新フォーマットを採用した開幕戦はau TOM'S GR Supraとmuta Racing GR86 GTの、トヨタ勢が両クラスを制す
2024年4月19日
2024年スーパーGTシリーズが、4月12〜14日に岡山国際サーキットにおいて開幕した。持ち込むタイヤの数が4セット16本に制限され、予選はQ1とQ2のタイム合算で争い、そして予選で使用したタイヤで決勝をスタートするという新たなフォーマットとなり、先が読めないレースとなった。GT500クラスはディフェンディングチャンピオンのau TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太組)が独走でポール・トゥ・ウィン。GT300クラスはmuta Racing GR86 GT(堤優威/平良響組)がタイヤ無交換作戦で逆転優勝を飾り、トヨタ車が両クラスを制した。
2024 SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300KM RACE
開催日:2024年4月12~14日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)
主催:株式会社岡山国際サーキット、AC、株式会社GTアソシエイション
満開の桜が美しい岡山の週末は予想以上に気温が高く、土日とも好天に恵まれ、スーパーGTの開幕を待ちわびたファンが朝早くから思い思いの場所に陣取った。今季の公式予選はA、Bふたりのドライバーのベストタイム合算で順位が決定され、予選Q1/Q2から決勝レーススタートまで同じタイヤで走らなければならないことになった。つまり、タイヤは予選から決勝スタートまで1セットしか使えないということになる。さらに予選前の公式練習とフルコースイエロー(FCY)テスト、決勝前のウォームアップ走行も含めて4セットしか使うことができないため、タイヤのコンパウンドと路面温度の見極めが非常に重要となった。
予選
13日午後に行われたGT500クラスの公式予選でポールポジションを奪ったのは、昨年の覇者au TOM'S GR Supra。新たにチームへ加入した山下選手はQ1で5番手だったが、Q2で坪井選手がトップタイムをマークして逆転ポールとなった。2番手はDENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)、3番手はSTANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐組)で、この3台は新たに設定された予選ポイントを獲得する。これらに続いたのはKeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹組)、ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺組)、MOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ組)とスープラがトップ6中4台を占めた。
GT300ではLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗組)がポールポジションで、2番手がmuta Racing GR86 GTとブリヂストンタイヤユーザーがフロントローを占め、SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)が3番手。以降K-tunes RC F GT3(新田守男/高木真一組)、Studie BMW M4(荒聖治/ニクラス・クルッテン組)、グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)がこれに続き、ディフェンディングチャンピオンのGreen Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太組)は8番手に留まった。
決勝
GT500クラス
14日も前日に続き気温が高めで、決勝レースの始まるころは気温27度、路面温度41度。13時35分に82周300kmレースがスタートした。1コーナーでENEOS X PRIME GR SupraとMOTUL AUTECH Zが接触し、Zがコースオフして順位を落とした。ヘアピンの次、リボルバーコーナーの先でENEOS X PRIME GR Supraに9番手スタートのMARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)が接触し、スープラがスピン。これにAstemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進組)が避けきれずに追突してストップした。さらにGT300クラスではアトウッドカーブでコースオフした車両があり、ここで早々にセーフティカー(SC)が導入された。MARELLI IMPUL ZとENEOS X PRIME GR Supraは修復のためにピットイン。さらには両車に対してドライブスルーのペナルティがあり、上位争いから脱落となった。
7周完了でレースはリスタート。ここでトップのau TOM'S GR Supraの坪井選手が巧みな加速を見せ、2番手以下を一気に引き離して独走状態に持ち込んだ。2番手争いはDENSO KOBELCO SARD GR SupraとSTANLEY CIVIC TYPE R-GT、KeePer CERUMO GR Supraの3台で、18周目にKeePer CERUMO GR Supraが3番手へ浮上し、スープラ勢がトップ3を占める形となった。
早めの29周目にKeePer CERUMO GR SupraとSTANLEY CIVIC TYPE R-GTがピットイン。30周目にはDENSO KOBELCO SARD GR Supraもピットイン。トップのau TOM'S GR Supraは29周目には2番手との差を11.3秒にまで広げ、32周でピットイン。ここで山下選手に交代した。Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組)がトップに立ったが、53周目にピットインすると再びau TOM'S GR Supraがトップに返り咲いた。
au TOM'S GR Supraの山下選手と2番手DENSO KOBELCO SARD GR Supraの中山選手の差は6.0秒。この直後にSTANLEY CIVIC TYPE R-GTの山本選手がつけ、何度も2番手を狙うが逆転はならず。山下選手は終盤も後続をじわじわと引き離してトップチェッカー。au TOM'S GR Supraとしては、昨年の第7戦オートポリスから年を跨いでの3連勝とした。2位はDENSO KOBELCO SARD GR Supra、3位はSTANLEY CIVIC TYPE R-GTだった。
GT300クラス
GT300クラスは、ポールスタートのLEON PYRAMID AMGの篠原選手がトップを守り、これをmuta Racing GR86 GTの平良選手が1〜2秒の差でついていく展開。3番手スタートだったSUBARU BRZ R&D SPORTの井口選手は16周目あたりから徐々に遅れ出し、29周目にはグッドスマイル 初音ミク AMG、30周目にはStudie BMW M4にかわされてポジションダウンした。
25周目には6番手争いを展開していたGreen Brave GR Supra GTがピットインし、タイヤ無交換作戦を取った。33周目に2番手muta Racing GR86 GTもピットインしてタイヤ無交換でコースへ戻ったが、トップのLEON PYRAMID AMGは中盤を過ぎてもコースに留まり、49周でピットイン。ここでフレッシュタイヤに交換するも、コースに戻るとmuta Racing GR86 GTがトップで、2番手に14.3秒差のGreen Brave GR Supra GT。LEON PYRAMID AMGはさらに11.6秒遅れの3番手となった。トップ3は同じブリヂストンタイヤユーザーだが、選んだタイヤのコンパウンドが異なっていたようで、ここからLEON PYRAMID AMGがどこまで追い上げるか注目となった。
トップ争いからやや離れた6番手争いのグループの先頭にいたのが、予選9番手のマッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号(藤波清斗/塩津佑介組)。こちらもタイヤ無交換で順位を上げていた。しかしタイヤのグリップは落ちており、58周目には2つポジションダウン。そして59周目のダブルヘアピン2個目でブレーキの抜けたSUBARU BRZ R&D SPORTがマッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号に接触。マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号の藤波選手はスピン&ストップで、大きくポジションを落とすことになった。ここで2分ほどFCYとなり、62周目にリスタート。
ここで3番手のLEON PYRAMID AMGはGreen Brave GR Supra GTとの距離を一気に詰め、65周目のヘアピン先でパスして2番手へ順位を上げた。Green Brave GR Supra GTのペースは徐々に落ち、71周目のヘアピン進入でStudie BMW M4がこれを捕らえて3番手へ浮上した。トップのmuta Racing GR86 GTは終盤も13秒ほどのマージンを持って周回を重ね、最後の数周は堤選手がペースを落としてトップチェッカー。チームは2年ぶり、平良選手はうれしい初優勝、堤選手は3勝目を挙げた。2位はLEON PYRAMID AMG、3位はStudie BMW M4だった。
フォト/石原康、遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部
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