筑波シリーズ開幕戦は大盛況! 地方選手権は各レースで白熱のバトル

レポート レース サーキットトライアル

2022年4月13日

各地で桜の開花が徐々に告げられ、関東地方もちょうど見頃を迎えた3月27日、筑波サーキットにて「筑波チャレンジクラブマンレース第1戦」が開催された。前日の雨が残った早朝の予選は、普段より厳しい条件が課されていたものの、それによって産み出されたドラマも少なからずあった。そして決勝は完全なドライコンディションとなり、激しいバトルが繰り広げられた。

筑波チャレンジクラブマンレース第1戦
開催日:2022年3月27日
開催地:筑波サーキットコース2000(茨城県下妻市)
主催:VICIC

 今年は筑波サーキットで6戦、富士スピードウェイで2戦の開催が予定されている筑波・富士スーパーFJ地方選手権シリーズ。その最大の話題は18台のエントリーを集めたばかりか、若手ドライバーが一気に増えていたことだった。年末恒例の「スーパーFJ日本一決定戦」の舞台が富士スピードウェイであることも何かしらの影響を及ぼしているのかもしれない。

 セミウェット状態から開始された予選の計測は20分間。ドライタイヤを装着し、路面状態の回復が確実な後半に、全ドライバーが勝負をかけることに。ちょうど折り返しのタイミングで1分斬りがようやく果たされ、その後はじわりじわりとタイムが縮められていく。

 ラストアタックでトップに躍り出たのは、昨年のシリーズ最終戦富士で衝撃のデビューウィンを飾った稲葉摩人選手だった。これに続いた岩本瞬選手、3番手の白崎稜選手も最後の周にベストタイムを記していた。ちなみにこのトップ3は、いずれも筑波初レースとなる。

「最後の1周でアタックという状況の中、なんとか出せる限りは出せたかなと思います。ただ、ベストからベストでつないでいくと、もうコンマ3~4秒は詰められたので、そこはちょっと悔しいところですね」と稲葉選手。4番手の田上蒼竜選手、5番手の安田航選手までコンマ1秒の差もなく、決勝が激戦となるのはもはや必至と言えた。

 しかし完全ドライに転じた決勝では、慎重にスタートを切った稲葉選手に、絶妙のタイミングで飛び出した白崎選手が迫るも、トップ浮上までには至らず。そのままトップに立った稲葉選手は、次第に後続を引き離していく。

 3周目に入ると、白崎選手と田上選手、岩本選手と安田選手、それぞれの2番手、4番手争いがチームメイト同士で激しくなっていく。この中で順位を入れ替えていたのが田上選手だ。5周目の1コーナーで2番手に浮上する。

 ファステストラップの連発で逃げていたはずの稲葉選手だが、単独走行となっていた田上選手が折り返しの頃にはペースで上回るようになる。「ちょっと集中力を欠いたのと、タイヤの内圧が上がりすぎて、最終コーナーがしんどくなって」いたためだが、最後の一線はしっかり稲葉選手が守っていた。

 厳しい状況においても、差を1秒切るまでに迫らせなかった稲葉選手が勝利し、「タイヤの特性はつかめたので、次回のレースには活かせると思います」と、前向きな姿勢も欠かさず足掛け2年の2連勝を飾った。田上選手、白崎選手、岩本選手、そして安田選手に続く6位は山下友基選手。予選12番手から6台抜きを果たしていた。

スーパーFJ優勝は稲葉摩人選手(ZAP SPEED 10VED)。
スーパーFJの表彰式。左から2位の田上蒼竜選手、1位の稲葉選手、3位の白崎稜選手。
スーパーFJマスターズクラス優勝は秋山健也選手(スーパーウィンズKKS・ED)。
マスターズクラスの表彰式。左から2位の本間隆史選手、1位の秋山選手、3位の竹沢茂選手。

 筑波サーキットトライアル選手権シリーズには40台がエントリー。排気量の大小によって2組に分けられて走行が行われた。先に行われたA組のヒート1では、CT5クラスでスイフトを走らせる大輪清選手が序盤をリードするも、路面状態が向上し、中盤に差しかってK11マーチの柴田尚選手が逆転。

 ヒート1は温度の上昇もあってほとんどのドライバーがタイム更新できない中、柴田選手が逃げ切って優勝を飾った。柴田選手は「朝は少し濡れていたし、午後も温度があがっちゃったので、狙っていたタイムが全然出ませんでした。でも1番! 逃げ切れて良かったです」と安堵の様子。

 CT6クラスは筑波CTの主とも言える存在のカプチーノ使い・吉崎久善選手がやはりヒート1のタイムで逃げ切り成功し、「今日は晴れたのが良かったですね。雨だとどうしようもなくなっちゃうので、いい感じでした。今日の走りは70点ぐらいかな」と勝ってなお謙虚に語る。また、2台のみ参加のCT7クラスでは松栄吉彦選手が、2ヒート目でタイムアップを果たして優勝を遂げている。

 大排気量車によるB組では、CT1クラスでインプレッサを駆る澁澤栄一選手が、ヒート1の計測1周目で勝負に決着をつけた。その澁澤選手、「ターボ車なんで1回熱を入れちゃうとパンチがなくなっちゃうんですよ。路面が少し濡れていたけど、ヒート2は気温が上がりすぎていたのでダメでしたね」と語る。

 CT2クラスも常連のRX-7使い・森田正穂選手がヒート1のタイムで逃げ切りを果たし、「初めて履くタイヤだったので、ヒート1の1周目はよく分からず走っていて、その後タイヤはタレているんでしょうけど、なんとなく特性をつかんだので、クーリングを挟んだ後にしっかりアジャストできたという感じです。多少水があった方がラインを外せばタイヤも冷えるし、むしろいいコンディションだったんですよ」と森田選手。

 CT4クラスでもヒート1のタイムで梅野健太選手が優勝し、「去年までのクラス区分だと不成立なんてこともあったんですが、今年は強力なライバルも出てきたので、けっこう僅差で痺れるところがありました。タイミングの取り方も間が悪かったので、それは今後の課題ですね」と梅野選手。

CT1クラス優勝は澁澤栄一選手(ゼロマックスGDAインプレッサ)。
CT2クラス優勝は森田正穂選手(N-One☆ましゅ~RX-7)。
CT4クラス優勝は梅野健太選手(スイフトスポーツR/T)。
CT5クラス優勝は柴田尚選手(ロイヤルアクレアヤサマーチ)。
CT6クラス優勝は吉崎久善選手(DXLカプチーノ参号機)。
CT7クラス1位は松栄吉彦選手(KMSヤリス)。

 かつてシビックによるTTC1600との混走で競われていたTTC1400だが、近年はシビックが不在となり、今年は主力車種であるスターレットEP82さえもわずか3台。今回からナンバーつきのVitz Race in Tsukubaとの混走になったものの、そちらもわずか1台とは寂しい限り。

 そんな状況の中、「路面が乾いているように見えて乾いていなかったり、思っていたのと全然違ったりして、ちょっとドタバタしちゃいました」と語りながらも荒川智弘選手がポールポジションを獲得。だが、わずかコンマ3秒差で添田蓮太郎が2番手で続いて、決勝での激戦を予感させた。

 実際、序盤の荒川選手と添田選手はテール・トゥ・ノーズで激しく競い合い、中盤は荒川選手がいったん逃げたかと思われたものの、終盤には再び接近戦に突入。まさに一瞬即発状態だったが、最終ラップの第1ヘアピンで2台はまさかの接触。

 添田選手が前に出たが荒川選手も意地を見せ、バックストレートで再逆転に成功。荒川選手は「たぶんブレーキがロックしちゃったんでしょう。横から来て当たっちゃって。車が丈夫で良かった!」とコメント。昨年の最終戦の朝に生まれたという愛息子を抱いて表彰台にあがって勝利を喜んだ。一方、添田選手はその接触行為のペナルティとして30秒加算されて3位に後退、丸山翔矢選手が繰り上がって2位を得た。

 孤軍奮闘のVitzは山本広志選手が周回遅れとなるも、無事完走を果たしていた。

TTC1400優勝は荒川智弘選手(SMコミネつなぎてプロセスEP)。
TTC1400の表彰式。左から2位の丸山翔矢選手、1位の荒川選手、3位の添田蓮太郎選手。
Vitz優勝は山本広志選手(EMSC TAD vitz)。

 9台が参戦のAudi A1 Fun Cupは4戦の開催が予定され、第2戦以降は富士スピードウェイが舞台となる。その開幕戦のポールポジションは川端伸太朗選手が奪うも、「僕は賞典外なんで、途中でドライブスルーしてくれと言われています。ABSにトラブルを抱えていましたが、本気で走りましたよ」と盛り上げ役に専念する模様。だが、ABSにトラブルを抱えていたとはいえ、プロ相手にコンマ1秒差で続いていたのが藤田真哉選手だった。

「今まで何もやっていなくて、本当に今回のレースに出るためにAライを取りまして、筑波のライセンスも先日に取ったばかり。全部が初めてづくしでいい経験をさせてもらっています」というから驚きだ。

 決勝でも川端選手の逃げを許したものの、2番手争いを経験豊富な並木重和選手と繰り広げ、中盤までには引き離しに成功する。そしてラスト3周で宣言どおりに川端選手がピットに進むと、藤田選手は10秒差の圧勝で、見事デビューウィンを飾ることとなった。

「何もかもが初めてなので迷惑かけちゃいけない、車壊しちゃいけないって思って走っていたので、今はすごくホッとしています。残り3戦、富士も初めてですし、謙虚に一戦一戦経験を重ねて、また無事に走れるよう頑張ります」と藤田選手は語っていた。

Audi A1 Fun Cup優勝は藤田真哉選手(RCIT Audi A1)。
Audi A1 Fun Cupの表彰式。左から2位の並木重和選手、1位の藤田選手、3位の飯島宗久選手。

フォト/鈴木篤 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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