雨の北海道ダートラ第4戦で村上周インプレッサがライバルを圧倒して今季2勝目

レポート ダートトライアル

2024年6月19日

2024シーズンも全8戦のスケジュールが組まれた北海道ダートトライアル選手権。その前半戦を締めくくる第4戦が6月9日、北海道士幌町のイーストジャパンオフロードスタジアムで開催された。

2024年JAF北海道ダートトライアル選手権 第4戦
2024年JMRC北海道 Moty's ダートトライアルシリーズ 第4戦
「第21回 OSC ダイナミックダート」

開催日:2024年6月9日
開催地:イーストジャパンオフロードスタジアム(北海道士幌町)
主催:TEAM-OSC

 会場となったイーストジャパンオフロードスタジアムは、シリーズのメイン会場となっているオートスポーツランドスナガワのダートトライアルコースと比べると、コース全体の規模は小さい。だが、4速まで入るストレートと島回りを組み合わせることにより、高速からテクニカルまで多彩なレイアウトが可能なコースで、常にシリーズの1戦を担っている。

 今大会のコース設定を担当したのは、全日本ダートトライアル選手権Dクラスで活躍する、地元北海道のドライバー田辺剛氏。「今回は思い切り攻める高速主体のレイアウトにしました。その速度域で、このコースの特徴でもある路面のギャップをどう攻略するかが課題になってくると思います。地形の関係でウネリが残っている箇所があり、そこに対するアプローチも重要ですね。さらに、アップダウンもあるので、上りで失速させないライン取りや、下りはどこまでブレーキを詰められるか、攻略要素は多岐にわたっています」と、設定の意図を語った田辺氏。ここで培ったテクニックは、他のダートトライアルコースでも通用する事が多いという。

 当日は雨の予報ではなかったにも関わらず、朝から霧雨が舞う天候で、肌寒い気温の中で競技がスタート。やがて霧雨は小雨へと変わり、路面は徐々に湿っていく難しい状態となった。それでも第2ヒートでタイムアップを果たす選手も多く、各クラスで白熱した戦いが繰り広げられた。

路面のうねりやアップダウンに加えて天候の悪化など、読みにくい競技コンディションとなった。
長めのハイスピード区間と島周りのテクニカルなセクションを組み合わせた、攻略しがいのあるレイアウトが設定された。

2024年JAF北海道ダートトライアル選手権 第4戦

FF-1クラス

 FF-1クラスは、今シーズンのポイントリーダーである大場元貴選手が、第1ヒートから圧倒的な速さでトップタイムをマークした。第2ヒートになってもそのタイムが破られることはなく、ウィニングランとなった大場選手だったが、なんとコースアウトでリタイア。

「第2ヒートはやりすぎました(笑)。自分は第1ヒートから全開でいって、良いタイムを残して他の選手にプレッシャーをかけるスタイル。今回もきっちりタイムを残せたので良かったと思います。今シーズンはクルマも自分自身も調子が良く、スナガワでも勝てているのでこのまま最後までいきたいですね」と語った大場選手が、三連勝を決めた。

FF-1クラス優勝は大場元貴選手(Pガレ・ルート6・ヴィッツ)。
2位は高田陸駒選手(プロジェクトガレージスイフト)、3位は井澤らいら選手(プロジェクトガレージ・ミニヴィッツ)。

FF-2/4WD-1クラス

 3台で争われたFF-2/4WD-1クラスは、宇野哲哉選手が1分41秒台で第1ヒートをトップで折り返す。第2ヒートになると宇野選手は1分39秒台まで自己タイムを詰め、優勝を飾った。

「第2ヒートは1分40秒を切りたいと思っていたので、目標タイムが出せて良かったと思います。路面は、第2ヒートは若干荒れていましたが、締まった固い所も出ていたので、グリップを感じながら組み立てた通りの走りができました」という宇野選手は今シーズン初優勝を果たした。

FF-2/4WD-1クラス優勝は宇野哲哉選手(TRSスイフト)。
2位は田丸豪選手(DL×Pガレスイフト)、3位は安藝留美子選手(SK MOTUL SWIFT)。

RWDクラス

 休場一翔選手の参加1台で、RWDクラスは不成立となってしまった。「路面は第1ヒートの方が良かったと思いますが、第2ヒートの方が踏んでいけました。ただ、もう少しブレーキは詰めても良かったかなと感じています。天候が悪かったのは想定外で、ドライタイヤしか持ってこなかったのも失敗でした」と振り返った休場選手は、第2ヒートは2秒以上もタイムアップして完走した。

RWDクラス1位は休場一翔選手(室工大レスポNKLアルテッツァ)。

4WD-2クラス

 今シーズンのシリーズ上位陣が出揃った4WD-2クラス。シリーズ3番手につける村上周選手が、1分32秒台という好タイムをマークして第1ヒートをトップで折り返した。2番手には1分35秒台で、シリーズでも2番手の島部亨選手がつけるが、タイム差は3秒以上と村上選手が圧倒的な速さを見せつける。

 第2ヒートで第1ヒートから3秒以上もタイムアップを果たしたのが第1ヒートで3番手につけていた永井秀和選手。しかし、「第1ヒートはミスコースしかけて(笑)その分のタイムアップはしたけれど、もう少し良いタイムを出したかったですね」と、1分33秒台で暫定2番手止まり。そして次ゼッケン、トップの村上選手は、コース前半区間では第1ヒートとほぼ同タイムながら、後半区間で1秒以上タイムを詰めて、1分31秒台にまで突入して更なるアドバンテージを確保する。

 そのターゲットタイムを追うラス前の島部選手は「このコースに合わせて車高を調整してきたけど、上手くいかなかったね(笑)」と、自己タイムは更新したものの1分34秒台で順位を落としてしまう。注目のラストゼッケン、ポイントリーダーの小林茂則選手は、「センターデフにトラブルがあったのかな。ゴールしたらACDのランプが点いていて。思った以上にタイムが出ていなくて残念です」と、永井選手のタイムは抜くも2位どまりとなり、村上選手が2秒近い差をつけて優勝となった。

「第1ヒートは、かなりオーバーランしてしまう箇所がありましたが、それも上手いことハマったようでトップタイムを出せました。第2ヒートは、動画を見て修正できるところを組み立てたのですが、フロントウィンドーの下半分が曇ってしまって、祈りながら走っていました(笑)。あと1秒以上あげる想定だったのですが、ちょっと残念ですね」と、村上選手は走りを振り返った。イーストジャパンでは過去のジュニアクラスから含めて優勝を逃したのは1回だけだという、相性の良いコースで今季2勝目を挙げた。

4WD-2クラス優勝は村上周選手(相互車両ノウカランドインプさん)。
2位は小林茂則選手(TRSシーンDLランサー)、3位は永井秀和選手(ハシッコ暮らしほむランサー)。
4WD-2クラス表彰の各選手。

2024年JMRC北海道 Moty's ダートトライアルシリーズ 第4戦 ジュニアシリーズ

J-1クラス

 大学生ドライバーが集うJ-1クラスは、2023シーズンからダートトライアルを始めたという野島瑠空選手が、第1ヒートからトップタイムをマーク。第2ヒートは僅かなタイムアップに留まったが、逃げ切って優勝を決めた。

「今回が今シーズン初の競技でしたが、ちょっと気合いが足りませんでした(笑)。第2ヒートはもう少しタイムを詰められたと思います。これから最終戦まで全部優勝すれば、計算上はチャンピオンを獲れるので、頑張って目指します」と、野島選手は笑顔で意気込みを語ってくれた。

J-1クラス優勝は野島瑠空選手(室工大レスポNKL俺の!ミラゲ)。
2位は川原優登選手(北大Ahresty白ミラージュ)、3位は加藤貴宗選手(室工大レスポYHスイフト)。

J-2クラス

 上位2台がコンマ秒差の接戦となったJ-2クラス。1分39秒319で第1ヒートをトップで折り返したのは山口達也選手。2番手には1分39秒801で宮村智選手がつけ、その差は約0.5秒。第2ヒートになると、前走の宮村選手が1分37秒645までタイムを詰めて暫定トップに立つが、山口選手が叩き出したタイムは1分37秒570。0.075秒差でトップを奪回し、逆転で優勝となった。

「ダートラ歴は20年くらいです。10年前に北海道に来て、それからJ-2クラスで鳴かず飛ばずで(笑)、今年こそはという感じです。路面のギャップで全然踏めなかったのですが、それは他の選手も同じなので、そういった中でなんとか頑張れたのかなと思っています」という山口選手が三連勝を達成した。

J-2クラス優勝は山口達也選手(ルート6侍北海道インプレッサ)。
2位は宮村智選手(ウルトラ7ランサー)、3位は三輪晴也選手(ランサー10)。
J-2クラス表彰の各選手。

クローズドクラス

 参加1台のクローズドクラスは往年の全日本ドライバー、大平邦夫選手が参戦した。「最近は若い選手の邪魔にならないよう、1年に1~2回ボケ防止のために走っています(笑)。なかなか全部を上手くまとめることはできませんね。遅くても気にしない、自分だけで楽しんでやっています」と言いながらも、迫力ある走りを披露した。

クローズドクラス1位は大平邦夫選手(オクヤマインプレッサ)。

フォト/友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部

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