全日本ジムカーナ最終戦はJG4で田中康一選手が、JG3で西井将宏選手が初のタイトル確定!

レポート ジムカーナ

2022年10月21日

全日本ジムカーナ選手権 第8戦「SUPER GYMKHANA IN IOX-AROSA」が、10月8~9日に富山県南砺市のイオックスアローザスポーツランドで開催された。前戦の恋の浦ラウンドまでに9クラス中7クラスのチャンピオンが確定し、残るJG4とJG3クラスはこの最終戦で雌雄を決する。選手権外クラスの箱Dクラスも合わせ、総勢140台がパドックに集結した。

2022年JAF全日本ジムカーナ選手権 第8戦「SUPER GYMKHANA IN IOX-AROSA」
開催日:2022年10月8~9日
開催地:イオックスアローザスポーツランド(富山県南砺市)
主催:ABC

 スキー場の広大な駐車場を二分割し、前半にテクニカル、後半にハイスピードのパイロンセクションがレイアウトされた決勝コースは、AT車両によるJG10クラスとその他のクラスでゴール前のセクションが異なる。JG10クラスはサイドブレーキを使わなくても旋回できる右回りの270度ターン、その他のクラスはパイロンスラロームとコンパクトに旋回することが要求される左回りの270度ターンが設定されている。

 前日に行われた公開練習では、JG7クラスの後半ゼッケンあたりから雨が降り始めたが、決勝は第1ヒートがドライ、第2ヒートがJG6クラスが走行するころから雨が降り出した。一度は止んだものの、JG3クラスから雨が本降りとなる不安定な天候となった。

 そのためドライ路面での勝負になるかと思いきや、スキー場の駐車場でもあるイオックスアローザスポーツランドの路面は、ドライ路面の場合は舗装路面に埃が被った滑りやすいダスティな路面となり、雨が降った場合は雨水が路面の埃を流す清掃効果があるため、逆にタイムアップすることもあるという。また、一度濡れた路面が乾き始める時が、最も滑りやすい路面になる傾向もあるようだ。不安定な天候と複雑な路面コンディションが、各クラスでドラマを生む展開となった。

駐車場を二分割した独特のコースで、複雑な路面コンディションも特徴的なイオックスアローザスポーツランド。JG10クラスのみゴール前のセクションが異なったレイアウトになっている。

 山野哲也選手が22回目となる全日本タイトルを確定させたJG10クラスは、その山野選手が両ヒートを制する走りを披露。今季出場した7戦すべてで優勝を飾る、今季7勝目を獲得した。2位はその山野選手に約0.6秒差まで迫った安木美徳選手が入賞。3位には河本晃一選手が入賞したことで、今回4位の織田拓也選手とシリーズポイントで同点に並ぶ。だが3位の入賞回数の差で、河本選手がシリーズランキング3位に確定した。

JG10クラス優勝は山野哲也選手(EXEDY 12D A110S)。
2位の安木美徳選手と3位の河本晃一選手も大健闘。山野選手に迫るタイムで表彰台の一角を獲得。
JG10クラスの表彰式。左から4位の織田拓也選手、2位の安木選手、1位の山野選手、3位の河本選手、5位の蛯原輝彦選手、6位の古谷知久選手。

 JG8クラスでは、初の全日本タイトルを確定させた小林規敏選手が活躍を見せた。第1ヒートに小林規敏選手がマークしたベストタイムは第2ヒートに入っても更新されることがなく、クラス最終ゼッケンの小林規敏選手が走行する前に優勝が確定する。

 さらに小林規敏選手は第2ヒートで自身のタイムを約0.4秒更新する走りを披露、有効ポイントで満点となる今シーズン6勝目を獲得した。2位には箕輪雄介選手が入賞し、シリーズランキングでは順位をひとつ上げて2位確定。3位入賞の斉藤邦夫選手も、シリーズランキングをひとつ上げる4位に浮上した。

JG8クラス優勝は小林規敏選手(BSエナX★ADSロードスター)。
第1ヒートで勝負は決したが、自身との戦いとなる第2ヒートでも果敢に攻めてベストを更新した小林規敏選手。
JG8クラスの表彰式。左から4位の小林キュウテン選手、2位の箕輪雄介選手、1位の小林規敏選手、3位の斉藤邦夫選手、5位の柏昇吾選手、6位の阪本芳司選手。

 JG7クラスは、今シーズンのタイトルを確定させた若林隼人選手が、第1ヒート走行中にミッショントラブルが発生し、クラス10位という波乱の展開となった。その中、第1ヒートを制した天満清選手が、第2ヒートもベストタイムを約0.3秒縮める走りを見せ、一度もトップの座を譲らずに完勝。最終戦で待望の今季初優勝を獲得した。

 2位には西野洋平選手が入賞する。その西野選手は、新型のGR86に乗り換えた第4戦以降、すべて2位以内という安定した速さを披露した。また第2ヒートでタイムを上げてきた仲川雅樹選手が、今季2回目となる3位表彰台となった。

JG7クラス優勝は天満清選手(YHMOTIVECUSCO86)。
最終戦を見事な優勝で締めくくった天満選手。GR86に乗り換えての初勝利ともなった。
JG7クラスの表彰式。左から4位の勝野佑紀選手、2位の西野洋平選手、1位の天満選手、3位の仲川雅樹選手、5位の森田国治選手、6位の大坪伸貴選手。

 すでにユウ選手が有効ポイントで満点チャンピオンに確定しているJG6クラスは、そのユウ選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り、今シーズン全勝となる7勝目を獲得。昨年から続く連勝記録を10に伸ばした。2位は大多和健人選手が今季5回目の入賞。今シーズンはユウ選手の壁に阻まれるラウンドが続いたものの、初挑戦の全日本で存在感をしっかりと残した。3位には第1ヒートのタイムで佐藤宏明選手が入賞した。

JG6クラス優勝はユウ選手(BSitzzNTLロードスター)。
雨の降る2本目でタイムが伸び悩む選手が多い中、大多和健人選手はユウ選手に続くタイムで2位獲得。
JG6クラスの表彰式。左から4位の有田光徳選手、2位の大多和選手、1位のユウ選手、3位の佐藤宏明選手、5位の内田敦選手、6位の磯村良二選手。

 GRヤリス勢が躍進するJG5クラスは、クラス唯一のランサーエボリューションⅩとなった石原昌行選手が、第1ヒートのベストタイムをマーク。第2ヒートは、第5戦スナガワを制しているいながわひろゆき選手がベストタイムを塗り替えてくるものの、すぐさま石原選手がベストタイムを更新。

 JAFカップでは優勝経験のある石原選手だが、全日本選手権では初となる優勝を飾った。2位にいながわ選手、3位には第1ヒートのパイロンタッチを第2ヒートでリカバリーした片山誠司選手が入賞した。

JG5クラス優勝は石原昌行選手(SエボTS☆DLランサー)。
走行後は車内で祈りながら他選手の結果を待った石原選手。優勝が決まった瞬間、車外に飛び出して喜びを爆発させた。
JG5クラスの表彰式。左から4位の茅野成樹選手、2位のいながわひろゆき選手、1位の石原選手、3位の片山誠司選手、5位の上本昌彦選手。

 チャンピオン争いが合田尚司選手と田中康一選手に絞られたJG4クラス。全日本選手権の出場が2012年の第9戦以来となる近藤瑛貴選手が、両ヒートを制する走りで全日本初優勝を果たす。2位に田中選手、3位に合田選手が入賞し、シリーズポイントでは合田選手を1点逆転した田中選手が、自身初となる全日本チャンピオンを確定させた。

JG4クラス優勝は近藤瑛貴選手(ADVAN/DXL/CRX)。
近藤選手が好走を見せた一方、タイトル争いのカギとなる2位争いがヒートアップ。田中康一選手が合田尚司選手との接戦を制して初の全日本タイトルを確定させた。
JG4クラスの表彰式。左から4位の表和之選手、2位の田中選手、1位の近藤選手、3位の合田選手、5位の服部諒一選手、6位の橋本克紀選手。

 JG3クラスはシリーズランキング2番手の神里義嗣選手が欠場したため、同3番手の遠藤貴郁選手と同4番手の佐野光之選手、そして同トップの西井将宏選手との三つ巴戦となった。遠藤選手はイオックスアローザの路面に翻弄されて9位と低迷、佐野選手は第1ヒート4番手タイムながら第2ヒートは痛恨のペナルティ。この時点で西井選手のシリーズチャンピオンが確定する。

 その西井選手が「自分でも完璧に攻めることができたと思います」と第1ヒートでマークしたベストタイムで逃げ切り、全日本初チャンピオンを優勝で確定させる結果となった。2位には、全日本初挑戦となる22歳の最上佳樹選手が入賞、3位にはウェット路面の第2ヒートでタイムを上げてきた小武拓矢選手が入賞した。

JG3クラス優勝は西井将宏選手(アイスペックインテグラDL)。
3名によるタイトル争いとなった最終戦。西井選手が地元で勝利して初のタイトルも確定させ、有終の美を飾った。
JG3クラスの表彰式。左から4位の榎本利弘選手、2位の最上佳樹選手、1位の西井選手、3位の小武拓矢選手、5位の佐野光之選手、6位の澤平直樹選手。

 JG2クラスは、すでに今シーズンのタイトルを確定させている広瀬献選手が、第1ヒートでクラス唯一となる1分12秒台のタイムでトップに立つ。ウェットコンディションとなった第2ヒートでも1分12秒台のタイムをマークし、今季5勝目を飾った。2位には、野原博司選手が今季初の表彰台を獲得。3位には、渡辺公選手が今季2回目となる表彰台を獲得した。

JG2クラス優勝は広瀬献選手(マロヤトレーラーS二千亜舎YH)。
前戦でチャンピオン確定後もなお、快進撃を続ける広瀬選手。シリーズ最終戦を優勝で終えた。
JG2クラスの表彰式。左から5位の藤原広紫選手、2位の野原博司選手、1位の広瀬選手、3位の渡辺公選手、4位の葛西悠治選手、6位の岩崎玲生選手。

 前戦で菱井将文選手が3年ぶりのタイトルを確定させたJG1クラスは、その菱井選手が第2ヒートをミスコースで終わり、まさかの最下位という波乱の展開となった。その中、第1ヒートでトップに立った野中信宏選手のタイムが、ウェット路面となった第2ヒートもなかなか更新されないという展開が続く。

 第1ヒート4番手の津川信次選手が「ウェット路面がGRヤリスにとって味方になった」と野中選手のベストタイムを約0.6秒更新。そのまま逃げ切り、今季2勝目を飾った。2位に野中選手、逆転を狙った第2ヒートはパイロンタッチに終わった大橋渡選手が3位に入賞した。

JG1クラス優勝は津川信次選手(DL☆BRIDE☆ADSヤリス)。
ランサーを駆る野中信宏選手を相手に、GRヤリスでウェット路面の第2ヒートに逆転劇を見せた津川選手。
JG1クラスの表彰式。左から4位の西原正樹選手、2位の野中選手、1位の津川選手、3位の大橋渡選手、5位の飯坂忠司選手、6位の尾崎誠治選手。

 その他、併設された箱Dクラスは、川脇一晃選手が2位以下を2秒以上引き離す走りで優勝。2位と3位には、ダブルエントリーの大井貴之選手と山梨俊二選手がそれぞれ入賞した。

箱Dクラス優勝は川脇一晃選手(YSSK1DL箱DSPサニー)。
箱Dクラスの表彰式。左から2位の大井貴之選手、1位の川脇選手、3位の山梨俊二選手。
全日本ジムカーナ選手会(AJGA)による恒例の同乗走行&パレードランが実施され、最終戦を観戦したギャラリーも存分に楽しんだ大会となった。

フォト/CINQ、JAFスポーツ編集部 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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