Step UP! Bライセンスで競技に挑戦!
オートテストの「先」には
オートテストは全国各地で様々な会場や環境で開催されています。もし、アナタがオートテストにハマっていて、自分のウデをもっと試したいと思うようなら、ぜひ他のエリアで開催されているオートテストに遠征してみることをオススメします。ライバルと競り合うレースとは違って一人で挑む競技は、最終的には「自分との戦い」になっていきます。
飛び込んだ当初は「みんなができているのに、自分だけができない」といった思いを抱くかも知れません。それを克服するためには「練習あるのみ」なのですが、他者の走りと自分の走りを比較して「できている」人の走りを真似ることも一つの方法です。併せて、うまく真似できた走りを、どんな状況でも再現できるようにすることも肝要です。その修練には、同じコースで、できれば同じレイアウトで繰り返すことが有効になってきます。
そして、自分の得手不得手がある程度認識できるようになると、積み重ねた修練の過程で身に付いた、自分の「走りの引き出し」をどれだけ増やせるか、そして、それを「いかに適正に引き出せるか」という別なスキルが必要になってくることにも気付くはずです。
基本的なテクニックを修練したり、スタート前に味わう独特の緊張感をほぐしたりするには、同じ会場で行われる競技会に繰り返し参加することは有効なのですが、走りの引き出しや適正に引き出せるスキルを磨くには、同じ競技会に繰り返し参加することはいつか卒業して、他のオートテストで、色々な考え方やパターンを経験していくことが大切です。
オートテストはオーガナイザーによって、競技内容やコースレイアウトが違っています。参加台数や参加者のスキルを考慮して、単純化したコースレイアウトを設定する競技会がほとんどですが、中には、少しウデに覚えがある人にも楽しんでもらえるように、見た目には分かりにくい、攻略が難しいセクションをあえて設けている競技会もあります。
このような、オーガナイザーが意図的に設定した隠れた難関の存在に気付くことができたアナタには、次の段階へのステップアップを考えるべき時期が来ています。それまでは、自分の走りに一喜一憂していたものが、コース設定者が仕掛けたワナをいかに攻略するかという観点が加わると、オートテストは途端に知的なスポーツへと生まれ変わります。
オートテストはすべての基本
オートテストは、JAF公認サーキットやJAF公認スピード競技コースを始め、大型商業施設や道の駅の駐車場など、市街地に近い場所で行われることもあります。参戦のついでに付帯施設や近隣での行楽を楽しむのも一興ですが、オートテスト自体をもっと深く楽しみたいと感じている方は、指定されたコースを正確に走るだけではなく、走行する場所のシチュエーションを細かく観察してみることをオススメします。
舗装路面をよく見ると、会場によっては舗装の方法や状態が違っている場合があります。例えば、商業施設の駐車場なら、普段から多くのクルマが利用しているスペースと、たまにしか使われないスペースでは、砂塵などによる舗装の目詰まりが違っています。その違いはタイヤのグリップに大きく影響してくるのです。スキー場の駐車場などは、排水性を高めるためにあえて目の粗い舗装が施されていることも多く、そういう路面では高いグリップが得られる傾向があります(その代わり、タイヤは減りやすくなります)。
また、気温によって路面コンディションも変わります。一般的には、気温の低い朝は路面温度が低いためグリップが低く、気温が上がった午後の方が高いグリップを感じられると思います。そういう環境状況に気付くと、午前中の1回目の走行はタイヤグリップが低いので無理をせず、自分のウォーミングアップに充てる。そして、グリップが高くなる2回目の走行では少し気合を入れた走行をしてみる、といった発想が生まれるようになります。
このような考え方は、実際のレースなどでも採用されています。レースチームには、気温や路面温度、路面状況でマシンが示す特性などが、各サーキットごとに豊富なデータとして蓄積されています。それらの情報を元にドライバーの性格などを勘案してその日のレース戦略を組み立てています。つまり、オートテストと言えども、真摯に向き合っていくと、ハイレベルなレースなどと同じような考え方に繋がっていくものなのです。
ステップアップに最適な道筋
オートテストと真剣に向き合ってスキルアップしたいと感じた人にとって、JAF公認モータースポーツの世界では、あらゆるステップアップの手段が用意されています。JAF公認のオートテストに出場すると、国内Bライセンスを申請できる資格が得られるので、いきなり何かの公認競技会に出てみるのも一つの方法です。ですが、その前に、自分の経験を楽しみながら重ねて、スキルアップにも繋げられる機会もいくつか挙げられます。
全国のサーキットでは、サーキットライセンスを持つ人を対象とした走行会がおこなわれています。中には初心者や入門者を対象とした、サーキット走行を体験できるイベントも定期的に行われています。安全装備を施していないノーマル車の場合は、高いスピードを出すことはできませんが、インストラクターからサーキットの走り方を学べるレッスンが併設されていたり、ペースカーの後方で一定の速度で体験走行することができたりします。
サーキットにはレース専用の舗装が施されていて、一般公道や駐車場などとは驚くほど異なる平らで滑らかな路面を味わえます。これはJAF公認サーキットであっても、コースによって異なるもので、その舗装自体が各サーキットの特徴となっていることもあります。あらゆる舗装路面を味わいたいと思っただけでも、いわゆるミニサーキットや四輪が走れるカートコースなども含めると、年間計画が必要になるほどのバリエーションがあります。
クルマの動かし方を極めたい!
クルマをもっと自在に操れるようになりたいと思う人も多いでしょう。日常走行では急の付く操作はご法度なので、クルマを大きく振り動かすような体験はできません。ですが、スキルアップしたいと感じるようになった方には、ハンドル操作やブレーキ、アクセル操作などに、街乗りとは違ったテクニックが必要であることに気付いた人も多いはずです。
このような、少し特殊な技術を学びたいと思うようになった人には、JAF公認スピード競技コース、特にジムカーナコースで行われている練習会やフリー走行、そしてレッスン・イベントがオススメです。ジムカーナの練習会やフリー走行では、コースレイアウトが固定され、半日や一日、参加台数が少なければ好きなだけ走行することができます。
こういう機会には、ジムカーナを戦う先輩ドライバーが車両セットアップなどために走行していることもあります。初心者や入門者に優しい先輩が多いので、気軽に声をかけて、自分の運転を観てもらったり、同乗走行をお願いしてみたりするのがオススメです。
また、タイヤメーカーやモータースポーツショップが主催する、インストラクター付きの走行会も行われています。これらのイベントは、スラロームやターンなどをセクション別に練習して、最後にそれらを組み合わせたコースを走行して一日の成果を確認するような構成となっています。専属のインストラクターがコーチングしてくれるケースが多いので、得られるものは多いはずです。
スキルが直結しているジムカーナ
ジムカーナの競技会では、タイヤを空転させながらスタートし、タイトコーナーではパーキングブレーキを使って急旋回させる高等テクニックなどが見られます。ですが、ジムカーナのテクニックを突き詰めると「ムダな動きをできるだけ省いて、いかにクルマを前に進められるか」が重要になってきます。そのため、最高峰の全日本ジムカーナ選手権などでは、高い技能を持った選手の走りは、実に静かでスムーズな動きをしているものです。
オートテストは運転の正確さを競うスポーツです。言い換えれば、無駄を省いてクルマをきちんと前に進めることが求められているということです。オートテストで得られたスキルは、数あるモータースポーツの中でも、ジムカーナに直結している部分が多いと言えます。ジムカーナには「バック」がないため、そういう意味では、オートテスト・ドライバーの方が特殊なスキルを持っていると言えるかも知れません。
オートテストで修練を重ねてスキルアップしてきた人にとっては、それらを延長していけば、そのままジムカーナのスキルアップに繋がる可能性もあります。競技ライセンスを必要としない初心者・入門者向けのジムカーナイベントもありますので、スキルアップへのプロセスが似ているジムカーナは、次なるステップとして最適なカテゴリーなのです。
国内Bライセンスを申請できます
JAF公認クローズド競技として開催されるオートテストに出場すると、国内Bライセンスを申請できる資格を得られます。競技会に出場すると、オーガナイザーがライセンス交付申請書の申請資格証明欄に出場証明として捺印をしてくれます。これがあれば、Bライセンス講習会を受講しなくても、国内Bライセンスを申請できます。この申請はJAF地方本部・支部の窓口で行います。詳細はお問い合わせください。
国内Bライセンスを取得すると、前述したジムカーナを始め、ラリーやダートトライアル、サーキットトライアル、ドリフトなどのJAF公認競技に出場できるようになります。これらの中で、オートテストからステップアップしやすいカテゴリーと言えるのは、ジムカーナの他には、舗装で行われるサーキットトライアルやドリフトなどが挙げられます。
サーキットトライアルは、レースの予選を単独開催したようなタイムトライアル競技です。ピットレーンから一台ずつコースインして、クリアラップを取りながら自分のベストな走りをして最速のラップタイムを競います。いずれレースへの出場を意識しているなら、サーキット走行には欠かせないルールやマナーも学べるので、ぜひ挑戦してみてください。
ドリフトは、ジムカーナ以上に大きな動きを伴うマシンコントロールを学びたい人にはうってつけです。すでに数多くの練習会や走行会などが全国のミニサーキットなどで行われていて、競技ライセンスやサーキットライセンスが不要なケースも多いですが、厳格なルールやステップアップの道筋が構築されているJAF公認ドリフト競技も行われていますので、いずれステップアップしたい人には、一考の余地があるカテゴリーと言えます。