全日本ダートラ第7戦でPN3竹本幸広選手とSC目黒亮選手が優勝でチャンピオン確定!

レポート ダートトライアル

2025年9月26日

全日本ダートトライアル選手権 第7戦「DIRT-SPRINT in INABE」が、9月20~21日に三重県のいなべモータースポーツランドで開催された。第6戦切谷内ラウンドから約2か月のインターバルを経て開催されたこのラウンドには、参加募集150台に対し164台がエントリー。14台が不受理となるほどの人気を集めた。

2025年JAF全日本ダートトライアル選手権 第7戦「DIRT-SPRINT in INABE」
開催日:2025年9月20~21日
開催地:いなべモータースポーツランド(三重県いなべ市)
主催:FASC、CCST、ZEST

 全8戦が組まれている今シーズンの全日本ダートトライアル選手権は、このラウンドを含め残すところあと2戦。D2クラスは前戦で田口勝彦選手が3年連続のシリーズチャンピオンを確定させているが、残るクラスは今回の結果次第でタイトルの行方が確定、あるいは最終戦へと持ち越しとなる。

 今シーズンの開幕戦以来、今年2回目の全日本開催となるいなべモータースポーツランドは、路面全体にしっかりと転圧がかけられ、開幕戦よりもフラットな路面コンディションに。前日から決勝日の朝方まで降った雨の影響により、第1ヒートが始まる前の路面は泥が覆うウェットコンディションだったが、終日強い日差しが照り続けたことにより、徐々に乾いていく状況に。各クラスとも、路面が完全に乾いた第2ヒート勝負となった。

全日本ダートラシリーズが終盤に差し掛かる中、参加定員を超えるエントリーがあった。
当日の朝まで雨が降った影響で序盤は泥主体の路面だったものの、それが次第に乾いていきトラクションがかかるようになった第2ヒートでの戦いとなった。
今大会では、新たなコーナーやセクションも設けられたほか、ダートトライアルでは珍しいパイロンシケインが置かれ、難易度が高いコースレイアウトが設定された。

PN3クラス

 PN3クラスは、第1ヒートでクラス唯一となる1分39秒台のタイムをマークした竹本幸広選手(トヨタ・GR86)が、第2ヒートでもそれまでトップにつけていた和泉泰至選手(トヨタ・GR86)のタイムを0.188秒上まわり、今シーズン3勝目を獲得。

 竹本選手とタイトルを争う小関高幸選手(スバル・BRZ)が両ヒートともパイロンペナルティが加算され下位に転落、公開練習で転倒を喫しながらも決勝第1ヒートでは2番手につけ、竹本選手に迫っていた徳山優斗選手(トヨタ・GR86)が、第2ヒートでは2位の和泉選手に1.015秒届かない3位に終わったため、竹本選手が今シーズンのシリーズチャンピオンを確定させた。

PN3クラス優勝は竹本幸広選手(YH・KYB・スラパ・GR86)。
両ヒートトップで優勝、ほっとした表情を浮かべる竹本選手。
2位は和泉泰至選手(DLクスコTEIN・GR86)、3位は徳山優斗選手(ADVANオクヤマFTGR86)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の佐藤秀昭選手、2位の和泉選手、1位の竹本選手、3位の徳山選手、5位の齊藤道夫選手、6位の畑窪琢巳選手。
最終戦を待たずに、3年連続3回目となるチャンピオンを確定させた竹本選手。

SCクラス

 SCクラスは、第1ヒートを制しタイトル確定に王手をかけた目黒亮選手(トヨタ・GRヤリス)が、第2ヒートもベストタイムを更新。「最も望む形でチャンピオンを獲得することができました。GRヤリスに乗り換えて、なかなかドライビングを合わせることができなかったのですが、今シーズンはセッティングもドライビングも良い方向に進化することができました」と第3戦から続く5連勝を達成し、今シーズンのチャンピオンを確定させた。

 2位には、昨シーズンのチャンピオン亀田幸弘選手(スバル・インプレッサ)が入賞。「走っていた感じでは手応えがあったんだけど……、反省ですね」と第2ヒートは0.086秒のタイムダウンに終わった上村智也選手(三菱・ランサーエボリューションX)が3位だった。

SCクラス優勝は目黒亮選手(CUSCO DL GRヤリス)。
両ヒートベスト、かつライバルに1秒以上の差をつけて優勝した目黒選手。
2位は亀田幸弘選手(YH栗原オート企画インプレッサ)、3位は上村智也選手(JURANitzzYHランサー)。
SCクラスの表彰式。左から4位の坂田一也選手、2位の亀田選手、1位の目黒選手、3位の上村選手、5位の吉村修選手、6位の大西康弘選手。
第3戦から5連勝し、2022年以来3回目となるチャンピオンを確定させた目黒選手。

PNE1クラス

 今シーズン、3戦目のクラス成立となったPNE1クラスは、第1ヒートを制した内藤聡選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、第2ヒートでベストタイムを一気に約19秒短縮。2位以降を4秒近く引き離し、今シーズン2勝目を挙げるとともにシリーズポイントランキングのトップに立った。

 1分41秒台の攻防戦となった2位争いは、「昨年の西フェス(JMRC西日本ダートフェスティバル)で勝って以来、このコースは好きなコース。とにかく踏みまくりました(笑)」という田口和久選手(ホンダ・フィット)が入賞。太田智喜選手(トヨタ・プリウス)を0.105秒かわし、2位田口選手の0.138秒差につけたハンター大谷ヒロシ選手(スズキ・スイフトスポーツ)が3位に入賞した。

PNE1クラス優勝は内藤聡選手(アオイATSカヤバDLスイフト)。
両ヒートでライバルを圧倒して勝利し、クラスランキングトップにたった内藤選手。
2位は田口和久選手(MSHブレインズDLS+FIT)、3位はハンター大谷ヒロシ選手(DLワコーズWMスイフトAWK)。
PNE1クラスの表彰式。左から4位の太田智喜選手、2位の田口選手、1位の内藤選手、3位のハンター大谷ヒロシ選手。

PN1クラス

 PN1クラスは、第1ヒートのパイロンペナルティを第2ヒートでリカバリーした良本海選手(マツダ・デミオ)のタイムがなかなか更新されない展開が続く中、前戦でシリーズランキングトップに立った南優希選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、「今日勝つかどうかで最終戦の戦況が変わるので、イケると思い精一杯走りました」とベストタイムを更新。今シーズン3勝目を獲得した。

 2位に良本選手、3位には第1ヒートトップの北原栄一選手(日産・ノートNISMO S)が入賞した。また、南選手とタイトルを争うディフェンディングチャンピオンの飯島千尋選手(スズキ・スイフトスポーツ)が4位に入賞したため、タイトルの行方は次戦の最終戦に持ち越されることとなった。

PN1クラス優勝は南優希選手(DLスノコ藤大ミカサスイフト)。
第2ヒートで逆転し、2位以下に0.7秒以上の差をつけて勝利した南選手。
2位は良本海選手(DLワンズターンSPMデミオ)、3位は北原栄一選手(YHテインFTセラメタNOTE)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の飯島千尋選手、2位の良本選手、1位の南選手、3位の北原選手、5位の工藤清美選手、6位の本道治成選手。

PN2クラス

 PN2クラスは、「インターバルの間にクルマの仕様を変えて、それが自分のフィーリングにピッタリ合いました」という張間健太選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、両ヒートでベストタイムを叩き出す走りで今シーズン3勝目を獲得。第5戦と第6戦で連勝を飾った奈良勇希選手(スズキ・スイフトスポーツ)が2位に入賞したため、チャンピオン争いは次戦の最終戦に持ち越されることとなった。

 また、張間選手と奈良選手とタイトルを争っていたディフェンディングチャンピオンの佐藤卓也選手(スズキ・スイフトスポーツ)が3位に入賞したが、有効ポイントではタイトル争いから脱落することとなった。

PN2クラス優勝は張間健太選手(DLクスコWM・ラブカスイフト)。
両ヒートベストで完勝した張間選手。今シーズン3勝目だがチャンピオン争いは最終戦までもつれ込んだ。
2位は奈良勇希選手(ブリッドDLレプソルスイフト)、3位は佐藤卓也選手 (DLΩKYBオクヤマ・スイフト)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の小山健一選手、2位の奈良選手、1位の張間選手、3位の佐藤選手、5位の増田拓己選手、6位の執行信児選手。

Nクラス

 Nクラスは、「まだ納得のいく走りではないけど、70~80%くらいはGRヤリスを乗りこなせるようにはなってきたと思います」という今シーズンからトヨタ・GRヤリスを駆る浦上真選手が、ドライ路面の第2ヒートで逆転、今シーズン初優勝を飾った。0.332秒差の2位に岸山信之選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞し、シリーズランキングトップに浮上。「前日の公開練習から調子が良く、まだまだ改善していかなければならないのですが、いろいろな制御が介入しないようなドライビングができるようになってきました。まだまだ伸び代があると思います」というトヨタ・GRヤリスDATを駆る杉尾泰之選手が3位に入賞した。

 また、岸山選手とタイトルを争う宝田ケンシロー選手(トヨタ・GRヤリス)は、第2ヒートでベストタイムを更新しつつも、パイロンペナルティが加算され幻のベストタイムに。第1ヒートトップの細木智矢選手(三菱・ランサーエボリューションX)は、第2ヒートでクラッチが切れないトラブルが発生し、6位でゴール。山崎利博選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)は8位に終わり、タイトル確定は次戦に持ち越されることとなった。

Nクラス優勝は浦上真選手(EXDHKサービスDLヤリス)。
「今回は、少しでも爪痕を残せて良かった」と優勝の喜びを語る浦上選手。
2位は岸山信之選手(BRIDE☆DL☆GRFヤリス)、3位は杉尾泰之選手(フォルテックオクヤマ小松ヤリス)。
Nクラスの表彰式。左から4位の伏見浩二選手、2位の岸山選手(代理)、1位の浦上選手、3位の杉尾選手、5位の松井啓史選手、6位の細木智矢選手。

SA1クラス

 SA1クラスは、第6戦切谷内を制しシリーズランキングトップに立った渡辺知成選手(ホンダ・シビック・タイプR)が第1ヒートのトップに立ち、タイトル確定に王手をかける。一方、渡辺選手と同じく今シーズン2勝を獲得しているディフェディングチャンピオンの河石潤選手(スズキ・スイフトスポーツ)は、ゴール直前の左コーナーで転倒。ノーポイントでこのラウンドを終えた。

 勝負所となった第2ヒートは、第6戦切谷内で今季初優勝を飾った葛西キャサリン伸彦選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、「この大会に向けしっかりとタイヤテストを行い、いなべの路面に合わせたダンパーをセットアップしてきました」と、第2ヒートでベストタイムを更新。渡辺選手、河石選手と並ぶ今シーズン2勝目を挙げ、チャンピオン争いは次戦に持ち越されることとなった。2位には、「シケインでミスしてしまったのですが、そこから開き直って走ったのが良かった。ホントは勝ちたかったんですけどね。最終戦で頑張ります」という花見誠選手が入賞。昨年の若き近畿チャンピオンの倉持陣之介選手(三菱・ミラージュ)が、第1ヒートで河石選手と同じコーナーで転倒するものの、第2ヒートまでに修復を果たしてスタート。3位に入り、うれしい全日本初表彰台を獲得した。

SA1クラス優勝は葛西キャサリン伸彦選手(YHATSGCSWIFTRSK)。
「第2ヒートはタイヤ選択に自信を持って挑めたのが勝因だったと思います」と語る葛西キャサリン伸彦選手は今シーズン2勝目。
2位は花見誠選手(YHガレージクロノススイフト)、3位は倉持陣之介選手(FUAC☆ミラージュハッチ)。
SA1クラスの表彰式。左から4位の渡辺知成選手、2位の花見選手、1位の葛西キャサリン伸彦選手、3位の倉持選手、5位の北淳選手、6位の松岡修司選手。

SA2クラス

 SA2クラスは、タイトル奪還を狙う浜孝佳選手(三菱・ランサーエボリューションIX)がコースアウト。浜選手の車両を引き上げるのに時間を要し、スタート地点で30分ほどスタンバイとなった2年連続チャンピオンを狙う岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションIX)は、「集中を切らすことはなかったのですが、第2ヒートの路面に合わせることができませんでした」と4位。チャンピオン確定とはならなかった。

「いなべが自宅から近いこともあって、大会に向けて自信がつきすぎて逆にプレッシャーになるくらい練習しました」という三浦陸選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が逆転で優勝。SA2クラス移籍後の初優勝を飾った。

 2位には、「師匠の北村さんを超えることができたのが、素直にうれしい」という松原実選手(三菱・ランサーエボリューションX)が入賞。3位には、「タイヤ選択が難しい路面だったね」というベテランの荒井信介選手(三菱・ランサーエボリューションX)が入賞した。

SA2クラス優勝は三浦陸選手(YHレプソル藤大ミカサランサー)。
混沌とした展開を制してうれしいクラス初勝利を飾った三浦選手。
2位は松原実選手(DLプロテック男義ランサー)、3位は荒井信介選手(クスコADVANWMランサー)。
SA2クラスの表彰式。左から4位の岡本泰成選手、2位の松原選手、1位の三浦選手、3位の荒井選手、5位の北村和浩選手、6位の三枝光博選手。

D1クラス

 D1クラスは、第6戦で今シーズン2勝目を挙げ、山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)に1点差でシリーズランキングトップに立ったパッション崎山選手(トヨタ・MR-S)が、「高速コーナーに苦手な意識があったんですけど、勝つことができて良かったです。最終戦のタカタに向けても、良い感じで挑めると思います」と、第2ヒートを豪快に攻め逆転優勝。チャンピオン確定に王手をかけた。

 ディフェンディングチャンピオンの山崎選手は、「自力チャンピオンの可能性はないけど、こうなったら連続2位でチャンピオンを目指します(苦笑)」と今年5回目となる2位に入賞。3位には、全日本デビュー戦の伊東拓海選手(トヨタ・スターレット)が、ドライ路面の第2ヒートを豪快に攻め入賞した。

D1クラス優勝はパッション崎山選手(DL☆ラブカ☆テインMRS)。
“魔改造”MR-Sを駆って今シーズン3勝目を挙げたパッション崎山選手。
2位は山崎迅人選手(YHマックスゲンシンミラージュ)、3位は伊東拓海選手(TRSクルーズYHスターレット)。
D1クラスの表彰式。左から4位の山下貴史選手、2位の山崎選手、1位のパッション崎山選手、3位の伊東選手、5位の志村雅紀選手、6位の多門寛晃選手。

D2クラス

 D2クラスは、第2ヒートで谷田川敏幸選手(スバル・BRZ)がトップに立ち、今シーズン初優勝に期待がかかったが、前戦で今シーズンのチャンピオンを確定させた田口選手(三菱・ランサーエボリューションX)が逆転。今シーズン5勝目を獲得した。

「勝ちたかったのは確かだけど、いろいろとセッティングを煮詰めて0.1秒差までつめることができたのは良かった。最終戦も、頑張りますよ」という谷田川選手が2位。第1ヒートであわやクラッシュという激しい走りをみせた炭山裕矢選手(三菱・ミラージュ)が3位に入賞した。

D2クラス優勝は田口勝彦選手(HKSランサーエボリューション)。
すでに今シーズンのチャンピオンを確定させている田口選手が両ヒートを制して勝利。
2位は谷田川敏幸選手(トラストADVANクスコBRZ)、3位は炭山裕矢選手(ZEALbyTSDLミラージュ)。
D2クラスの表彰式。左から4位の江川博選手、2位の谷田川選手、1位の田口選手、3位の炭山選手、5位の田辺剛選手。

PHOTO/CINQ、大野洋介[Yousuke OHNO] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

ページ
トップへ