今季3戦目の富士をポール・トゥ・ウィンで勝利、坪井翔選手がランキングトップで最終大会へ
2024年10月22日
全日本スーパーフォーミュラ選手権 第7戦は、2レース制の2戦目。前日の第6戦で逆転優勝を飾った坪井翔選手(VANTELIN TEAM TOM'S)が第7戦でも好調。今季初ポールポジションから一度もトップを譲らずポール・トゥ・ウィンを達成し、今季富士スピードウェイで行われた3レース全てを制した。フルポイントを獲得した坪井選手はランキングでも首位に躍り出た。
2024年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 第7戦
開催日:2024年10月11~13日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C
1大会2レース制の2戦目として開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権 第7戦。舞台となる富士スピードウェイは、2日とも秋晴れで絶好のレース日和となった。
予選
予選ではまず、Q1のA組で坪井選手がトップタイムをマーク。これに金曜日の専有走行で速さを見せた佐藤蓮選手(PONOS NAKAJIMA RACING)、岩佐歩夢選手(TEAM MUGEN)らが続いた。
一方、ここまで全戦でQ2に進出していた太田格之進選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップ6に入れず、今シーズン初のQ1敗退を喫する場面もあった。続くB組では、牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップタイムでQ2進出を決めた。ランキングトップの野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が牧野選手に対し0.002秒差で2番手に食い込み、山本尚貴選手(PONOS NAKAJIMA RACING)が3番手タイムでQ1を突破した。
ポールポジション争いのQ2はランキング上位が熾烈なタイムアタック合戦を披露。まずは福住仁嶺選手(Kids com Team KCMG)がコントロールラインを通過し暫定トップに浮上するが、高速コーナーが続くセクター2で速さを見せた野尻選手が約0.06秒上回って逆転。さらに坪井選手がこれを上回り、唯一1分21秒台にタイムを入れて堂々のトップに立った。坪井選手はこれで今シーズン初めてのポールポジションを獲得。2番手に野尻選手、3番手には前日の第6戦でポールポジションを獲得した福住選手が入った。
予選ポイントはポールシッターに3ポイント、2番手に2ポイント、3番手に1ポイント加算されるが、ここで3ポイントを手に入れた坪井選手が野尻選手を上回ってポイントリーダーに浮上した。4番手タイムを出したのは岩佐歩夢選手(TEAM MUGEN)だったが、コカ・コーラコーナー出口で走路外走行の判定を取られてベストタイム抹消、代わって牧野選手が4番グリッドを手にした。
決勝
決勝レースは第6戦とうって変わって荒れた展開になった。スタートでは坪井選手がトップをキープしてTGRコーナーを通過。4番グリッドの牧野選手が前方の野尻選手を捕えて2番手に上がった。後方ではオープニングラップ後の混戦の中、ダンロップコーナーで三宅淳詞選手(ThreeBond Racing)に木村偉織選手(San-Ei Gen with B-Max)が追突。スピンした三宅選手の車両をよけ切れず、ニック・デ・フリース選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)もこれに接触してしまう。三宅選手の車両がコースサイドにストップしてしまったため、レースは早々にセーフティカー(SC)が入ることになった。デ・フリース選手はピットに戻ってノーズ交換を行い、隊列の最後尾に戻っている。
7周目に入るところでレースは再開。全車の距離がぐっと縮まっているこのチャンスをものにしたのが福住選手で、4番手でレースが再開した直後の1コーナーで野尻選手を捕えて3番手に浮上、さらにその後牧野選手もかわして2番手にポジションアップした。捕えられた牧野選手は周回数が10周を終えたところで真っ先にピットイン。5番手走行の野尻選手ら後続もこのタイミングでタイヤ交換に向かった。しかし、この後1コーナーでアクシデントがあり、2度目のSCが入ることになる。その瞬間にピットインを選択した福住選手は、コース上で抜きあぐねていた牧野選手をピット作業後にかわすことに成功。トップの坪井選手はSCボードが表示されたところでピットに入ると、福住選手らがホームストレートに戻ってくる前にコース復帰し、見た目上でもトップを譲らずに後半スティントに入った。
17周目に2度目のリスタートが切られる。この時点でのトップ6は坪井選手を先頭に福住選手、佐藤選手、牧野選手、野尻選手、山下健太選手(KONDO RACING)というオーダー。ただ3番手の佐藤選手は福住選手とのバトルの末にコカ・コーラコーナーでオーバーシュートしてしまう。幸いコースに復帰はしたが、福住選手とのギャップは広がり、逆に背後の牧野選手に詰め寄られると22周目に表彰台圏内から後退することとなった。
残り周回数が10周を切った33周目、11番手を争っていた山本選手と阪口晴南選手(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)がTGRコーナーで接触。2台はともに2コーナーの先でコースサイドにマシンを止め、この日3度目のSCが入ることに。2台の車両を回収するのに時間がかかり、レースは残り3周で再開。トップの坪井選手はリスタートも危なげなく決めてポジションを守り切ると、そのまま2日連続のトップチェッカーを受けた。2位は福住選手、3位は牧野選手。今シーズン富士スピードウェイで行われた3戦すべてで勝利を飾った坪井選手は、このレースで7位入賞した野尻選手とのポイント差を16.5ポイントまで広げ、野尻選手は逆に牧野選手にもかわされてランキング3番手に後退した。
フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部