SA2クラス岡本泰成選手が全日本とJAFカップの二冠確定を2年連続で達成!
2025年11月14日
2025年JAFカップダートトライアルが、11月8~9日に長野県長野市郊外のスポーツランド信州で開催された。全日本ダートトライアル選手権と各地区で開催されている地方選手権のシリーズ上位入賞者を対象として年に1回開催されるこの大会は、各地域のモータースポーツの健全な発展と振興を図ることを目的に開催される。
2025年 JAFカップ オールジャパン ダートトライアル
開催日:2025年11月8~9日
開催地:スポーツランド信州(長野県長野市)
主催:ARFA、THE・MC
ダートトライアルのJAF公認競技開催は19年ぶりというスポーツランド信州には、今大会全クラス合わせて71台がエントリー。今シーズン新設されたD1クラスはクラス不成立となり、PNE1、PN1、PN2、PN3、N、SA1、SA2、SC、D2の8クラスでJAFカップのタイトルが競われた。
国内でも最大級となる約50mの高低差があるスポーツランド信州に設定されたコースは、公開練習が行われた土曜日は好天に恵まれたものの、日曜日は朝から雨が降りウェットコンディションに。第2ヒート前の慣熟歩行時には一時雨がやむものの、第2ヒートが始まるころには再び雨が降り出し、路面コンディションの悪化からSA1クラス以降は第1ヒートのタイムが決勝タイムとなった。
PNE1クラス
PNE1クラスは、全日本8位確定(PN2クラス)の小山健一選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、第1ヒートのトップタイムをマーク。第2ヒートは、「第1ヒートよりも泥が掃けて路面コンディションが良くなったので思いっきり攻めたんですが、ちょっと攻めすぎてしまったようです(笑)」とタイムダウンに終わったものの、第1ヒートのタイムを更新する選手は現れず。JAFカップではSA1クラスを制した2010年以来15年ぶりの優勝を飾った。
2位には、「公開練習をスキップすることでクルマを温存したんですけど、第1ヒートはCVT制御がトラブル、第2ヒートもギャラリーコーナーで制御が入ってしまい、アウト側の壁に当たってしまいました」という全日本3位確定のいりえもん選手(三菱・コルト)が入賞。3位には、第1ヒートのギャラリーコーナーで壁に当たりリタイアとなったものの、「JAFカップは年に1回の大会なので勝つか負けるかしかないんですけど、第2ヒートは自分にとって今年最後の走りなので、勝ち負けよりも楽しく走ることを心がけました」という全日本チャンピオンが確定している内藤聡選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞した。
PN1クラス
PN1クラスは、「信州を走るのは10数年ぶりくらいです。昔の車載動画で予習してきました(笑)」という関東の柿澤廣幸選手(トヨタ・ヤリス)が第1ヒートで1分58秒818のベストタイムをマーク。第2ヒートは「第1ヒートでけっこう失敗していたので抑え気味で走ったんですけど、少し抑えすぎてしまいました」とタイムダウンに終わる中、全日本4位確定の北原栄一選手(日産・ノート)が「第1ヒートよりは路面のグリップ感が悪かったんですけど、自分のイメージどおりには走ることができたと思います」と柿澤選手のタイムに迫ってくる。だが、柿澤選手のタイムには0.083秒届かず。柿澤選手がJAFカップ初優勝を果たした。
2位に北原選手、3位には「雨の信州は30年ぶりくらいですかね(笑)。第1ヒートで刺さってしまったのが痛かったですね」という九州から古巣の関東に移った水野喜文選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞した。
PN2クラス
PN2クラスは、「このクルマも2年目を迎え、かなりセットアップが進んできました」という関東の鈴木良信選手(トヨタ・ヴィッツ)が第1ヒートのベストタイムをマーク。0.557秒差で「信州を走るのは初めてです」という北海道のMCタマー選手(スズキ・スイフトスポーツ)が続く。
第2ヒートに入ると、「ここ数年成績が悪いので、今回はクルマをリフレッシュさせてきました」という、21年と22年全日本チャンピオンの谷尚樹選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、鈴木選手がマークした第1ヒートのベストタイムを1.432秒更新してくる。だが、第1ヒートトップの鈴木選手が、すぐさまベストタイムを0.094秒更新。結局、両ヒートを制した鈴木選手がJAFカップ初優勝。
2位に谷選手、3位には「信州は雪の上を走っているみたいで、楽しかったです(笑)」というMCタマー選手が入賞した。
PN3クラス
第1ヒートは全日本7位確定の寺田伸選手(トヨタ・GR86)を筆頭に、中部の名倉陽太選手(トヨタ・86)、全日本Nクラス5位確定の浦上真選手(トヨタ・GR86)の3台が2分04秒台に並んだPN3クラス。第2ヒートは、「この大会のために、一度信州に練習しに来ました。その時も雨だったんですよ。それと、後半区間は僕が得意としている中部の池の平にそっくりなんですよ。特に下りは、あまり頑張りすぎないで轍をうまく使う走らせ方が良かったと思います」という名倉選手が、ベストタイムを更新。「このコースは初めてです。路面もいなべとも違うし、初めて経験する路面です」という寺田選手が名倉選手のタイムに迫るが、0.331秒届かず。「2026年は、全日本で戦いたいです」という名倉選手が、JAFカップ初出場初優勝を果たした。2位に寺田選手、3位には久々にFR車に乗ったという浦上選手が入賞した。
Nクラス
Nクラスは、全日本をトヨタ・GRヤリスのDAT仕様で戦う河田富美男選手が、第1ヒートのベストタイムをマーク。路面コンディションが悪化した第2ヒートはほとんどの選手がタイムダウンに終わり、「GRヤリスのAT車ですが、今年全日本を転戦してかなり良い方向に仕上がってきたと思います」という河田選手が、JAFカップ初優勝を飾った。
2位には、「地元の長野県からエントリーしましたが、信州を走るのは久々です。モーターランド野沢をよく走っているのですが、ウェット路面の感触が野沢とは違い難しかったですね。両ヒートとも、土手に乗り上げてしまいました。コースに復帰できたのはラッキーでしたね」という関東の堀川雅基選手(三菱・ランサーエボリューションⅩ)が入賞。3位には、路面コンディションが悪化した第2ヒートでタイムアップを果たした全日本/関東の影山浩一郎選手(三菱・ランサーエボリューションⅨ)が入賞した。
クラスSA1
SA1クラスは、「全日本は改造車のSC車両で走っていたんですけど、JAFカップはD1クラスが成立しないという噂を聞いたので、今回はSAX車両のシビックでエントリーしました」という全日本5位確定(D1クラス)の深田賢一選手(ホンダ・シビックタイプR)が、第1ヒートのトップタイムをマーク。1.338秒差の2番手に「再出走で集中力が切れてしまったのが残念です」という関東の若手・三島真太郎選手(ホンダ・インテグラタイプR)が続く。コースコンディションが悪化した第2ヒートは、両者ともタイムダウンに終わり、深田選手がJAFカップ初優勝を果たした。
2位に三島選手、3位には「第1ヒートは再出走になり、最初に走った時はミスがあったのでラッキーだなと思ったんですけど、再出走の路面が良くなった分攻めすぎてしまい、アウト側のフカフカに入ってタイムロスしてしまったのが残念です」という全日本5位確定の平川慶一選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞した。
SA2クラス
SA2クラスは、全日本チャンピオンが確定している岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションⅨ)が、第1ヒートで全体でもオーバーオール2番手に相当するベストタイムをマーク。3年前に東京から香港に移住し、今回は香港から遠征してきた福田憲道選手(トヨタ・GRヤリス)が2.321秒差の2番手につける。
第2ヒートは両者ともタイムダウンに終わり、「今は亡きアルテックの中村社長が『JAFカップは全日本と同じか、それ以上の強い気持ちで獲りに行くんだ』ということを常々言われていました。昨年に続き、その気持ちに応えることができてうれしいし、ホッとしています」という岡本選手が、昨年に続きJAFカップ2連覇を果たした。
2位には「3位の飯島(充)選手とは小学校からの幼なじみで、信州がホームコースということもあったので、飯島選手と優勝争いをしたかったですね。岡本選手が一枚上手でした」という福田選手が入賞。3位には「23年ぶりにダートトライアルに復活したのですが、第1ヒートは抑えすぎてしまいました。でも、復活して1年目なので、ホームコースで3位に入賞できたのはうれしいですね」という関東の飯島充選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞した。
SCクラス
SCクラスは、「天気予報を見て、最初から第1ヒート勝負と決めていました」という全日本3位確定の亀田幸弘選手(スバル・インプレッサ)が、「第1ヒートは雨がやんでから1時間近く経っていたので、見た目以上に路面がグリップしました」と、第1ヒートのタイムで逃げ切り優勝。
0.464秒差の2位には、「信州を走ったのは、ナンバー付き車両で走っていたころ以来。第1ヒートの最初は恐る恐る走っていたけど、再出走になったら今度は欲が出て行きすぎてしまいました。信州は過去の全日本でも一度も勝ったことがなく、勝ちたかったんですけどね」という吉村修選手(三菱・ランサーエボリューションⅩ)が入賞。3位には「昔の信州は良く走っていたけど、最近はさっぱり走ってないね。今回のウェット路面のギヤ比が合わなくて四苦八苦しました」という関東の大ベテラン・片貝佳之選手(三菱・ランサーエボリューションⅨ)が入賞した。
D2クラス
D2クラスは、「D車両で信州を走るのは20年ぶり」という全日本4位確定の谷田川敏幸選手(スバル・BRZ)が、第1ヒートの後半で「ちょっと突っ込んでしまった。2秒くらいロスしたかな」と言いながらも、1分46秒183のオーバーオールタイムをマーク。JAFカップとしては2022年以来3年ぶりとなる優勝を果たした。
2位には、「信州の雨は、死ぬほど走っていました。20年前ですけどね(笑)。丸和より走っていると思います。実際に今回走ってみて、その時の経験が生きていたと思います。ただ、このコースを知っているが故に、策に溺れた部分もありましたけど」という星野伸治選手(スバル・インプレッサ)が入賞。3位には、「借り物マシンのうえに、今回はドライタイヤしか持ってきませんでした(笑)。第2ヒートはコースに出た瞬間『これはさすがにヤバい』と思い、すぐ走るのをやめました」という國政九磨選手(スバル・WRX)が、第1ヒートのタイムで入賞した。
フォト/CINQ、友田宏之 [Hiroyuki TOMODA] レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



