第3戦丸和は激戦のSA1クラスで平川慶一選手が全日本初優勝!
2026年5月13日
全日本ダートトライアル選手権 第3戦「DIRT-TRIAL in NASU」が、4月25〜26日に栃木県那須塩原市郊外の丸和オートランド那須で開催された。第2戦タカタラウンドからわずか2週間という短いインターバルで迎えた第3戦には、全クラス合わせて147台がエントリー。公開練習が行われた25日、決勝ヒートが行われた26日の両日ともに好天に恵まれ、各クラスでコンマ秒差を争う熱戦が繰り広げられた。
2026年JAF全日本ダートトライアル選手権 第3戦「DIRT-TRIAL in NASU」
開催日:2026年4月25〜26日
開催地:丸和オートランド那須(栃木県那須塩原市)
主催:360R、FSC、M.S.C.うめぐみ
コースは、スタート直後にショートカットで大ヘアピンへ進入する右回り主体の“逆走レイアウト”を採用。タイトコーナーが少なく、アクセル全開で攻め込むハイスピードコースとなった。埃の発生を抑えるため、PNE1クラス、Nクラス、SCクラスの走行前に計3回、両ヒートで合計6回の撒水が行われたが、最高気温20度を超える好天の影響で、撒水後の路面はすぐにドライコンディションへ変化。一方で、舗装とダートが混在する丸和特有のコースには舗装面に砂利が多く残る区間もあり、路面状況に応じたタイヤ選択が勝敗を大きく左右するポイントとなった。
また今回は、TGR-WRT(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)の協力により、第1ヒート前と第1ヒート終了後に2026年モデル「トヨタ・GRヤリス ラリー1」のエキシビション走行が実施された。「ラリーファンにもダートトライアルを知ってほしい」という趣旨で行われた当イベントには、通常を大きく上回る観客が来場。ダートコースを豪快に駆け抜けるGRヤリス・ラリー1の走りに大きな注目が集まった。
PNE1クラス
PNE1クラスは、開幕2連勝中の小山健一選手(スズキ・スイフトスポーツ)がホームコースの丸和でも好調を維持。「このコースの特徴をよく知っているだけにプレッシャーもありましたが、しっかりと経験を活かした走りができたと思います」と語り、両ヒートでベストタイムを記録。今シーズン無敗の3連勝を達成した。2位には2.724秒差で今季初参戦の鈴木正人選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入り、さらに0.126秒差の3位には、第1戦と第2戦で連続2位だったいりえもん選手(三菱・コルト)が続いた。
PN1クラス
PN1クラスは、第1ヒートを制した北原栄一選手(日産・ノート)が、第2ヒート前の慣熟歩行で「撒水量が少ない」と判断し、超硬質路面用タイヤを選択。「一部に濡れた路面は残っていましたが、ここは攻めるべきだと思い、強気の選択をしました」と振り返る。北原選手は、それまで上原秀明選手(マツダ・デミオ)が記録していたベストタイムを0.008秒更新し、2019年以来7年ぶり、ノートNISMO Sでは初となる全日本優勝を飾った。
惜しくも逆転を許した上原選手は「周囲の皆さんから多くのアドバイスをいただいたおかげです」と語り、自己最高位となる2位を獲得。LSDトラブルに苦しみながらも走り切った工藤清美選手(ホンダ・フィット)が、トップと0.108秒差の3位に入賞した。
PN2クラス
PN2クラスは、第2戦ウィナーの奈良勇希選手(スズキ・スイフトスポーツ)が第1ヒートでトップタイムを記録。開幕戦優勝の張間健太選手(スズキ・スイフトスポーツ)が0.525秒差で続いた。そして第2ヒート、「丸和では、軟質路面用タイヤが合わなくなった場合、硬質路面用ではなく、さらに硬い超硬質路面用タイヤを選ぶのが有効です」と語る稲葉幸嗣選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、そのタイヤ選択でベストタイムを更新。
しかし終盤、第1ヒート首位の奈良選手がさらに1秒以上タイムを縮めて逆転。「丸和は得意なコースですが、昨年、一昨年はクラッシュして結果を残せませんでした。今年は落ち着いてリズム良く走れました」と語り、第2戦に続く2連勝を達成した。
2位にはスイフトスポーツでの初戦で表彰台を獲得した稲葉選手、3位には「ダンパーセッティング変更が好結果につながりました」と語る昨年のPNE1クラス王者・内藤聡選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞した。
PN3クラス
第1ヒートで女性ドライバーのみっちー選手(トヨタ・GR86)がトップタイムを記録して話題を集めたPN3クラス。しかし第2ヒートではパイロンタッチによるペナルティで9位に後退した。同じく1分50秒725のベストタイムを記録した坂井義浩選手(スバル・BRZ)もパイロンペナルティにより下位に沈む波乱の展開となった。
優勝はAT仕様のスバル・BRZを駆る佐藤秀昭選手。「自分にもミスはありましたが、全体的にミスが多い中で、うまくまとめることができました。超硬質路面用タイヤを選び、多少速度を落としてでも乾いた路面を狙ったことが良かったと思います」と振り返り、全日本では2年前の第6戦エビス以来となる勝利を挙げた。
2位には「攻める場所と抑えるべき場所の判断が難しかったです」と語る竹本幸広選手(トヨタ・GR86)、3位には「超硬質路面タイヤで走る練習の成果を発揮でき、良い勝負ができました」と語る和泉泰至選手(トヨタ・GR86)が入賞した。
Nクラス
Nクラスは、今季からトヨタ・GRヤリスに乗り換えた細木智矢選手が第1ヒートを制したものの、第2ヒートでタイムを伸ばせず5位に後退。ホームコースの宮地雅弘選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が記録したタイムがしばらく首位を守る展開となる中、第1ヒート6番手だった宝田ケンシロー選手(トヨタ・GRヤリス)が逆転。
「撒水直後で濡れた部分も残っていましたが、硬質路面用タイヤで無理をしすぎず、ギリギリを狙って走りました」と語り、ベストタイムを1秒以上更新した。最終走者の岸山信之選手(トヨタ・GRヤリス)は0.338秒届かず、宝田選手が今季初優勝を飾った。
岸山選手は「小さなミスが結果に影響しました」と振り返り2位、72歳のベテラン宮地選手は「地元勢にとっても新鮮なレイアウトで攻め応えがありました」と語り3位に入賞した。
SA1クラス
SA1クラスは、トップ6台が1秒以内にひしめく大接戦となった。優勝は全日本参戦2年目の平川慶一選手(スズキ・スイフトスポーツ)。関東のベテラン杉浦忠洋選手(三菱・ミラージュ)を0.646秒差で抑え、待望の全日本初優勝を飾った。
「第2ヒートはフロントタイヤのみ超硬質路面用タイヤに変更しました。舗装区間と砂利が残る区間が混在する丸和はタイヤ選択が難しいのですが、自分の判断を信じて走りました」と平川選手。思い切ったタイヤ戦略が初優勝につながった。
「今回に向けてエンジン、ミッション、デフ、タイヤ、ホイールまでしっかり準備してきました」と語る杉浦選手が自己最高位の2位、「普段どおりに走れば大丈夫と言い聞かせて走りました」と語る福島賢大郎選手(スズキ・スイフトスポーツ)が自己最高位となる3位に入賞した。
SA2クラス
SA2クラスは、第2戦優勝の荒井信介選手(三菱・ランサーエボリューションX)が、第1ヒートで2番手の三浦陸選手(三菱・ランサーエボリューションX)に1.891秒差をつける圧巻の走りを披露。しかし第2ヒート、スタート直後の第1コーナーでスピンを喫して大きくタイムダウン。
「サイドブレーキが想像以上に効き、レバーが戻り切らず引っかかってしまいました」と振り返った荒井選手は、第1ヒートのタイムで3位に踏みとどまった。
優勝は、増村淳選手(トヨタ・GRヤリス)のタイムを最後に上回った浜孝佳選手(三菱・ランサーエボリューションIX)。昨年の第7戦いなべでのクラッシュから復帰した浜選手は、「第1ヒートはミスが多かったですが、データロガーを確認するとタイムは出せている感触がありました。第2ヒートは撒水直後でしたが、思い切って超硬質路面用タイヤを選択しました」とコメント。
惜しくも2位となった増村選手は「シフトミスが2回ありましたし、ミスがなくても浜選手のタイムには届かなかったと思います。久しぶりの表彰台なので満足しています」と笑顔を見せた。
SCクラス
SCクラスは、第2戦優勝の岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が第1ヒートを制したものの、第2ヒートで今季初参戦の國政久磨選手(スバル・WRX STI)がトップタイムを更新。
さらに第1ヒート2番手だった亀田幸弘選手(スバル・インプレッサ)がそのタイムを0.386秒上回り、今季初優勝を飾った。「昨年は勝てなかったので、2年ぶりの優勝です。超硬質路面用タイヤを使うか悩みましたが、迷ったときは使うと決めていました。実際にはクルマが暴れる場面もありましたが、なんとかまとめることができました」と亀田選手。
2位の國政選手は「久しぶりのダートトライアルで最初はクルマの速さに驚きました(笑)。丸和で亀田選手相手では厳しいと思っていたので、2位でも満足しています」とコメント。岡本選手は「良いラインを狙いすぎて全体的に慎重になりすぎました」と振り返り3位となった。
D1クラス
D1クラスは、新鋭の大谷皇就選手(トヨタ・86)が開幕2連勝中だったものの、今回はマシンのマイナートラブルが続き6位に終わった。
優勝は両ヒートでベストタイムを記録したパッション崎山選手(トヨタ・MR-S)。待望の今季初優勝を手にした。「北海道ラウンドを欠場予定なので、今回の優勝は大きいです。第2戦タカタでクルマの動きに違和感があったためセッティングを見直しました。丸和でも安心して走れるようになったのは収穫です」と語った。
全日本出場2戦目となる伊東拓海選手(スズキ・スイフトスポーツ)は、2戦連続表彰台となる自己最高位の2位を獲得。前日の公開練習でドライブシャフト破損に見舞われながら修復を間に合わせた山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)が3位に入賞した。
D2クラス
D2クラスは、鎌田卓麻選手(スバル・BRZ)が第1ヒートを制したものの、第2ヒートでパイロンペナルティとセンターデフトラブルに見舞われてタイムダウン。このチャンスを逃さなかった田口勝彦選手(三菱・ランサーエボリューションX)が逆転優勝を飾った。
「第1ヒートはブレーキングが遅れ、さらにウェット路面と砂利の残り方の読み違いも重なってミスにつながりました。第2ヒートでは、そのロスを取り戻す走りができたと思います」と田口選手。鎌田選手が第1ヒートで記録したタイムを0.312秒更新し、開幕戦以来となる今季2勝目を挙げた。
鎌田選手は「クルマの状態はかなり良くなってきています。前戦が厳しかっただけに、今回の2位は前向きに捉えています」とコメント。3位には「ホームコースということもあり攻めすぎた部分もありましたが、挑戦したことに意味はあったと思います。小さな差で逆転できる可能性も感じました」と語る谷田川敏幸選手(スバル・BRZ)が入賞した。
PHOTO/CINQ、友田宏之 [Hiroyuki TOMODA] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



