西地域開幕! FS-125部門は向畑疾走選手、FP-3部門は中村海斗選手が勝利

レポート カート

2022年4月14日

2022年の全日本カート選手権が西地域から開幕を迎えた。4月9~10日に滋賀県・琵琶湖スポーツランドで行われた西地域第1戦、FS-125部門では地元勢の向畑疾走選手(KC NAGAHARA)が初優勝を遂げ、FP-3部門では中村海斗選手(TEAM NAGAO)が独走優勝を飾った。

2022年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 西地域第1戦
2022年JAFジュニアカート選手権 FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 西地域第1戦

開催日:2022年4月9~10日
開催地:琵琶湖スポーツランド(滋賀県大津市)
主催:BSL

 この競技会でスケジューリングされたのは、全日本選手権に設けられている4部門のうち、FS-125部門/FP-3部門/EV部門の3つ。ただし、今季新たに設けられたEV部門は成立に至らず、電動カートによる全日本の初レースは次回以降に持ち越しとなった。

 そしてFS-125部門とFP-3部門は日本全国を転戦するOK部門と異なり、まず東地域と西地域で5戦ずつを行い、シリーズの締めくくりに東西統一競技会を実施して、全6戦で最終ポイントランキングを競い合う。

 決勝日のサーキットは快晴。初夏を思わせる陽気の下での大会となった。朝のブリーフィングでは、今回参加しているドライバーのうち、昨年のFP-3部門ランキングの上位2名に振興策としてワンメイクエンジンのヤマハKT100SECが贈呈された。

FP-3部門の振興策として、本大会にエントリーした2021年西地域シリーズ上位の舟橋弘典選手と中村海斗選手にヤマハKT100SECエンジンが贈呈された。プレゼンターは日本カート選手権オーガナイザー協会の饗庭喜昭代表理事。

 FS-125部門は2021シリーズの上位ランカーの多くがステップアップ等でいなくなったこともあり、顔ぶれはがらりと入れ替わった。レースを戦うのは8名。ここから誰が抜け出すのか分からない状況だ。

 タイムトライアルで41秒121のトップタイムをマークしたのは、ここ琵琶湖をホームコースとする向畑選手だ。2番手は同部門2年目の百瀬翔選手(HRS JAPAN)。冨田真弥選手(EHRE MOTOR SPORTS)が3番手につけた。

 その戦況は、予選ヒートで動きを見せる。ダミーグリッドからフォーメーションラップに向けて各車が動き出すと、百瀬選手のエンジンが始動せず。ピットレーンで修復を受けてからコースインした百瀬選手は、最後尾からのスタートに。そしてレースが始まると、スタート直後の2コーナーで3台によるトップ争いが勃発し、冨田選手が先頭に躍り出た。結局、このヒートは冨田選手が逃げ切って初のポールを獲得。向畑選手が2番手、近江川暖人選手(HRS JAPAN)。が3番手でゴールし、百瀬選手は4番手まで追い上げてこのヒートを終えた。

 決勝は26周。そのスタートでは向畑選手が鋭い加速を見せ、1コーナーに到達する前に冨田選手の前に出てトップを奪った。逃げる向畑選手、追う冨田選手。全力走行を続ける両者の0.4秒ほどのギャップは、レースが折り返し点を迎えてもほとんど変わらなかった。

 その膠着状態が、後半戦に入ると変わり始めた。向畑選手のリードが15周目に0.6秒、18周目に0.8秒とじわじわ開いていく。緊迫感あふれる戦いは、向畑選手の逃げ切りで決着した。同部門にデビューした昨年、向畑選手は2戦にスポット参戦して5位が最上位。今回が初表彰台にして初優勝だ。

 向畑選手から1秒ほど後れてフィニッシュした冨田選手は、悔しい2位。それでも4回目の同部門参戦で初の表彰台獲得だ。向畑選手も冨田選手も、今季の参戦予定は今のところこの大会と東西統一競技会のみ。2021年最初のレースは、スポット参戦組が1位と2位を手にする結末となった。

 3位は近江川選手。真後ろに迫ってきた百瀬選手からのプレッシャーに最後まで耐え抜き、2年目での初表彰台にたどり着いた。

「スタートはちょっと(アクセルオンが)早かったかもと思ったけれど、なんとかうまくいくことができて、1周目を抜かれず帰ってこられてよかったです。後ろは気にせず自分の走りのことだけを考えて、失敗しないように、ペースを維持できるように集中して走りました。26周は長かったです。全日本に出るのはこれが3回目。(優勝できて)めっちゃうれしかったです。去年の琵琶湖大会では26周走るのもギリギリだったけれど、今年はだいぶ体力がついたし、メンタル面でも後ろに惑わされず自分のペースでしっかり走れるようになったと思います」と優勝を喜ぶ向畑疾走選手。
2位は冨田真弥選手、3位は近江川暖人選手。
FS-125部門表彰の各選手。

 今回最多の15台が出走したFP-3部門。そこで注目を浴びたのは2021ジュニア選手権のFP-Jr部門王者、鈴木恵武選手(Formula Blue 増田スピード)の参戦だ。鈴木選手は本来、東地域の選手なのだが、今季参戦を予定している国際レース(FIAカーティングアカデミートロフィー)と日程がバッティングしない西地域を国内の戦場に選んだ。

 その鈴木選手は、地元有利と言われるこの難コースで、まずタイムトライアルの2番手につけると、予選ヒートではポールの中村海斗選手(TEAM NAGAO)を抜き去ってトップに躍り出た。

 だが、2021ランキング3位の中村選手は、簡単には引き下がらない。予選の中盤に鈴木選手を抜き返して決勝のポールにつくと、決勝ではスタート直後の危険な時間帯を注意深く走り、後続が少し離れたところで逃げ切りモードにスイッチ。5周目、背後で上田凌成選手(NAGAHARA. Premuim Racing)が鈴木選手を下して2番手に上がったところで、早くもリードを約1秒に広げた。

 その後も快走を続ける中村選手に追い付く者は最後まで現れなかった。圧巻の独走劇を演じた中村選手は、両手を高々と上げて開幕ウィンのチェッカーを受けた。

 その後方で光る追い上げを披露したのが、FP-Jr部門からステップアップしてきた女性ドライバーの佐藤こころ選手(チームナガオ)。1周目の6番手から着々と順位を上げ、中盤には鈴木選手もかわして3番手に浮上し、2番手を行く上田選手に急接近してきた。

 しかし、地元勢の上田選手は勢いに乗る佐藤選手を巧みに抑え込み、全日本デビューで堂々の2位フィニッシュを果たした。佐藤選手は上田選手に0.1秒及ばず3位に。鈴木選手は4位で西地域遠征の初戦を終えた。

優勝の中村海斗選手は「予選では、去年から自分の課題になっている前半の速さの面が苦しかったので、決勝ではそこを意識して1周目や2周目から飛ばしていけるように攻め方を変えてみて、それがうまくいって前半から速く走ることができたと思います。1周目は4コーナーくらいまでは絶対に抜かれないように意識していたんですが、S字を過ぎたあたりからちょっと後ろが離れたかなって感じがあったので、そこからは自分との戦いに意識を切り替えて、どんどんタイムを上げていけるように頑張りました」とコメント。
2位の上田凌成選手、3位の佐藤こころ選手。
FP-3部門表彰の各選手。

 同時開催のジュニア選手権・西地域第1戦。FP-Jr部門の決勝では、ポールから先頭の座を守って発進した伊藤聖七選手(かあと小僧with Ash)が、背後で展開された3台一丸のバトルにも乗じて序盤で大きくリードを広げ、独走で初優勝を飾った。2番手でゴールした田邊琉揮選手(TAKAGI PLANNING)は、フロントフェアリングのペナルティで4位に降格。替わって可児永久選手(Ash)が2位、山代諭和選手(quaranta seiYRTwithGEMINI)が3位となった。

 FP-Jr Cadets部門では、2021ランキング2位の澤田龍征選手(Eiwa Racing Service)が自身2勝目を獲得。スタートこそ横山輝翔選手(チームナガオ)の先行を許したが、1周目の最終コーナーでトップを奪還すると、以降はトップのまま危なげなく走り切った。昨年の同大会では兄の澤田賢征選手が優勝しており、これで澤田ブラザーズは琵琶湖大会2連覇だ。2位の横山選手と3位の元田心絆選手(RT Schritt)は、ともにデビュー戦での表彰台登壇だった。

「決勝は、スタートから後ろを引き離して勝つことしか考えてなかったです」と作戦の内を語った伊藤聖七選手。「予選のスタートでは山代選手に抜かれたけれど、お父さんのセッティングで前に追い付くことができてよかったです。今まで何年も(2018年~)ジュニア選手権をやってきたけれど、ようやく優勝できてすごくうれしいです」と勝利にはにかんだ。
2位は可児永久選手、3位は山代諭和選手。
FP-Jr部門表彰の各選手。
メカニックのお兄ちゃん(澤田賢征選手)に優勝の喜びを伝えたいという澤田龍征選手。「決勝のスタートでは(ポールから2番手に下がって)エンジンがカブったかなと思ったけれど、追い上げることができてうれしいです。あの時もそんなに焦りはなかったです。序盤は後ろがついてきていたから、もっと踏ん張ろうと思いました。今年は全部優勝してシリーズチャンピオンになりたいです」と抱負を語った。
2位は横山輝翔選手、3位は元田心絆選手。
FP-Jr Cadets部門表彰の各選手。
この日はカート出身の元F1ドライバーで自由民主党モータースポーツ振興議員連盟・事務局長の山本左近衆議院議員が大会を視察し、「モータースポーツの振興にはカートが盛り上がることがいちばんなので、できる限りすべてのレースを回りたい。この中から将来のF1ドライバーやトップドライバーが生まれることを祈っています」とドライバーたちを激励。

フォト/JAPANKART、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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