モータースポーツ競技を支えたいあなたへ
審判員もモータースポーツを支える主役の一人です!
モータースポーツが公平かつ安全におこなわれるためには、参加者や運転者が規則を遵守するのはもちろんですが、規則を執行していくための審判員が必要です。このため、JAFでは、国内競技規則などに精通して経験を有する人に公認審判員の資格を与えています。
さまざまな役務がある
四輪の「公認審判員許可証(オフィシャルライセンス)」には、技術委員やコース委員、計時委員という役務に対して、レースとそれ以外の競技で執行権限を区分したB3級、B2級、B1級、A2級、A1級といった、合計15種類の許可証があります。中でもB3級については、国内Bライセンス講習会を受講すれば申請することができます。
カート競技には四輪とは別の「カートオフィシャルライセンス」という資格が必要です。四輪と同様に、技術委員やコース委員、計時委員という役務に対して、3級、2級、1級といった、合計9種類のオフィシャルライセンスがあります。
JAFスポーツ資格登録規定には「JAFの公認競技会には、国際モータースポーツ競技規則、国内競技規則に精通し、かつ自動車競技に関する総合的知識をもち、判定能力を有し、公平無私である公認審判員が競技の監督および役務を執行するものとする。監督とは競技長、副競技長、委員長、事務局長をいい、役務とは監督の指揮下できめられた仕事をすることをいう。判定権をもたない補助員は公認審判員でなくともよい。また、公認審判員許可証の取得に際して申請者に対し普通運転免許証以上所持の有無については問わない」とあります。
オフィシャルライセンスは、競技参加者許可証(エントラントライセンス)や競技運転者許可証(ドライバーライセンス)と同様に、その資格を認定した登録証明なので、これが直接、競技会の役員になれるという証ではありません。
競技会のオーガナイザーは、組織に関する規定に基づいて、それぞれ、この有資格者から競技役員を選出する必要があり、しかも、直接もしくは間接的に利害関係のあるものであってはならないので、資格を持っていても競技役員に選ばれない人も存在します。そのため、ライセンスの所持と競技役員に選出されることは別の問題となります。
国内競技規則によれば、競技役員は、技術委員やコース委員、計時委員の他に、車両検査委員や補給監視員、信号員、スタート審判員、決勝審判員、スタート合図員、救急委員などが定義されており、競技会審査委員や競技長、競技会事務局長といった役務もあります。
技術委員は、国内競技規則や大会特別規則書の規定に合致した競技車両かどうか、また安全面で支障がないかを検査します。コース委員は、コース上での競技を安全かつ円滑に進行させるため、事故や違反などを監視したり、競技者に対して信号旗を使って指示を出します。計時委員は競技の開始や計時、順位の決定などを行います。また、審判員は、文字通り事実を判定する役務で、反則スタートやフィニッシュライン通過などを審判します。
トップカテゴリーの四輪レースシリーズでは、レースディレクターやテクニカルディレクター、競技審査委員会ドライビングアドバイザーといった、シリーズを通した独自の判断に基づくレース運営や判定に関する提言を競技長に行う役務も設定されています。
オフィシャルは“信頼”がすべて。あらゆる人々に丁重かつ毅然たる態度で
JAF公認審判員服務要項(レース)より
「今日、モーターレースは観るスポーツとして世界中の人々が関心をもち、ビッグイベントに数万の観衆が集まることも珍しくない。モーターレースを開催するには膨大な費用を投じてつくられた近代設備のサーキットと、高価なマシンで参加するエリートな人々が必要となる。このためモーターレースは一国の文化の象徴とさえいわれている。モーターレースはこのようにお金がかかるうえに、あらゆる天候状況や突発的危険現象をも克服しなければならず、モーターレースの参加者は余程の覚悟と情熱がなければならない。
モーターレース運営上、絶対に欠くことのできないオフィシャルにとってもこのことは同様である。そのうえオフィシャルにはその役務に関して豊かな知識と優れた技術を身につけていることが要求される。この知識や技術はできる限り多くのレースに参加して、あらゆる経験を積むことによってのみ習得できるものである。
オフィシャルには“信頼”ということばがすべてである。参加者や仲間から信頼されてこそレースに必要なオフィシャルとしてオーガナイザーから重要な役務を委嘱されるのである。選ばれた以上はその信頼に応える行動をとらなければならない。たとえ役務の内容が簡単なものであってもそれは競技運営上重要なものなのである。
したがって、もし何かの都合で、引き受けた役務を果たせないときには、前もって申し出て代理者を推薦することが必要である。遅刻の場合は同様に必ず事務局に連絡して応急対策をたててもらうことを怠ってはならない。モーターレースは、必ず一定の人員のオフィシャルが確保されなければならないことを忘れないこと。
競技中は参加者、報道関係者、一般観衆等あらゆる人々と接触の機会が生じる。オフィシャルはすべての人々に対して親切をむねとし、丁重なうちにも毅然たる態度で役務を遂行してこそ第一級のオフィシャルとしての信頼をかちとることができるのである」
※ JAF公認審判員服務要項(レース)より抜粋