全日本ダートラ第4戦D1でパッション崎山選手が雨のスナガワを制す!

レポート ダートトライアル

2025年5月30日

全日本ダートトライアル選手権 第4戦「北海道ダートスペシャル in スナガワ」が、5月24~25日に北海道砂川市のオートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコースで開催された。全8戦が組まれているシリーズは、この第4戦が折り返し地点。前半戦を締めくくる重要な1戦は、全クラス合わせて126台のエントリーを集めた。

2025年 JAF 全日本ダートトライアル選手権 第4戦「北海道ダートスペシャル in スナガワ」
開催日:2025年5月24~25日
開催地:オートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコース(北海道砂川市)
主催:AG.MSC北海道

 オートスポーツランドスナガワの、石狩川の上下2段に分かれている広大な河川敷を利用したダートトライアルコースは、全国でも屈指のハイスピードコースとして知られている。さらに今年は大会1週間前に、バンクがついていた上段の2コーナー付近を中心に10tダンプ車24台分の砂利を入れコースが改修された。

 公開練習が行われた土曜日は、猛烈な土煙がコースを覆うほど好天に恵まれた一方、競技が行われた日曜日は、未明から雨が降り注ぐウェットコンディション。各コーナーのアウト側には水分をたっぷりと含みぬかるんだ状態の砂利が堆積してマッド化し、レコードラインを少しでも外すと大幅にタイムダウンしてしまう状況となった。また、第2ヒートに入っても雨が降り続けてさらに路面が悪化。そのため、ごく一部の選手を除き多くの選手がタイムダウンという結果に終わり、各クラスの勝負は第1ヒートで決することとなった。

多くのエントラントを集めた北海道・スナガワラウンド。天候にも恵まれたかに見えたが、日曜日の競技ではウェットコンディションになった。
雨が降り続き、コースの至るところで路面がマッディな状態になった。なお今大会会場にはJAFブースが設けられ、モータースポーツ普及活動が行われた。
コース改修によって、1コーナーから2コーナーにかけて高速ロングコーナーが続く形になった。さらに下段にもロングコーナーが新設されるなど、今大会に向けて新たなコーナーが追加された。

PNE1クラス

 5台が出走したPNE1クラスは、第1ヒートで山部恭裕選手(スズキ・スイフトスポーツ)がベストタイムをマーク。「今回は誰が勝っても全日本初優勝という状況でしたが、その中で勝つことができてうれしいです」という山部選手が、全日本初優勝を飾った。

 2位には、山部選手に0.339秒差に迫ったいりえもん選手(三菱コルト・ラリーアートバージョンR)が入賞。第2ヒートはゴール直前で転倒リタイアとなったが、第1ヒートのタイムで山部選手とダブルエントリーの鈴木正人選手が3位となった。

PNE1クラス優勝は山部恭裕選手(スマッシュ WM ATスイフト)。
僅差を勝ち切って記念すべき全日本初優勝をもぎ取った山部選手。
2位はいりえもん選手(サンウロコFLYSAFEコルト)、3位は鈴木正人選手(スマッシュSRP33スイフト)。
PNE1クラス表彰の各選手。

PN1クラス

 PN1クラスは、シリーズランキングトップの飯島千尋選手(スズキ・スイフトスポーツ)と、同2位の南優希選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、ぬかるんだ路面に翻弄され、飯島選手が8位、南選手は9位と上位を狙えない中、地元北海道の選手が健闘した。優勝は、地元の大場元貴選手(ホンダ・フィットRS)が獲得。昨年末に同会場で開催されたJAFカップを制した大場選手だが、全日本では今回が初優勝となった。

 2位には同じく北海道の土佐岡慎選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞。シリーズランキング3位の工藤清美選手(ホンダ・フィットRS)が3位に入り、北海道勢の表彰台独占を阻止した。

PN1クラス優勝は大場元貴選手(ルート6・Pガレ・フィット)。
「ここまで雨が降るとは思っていませんでしたが、第1ヒートでしっかりタイムを残せて良かったです」と語る大場選手。
2位は土佐岡慎選手(PガレADVANスイフト)、3位は工藤清美選手(工藤ホンダDLワコーズフィット)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の竹花豪起選手、2位の土佐岡選手、1位の大場選手、3位の工藤選手、5位の内山壮真選手、6位の高田陸駒選手。

PN2クラス

 PN2クラスは、「第3戦の丸和は仕事の都合で欠場しましたが、その分今回までたっぷりと時間があったので、しっかり準備することができました」という北海道の張間健太選手(スズキ・スイフトスポーツ)が2位を約1.7秒引き離す快走で勝利。

 2位には、「順位よりも、1.7秒引き離されたことが悔しい。でも、若い選手が活躍するのはうれしいですね」という北海道のベテラン星野幹男選手(スズキ・スイフトスポーツ)が獲得。3位にも北海道の柴田純選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入り、このクラスは5位に入賞した佐藤卓也選手(スズキ・スイフトスポーツ)以外、優勝から6位まで地元勢が表彰台に並ぶ結果となった。

PN2クラス優勝は張間健太選手(DLクスコWM・ラブカスイフト)。
「CUSCO&WinmaX&DUNLOP・Bライセンス競技若手育成支援プログラム」のサポートを受ける張間選手がうれしい今季2勝目を獲得。
2位は星野幹男選手(SCENEマル井スイフト)、3位は柴田純選手(ADVAN・サポートスイフト)。
PN2クラスの表彰式。左から4位のMCタマー選手、2位の星野選手、1位の張間選手、3位の柴田選手、5位の佐藤卓也選手、6位の山田将崇選手。

PN3クラス

 PN3クラスは、「昨日の公開練習よりも、今日の第1ヒートは攻めて走ることができました」という竹本幸広選手(トヨタ・GR86)が、今シーズン2勝を挙げている徳山優斗選手(トヨタ・GR86)を0.105秒差に抑えて今季初優勝。昨年のシリーズチャンピオンとなった竹本選手だが、全日本では1年2カ月ぶりの優勝となった。

 2位には、「第1ヒートでしっかりタイムを残さなくてはならない状況の中、1コーナーの進入を見誤って、アクセルを二度踏みしてしまいました」という徳山選手が入賞。3位には、後半セクションでタイムを伸ばした小関高幸選手(スバル・BRZ)が入賞した。

PN3クラス優勝は竹本幸広選手(YH・KYB・スラパ・GR86)。
「良かったころの勘が戻ってきたと思います」という竹本選手が今季初勝利となった。
2位は徳山優斗選手(ADVANオクヤマFTGR86)、3位は小関高幸選手(DL・KYB・KIT・BRZ)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の和泉泰至選手、2位の徳山選手、1位の竹本選手、3位の小関選手、5位の佐藤秀昭選手、6位の加藤琢選手。

Nクラス

 Nクラスは、前半セクションを昨年のチャンピオン・細木智矢選手(三菱・ランサーエボリューションX)が最速タイムで駆け抜けたものの、後半セクションで「前半からレコードラインにうまくクルマを乗せられずに苦戦しましたが、最後は何とか逆転できました。雨、得意かもしれません(笑)」という宝田ケンシロー選手(トヨタ・GRヤリス)がタイムを伸ばして逆転勝利。

 2位は、「慣熟歩行の時の路面状況と、実際に走った時の路面があまりに違っていて、ビックリしました。雨は辛いですね」という細木選手が獲得。「全日本ではベストリザルトです」という北海道の小林茂則選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が3位となった。

Nクラス優勝は宝田ケンシロー選手(YHオクヤマFT小松GRヤリス)。
ディフェンディングチャンピオンから勝利をもぎ取り、開幕戦いなべ以来となる今季2勝目を獲得した宝田ケンシロー選手。
2位は細木智矢選手(MJTDLSWKレイルランサー)、3位は小林茂則選手(Hash9DLシーンランサー)。
Nクラスの表彰式。左から4位の伏見浩二選手、2位の細木選手、1位の宝田ケンシロー選手、3位小林の選手、5位の杉尾泰之選手、6位の河田富美男選手。

SA1クラス

 SA1クラスは、前日の公開練習は欠場したが、「北海道に渡るフェリーの中で過去5年分の車載カメラを見て、しっかりとイメージトレーニングしてきました」という河石潤選手が、2位に0.347秒差をつけて優勝。第3戦に続き、今季2勝目を挙げた。

「昨年、転倒してからずっとクルマの調子が悪かったのですが、いろいろと調整して今回やっと調子が戻ったような感じです」という花見誠選手(スズキ・スイフトスポーツ)が2位。3位には、「第1ヒートは1コーナーで吹っ飛んでいってしまいました」というAT仕様のスズキ・スイフトスポーツを駆る葛西キャサリン伸彦選手が入った。

SA1クラス優勝は河石潤選手(モンスタースポーツDLスイフト)。
昨季チャンピオンの河石選手が安定の速さを見せて今季2勝目を挙げた。
2位は花見誠選手(YHガレージクロノススイフト)、3位は葛西キャサリン伸彦選手(YHATSGCSWIFTRSK)。
SA1クラスの表彰式。左から4位の内藤修一選手、2位の花見選手、1位の河石選手、3位の葛西キャサリン伸彦選手、5位の福山重義選手、6位の福島賢大郎選手。

SA2クラス

 20代ドライバー対決となったSA2クラスは、昨年のスナガワで全日本初優勝を遂げた北海道の笠原陸玖選手(三菱・ランサーエボリューションVI)がトップに立つが、昨年のチャンピオン・岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が逆転。「第2ヒートは失敗だったので、正直、第1ヒート勝負になってホッとしています」と岡本選手。貴重な今季2勝目を獲得した。

「第1ヒートを抑えすぎてしまったので、第2ヒートで勝負をかけたかったんですけど、終盤で駆動系が壊れてしまいました」という笠原選手は、第2ヒートでタイムアップしてくるものの岡本選手には0.303秒届かず2位。3位には「路面の良いところを外してはいなかったんだけど、途中2回くらい路面に引っかかって、インリフトして転びそうになった。今までのスナガワとは路面の感じが違い、難しかったね」というベテランの荒井信介選手(三菱・ランサーエボリューションX)が入賞した。

SA2クラス優勝は岡本泰成選手(DLアルテックおかつねランサー)。
「第2ヒートは集中力が足りず、途中で飛び出してしまいました」と第1ヒート勝負となって胸をなで下した岡本選手が今季2勝目。
2位は笠原陸玖選手(DL☆TRSドルーピーランサー)、3位は荒井信介選手(クスコADVAN WMランサー)。
SA2クラスの表彰式。左から4位のマイケルティー選手、2位の笠原選手、1位の岡本選手、3位の荒井選手、5位の黒木陽介選手、6位の鈴木信地郎選手。

SCクラス

 SCクラスは、「前戦の丸和でクルマがしっかりと仕上がり、コントロールしやすく安定して走ることができるようになりました。絶好調です!」という目黒亮選手(トヨタ・GRヤリス)が、スナガワ初優勝。

 2位には「第1ヒートの1コーナーと下段の島まわりで失敗してしまったのがすべてです」とう坂田一也選手(三菱・ランサーエボリューションX)が入賞。「過去を振り返ると、こういう荒れたウェット路面で3位に入賞できたというのはプラスに考えなければいけないんですけど、シリーズを考えると目黒選手に優勝を奪われたのは痛いですね」というディフェンディングチャンピオンの亀田幸弘選手(スバル・インプレッサ)が3位となった。

SCクラス優勝は目黒亮選手(CUSCO DL GRヤリス)。
クスコGRヤリスを駆って2位と0.364秒差で勝利を獲得した目黒選手。
2位は坂田一也選手(DLグローバルランサー)、3位は亀田幸弘選手(YH栗原オート企画インプレッサ)。
SCクラスの表彰式。左から4位の上村智也選手、2位の坂田選手、1位の目黒選手、3位の亀田選手、5位の平塚忠博選手。

D1クラス

 D1クラスは、「前戦の丸和で、結果は残らなかったんですけどクルマが仕上がってきた手応えを感じたので、良いイメージでスナガワラウンドを迎えることができました」というパッション崎山選手(トヨタ・MR-S)が、前半セクションを抑えて後半セクションで勝負する走りで逃げ切って勝利。

「安定の2位。2位じゃダメなんですけどね」というディフェンディングチャンピオンの山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)が、開幕戦から4戦連続の2位に入賞。3位には「ウェット路面だったんですけど、レコードラインはけっこう良い路面だったので、結果的には攻め切ることができませんでしたね」という深田賢一選手(ホンダ・シビック)が入った。

D1クラス優勝はパッション崎山選手(DL☆ラブカ☆テインMRS)。
スバルのエンジンユニットとミッションを搭載したMR-Sでクラス移籍後初優勝となったパッション崎山選手。
2位は山崎迅人選手(YHマックスゲンシンミラージュ)、3位は深田賢一選手(BFAベリティYHセラシビック)。
D1クラスの表彰式。左から2位の山崎選手、1位のパッション崎山選手、3位の深田選手、4位の鶴岡義広選手。

D2クラス

 D2クラスは、「第1ヒート勝負だと思ったので、集中して攻めました」という田口勝彦選手(三菱・ランサーエボリューションX)が、第1ヒートで2位を0.824秒引き離し、第2戦から3連勝を獲得。

「第1ヒートの2コーナーで飛び出しそうになってしまい、第2ヒートも諦めずに1コーナーから攻めたんだけど、第1ヒートと同じところで飛び出してしまった。学習能力のない自分が不甲斐なく、残念」という炭山裕矢選手(三菱・ミラージュ)が2位。3位には、「第1ヒートで第3戦の丸和と同じ症状が出てしまい、エンジンが吹け上がらない時が何度かあった。うまく噛み合わないね」という鎌田卓麻選手(スバル・BRZ)が入賞した。

D2クラス優勝は田口勝彦選手(HKSランサーエボリューション)。
常勝・田口選手が今回も速さを見せて優勝。タカタから3連勝となりランキングもトップ。
2位は炭山裕矢選手(ZEALbyTSDLミラージュ)、3位は鎌田卓麻選手(CastrolTEIN BRZ)。
D2クラスの表彰式。左から2位の炭山選手、1位の田口選手、3位の鎌田選手、4位の谷田川敏幸選手。

PHOTO/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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