スナガワで第3戦開催の全日本ダートトライアル選手権は各クラスで地元・北海道勢が活躍!

レポート ダートトライアル

2024年6月4日

5月25~26日、北海道砂川市郊外のオートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコースで、全日本ダートトライアル選手権が開催された。超ハイスピードコースで争われた第3戦は、北海道の選手も多数エントリー。全クラスとも第2ヒート勝負となり、最後まで分からない展開となった。

2024年JAF全日本ダートトライアル選手権 第3戦「北海道ダートスペシャル in スナガワ」
開催日:2024年5月25~26日
開催地:オートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコース(北海道砂川市)
主催:AG.MSC北海道

 利根川、信濃川とともに日本三大河川のひとつに数えられる石狩川の広大な河川敷に位置するオートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコースを舞台とした第3戦は、PNE1クラスが不成立となったが、PN1クラスからDクラスまでの9クラスが成立。全日本レギュラー選手から年に一度の全日本ラウンドを楽しみに待っている地元・北海道の選手まで、121名の選手がエントリーリストに名を連ねた。

 石狩川から上下二段に分かれている河川敷を利用したコースは、クラスによっては最高速度が170km/hに迫るストレート区間や、ダイナミックな走行が可能となる高速S字区間など、全国でも屈指のハイスピードレイアウトの設定が可能だ。今回も、例年どおり左回りを基本としたハイスピードなレイアウトが採用された。

 路面コンディションは両ヒートともドライ。すべてのクラスで路面の砂利がはけた第2ヒートのタイムが決勝タイムとなったが、第1ヒートの途中から前走車が走行するごとに広がる大きな穴が出現。とくに石狩川の水位が高くなったり、堤防の雪解け水が溢れたときに水没することがある下段には大きなギャップが広がり、第2ヒートはこのギャップをどう攻め切るきるかも勝敗の鍵を握った。

コースは昨年とほぼ同じ構成だが、下段の一部区間で外周を回るレイアウトが採用された。
路面状況の変化を想定しながら慣熟歩行を入念に行う選手たち。今大会は2ヒートともドライ路面で争われた。
会場内パドックの一角にはJAFがブースを出展し、子ども安全免許証の発行といった催しを行っていた。

PN1クラス

 地元の大場元貴選手(トヨタ・ヴィッツ)が第1ヒートのトップタイムを奪ったPN1クラスは、第2ヒートでもその大場選手がベストタイムを更新。だが、同じく地元の竹花豪起選手(スズキ・スイフトスポーツ)が大場選手のタイムを約0.7秒上回り、ベストタイムを塗り替えてくる。

 そして第2戦の丸和ラウンドにも出場した地元の内山壮真選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、竹花選手のタイムを約0.3秒更新してゴール。このタイムが決勝タイムとなり、全日本5戦目となる内山選手が全日本初優勝を飾った。2位に竹花選手、3位には第2ヒートで大場選手を逆転した広島の南優希選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞し、地元勢の表彰台独占を阻止。表彰台にはフレッシュな顔ぶれが揃った。

PN1クラス優勝は内山壮真選手(エコテックDXL和光Mスイフト)。
昨年は北海道の地区戦FF-1クラスで鎬を削った内山選手が、うれしい全日本初優勝を遂げた。
2位は竹花豪起選手(PガレYHMoty'sスイフト)、3位は南優希選手(DLWMクスコスノコ藤スイフト)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の大場元貴選手、2位の竹花選手、1位の内山選手、3位の南選手、5位の奈良勇希選手、6位の本道治成選手。

PN2クラス

 スズキ・スイフトスポーツのワンメイク状態となっているPN2クラスも、第1ヒートは地元の張間健太選手がベストタイムを奪うが、「前日の公開練習から良いところがなく、第2ヒートは開き直って攻めました」という濱口雅昭選手が、第2ヒートでトップに立った佐藤卓也選手のタイムを約1.3秒上回るベストタイムをマーク。地元の山田将崇選手が濱口選手と佐藤選手の間に割って2位に入るが、第2ヒートで逆転を果たした濱口選手が、開幕戦コスモス以来となる今季2勝目を挙げた。

PN2クラス優勝は濱口雅昭選手(DL タクミ WM スイフト)。
第2ヒートでクラス唯一の1分29秒台をマークした濱口選手。大きなタイム差をつけて勝利を収めた。
2位は山田将崇選手(AIG☆TS-S☆DLスイフト)、3位は佐藤卓也選手(DLΩKYBオクヤマ・スイフト)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の張間健太選手、2位の山田選手、1位の濱口選手、3位の佐藤選手、5位の中島孝恭選手、6位の谷尚樹選手。

PN3クラス

 PN3クラスは、「今回はタイヤもクルマも消耗させず、あえて事前に余計な情報を入れないよう、公開練習をスキップしました」というパッション崎山選手(トヨタ・GR86)が、その狙いどおりにぶっつけ本番の決勝第1ヒート、第2ヒートともベストタイムをマークして完勝。開幕から連勝中の竹本幸広選手(トヨタ・GR86)の3連勝を阻止する今季初優勝を飾った。

 2位は「車速を乗せなければいけないところで修正舵が入って乗せ切れなかった……」と悔やむ竹本選手が獲得する。地元勢トップとなる3位には和泉泰至選手(トヨタ・GR86)が入賞し、今季初表彰台をつかんだ。

PN3クラス優勝はパッション崎山選手(DL☆ラブカ☆ライズGR86)。
公開練習なしのぶっつけ本番で臨んだ崎山選手が両ヒートを制し、今シーズン1勝目を獲得。
2位は竹本幸広選手(YH・KYB・スラパ・GR86)、3位は和泉泰至選手(DLクスコXP・GR86)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の徳山優斗選手、2位の竹本選手、1位の崎山選手、3位の和泉選手、5位の小関高幸選手、6位の佐藤秀昭選手。

Nクラス

「今シーズンは開幕戦からクルマのマイナートラブル続きでした。やっと気持ち良く走ることができました」という地元の宝田ケンシロー選手(トヨタ・GRヤリス)が、Nクラスで両ヒートとも2位以下を大きく引き離す走りで完勝。待望の今季初優勝を獲得した。

 2位は「最後までリアサスのセッティングに苦しみました」という岸山信之選手(トヨタ・GRヤリス)が獲得。3位には、第2ヒートを硬質路面用タイヤで攻めた細木智矢選手(三菱・ランサーエボリューションX)がそれぞれ入賞した。

Nクラス優勝は宝田ケンシロー選手(YHオクヤマFT小松GRヤリス)。
今シーズンはなかなか上位に食い込むことができなかった宝田選手だが、第3戦でようやく勝利をつかんだ。
2位は岸山信之選手(BRIDE☆DL☆GRFヤリス)、3位は細木智矢選手(MJT DL SWK レイル ランサー)。
Nクラスの表彰式。左から4位の矢本裕之選手、2位の岸山選手、1位の宝田選手、3位の細木選手、5位の三浦陸選手、6位の三枝光博選手。

SA1クラス

 SA1クラスは、開幕2連勝中の河石潤選手(スズキ・スイフトスポーツ)が第1ヒートのトップタイムを奪い、開幕3連勝への足がかりをつかむ。だが、ベストタイム更新ラッシュとなった第2ヒートは、地元の川口昭一選手(ホンダ・インテグラ)がまずトップタイムをマーク。

 さらに、北海道から全日本を転戦する内藤修一選手(スズキ・スイフトスポーツ)がベストタイムを更新。第1ヒートトップの河石選手も内藤選手のタイムに迫るが、0.357秒届かず。内藤選手が、昨年に続きスナガワ2連覇を達成した。

SA1クラス優勝は内藤修一選手(DL☆XP☆SCENEスイフト)。
スナガワをホームコースとする内藤選手が、2023年に続き全日本スナガワ2連覇を達成した。
2位は河石潤選手(モンスタースポーツDLスイフト)、3位は川口昭一選手(TRS DL インテグラ)。
SA1クラスの表彰式。左から3位の河石選手、1位の内藤選手、3位の川口選手、4位の北淳選手。

SA2クラス

 今年で21歳になる地元の若手・笠原陸玖選手(三菱・ランサーエボリューションVI)が、第1ヒートで2番手以降を大きく引き離してトップタイムをマークしたSA2クラス。第2ヒートでもベストタイムを更新した笠原選手に対し、北村和浩選手(トヨタ・GRヤリス)が0.258秒差まで迫るもののわずかに届かず。

 3年前、19歳のときに「全日本の有名なドライバーに勝ちたい」と地元の北海道ラウンドに出場した笠原選手が、三度目の正直となる全日本初優勝を遂げた。そして2位には「少しずつ良くなってきているけど、まだ自分が思ったようには(GRヤリスを)動かせていない」という北村選手が入賞。3位は「第1ヒートの動画を見て反省しました」という鈴木信地郎選手(三菱・ランサーエボリューションX)が獲得した。

SA2クラス優勝は笠原陸玖選手(TRSクスコHR・DLランサー)。
昨年の北海道ダートラ4WD-2クラスチャンピオンの笠原選手が、悲願の全日本初優勝を決めた。
2位は北村和浩選手(MJT☆Tガレージ☆DLヤリス)、3位は鈴木信地郎選手(オセロット・ダンロップランサー)。
SA2クラスの表彰式。左から4位の黒木陽介選手、2位の北村選手、1位の笠原選手、3位の鈴木選手、5位の岡本泰成選手、6位の荒井信介選手。

SC1クラス

 昨年のチャンピオン、山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)が第1ヒートを制したSC1クラスは、第2ヒートで鶴岡義広選手(スズキ・スイフトスポーツ)が第1ヒートの自己タイムを一気に4秒近く縮める走りを見せ、ベストタイムを更新。第1ヒートトップの山崎選手も自己タイムを2秒近く縮めてくるが、鶴岡選手のタイムには届かず。

「慣熟歩行の重要さが分かりました」と、慣熟歩行を2周行った鶴岡選手が、待望の今季初優勝をつかんだ。2位に山崎選手、3位には前日の公開練習からサイドブレーキのトラブルに見舞われた坂井秀年選手(ホンダ・シビック)がそれぞれ入賞した。

SC1クラス優勝は鶴岡義広選手(S・DL・クスコ・WMスイフト)。
同じクラスのドライバーたちから祝福を受けて笑顔を見せる、今シーズン初勝利の鶴岡選手。
2位は山崎迅人選手(YHマックスゲンシンミラージュ)、3位は坂井秀年選手(MARKS藤井R DLシビック)。
SC1クラスの表彰式。左から2位の山崎選手、1位の鶴岡選手、3位の坂井選手、4位の佐藤史彦選手。

SC2クラス

 SC2クラスは第2ヒートで、第1ヒート6番手の亀田幸弘選手(スバル・インプレッサ)が、「1コーナーで穴に落ちて、もう終わったと思ったんですが、そのあとは死ぬ気で踏みました」とベストタイムを更新。第1ヒートトップの吉村修選手(三菱・ランサーエボリューションX)も自己タイムを更新してくるが、亀田選手のタイムには0.663秒届かず。昨年に続き亀田選手がスナガワ2連覇を達成した。2位に吉村選手、3位には「下段が穴だらけで、少しだけ抑えました」という目黒亮選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞した。

SC2クラス優勝は亀田幸弘選手(YH栗原オート企画インプレッサ)。
僅差の戦いを制した亀田選手。ナンバー1サインで優勝の喜びを表現した。
2位は吉村修選手(FORTECナビクDLランサー)、3位は目黒亮選手(CUSCO DL GRヤリス)。
SC2クラスの表彰式。左から4位の坂田一也選手、2位の吉村選手、1位の亀田選手、3位の目黒選手、5位の平塚忠博選手、6位の上村智也選手。

Dクラス

 Dクラスは、炭山裕矢選手(三菱・ミラージュ)が、前日の公開練習でエンジントラブルに見舞われ、決勝日は走行を断念。四強の一角が欠場となったが、第1ヒートから0.1秒を競う手に汗を握る展開となった。

 第1ヒートは、前半セクションは2番手ながらも後半セクションで巻き返した田口勝彦選手(三菱・ランサーエボリューションX)がトップタイムをマーク。前半セクションが速かった鎌田卓麻選手(スバル・BRZ)が0.365秒差の2番手、後半セクションではトップタイムをマークした谷田川敏幸選手(スバル・BRZ)が、鎌田選手と0.015秒差の3番手につける。

 第2ヒートに入り、鎌田選手がベストタイムを1分20秒台に乗せてくる中、谷田川選手は第1ヒートではトップタイムだった後半セクションのタイムがわずかに伸びず2番手に終わる。最終ゼッケンの田口選手は前半区間で鎌田選手から0.404秒遅れるものの、後半セクションで一気に逆転。0.127秒差で今季2勝目を獲得した。

Dクラス優勝は田口勝彦選手(HKSランサーエボリューション)。
終わってみれば2位との差がわずか約0.1秒だったが、見事にかわして勝利を収めた田口選手。
2位は鎌田卓麻選手(itzzオクヤマDL栗原BRZ)、3位は谷田川敏幸選手(トラストADVANクスコBRZ)。
Dクラスの表彰式。左から2位の鎌田選手、1位の田口選手、3位の谷田川選手、4位の田辺剛選手。

フォト/CINQ、大野洋介 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
※一部誤りがございましたので、修正を施して再公開いたしました。

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