カート競技におけるセーフティトレーニングプログラムを実施
2021年10月22日
スポーツランドSUGOで10月16日から開催された全日本カート選手権OK部門第7戦/第8戦および全日本/ジュニアカート選手権東地域第5戦。その大会初日に、カート競技役員やコースマーシャルなどを対象にした、JAF主催による救急救命活動のセミナーが行われた。
2021年FIA基金助成によるJAF EVENT SAFETY TRAINING PROGRAMME カート競技役員セミナー
開催日:2021年10月16日
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県村田町)
主催:一般社団法人日本自動車連盟
全日本/ジュニアカート選手権が開催されたスポーツランドSUGOでは、10月16日午前の有料スポーツ走行が終了した昼休みの時間を利用して、レースの舞台となる西コースのメインストレート上で、オフィシャルたちによるレスキュー訓練が自主的に行われたことを冒頭で触れておく。これは昨年の全日本カート選手権SUGO大会から実施されている、コースマーシャルのスキル向上のための実地訓練だ。
今回の訓練内容は、アクシデントなどでコース上に投げ出された選手を安全に担架に載せるノウハウの伝授。スーパーGTなどの四輪レースの大会でも活躍するレスキューチームのスタッフを講師として、頸椎をひねらないように体全体を傾けながら担架に選手を載せる具体的な方法がレクチャーされた。
この日はあいにくの雨だったが、意識を失ったドライバー役を請け負ったオフィシャルは、びしょ濡れのコースに体を横たえて懸命に訓練に協力していた。そして講師からのレクチャーが終わると、コースマーシャルからはアクシデント発生時の初動の対応や、救出の際の体の向きになどについて質問が飛ぶ。安全なカートレース運営に向けての熱心な訓練は、冷え込む雨のコース上で約15分間にわたって続けられた。
続いてこの日の全走行スケジュールが終わった17時より、インターナショナルレーシングコースのブリーフィングルームにカート関係者が集まって、JAF主催による『2021年FIA基金助成によるJAF EVENT SAFETY TRAINING PROGRAMME カート競技役員セミナー』が行われた。
FIA基金の助成を受けて安全なイベント運営を目的に実施されるセミナーが、カートレースを対象に行われるのは今回が初めてのこと。このセミナーにはカート競技役員をはじめ、SUGOのオフィシャルスタッフたちや、JAFモータースポーツ部の村田浩一部長、株式会社菅生の遠藤渉代表取締役社長、JAFカート部会の植田敏明部会長らも列席し、この取り組みに対する熱意が強く表れる光景となった。
プログラムの運営を担当したのは、九州で主にラリー競技の開催で豊富な実績を持つ、JAF加盟クラブのグラベルモータースポーツクラブ(GRAVEL)。FIAラリー委員会委員やJAFラリー審査グループ委員を務める七田定明委員長や、平田満明競技長、吉田恵助救命士を講師として迎え、救急救命活動の方法がレクチャーされた。
主な内容はFIA GUIDELINES MITIGATION PLANNING AND RISK ANALYSIS RETURN TO MOTOR SPORT in the context of the COVID-19 Pandemic(緩和計画およびリスク分析に関するガイドライン)、FIA国際競技規則付則H項およびJAFガイドライン(基本的な感染対策のあり方の例)に基づく負傷ドライバー救出等だ。
昨今のコロナ禍における感染防止対策を講じた救急活動であることを念頭に置き、救命器具を使用した救出方法や心肺蘇生の方法を学んでいく。映像を用いた座学と、救命器具やダミー人形などを使用した実技のパートがあり、具体的な救命活動についてのセミナーが約1時間半にわたって行われた。
スポーツランドSUGOでは四輪レースの際にレスキューを担当し、カートレースでは主にフラッグマーシャルを務めているという小塚裕一氏は、「カートレースではフォーミュラやハコ車のレースと違って、ドライバーの体がむき出しになっているので、その救出方法が自分の中で曖昧になっている部分もあったのですが、その具体的な方法を今回知ることができました」と、今回のセミナーに参加した意義を語ってくれた。
このセミナーは、今の時流に即したレスキュー活動のノウハウを広めるだけでなく、オフィシャルスタッフたちの安全意識の向上にも寄与するものとなったようだ。
フォト/JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部
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