もてぎのFS-125/X30は鈴木斗輝哉選手、ジュニア部門 (X30Jr)は松尾柊磨選手にタイトル確定!

レポート カート

2023年11月28日

栃木県茂木町・モビリティリゾートもてぎ北ショートコースで11月19日、地方カート選手権もてぎシリーズの第5戦が開催。鈴木斗輝哉選手(K.SPEED WIN)が開幕5連勝を果たし、次戦の最終戦を待つことなくチャンピオンを確定させた。

2023年JAF地方カート選手権 モビリティリゾートもてぎシリーズ 第5戦
2023年JAFジュニアカート選手権 モビリティリゾートもてぎシリーズ 第5戦
2023 もてぎカートレース 第5戦

開催日:2023年11月19日
開催地:モビリティリゾートもてぎ北ショートコース(栃木県茂木町)
主催:ホンダモビリティランド株式会社

地方カート選手権 FS-125/X30

 FS-125部門で行われる地方カート選手権もてぎシリーズは、モビリティリゾートもてぎ北ショートコースを舞台とするローカルレースシリーズ、もてぎカートレースのFS-125/X30に選手権のタイトルをかけて実施されるものだ。シリーズは全6戦で、今回はその第5戦となっている。

 ポイントランキングは、鈴木斗輝哉選手(K.SPEED WIN)が開幕戦から4戦全勝で100点を獲得して首位に。58点の佐藤佑月樹選手(RT WORLD)が2番手につけている。チャンピオン獲得の権利を持っているのはこのふたりのみ。出走は9台で、鈴木選手は決勝をポイント獲得圏内の4位以上でフィニッシュすれば、最終戦を待たずしてタイトルを確定できる。

 決勝日のサーキット上空は雲ひとつない快晴。早朝は震えるような寒さだったが、10時を過ぎるとコートが要らないような暖かさとなった。タイムトライアルでは鈴木選手がトップタイムをマークしたのだが、セッション中に妨害行為があったと判定されてトップタイム抹消のペナルティを受け、3番手に下がった。代わって予選ヒートのポールとなったのは岡田聖人選手(Tommy Sport Racing with 茂原TC)、2番手は酒井龍太郎選手(K.SPEED WIN)だ。

 予選ヒートは10周。そのローリングで鈴木選手はたっぷりマシンを振ってタイヤをしっかり温め、スタート直後の1~2コーナーで酒井選手をかわして2番手へ。さらに最終コーナー手前の複合コーナーで岡田選手もパスして、オープニングラップでトップに浮上した。岡田選手は鈴木選手の後続にも先行を許し、7番手に下がってしまった。2番手は佐藤選手、3番手は酒井選手だ。

 2周目、鈴木選手のリードは約0.6秒。そこに佐藤選手を抜き返した酒井選手が接近し、6周目にはほぼテール・トゥ・ノーズとなる。しかし鈴木選手は酒井選手にアタックを許すことなく走り切り、トップでゴールして決勝のポールを手に入れた。2番手は酒井選手、3番手は佐藤選手。岡田選手は4番手まで挽回してこのヒートを終えた。

 決勝は18周。スタート時間の15時25分になると、冬の太陽はかなり傾き長い影ができるようになっていた。とはいえ、冷え込みはさほどではない。鈴木選手はトップをキープしてレースをスタートしたのだが、過去4戦のような圧倒的な速さは見られず、2周目にはチームの後輩である酒井選手に先頭の座を明け渡し、さらに佐藤選手にも先行を許してしまった。

 佐藤選手をすぐに抜き返した鈴木選手だったが、酒井選手をパスすることはなかなかできない。8周目には一旦トップに返り咲いたが、すぐ酒井選手が前に出る。佐藤選手はやがてトップ争いから離れ、後半戦は酒井選手と鈴木選手の一騎討ちとなった。

 決着の時は残り4周を切った15周目。右ヘアピンの6コーナーで鈴木選手が酒井選手のインを突き、ギリギリの攻防の末にトップへ返り咲いた。ここで酒井選手との間にわずかなギャップを開いた鈴木選手は、そのままゴールまで走り抜いた。今季負けなしの5連勝、そしてチャンピオン確定だ。

 酒井選手は0.4秒弱の差で初勝利を逃したものの、自己最上位の2位を獲得した。単独走行で3位フィニッシュの佐藤選手に続き、土屋拓心選手(Lightning)が2戦目にして4位でチェッカーを受けて初ポイントを獲得。ベテランの橘田明弘選手が5位となった。

「年下の選手には負けられないので冷や汗をかいていました」と酒井龍太郎選手からプレッシャーを受けていたと明かす鈴木斗輝哉選手(K.SPEED WIN)がシリーズ5勝目を飾った。「酒井選手に抜かれてからは必死に走って、それが2~3周したら余裕を持ってレースできるようになりました。でも思っていたよりペースがなくて仕掛けるのが難しかったです。優勝できて安心しました」とコメント。
2位は酒井龍太郎選手(K.SPEED WIN)、3位は佐藤佑月樹選手(RT WORLD)。
FS-125/X30の表彰式。左からタイムトライアルでファステストラップを記録して茂木町賞が贈られた岡田聖人選手、2位の酒井選手、1位の鈴木選手、3位の佐藤選手。
鈴木選手がFS-125/X30のチャンピオンを確定させた。

ジュニアカート選手権 ジュニア部門 (X30Jr)

 同時開催のジュニアカート選手権(コースシリーズ)もてぎシリーズ第5戦は、地方選手権と同様、もてぎカートレースのX30Jrシリーズにかけられた選手権だ。出走は5台。第2~3戦の連勝で50点を獲得してポイントリーダーに立っている松尾柊磨選手(brioly racing)は、優勝すれば他の選手の成績に関わらずこの大会でチャンピオンを確定できる。

 その松尾選手はタイムトライアルで他を0.5秒以上も上回るタイムをマークしてトップとなった。ところが予選で思わぬ波乱が起きる。16周のヒートが始まると、松尾選手はオープニングラップのバトルでマシンに痛手を負い、序盤でピットに戻ってリタイアしたのだ。

 このヒートをトップでゴールして決勝のポールとなったのは須藤虹富選手(brioly racing)。2、3番手に中里豪太選手(BEAR R.C.)と大津龍星選手(K.SPEED WIN)が続く。2周目からトップを独走した松居寿來選手(K.SPEED WIN)は終盤に突如ストップ。再スタートはしたものの一旦マシンを降りたことで失格の判定を受け、松尾選手が4番手、松居選手が5番手となった。

 18周の決勝がスタートすると、松尾選手は最後尾の5番手に後退する。ここから本調子を取り戻した松尾選手の逆襲が始まった。1周1台のペースで前を抜いていく松尾選手は、3周で2番手にまで浮上。そして0.7秒前を行く須藤選手を追い詰めると、7周目に一発で逆転を果たした。

 トップに立った松尾選手は、たちまち独走を開始。後続を3秒以上引き離して3連勝のチェッカーを受けると、ガッツポーズを何度も繰り返して喜びを爆発させた。これで松尾選手は、第6戦を残してチャンピオンを確定させた。

 単独走行でゴールした須藤選手は、開幕戦以来の2位入賞。松居選手が2ポジションアップで3位となり、3戦連続の表彰台ゲットを果たした。

松尾柊磨選手(brioly racing)が後方から快走を見せて優勝。「決勝はタイヤが温まっているかをまずちゃんと確認して、周回数が多いので慌てず行こうと思っていたけれど、自分のペースが良かったので早めに前を抜きに行きました。トップに立ってからは、ミスらないように慎重に、でも全力で走りました。3連勝したので、気持ちよく今週を終わることができました」と感想を語った。
2位は須藤虹富選手(brioly racing)、3位は松居寿來選手(K.SPEED WIN)
ジュニア部門(X30Jr)表彰の各選手。
松尾選手がジュニア部門(X30Jr)のチャンピオンを確定させた。

 この大会ではもてぎカートレース第5戦として、他に7つのレースが行われた。

SLカートミーティング YAMAHAスーパーSS

 8台が参加したYAMAHAスーパーSSでは、遠藤晴久選手(チームエッフェガーラ)がオープニングラップから後続を引き離してポール・トゥ・ウィン。3番グリッドから1周目に2番手へ上がった石川竜也選手(SPS川口)が、真貝俊幸選手(TEAM AKASAKA)の追い上げから逃げ切って2位を獲得した。

「ペースはあまり良くなかったけれど、気持ちで勝てたかなって感じです」とは、優勝の遠藤晴久選手(チームエッフェガーラ)。「最初の1周目にかけて、そこでどれだけ後ろを突き放せるかが重要だったと思います」とレースを振り返った。
2位は石川竜也選手(SPS川口)、3位は真貝俊幸選手(TEAM AKASAKA)。
YAMAHAスーパーSSの表彰式。左からタイムトライアルでファステストラップを記録して茂木町賞が贈られた月岡雅隆選手、2位の石川選手、1位の遠藤選手、3位の真貝選手。

SLカートミーティング YAMAHA SS

 今大会最多の21台が参加したYAMAHA SSでは、地方選手権とダブルエントリーの酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)、大越武選手(BEMAX RACING)、山本祐輝選手(チームTKC)の3台によるトップ争いが序盤からゴール目前まで続いた。ウィナーは残り2周で前2台を次々とパスした山本選手。酒井選手は勝利こそ逃すも2位でフィニッシュ。大越選手は最終ラップの攻防で5位にポジションを下げ、代わって小野大地選手(チームTKC)が3位に入賞した。

展開を想定していくつかのレースプランを考えながら臨んだ決勝、山本祐輝選手(チームTKC)は「決勝のセッティングがあまりうまくいかなかったのはちょっと複雑な気持ちだけれど、うまく守れば勝てると思っていました。勝てたことはすごくうれしいです」と語る。
2位は酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)、3位は小野大地選手(チームTKC)。
YAMAHA SS表彰の各選手。

SLカートミーティング YAMAHAカデットオープン

 この日の最年少クラスであるYAMAHAカデットオープンには16台が参加。3台によるトップ争いは、残り5周の逆転で都出夏希選手(SPS川口)が初優勝をつかみ取った。ダブルエントリーでジュニア選手権に続く2勝目を狙った松尾柊磨選手(brioly racing)は、15周レースの10周目までトップを走ったが、終盤の後退で結果は4位に。タイムトライアル10番手からの挽回で先頭集団に加わった阿部瑠緯選手(ミツサダ PWG RACING)が2位、10番グリッドから躍進の山崎永路選手(brioly racing)が3位を獲得した。

都出夏希選手(SPS川口)がうれしい初優勝を果たした。「練習でもセッティングが合っていて、この調子で(本番も)いけるかなと思っていました。緊張でお昼休みにご飯も食べられなかったけれど、諦めなかったので1位になれたと思います」と、表彰台で笑顔を見せた。
2位は阿部瑠緯選手(ミツサダ PWG RACING)、3位は山崎永路選手(brioly racing)。
YAMAHAカデットオープンの表彰式。左からタイムトライアルでファステストラップを記録して茂木町賞が贈られた松尾選手、2位の阿部選手、1位の都出選手、3位の山崎選手。

スーパーリード

 6台が参加したスーパーリードでは。2番グリッドの中里龍昇選手(BEAR R.C.)が2周目にトップに立ってリードを広げたが、ポールの松下知己選手(レーシングカートチームMORI)がその差を縮めて残り2周で再逆転し、勝利をつかんだ。2位の中里龍昇選手に続いて中里豪太選手(BEAR R.C.)が3位でチェッカーを受け、兄弟で表彰台登壇を果たした。

「最後はいけそうだなと思って、なんとか逆転できたので良かったです」と語る松下知己選手(レーシングカートチームMORI)。一時はポジションを落とすも、再びトップを奪還しての勝利だ。「昨日から調子はよくて、決勝もマシンをチームの方が直してくださったおかげで1位になれました」
2位は中里龍昇選手(BEAR R.C.)、3位は中里豪太選手(BEAR R.C.)。
スーパーリード表彰の各選手。

ROTAX MOJO MAX CHALLENGE Junior MAX

 参加8台のJunior MAXでは、2番グリッドの手塚大雅選手(Zi-Vivre RT)がスタートを決めてトップに立ち、ポールの関口瞬選手(TECORSA)の度重なるアタックを跳ね返し続けた。だが、関口選手は15周レースの6周目になんとか手塚選手を抜き返し、そこから一気に独走して勝利を飾った。手塚選手はさらに後続からのチャージを受けたが、これを跳ね返して2位に入賞。一時は手塚選手を目前にまで追い詰めた関谷拓真選手(RT WORLD)が3位となった。

手塚大雅選手にホールショットを奪われた関口瞬選手(TECORSA)ながら、「そろそろ抜かないとマズいなとずっと思っていて、今までと違ってちょっとだけ苦しいレースでした」とコメント。「抜いてからは後ろが離れたのでラクな気持ちで走れました。ゴールした時はうれしかったです」
2位は手塚大雅選手(Zi-Vivre RT)、3位は関谷拓真選手(RT WORLD)。
JuniorMAX表彰の各選手。

ROTAX MOJO MAX CHALLENGE MAX Masters

 MAX Mastersでは、このクラス常勝の加藤雅規選手(Triple-K)を、スポット参戦にして2番グリッドを得た箭内優樹選手(TECORSA)が2周目に逆転し、参加14台のレースのウィナーとなった。加藤選手はトップ争いの攻防で後れを取って3位でフィニッシュ。代わって5番グリッドから浮上の山本司選手(brioly racing)が2位に入賞した。

もてぎカートレースは今年初出場という箭内優樹選手(TECORSA)が優勝をさらった。「カートは今年2回目のレースだったんで、体力が持つか心配でした。後ろからも速い人が来ていたけれど、自分の強みを活かして序盤にチャレンジし、なんとか逃げ切れて良かったです」と勝利を喜んでいた。
2位は山本司選手(brioly racing)、3位は加藤雅規選手(Triple-K)。
MAX Masters表彰の各選手。

ROTAX MOJO MAX CHALLENGE Senior MAX

 8台が参加したSenior MAXは、接触が頻発するいささか後味の悪いレースに。ポールスタートの小島風太選手はアクシデントで戦列を去り、真っ先にチェッカーを受けた中島獅王選手(BUNZOU RACING with WISE)も2番手でゴールの高野祐太選手(パワーワークス)もペナルティを受けた。だが、中島選手は3番手でフィニッシュした千田歩選手(RF-AOYAMA)に対してペナルティで加算された5秒以上のリードを築いており、勝利は中島選手のものとなった。2位は千田選手。4台一列のセカンドグループに加わった切替悠喜選手(Racing Square GEN)が3位入賞となった。

波乱のレースを制した中島獅王選手(BUNZOU RACING with WISE)。トップチェッカーながらペナルティが課されることを想定していたようで「後ろを(ペナルティ分の)5秒以上離せたとは思ってなくて……優勝だと分かったときはうれしかったです」と喜んだ。「最終戦も勝ちます」
2位は千田歩選手(RF-AOYAMA)、3位は切替悠喜選手(Racing Square GEN)。
Senior MAXの表彰式。左からタイムトライアルでファステストラップを記録して茂木町賞が贈られた小島風太選手、2位の千田選手、1位の中島選手、3位の切替選手。

フォト/今村壮希、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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