近畿ダートラ第2戦、S2クラスでは接戦を制した寺岡知展ランサーがV
2024年5月30日
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4月に2024シーズンが開幕した近畿ダートトライアル選手権。その第2戦が5月19日、京都府の京都コスモスパークで開催された。今季も全6戦で行われ、車両規則やクラス区分においても2023シーズンからの変更はないが、第5戦と最終戦の第6戦は2戦同日開催という、ダートトライアルとしては異例ともいえるスケジュールが組まれている。
2024年JAF近畿ダートトライアル選手権 第2戦
2024年JMRC近畿ダートトライアルチャンピオンシリーズ 第2戦
2024年JMRC近畿ダートトライアルジュニアシリーズ 第2戦
「AGSCハイスピードダートトライアル」
開催日:2024年5月19日
開催地:京都コスモスパーク(京都府京都市)
主催:AGSC
昨季は開催地に福井県のオートパーク今庄が2戦組まれていたが、2023年12月をもって閉鎖となったため、今季は全戦京都コスモスパークでの開催となっている。しかし、その京都コスモスパークも今季限りでの閉鎖が発表されており、この会場において最後のシーズンとなる。また、石川県の輪島市門前モータースポーツ公園も震災の影響で使用できない状況ということもあり、中部地区のドライバーも多数参加。近年は60台から70台を推移していた参加台数も開幕戦から100台を超え、今回は併催のジュニアシリーズと合わせて95台が出走と、例年を大きく上回った。
レイアウトは、競技会名称の「AGSCハイスピードダートトライアル」の通り、中高速コーナーを主体とした構成。そして今回も、主催のAUTO GENIUS SPORT CLUB(AGSC)恒例の最高速計測を実施。コース最終のストレートが計測区間となっており、各クラスに競技の順位とは別に「ハイスピード賞」も設定された。
当日の天候は朝から曇り空で、やや肌寒さも感じる気温のなか競技がスタート。事前の天気予報では、雨は夕方から夜にかけて降るということだった。しかし、その予報よりもはるかに早い第1ヒート中盤から降り出し、第2ヒートは完全に雨の中での走行となった。幸い、水たまりができるような大雨にはならなかったものの、刻々と変化していく路面状況の中、果敢なタイムアタックが繰り広げられた。
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2024年JAF近畿ダートトライアル選手権 第2戦
AE・PNクラス
AE・PNクラスの第1ヒートでトップタイムを刻んだのは、昨季のシリーズ2位、そして開幕戦で2位入賞の坂田智選手。クラスで唯一1分43秒台をマークして、2番手の矢本裕之選手に約1.1秒の差をつけトップで折り返す。続く第2ヒートになると、矢本選手はタイムアップを果たし1分43秒台に突入するも、トップに約0.7秒届かず2番手のまま。一方、坂田選手はタイムダウンを喫してしまい、第1ヒートのタイムのままラストゼッケンで開幕戦を制した入谷有星選手のタイムを待つ。その入谷選手は1分46秒台と8番手に終わり、坂田選手が逃げ切るかたちで優勝となった。ハイスピード賞は116km/hをマークした3位入賞の眞砂徳亮選手が獲得した。
「今回、ウェットタイヤを選択したのが良かったと思います。ドライタイヤを選択した選手も多かったようですが、天候の崩れもありますので、第1ヒートから確実にタイムを残すことに集中して、結果的にベストタイムに繋がりました。第2ヒートは、ウェットでも矢本選手がタイムを上げてきたので、せめて同じタイムは出そうと頑張りましたが、失敗が多かったですね(笑)」と戦いを振り返った坂田選手がシリーズ序盤のポイントリーダーに立った。
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RWDクラス
今回最多の20台で争われたRWDクラス。第1ヒートをトップで折り返したのは、トヨタ・MR-Sを駆る山口順平選手。2番手には開幕戦の勝者、トヨタ・MR2の横内由充選手がつけ、3番手にトヨタ・86の前田蔵人選手が続き、中部勢が上位を占める。
そして、第2ヒートは軒並みタイムダウン傾向となる中で一気にポジションアップを果たしたのが、昨季の近畿地区戦でランキング2位を獲得したMR2の千賀達也選手。第1ヒートは最高速132km/hという驚異的な記録を出しながらも、直後にスピンを喫して大幅に順位を落としていたが、第2ヒートは安定した走行に徹して、3番手に食い込んだ。しかし、その後は上位陣の順位に変動は無く、山口選手が第1ヒートのタイムで優勝となった。
「約2年間競技を休止していて今年から復活しました。今回は天候が自分にとってプラスでした。コースはパワー重視のレイアウトだったとは思いますが、路面がゆるくなった分、軽さが有利に働いたのかなと思います。また、ホイールのオフセットをこれまでより外に出してサイズを太くしたところ、コーナーのスピードも上がり、今日のコースにピッタリ合いました」と勝因を語った山口選手。復帰のシーズン2戦目で勝利を挙げた。
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Nクラス
昨季のシリーズ上位3名の戦いとなったNクラス。その第1ヒートをトップで折り返したのは、昨季シリーズ3位の木村剛士選手。2番手の山本浩司選手と3番手のディフェンディングチャンピオン藤嶋義孝選手が1分45秒台で競う中、木村選手は1分43秒台をマークした。第2ヒートになると、藤嶋選手が唯一タイムアップを果たすも1分44秒台と2位に終わり、木村選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
「実は、一昨年くらいから全く勝てなくなってしまい、クルマの調子も悪かったので、昨日ターボを交換しました(笑)。おかげで、ブースト計も正常な数値に戻って気持ちよく走れました」と、木村選手は勝因を明かした。さらに「ただ、第1ヒートのタイム差は自分でも出来過ぎかなと思っていて、他の選手も調子が良くなかったみたいなので、ラッキーな要素も含めての優勝だと思います」と、本調子を取り戻したエンジンで、ハイスピード賞と共に久しぶりの優勝を飾った。
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S1クラス
16台で争われたS1クラスの第1ヒートでトップタイムをマークしたのは、開幕戦3位の今村太亮選手。続く2番手には、約0.12秒差で開幕戦勝者の倉持陣之介選手がつける。そして第2ヒートで今村選手は、最終のストレートでドライブシャフト破損によりリタイアを余儀なくされ、第1ヒートのタイムでラストゼッケン倉持選手のタイムを待つ。逆転をかけた倉持選手だが、第2ヒートは雨の影響もあり、ほとんどの選手がタイムダウンとなっていた。倉持選手は第2ヒートでのクラスベストはマークするも、やはり自己タイムを更新することができず、今村選手が第1ヒートのタイムで優勝。そしてハイスピード賞も獲得した。
「今日は第1ヒート勝負だな、と思っていました。タイヤもドライタイヤしか持ってこなかったので、それでいつも通り走れれば良いかなと思って走ったら、とりあえずベストタイムでした。第2ヒートもタイムアップ目指して意気込んだのですが。結果的に今回は雨のおかげで逃げ切れたというのが正直な感想です」と、語った今村選手は2022シーズンのチャンピオン。昨季はシリーズ3位に甘んじたが、タイトル奪回に向けて大きな勝利となった。
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S2クラス
僅差の戦いとなったS2クラス。すでに雨が降り出してきた第1ヒートの路面はかろうじてドライを保っていたが、天候の崩れを見据えると、ここでマークしたタイムが決勝タイムになる、と予想された。そうした状況の中、1分36秒から1分37秒台で推移していた争いを一蹴する1分34秒台をマークしたのがラス前ゼッケン、昨季の中部S2クラスチャンピオンの松原実選手。一気にハードルを上げた松原選手だが、更にそのタイムを約0.99秒上回り、1分33秒台を叩き出したのがラストゼッケン、ディフェンディングチャンピオンの藤本隆選手。藤本選手は開幕戦を制し、先だってここコスモスで行われた全日本の開幕戦でも全日本初優勝を飾っており、その実力を見せつける。
しかし、その藤本選手のタイムをさらに0.046秒更新したのが、前走者のトラブルで再出走となっていた寺岡知展選手。「昨年は車両トラブルが相次ぎ、全く成績が出せませんでした」と語った寺岡選手が、第1ヒートをトップで折り返す。そして第2ヒートはやはり雨足も強くなり、土煙も立たなくなってしまったような路面ではタイムアップは難しく、ほとんどの選手がタイムダウン。上位陣の順位も変わらず、寺岡選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。
「今朝、天気予報を見て家を出る直前に、硬質用のドライタイヤを降ろしてウェットタイヤに積み換えました。今回はそのタイヤ選択と天候のおかげですね。第1ヒートが終った後は雨乞いでした(笑)。第2ヒートは、明らかに路面グリップが落ちていたので最高速狙いに切り替えて、ストレートだけ頑張りました。その甲斐あってハイスピード賞も獲れたので、今シーズンはこれで十分です」と、振り返った寺岡選手。昨季の車両トラブルも解消し、今季2戦目で勝利を手にした。
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Dクラス
ディフェンディングチャンピオン不在となったDクラスは、昨季シリーズ3位の小川浩幸選手が第1ヒートでトップタイムをマーク。2番手に絹川雅之選手、そして3番手に開幕戦を制した山口幸男選手と続く。第2ヒートになると、厳しい条件ながら山口選手が自己タイムを更新するも順位の変動は無く、小川選手が第1ヒートのタイムで優勝となった。
「3月の全日本でエンジンを壊してしまって、地区戦の開幕までに修理が間に合わず、今回が今シーズンの地区戦は初出場です。エンジンもシェイクダウンという状態なので、ブーストもかなり落としてなんとか無事に走れたという感じです」と、小川選手はまだ完全な状態ではないながらも1勝を挙げた。ハイスピード賞は3位の山口選手が獲得した。
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2024年JMRC近畿ダートトライアルジュニアシリーズ 第2戦
JPN+クラス
JPN+クラスは島田正樹選手が第1ヒートで1分46秒台をマーク。そのタイムが決勝タイムとなり、2位以下に2秒以上の差をつけ優勝した。
「過去の実績からすると、ちょっと大人げないのですが(笑)ジュニアシリーズのタイトルを獲りたくて参戦しました。(AE・PNクラスの)平原選手とダブルエントリーで、自分のクルマではないので慣れないところがありますが、少しずつつかんでいければと思います」と、島田選手は参戦の経緯も語ってくれた。ハイスピード賞は、3位に入賞した加藤輝選手が獲得した。
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J1クラス
J1クラスは、岸汀和帆選手が第1ヒートで1分42秒台の好タイムをマーク。このクラスは、第2ヒートでタイムアップを果たす選手が多かったものの、岸選手のタイムには及ばず。岸選手自身はタイムダウンを喫するが、第1ヒートのタイムを守り切り優勝を飾った。
「ダートトライアル歴は1年で、競技会にあまり出たことがなかったので今回参加しました。以前走った時と路面グリップが変わっていて戸惑いましたが、それなりにアクセルを踏めたのが良かったと思います。今度はS1クラスでも優勝したいですね」と、岸選手は笑顔で語った。ハイスピード賞は、懐かしいホンダ・“ワンダー”シビックを駆って4位に入賞したナカノ選手が獲得となった。
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J2クラス
J2クラスは、星住祐弥選手が第1ヒートのタイムで優勝。「今回は第2ヒートでのタイムアップは難しいと思い、第1ヒートを攻めて行こうと思いました。タイム的には、もう少し詰められる所もありましたが、それなりに良かったと思います。今シーズンはJ2クラスのチャンピオンを狙います」と意欲を語った星住選手は、優勝に加えてハイスピード賞も獲得した。
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ハイスピード賞
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フォト/友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部
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