大西康弘選手が東北ダートラ第4戦4WD-2で全日本ドライバーの貫禄を見せて優勝!
2025年8月6日

2025年JAF東北ダートトライアル選手権 第4戦が7月6日、青森県五戸町に建つサーキットパーク切谷内で開催された。4月に“スラパ”こと福島県二本松市のエビスサーキット新南コース スライドパークで開幕した東北地区戦。今季は全7戦のカレンダーが組まれ、今回の第4戦は折り返しの一戦となる。
2025年JAF東北ダートトライアル選手権 第4戦
2025年JMRC東北ダートトライアル選手権 第4戦
CMSC岩手ダイアモンドトライアル
開催日:2025年7月6日
開催地:サーキットパーク切谷内(青森県五戸町)
主催:CMSC岩手
前半3戦を終了した時点では、2WD-1クラスの工藤清美選手が三連勝でランキングトップを独走している。しかし、他のクラスで2勝を挙げているのは4WD-1クラスの菊池恒博選手のみとなっており、王座争いの行方はまだまだ分からない状況だ。
また、二週間後にここ切谷内で2025年JAF全日本ダートトライアル選手権 第6戦の開催も控えている。今回の一戦には東北地区以外のドライバーの参戦も目立ち、混沌とした王座争いにどう絡んでくるかも気になるところだ。
まだ梅雨明けは発表されていない東北だが、当日の天候は朝から晴れ。午前中の1ヒートはやや曇りがちではあったものの、午後からは太陽が照りつけ気温も上昇。雨の心配はなく、路面はドライコンディションで争われたが、2ヒートでタイムが伸び悩むドライバーが多く、路面コンディションに対するタイヤ選択が重要な一戦となったようだ。



2WD-1クラス
JAF地方選手権がかかる東北地区戦の5クラスは、全てP・PN・N・SA・SAX・SC・B・D・AE車両が対象となり、2WD-1は排気量1500cc以下の2WDで競う。
開幕第1戦から負けなしの工藤選手が、1ヒートから2番手以下を3秒近く引き離す1分41秒61でトップタイムをマーク。2ヒートでは約2秒のタイムダウンを喫するもトップタイムは敗られることなく、逃げ切り優勝を果たした。
「地区戦ではドライタイヤを使うことはないのですが、今回は全日本戦のテストも兼ねて、2本目はドライタイヤを履きました。路面は所々砂利が捌けてたのですが、思いのほか散水が多かったので(笑)、タイムは伸びませんでしたね」と、全日本戦を見据えたタイヤ選択を明かした。それでも貫禄の勝利でチャンピオン確定を大きく引き寄せる、開幕4連勝を決めた。
2位は、2ヒートでのトップタイムを刻んだものの、工藤選手には2秒06及ばなかった良本海選手。そして3位には高田正栄選手が入り、ランキング2番手を守った。



FRクラス
後輪駆動の車両で競われる FRクラスは1ヒート、北海道から参戦してきた全日本ドライバーの和泉泰至選手が1分42秒07でトップに立つ。2番手には坂井義浩選手、3番手にディフェンディングチャンピオンの加藤琢選手が、ともに1分43秒台で続いた。
2ヒートで和泉選手は4秒以上のタイムダウンを喫してしまい、1ヒートのタイムで後続を待つ。このチャンスを活かしたかった坂井選手と加藤選手だが、なんと両選手もタイムダウン。ちなみに、和泉選手の前に走った小田真生選手と菅生大介選手もタイムダウン。このクラスは全員がベストタイムを更新することができず、1ヒートの順位で勝負が決まった。
優勝した和泉選手は、「全日本に向けての練習ということで参加しました。今回は参加台数に対して早い出走順ということもあり、2本目は全日本では“ない”路面コンディションでタイムアップは厳しかったのですが、それにしても上手く走れませんでしたね(笑)。1本目は走りやすく大好きな路面だったので、楽しく走れました(笑)」とのことで、2ヒートは全日本を想定した路面にはならなかったようだ。それでも、1ヒートできっちりタイムを残す走りで経験の差を見せた。



2WD-2クラス
1500ccを超える2WDが対象の2WD-1クラスは23選手が参戦し、今回の一戦で最多エントリーとなった。やはり、二週間後の全日本戦に向けた練習や車両のセッティングのために参加したドライバーも多く、第3戦までの倍近いエントリーで争われた。
1ヒートでトップタイムをマークしたのが、関東から参戦した稲葉幸嗣選手。1分41秒65と、クラス唯一の1分41秒台を刻み、2番手と3番手には北海道勢の星野幹男選手と内藤修一選手が1分42秒台でつけ、全日本ドライバーたちでトップ3を形成した。
2ヒートで稲葉選手は0.37秒のタイムアップを果たしてトップを保持するが、そのタイムを0.66秒更新して1分40秒62まで詰めたのが、地元勢の今隆志選手。続く内藤選手は自己タイムを更新するものの、1分41秒台に留まり順位を上げることが出来なかった。
そしてクラス終盤、残り4選手となったところでトップタイムを塗り替えたのが、1ヒートで4番手につけていた三菱FTOを駆る地元のラリースト、小館優貴選手。今選手のタイムを0.25秒更新する、1分40秒37をマークしてトップに躍り出た。
続く全日本ドライバーの川島秀樹選手は1分42秒台に終わり、星野選手はタイムダウン。ラストゼッケン、地元勢の竹村由彦選手は、小館選手に迫るタイムを出すも0.05秒届かず2位となり、なみいるダートトライアラーを退けた小館選手が逆転優勝を飾った。
「ダートトライアルは10年ぶりで切谷内を走る機会もあまりなかったので、1本目は練習のつもりで走ったのですが、そこそこタイムは出ていたので2本目頑張りました。気持ちよく走れたので良かったです」と小舘選手は新たなラリーカー、FTOのセッティングを煮詰めるための参戦だったそうだ。目下の課題は、「カッコいいV6サウンドを奏でること」とのことだ。



4WD-1クラス
2800cc以下の4WD、実質GRヤリスのワンメイクとなっている4WD-1は、1分36秒92をマークしたファーストゼッケンの川崎修也選手がトップで1ヒートを折り返す。2番手にはディフェンディングチャンピオンの伊藤久選手、そして3番手にはランキングトップの菊池選手が続く。
2ヒートに入ると、川崎選手はベストタイムを1.2秒更新してトップをキープ。このタイムを追う上位陣だが、伊藤選手は0.21秒のタイムダウン。そして菊池選手はタイムアップを果たすも0.23秒で、伊藤選手にも届かず3番手は変わらず。この結果、川崎選手が両ヒートを制しての優勝となった。
「今年は開幕戦でビリでした(笑)。おまけに、その後練習中に転倒してしまい、しばらく競技は出られませんでした」と川崎選手は明かした。続けて、「2本目はドライタイヤでいきたかったのですが、このクラスは路面コンディションが中途半端だったので、悩んだ末にウェットタイヤを選択しました。とりあえず1本目トップだったので、まぁいいか(笑)っていう感じで、無理せず淡々と走ったのが良かったのかもしれません」と、勝因を分析した。



4WD-2クラス
2800ccを超える4WDが集う4WD-2クラスでは、開幕戦を制した遠藤誠選手がランキングトップ。砂子澤明選手が4ポイント差の2番手で追い、更に砂子澤選手から3ポイント差で金田一聡選手が続き、ランキング上位陣は僅差の戦いとなっている。
1ヒートでトップタイムをマークしたのは、「やはり」四戸岳也選手。2番手には0.25秒遅れて大西康弘選手、更に0.53秒差で須藤正人選手が3番手につけた。
2ヒートに入ってもなかなかトップタイムは更新されず、四戸選手がスタート。“1本目番長”を返上すべく挑んだタイムは、1ヒートと全く同じ1分33秒61。果たしてこのタイムを守りきれるかが注目された。
しかし、須藤選手が0.01秒更新すると、更に金田一選手が0.38秒更新と、トップが目まぐるしく入れ替わる。そして、最後に勝負を決めたのがラストゼッケン大西選手。1分32秒03と、一気に1分32秒台に突入して勝負を決めた。
またしても1本目番長を貫き、4位となった四戸選手は苦笑いを浮かべながら「今回も甘くなかったね」と一言。そして優勝した大西選手は、「今シーズンはずっと不調だったので、今回は足回りを自分好みのセットに振って感触を確かめました。1本目はアンダーステアが続く感じでしたが安定性が良かったので、2本目は更に調整して8割~9割くらいまで合ってきました」と勝因を明かした。
続けて「もう少し詰めるところはありますがベースはつくれたので、後は(全日本の)公開練習でアジャストすれば勝てるかもしれませんね(笑)」と、切谷内での全日本戦に向けての手応えも感じたようだ。



クローズド1クラス、クローズド2クラス
一騎討ちとなったクローズド1クラスは、ダイハツ・ストーリアX4をドライブする千葉徹選手が、両ヒートともにトップタイムをマーク。ZC31S型スイフトを駆って2位の橋下聖菜選手は、出走前のトラブルに見舞われながらも、両ヒートともに完走を果たした。
亀山晃選手と小出久美子選手、“超”ベテラン2選手によって争われたクローズド2クラスは、亀山選手が1分32秒91でトップに立った。




フォト/友田宏之 [Hiroyuki TOMODA] レポート/友田宏之[Hiroyuki TOMODA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]