怒涛の鈴鹿4連勝で箕浦稜己選手がFS-125/X30部門を掌握、タイトル確定に

レポート カート

2023年12月19日

三重県鈴鹿市・鈴鹿サーキット南コースで12月3日、地方カート選手権および鈴鹿選手権シリーズの末尾を飾る第5戦が開催。FS-125/X30部門では箕浦稜己選手(BirelART West)が4連勝を飾り、地方カート選手権のチャンピオンを確定させた。

2023年JAF地方カート選手権 FS-125/X30部門 第5戦
2023 鈴鹿選手権シリーズ 第7戦 KART RACE IN SUZUKA

開催日:2023年12月3日
開催地:鈴鹿サーキット南コース(三重県鈴鹿市)
主催:SMSC

地方カート選手権 FS-125/X30部門

 地方カート選手権FS-125/X30部門は、鈴鹿南コースを舞台とするローカルレースシリーズ『鈴鹿選手権シリーズ』のFS-125/X30クラスにかけられた選手権で、2023シリーズは全5戦で行われた。その第5戦となる12月3日のレースは、シリーズを締めくくる一戦。全日本選手権/地方選手権/ジュニア選手権から成る日本カート選手権は、このレースをもって2023年のスケジュールをすべて終了する。

 シリーズチャンピオン獲得の権利を持ってこの一戦に臨むのは4名。未勝利ながら3度の2位入賞を果たして79点を獲得した酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)、開幕戦のウィナーで目下78点の中井悠斗選手(TEAM EMATY)、第2戦から怒涛の3連勝を遂げて75点を挙げている箕浦選手、4戦すべて5位以内入賞で72点獲得の松本琉輝斗選手(HRS JAPAN)だ。なお、76点でランキング3番手につけている鈴木恵武選手は今回欠場で、戴冠の可能性はなくなった。

 ポイントを見ると4名は極めて僅差だが、有効4戦のポイントシステムを考慮すると、実は箕浦選手が圧倒的な優位に立っており、このレースで5位以内に入れば、他の選手の成績に関わらずチャンピオンを確定できる。

 大会当日のサーキットは快晴。師走の朝は空気がキンと冷えているが、昼間には気温が13度前後まで上がり、絶好のレース日和となった。出走は20台。タイムトライアルでは、ここまで6位が最上位の松井海翔選手(HKC)が49秒132のトップタイムをマークしてみせた。0.039秒差の2番手に田邊琉揮選手(HRS JAPAN)がつけ、3、4番手に箕浦選手と酒井選手が続く。中井選手は7番手、松本選手は15番手だ。

 10周の予選が始まると、箕浦選手がスタートダッシュを決めてトップで1コーナーへ。3周目には田邊選手が先頭に立つが、箕浦選手はすぐにトップを取り返し、6台一列の先頭集団を引き連れたままゴール、決勝のポールを手に入れた。2番手は酒井選手、田邊選手は3番手。

 4番手に8番グリッドから浮上の佐藤佑月樹選手(RT WORLD)が入り、5、6番手に松井沙麗選手(K.SPEED WIN)と松井海翔選手が続いた。松本選手は7番手でゴールしたがペナルティを受けて14番グリッドに後退。中井選手はスタート直後の多重クラッシュに巻き込まれてリタイアを喫し、決勝を最後尾からスタートすることになった。

 決勝は16周、ポールの箕浦選手は先頭をキープしてスタートし、2番手には田邊選手が上がってきた。勢いに乗る田邊選手は、3周目に入るストレートエンドで箕浦選手をかわしてトップに浮上。箕浦選手の真後ろには酒井選手、佐藤選手、松井海翔選手が僅差で続き、5台一列の戦いが繰り広げられていった。

 折り返し点の近づいた8周目、箕浦選手が田邊選手を抜き返してトップに復帰する。酒井選手もそれに続こうと勝負を仕掛けたが、前には出られなかった。この2番手争いの間に、箕浦選手は0.5秒ほどのリードを手に入れた。この箕浦選手が逃げ、やや離れて4台が続く展開がしばらく続く。それが残り5周を切ると、田邊選手が2番手争いを抜け出し、箕浦選手にじわじわ近づいてきた。場内には最後の逆転の気配も漂い始める。

 しかし、箕浦選手はそんな不穏な空気を自らの走りで断ち切り、田邊選手を危険な距離にまで近づけさせることなく走り切った。両手を大きく広げたポーズでチェッカーをくぐった箕浦選手は、ポール・トゥ・ウィンで圧巻の4連勝。そして最高の形でのチャンピオン確定だ。

 2位は田邊選手。そこから約1秒後れて、残り2周で酒井選手を仕留めた佐藤選手が3位でフィニッシュした。酒井選手は4位。松本選手はアクシデントで後れを取って18位に終わり、中井選手は3周で戦列を去った。こうして2023年の日本カート選手権は幕を閉じた。

「トップを走っているときは風があってスリップも効くので、結構必死でした」とは優勝の箕浦稜己選手(BirelART West)。「終盤、田邊選手が近づいてきたときはびっくりしたけれど、冷静に走れました。今年最後のレースでポール・トゥ・ウィン、そしてチャンピオンも確定したので、ゴールしたときはすごく気分が良かったです」と感想を語った。
2位は田邊琉揮選手(HRS JAPAN)、3位は佐藤佑月樹選手(RT WORLD)。
FS-125/X30部門表彰の各選手。
箕浦選手がFS-125/X30部門のチャンピオンを確定させた。

 この大会では鈴鹿選手権シリーズの第7戦として、他に5つのレースが行われた。決勝はYAMAHAカデットオープンが12周、その他の4クラスが16周だ。

SLカートミーティング YAMAHAカデットオープン

 22台が参加した小学2年生以上対象のYAMAHAカデットオープンは、島津舞央選手(ERS with SACCESS)、中野貴介選手(LUCE Motor Sports)、今村昴星選手(HIGUCHI RACING TEAM)の3台が、一進一退のバトルを繰り広げる熱戦となった。

 決着は最終ラップ。2番手の島津選手がトップの中野選手に勝負を仕掛けると、今村選手がそのスキを突いて2台を一気にパス。見事な逆転で今村選手が初優勝を飾った。2位は中野選手。そして3番手でゴールした島津選手にはフロントフェアリングのペナルティが下り、新橋武選手(Sigma Racing)が3位となった。

「初優勝だったので、ゴールしたときはうれしかったです」と喜びのコメントを発したのは、三つ巴のバトルを展開して逆転勝利を収めた今村昴星選手(HIGUCHI RACING TEAM)だ。「前の2台は絡みそうだなと予想していたので、そこでインを空けてクロスを取ろうと考えていました」と作戦を明かした。
2位は中野貴介選手(LUCE Motor Sports)、3位は新橋武選手(Sigma Racing)。
YAMAHAカデットオープン表彰の各選手。

SLカートミーティング YAMAHA SS

 YAMAHA SSには大量41台が参加。9台一列のしびれるトップ争いをリードしていったのは藤村太郎選手(Formula Blue HKC)だったが、最終ラップに久富圭選手(Ash)と高村宏弥選手(Higuchi Racing Team)が相次いで藤村選手をパスし、久富選手が真っ先にチェッカーをくぐった。

 だが、その久富選手は車検でスキッシュエリアの規定違反により無念の失格に。2番手ゴールの高村選手がウィナーとなった。さらに最終コーナーでは藤村選手を含む3台のアクシデントがあり、吉井亮仁選手(PROJECT Y)が2位、大槻直選手(Ash)が3位という結末になった。

「2番手ゴールだったけれど、結果が優勝で良かったです」と言う高村宏弥選手(Higuchi Racing Team)ながら、「決勝のペースが足りなかったことは来年に向けての課題です」とも反省。「来年は実力でトップでゴールして優勝をつかみたいと思います」と今後の意気込みを語った。
2位は吉井亮仁選手(PROJECT Y)、3位は大槻直選手(Ash)。
YAMAHA SS表彰の各選手。

AVANTI

 AVANTIには19歳から74歳の15名が参加。その決勝では、予選をトップでゴールしながらペナルティによる降格で5番グリッドとなった小川昌悟選手(TokoSport with KC NAGAHARA)が4周でトップに立ち、背後にギャップを築いたまま走り切って勝利を手にした。0.422秒差の2位はポールの室谷匠選手(Toko Sports with KC NAGAHARA)。3台による接戦に競り勝った岡部雅選手(club マイム)が3位入賞を果たした。

トップに躍り出ると逃げ切りの展開に持ち込み勝利した小川昌悟選手(TokoSport with KC NAGAHARA)。「予選はペースが悪かったんで決勝では上がれるかなと思っていたけれど、思いのほか展開が良かったんで、無事に(トップで)帰ってこられて良かったなって感じです」と安堵の表彰を見せた。
2位は室谷匠選手(TokoSports with KC NAGAHARA)、3位は岡部雅選手(club マイム)。
AVANTI表彰の各選手。

SLカートミーティング YAMAHAスーパーSS

 今大会最多の45台が参加したのが、30歳以上のドライバーによるYAMAHAスーパーSSだ。2グループに分かれての予選と敗者復活ヒートを経て行われた決勝では、ポールの坂裕之選手(のりものレンタカー沖縄那覇TIGRE)が中盤までに約1秒のリードを築いた。

 だが、終盤に佐々木克行選手(がががが”が”むしゃら ひすとりー)が坂選手を追い詰め、最終ラップの1コーナーでオーバーテイク。見事な逆転劇で佐々木選手が勝利をつかんだ。坂選手は2位に終わるも、鈴鹿選手権のシリーズチャンピオン獲得で喜びのガッツポーズ。3位表彰台には最終ラップにひとつ順位を上げた平野伸一選手(サーティーズレーシング)が立った。

「ギリギリで勝てました(笑)」と逆転優勝を果たした佐々木克行選手(がががが”が”むしゃら ひすとりー)。「風が強かったんで、その向きによって速くなったり遅くなったりして。それに合わせてキャブレターも微調整しながら走っていました」と粘りのレースでの勝利だったようだ。
2位は坂裕之選手(のりものレンタカー沖縄那覇TIGRE)、3位は平野伸一選手(サーティーズレーシング)。
YAMAHAスーパーSS表彰の各選手。

ROK-SHIFTER

 ROK-SHIFTERは6段変速機構を備えた水冷125ccエンジンとハイグリップタイヤをつけたマシンで戦う、ホビーカテゴリーのハイエンドクラスだ。16台が参加したレースは、ポールの丸山陽平選手(HRT)がスタートを決め、追いすがる東拓志選手(NEXT-ONE Racing)を引き離して勝利を遂げた。

 一方の優勝候補と目されていた東選手は逆転優勝こそならなかったが、3番グリッドからの見事なスタートで2位を獲得。やはり好スタートでふたつ順位を上げた三宅陽大選手(ぴぃたぁぱん)が3位入賞を果たした。

 また35歳以上のドライバーが対象のMasterクラスでは、スタートでポジションを上げて逃げる岡本孝之選手(ハラダカートクラブ)を、小林弘直選手(HRT)が捕らえて終盤に逆転。総合8位でフィニッシュした小林選手がクラス優勝を遂げた。岡本選手は総合10位のゴールでクラス2位。それに続いてフィニッシュした中土和徳選手(RS nakatsuchi)がクラス3位となった。

シフターカートで初めてポール・トゥ・ウィンを決めたという丸山陽平選手(HRT)。「今まで課題だったスタートも、予選/決勝ともうまく決めることができました。最初から最後まで自分のペースを守ってトップを譲らずゴールできたので、この勝利はすごくうれしいです」と笑顔を見せた。
2位は東拓志選手(NEXT-ONE Racing)、3位は三宅陽大選手(ぴぃたぁぱん)。
ROK-SHIFTER表彰の各選手。
「予選ではスタートを失敗して(クラス)2番手のフィニッシュだったので……」と、決勝は積極的に攻めることにしたというMasterクラス優勝の小林弘直選手(HRT)。「その決勝ではセッティングも変えてちょっと良くなったんで、頑張ってバトルして競り勝つことができました」
2位は岡本孝之選手(ハラダカートクラブ)、3位は中土和徳選手(RS nakatsuchi)。
ROK-SHIFTER Masterクラス表彰の各選手。

フォト/長谷川拓司、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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