全日本ダートラ第3戦丸和でPN1南優希選手が全日本初優勝!
2025年5月2日

全日本ダートトライアル選手権 第3戦「DIRT-TRIAL in NASU」が、春の大型連休が始まる4月26~27日に栃木県那須塩原市の丸和オートランド那須で開催された。第2戦タカタラウンドから3週間のインターバルで開催された第3戦は、PNE1とPNE2クラスが不成立となったが、選手権が成立した9クラスには150台がエントリーした。
2025年JAF全日本ダートトライアル選手権 第3戦「DIRT-TRIAL in NASU」
開催日:2025年4月26~27日
開催地:丸和オートランド那須(栃木県那須塩原市)
主催:FSC、M.S.C.うめぐみ
今大会では、第2戦で全日本初優勝を飾ったPN2クラスの張間健太選手は仕事の都合でこのラウンドをスキップしたものの、各クラスの上位陣がほぼ顔を揃えた。また、このコースを得意とする関東地区の若手選手やベテラン選手も多く出場し、クラスによっては全日本レギュラー陣VS関東勢の戦いともなった。
大会期間中は好天に恵まれ、風はやや冷たいものの最高気温が20度を超える絶好のコンディション。コースの一部をつくるまサーキット那須と共有するコースは、埃防止のために各ヒートの前とNクラスが走行後に2ヒート合わせて4回の撒水が行われたが、日差しが強いこともあり路面の乾きも早く、刻々と変化する路面コンディションに対するタイヤ選択も、勝敗の鍵を握る大きな要素のひとつとなった。
日曜日の早朝に行われたドライバーズブリーフィングでは、長きにわたり代表として主催クラブのフォレストスポーツクラブを牽引し、今年の1月に逝去した故・新名孝雄氏と、同チームで長年オフィシャルとして貢献し、昨年末に亡くなった故・田村陽介氏に対し、選手、オフィシャル、関係者一同が哀悼の意を表すために黙祷が捧げられた。



PN1クラス
昨年のチャンピオン、飯島千尋選手(スズキ・スイフトスポーツ)が開幕2連勝を挙げているPN1クラス。今回が全日本デビュー戦となる、ダートトライアル歴2年目の関東の若手ドライバー、坂本勇樹選手(ホンダ・フィット)が第1ヒートを制し、主導権を握る。前日の公開練習でもトップタイムを叩き出した坂本選手は、クラス先頭ゼッケンとしてスタートした第2ヒートもベストタイムを更新してくるが、続く選手たちも次々とベストタイムを更新し、気付けば入賞圏外の8位まで順位を落としてしまう。
「第2ヒートの撒水状況を見て、フロントに硬質路面用タイヤ、リヤに浮き砂利路面用のタイヤを装着し、少しミスはありましたが自分の思い描いた走りができたと思います」という南優希選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、第2ヒートの逆転劇で優勝。そして飯島選手が2位に、今回が全日本デビューとなる関東の佐藤聖選手(スズキ・スイフトスポーツ)が3位となった。




PN2クラス
スズキ・スイフトスポーツのワンメイク状態となっているPN2クラスは、第1ヒートで奈良勇希選手が2番手以降の選手を2秒以上引き離すベストタイムをマーク。第2ヒートも中間タイムを更新してくるが、外周のストレートエンドであえなくコースオフ。無念のリタイアとなった。
優勝は、「第1ヒートでブレーキをロックさせてしまった時に制御が介入してタイムロスしたんですけど、その時のロスタイムを差し引くとトップ争いに加われる自信がありました」という濱口雅昭選手が獲得。2位は、「サスペンションを新調してから調子がいい」という川島秀樹選手が入賞。3位には、「今シーズン、やっと表彰台に上れました(笑)」という昨季PNE1クラスチャンピオンの小山健一選手が入賞した。




PN3クラス
PN3クラスは、第2戦で今季初優勝を飾った徳山優斗選手(トヨタ・GR86)が、この第3戦でも好調をキープ。土曜日の公開練習から決勝第2ヒートまで一度もトップの座を譲らないばかりか、今回はPN2クラスのトップタイムを上回るタイムで第2戦に続き2連勝を飾った。
2位には、「第2ヒートは前半で大きなミスをしてしまい、後半の高速セクションを少し大事に行き過ぎてしまった」という小関高幸選手(スバル・BRZ)が入賞。3位には「今シーズンは、抑え過ぎたり攻め過ぎてしまったりという大会が多く、どこかでしっかり切り替えなければならないですね」という前年チャンピオンの竹本幸広選手(トヨタ・GR86)が入賞した。




Nクラス
第1ヒートで昨季チャンピオンの細木智矢選手(三菱・ランサーエボリューションX)がクラス唯一となる1分41秒台のタイムでトップに立つが、第2ヒートはクラス前半ゼッケンからベストタイムの更新ラッシュとなった。
ベストタイムが1分39秒台の攻防戦となる中、丸和をホームコースとする関東の中島明彦選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が1分38秒台に突入。さらに、「もともと丸和は苦手なコースではなく、しっかり踏み切ることを意識して走りました」という山崎利博選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)が、中島選手のタイムを0.054秒更新。第1ヒートトップの細木選手は「前半区間はタイムが出ていたと思うんですけど、後半区間は軽量な車種に対して分が悪かったですね」と後半区間のタイムが伸びず3番手。
「4WDターボ車のクラスに移って3年目でやっと勝つことができました」という山崎選手が今季初優勝。「2位はうれしいですけど、地元のコースだけに勝ちたかったです。自分のミスもあったので悔しいですね」という中島選手が2位、「シリーズを考えると、3位はそれほど悪い結果ではない」という細木選手が3位に入賞した。




SA1クラス
第1ヒートで昨季チャンピオンの河石潤選手(スズキ・スイフトスポーツ)がクラス唯一の1分45秒台のタイムでトップに立ち、福島賢大郞選手(スズキ・スイフトスポーツ)、渡邉知成選手(ホンダ・シビック・タイプR)、平川慶一選手(スズキ・スイフトスポーツ)の関東若手ドライバーたちが1分47秒台で河石選手を追いかける展開に。
Nクラス同様にベストタイム更新ラッシュとなった第2ヒートは、第1ヒート2番手の福島選手がタイムアップを果たすものの、河石選手が叩き出した第1ヒートのタイムに届かず。だが、第1ヒート4番手の平川選手が1分44秒台に突入し、ベストタイムを更新。さらに、第1ヒート3番手の渡邉選手が平川選手のタイムを0.298秒更新して、トップに立つ。
このまま渡邉選手が逃げ切るかと思われたが、第1ヒートトップの河石選手が「第2ヒートは後半セクションだけ撒水した路面が凄く難しくて、撒水が少なかった前半区間と撒水が多い後半区間で頭を切り替えて走ったことが良かったと思います」と、1分43秒台に突入して再逆転。結果的に両ヒートともトップを奪う走りで今季初優勝を飾った。「集中していたつもりなんですけど、第2ヒートは大事なところでシフトミスしてしまいました」という渡邉選手が2位、今年から全日本にチャレンジしている平川選手が全日本初表彰台となる3位となった。




SA2クラス
前日の公開練習でも好調だったベテランの荒井信介選手(三菱・ランサーエボリューションX)が、第1ヒートのトップタイムを奪う。第2ヒートに入っても荒井選手のタイムを上回る選手が現れない中、荒井選手自身も「今日の路面は撒水の影響が大きく、難しい路面だったね。自分自身も、第2ヒートは抑えなければならないところを抑え切れなかった」とタイムダウン。
第1ヒートは荒井選手に1.213秒差の3番手だった浜孝佳選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が、「第2ヒートの前半は思いっ切り攻めて、撒水量が多い後半はとことん抑えて走りました」と荒井選手のタイムを1.485秒更新。クラス最終走者の岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションIX)は「両ヒートとも、後半の撒水が多い区間に自分の走りを合わせ込むことができませんでした。特に第2ヒートは意識し過ぎてしまいましたね」と、浜選手に0.239秒届かずゴール。浜選手が今季初優勝、岡本選手が2位、荒井選手が3位となった。




SCクラス
第1ヒートは0.109秒の中に目黒亮選手(トヨタ・GRヤリス)、吉村修選手(三菱・ランサーエボリューションX)、亀田幸広選手(スバル・インプレッサ)の3台がひしめき合う激戦となったSCクラス。第2ヒートは、超硬質路面用タイヤで挑む選手が多い中、「超硬質路面用タイヤと硬質路面用のタイヤで少し悩みましたが、このクルマとのマッチングと自分が最も自信のあるタイヤで挑んだことが結果につながったと思います」と、第1ヒート同様に硬質路面用タイヤで挑んだ目黒選手がベストタイムを更新。
超硬質路面用タイヤで挑んだクラス最終走者の亀田選手は、「タイヤ選択は間違っていなかったと思うのですが、ゴール手前の舗装の最終コーナーで攻め過ぎてしまい、姿勢を少し崩してしまいました。自分のミスなので悔しいですね」と、目黒選手に0.141秒届かずゴール。目黒選手が今季初優勝、亀田選手が2位、「両ヒートともコース奥のヘアピンで失敗してしまいました」という坂田一也選手(三菱・ランサーエボリューションX)が3位に入った。




D1クラス
D1クラスは、スバルのエンジンユニットとミッションを搭載したトヨタ・MR-Sを駆るパッション崎山選手が、2番手の志村雅紀選手(スズキ・スイフトスポーツ)を約1.5秒引き離すタイムでトップに立つ。しかし第2ヒートは最もスピードが乗るバックストレートエンドで姿勢を崩しスピン。かろうじて横転は避けたものの、ここで無念のリタイアとなった。
「もともとクルマの仕上がりが良く、それをやっと実証することができてホッとしています」という志村選手がベストタイムを更新して優勝。2位には、中間地点でベストタイムを刻みながらも「丸和はいつも後半でやられるので、2位は悔しいけれどまずまずの結果だと思います」という山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)が獲得。
第1ヒートの途中でエンジン制御が介入し、クラス9番手のタイムに終わった鶴岡義広選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、「第2ヒートはいろいろな方の協力を得られたおかげで走れるようになりました。現状のスペックの中では、けっこう頑張れたと思います」と、大幅タイムアップを果たし3位となった。




D2クラス
第1ヒートで1分34秒台のタイムを叩き出した炭山裕矢選手(三菱・ミラージュ)と、1分35秒台の田口勝彦選手(三菱・ランサーエボリューションX)が、ともにパイロンペナルティに終わり、開幕戦優勝の鎌田卓麻選手(スバル・BRZ)がトップに立つ。
仕切り直しとなった第2ヒートは、まずは炭山選手が1分33秒695のタイムでベストタイムを更新。続く鎌田選手は、「現状のスペックの限界は引き出せたと思う。コースによってクルマの得意、不得意があると思うけど、自分自身ではやり切った感がある」と攻めたものの、炭山選手に1.073秒届かず。0.1秒を争う僅差の戦いとなった優勝争いは、「ゴール前の右コーナーは。『絶対リヤを出しちゃダメ!』って言い聞かせて走りました(笑)」という田口選手が、炭山選手のタイムを0.13秒上回りゴール。第2戦に続き、今季2勝目を挙げた。2位に炭山選手、3位に鎌田選手となった。




PHOTO/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]
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