、デイ2を総合4番手でフィニッシュする。
21日のデイ3でも勝田貴元選手の勢いは健在で、この日のオープニングステージとなるSS10では3番手タイムをマークする。その後もSS11、SS13、SS14、SS15で3番手タイムを叩き出し、総合3番手に浮上した。突然の降雨にも落ち着いて対処しながら、総合4番手につけるヒョンデのダニ・ソルド選手に14.6秒のマージンを築いていた。
しかし、この日の最終SSとなるSS16で勝田貴元選手は失速する。同ステージはポルト市街地を舞台にしたわずか3.30kmの石畳のスーパーSSだったが、路面が急速に乾いたことでグリップレベルが変化。不利なコンディションで走行を強いられ、トップから20秒遅れの26番手タイムに止まることとなった。なんとか総合順位では3番手をキープしたものの、4番手につけるソルド選手に一気に5.7秒差まで詰め寄られることになったのである。
この時の心境について勝田貴元選手は「たった3kmのSSでソルド選手に9秒も負けたのは衝撃的でした。確かにソルド選手はスーパーSSも速いんですけど、僕も壁に当たるぐらいギリギリで攻めていたので、チームが指摘したように路面コンディションが左右したのかなぁ……と思います」と語る。
最終日となる22日のデイ4でも勝田貴元選手はソルド選手と激しいバトルを展開する。ここで猛追を見せたのがソルド選手で、SS20を終えた段階で3番手の勝田選手と4番手のソルド選手のギャップはわずか2.2秒差にまで短縮。
そして最終SSとなるSS21を迎えた。ここで必死のアタックを披露した勝田貴元選手は同SSを6番手タイムでフィニッシュしたのに対し、ソルド選手は2番手タイムをマークして逆転に成功。その結果、勝田貴元選手はソルド選手にわずか2.1秒差の4位でラリー・ポルトガルをフィニッシュすることになった。
2021年の第6戦「サファリ・ラリー」で2位入賞を果たして以来、自身2度目の表彰台が目前に迫っていただけに、この4位は悔しいリザルトだったに違いない。勝田貴元選手は「デイ1から路面が荒れていたし、クルマの限界値も分からなかったので、焦らずにペースを上げていくことが重要だと思っていました」
「最終日は3番手争いをしていたので、2度目の表彰台のチャンスはあったんですけどね。自分のためではなく、チームに対して仕事を成し遂げたいという気持ちが強かっただけに悔しかったですね。今まで何度も悔しい思いをしてきたけれど、2.1秒差で決めきれなかったことに対して不甲斐なさを感じました」とコメント。
その一方で、今大会では多くのドライバーが車内の暑さを訴えており、勝田貴元選手によれば「おそらく車両規定の影響ですけど、ハイブリッドのバッテリーとエキゾーストの配管の影響で、車内の温度が暑かったです。他のチームでは熱中症になったドライバーやコ・ドライバーがいる状況でした」
「僕自身もデイ3のアマランテという37kmのステージで、ベンチレーターの目詰まりで風が入ってこなくなったこともあって、レースを含めて初めて集中力の低下を感じるほど苦しい状態でした」と明かしたが、その状況でも安定した走りを披露したことは称賛に値するだろう。
次戦について、「サルディニアは狭くて岩やコンクリートがあるし、ハイスピードのところもあるので、ポルトガル以上に気をつけないといけません。針の穴に糸を通すような技術とペースノートの精度、あとは自信がないと速く走れないラリーです」
「サテライトチームとして自分の仕事を見極めながらペースアップを図っていきたい」と意気込みを語っているだけに、6月2~5日に開催される第5戦「ラリー・イタリア・サルディニア」では、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team Next Generationの勝田貴元選手の躍進に期待したい。
なお、同大会ではTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのカッレ・ロバンペッラ選手が序盤から好タイムを連発し、「金曜日に先頭スタートだったので優勝争いができるとは思っていませんでした。最初からペースが良かったし、トラブルも起きなかった。最大ポイントを獲得できたので良かった」と3連勝を達成。またエルフィン・エバンス選手が2位につけたことで、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamが1-2フィニッシュを達成した。
フォト/TOYOTA GAZOO Racing レポート/廣本泉、JAFスポーツ編集部
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