全日本ダートラ切谷内ラウンドでD2クラス田口勝彦選手の3年連続シリーズチャンピオンが確定!
2025年7月25日

今シーズンも残すところ3戦となった全日本ダートトライアル選手権。その第6戦となる「東北ダートトライアル IN KIRIYANAI」が、梅雨明け間もない2025年7月19~20日に青森県五戸町のサーキットパーク切谷内で開催された。
2025年JAF全日本ダートトライアル選手権 第6戦「2025年東北ダートトライアル IN KIRIYANAI」
開催日:2025年7月19~20日
開催地:サーキットパーク切谷内(青森県五戸町)
主催:MSCはちのへ、AKITA
全国的に厳しい暑さが続き、これから夏本番を迎えるという時期となる中、全日本ダートトライアル選手権は早くもシリーズ終盤戦へと突入しており、各クラスでチャンピオン争いと来シーズンのシードゼッケン争いが熱を帯び始めている。
サーキットパーク切谷内のコースは、コンパクトなレイアウトで長いストレートはほとんどないが、細かいアップダウンや路面のうねりに加え、道幅が狭いところと広いところの差も激しく、非常にテクニカルなコースとなっている。また、場所によっては走行を重ねるごとに上層の砂利が掃け、タイヤのブラックマークがつくほどの超硬質ダート路面が顔を出すため、路面のグリップ変化にも注意が必要だ。
天候に恵まれた今大会は、第2ヒートで完璧なドライコンディションになり、エントリー台数が規定に満たなかったためにクラス不成立となったPNE1クラスとPNE2クラスを除く全9クラスで白熱したべストタイム更新合戦が繰り広げられた。


D2クラス
D2クラスは、前日の公開練習でトップタイムをマークした鎌田卓麻選手(スバル・BRZ)が「チャンピオンを獲得するには、残りを全部勝つしかない」と第1ヒートでもトップを奪う。しかし、第2ヒートに入ると今大会で優勝すればチャンピオンが決定する田口勝彦選手(三菱・ランサーエボリューションⅩ)が「今回は公開練習からクルマのセッティングというかバランスがあまり良くなくて苦労したんだけど、走るたびにチームがセッティングを合わせてくれて、何とか第2ヒートでアジャストできたという感じです」と、最後の最後でベストタイムを更新。今季4勝目を挙げるとともに3年連続となるシリーズチャンピオンを確定させた。
2位には「ちょっと後半にミスをしてしまったのでそれが悔やまれますが、それがなくても田口選手のタイムに届いていたかどうかというところですね」という炭山裕矢選手(三菱・ミラージュ)が入賞。「チャンピオンは決まってしまいましたが、残り2戦もしっかりと戦っていこうと思います」という鎌田選手が3位となった。





PN1クラス
今大会最多となる19台のエントリーを集めたPN1クラスは、切谷内がホームコースの工藤清美選手(ホンダ・フィット)が第1ヒートからベストタイムを奪い主導権を握る。第2ヒートは第5戦エビスで今季2勝目を挙げ勢いに乗る若手の南優希選手(スズキ・スイフトスポーツ)がベストタイムを更新するものの、「新コーナーまでの距離感やギア選択を第1ヒートで確認して、第2ヒートでしっかりアジャストして走れました。それなりに良い走りができたんじゃないかなと思います」という工藤選手が南選手を0.324秒差でかわし、今季初勝利を獲得した。
2位になった南選手は「優勝はできませんでしたが、ミスを恐れずに積極的に攻めることができたと思います」と納得の走りで、シリーズランキングでは首位に立った。3位には、「工藤選手や南選手と同じことをしても勝てないと思っていたので、あえて彼らとは違うタイヤ選択をしました」という内山壮真選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、今季初表彰台を獲得した。




PN2クラス
PN2クラスは、第5戦エビスで今季初勝利を挙げた奈良勇希選手(スズキ・スイフトスポーツ)が第1ヒートでクラス唯一となる1分37秒台のタイムでトップに立った。続く第2ヒートでも「ほぼ自分のイメージどおりに走れたと思います。切谷内に来る前に足まわりのセッティングを中心にいろいろとテストを重ねてきたので、それが良かったんだと思います」と、再びクラス唯一となる1分33秒台のタイムを叩き出し、完勝した。
2位には「今回は奈良選手が速かったですね。僕も限界まで攻めたんですが届きませんでした」という切谷内がホームコースの佐藤卓也選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入り、3位には「苦手なコースだったんですが、多少克服できたかなと思います」という今季出場した全戦で表彰台を獲得している張間健太選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入っている。PN2クラスは今回の結果を受け、チャンピオン争いもこの上位3選手に絞られることとなった。




PN3クラス
PN3クラスは、ここまで2勝している徳山優斗選手(トヨタ・GR86)と1勝のみだが全戦で表彰台を獲得している竹本幸広選手(トヨタ・GR86)のふたりが同ポイントでシリーズランキングを走っていた。「前戦のエビスではホームコースで逆転負けという悲しい結末となってしまったので、今回はメチャクチャ気合いを入れてきました」という竹本選手が、第1ヒートでトップを奪い、第2ヒートでは2位を1.7秒以上離す会心の走りを披露し、今季2勝目を挙げた。
徳山選手も「公開練習からイマイチ乗れていなくて、そこから考えるとそれなりに立て直せたと思います」と、苦しみながらも2位を獲得。3位には「第1ヒートは攻めすぎてタイムを落としていたので、第2ヒートは少し抑えて走ったら抑えすぎてしまった」という小関高幸選手(スバル・BRZ)が入り、4戦連続となる表彰台を獲得し、シリーズ争いにも望みをつないだ。




Nクラス
Nクラスは、切谷内のコースを良く知る東北の浅沼賢志選手(三菱・ランサーエボリューションⅨ)が第1ヒートを制した。だが、第2ヒートに入ると「正直なところ切谷内は全日本の中でも一番苦手なコース。でもここで勝てなければ今シーズンのチャンピオンはもう無理だと思っていたので、絶対に落とすことのできない一戦でした」という細木智矢選手(三菱・ランサーエボリューションⅩ)がクラス唯一となる1分28秒台のタイムを叩き出し、念願の今季1勝目を挙げた。
2位には、「ミスはなかったので単純に走り負けですね」という岸山信之選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞。3位には「前半区間でリズムに乗れなかったのが良くなかったです」という山崎利博選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)が入った。
細木選手はこれでシリーズランキングでもトップとなり、岸山選手が6ポイント差の4位、山崎選手が4ポイント差の2位となっている。




SA1クラス
ここまでの5戦で4名の勝者を出している混戦模様のSA1クラス。第2戦タカタで全日本初優勝を獲得した若手の渡辺知成選手(ホンダ・シビック・タイプR)が「切谷内はあまり走ったことがないコースなので、経験値的にかなり不安ではあったんですが、路面は僕の好きな丸和に近い印象だったので、ちゃんと自分のドライビングができれば何とかなるかなと思っていました」と、第2ヒートでベストタイムを更新。「第2ヒートは僕も結構うまく走れたと思っていたんですけどね。どこでそんなに離されてしまったのかちょっと後で検証しないとダメですね」という今季2勝の河石潤選手(スズキ・スイフトスポーツ)を0.496秒差で抑え、渡辺選手が河石選手に並ぶ2勝目を挙げた。
3位には「今回は朝から熱中症で倒れてしまい、そこからの3位なのでうれしいです」という古沢和夫選手(三菱・ミラージュ)が入賞、第5戦エビスからの連続表彰台となった。




SA2クラス
第2戦タカタと第4戦スナガワで優勝している岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションⅨ)と、第3戦丸和と第5戦エビスで勝利している浜孝佳選手(三菱・ランサーエボリューションⅨ)のふたりが2勝ずつ挙げているSA2クラス。第1ヒートは岡本選手が制するも、第2ヒートでは浜選手が「第1ヒートはちょっとコースの習熟度が甘くて、攻めた走りができていませんでした。そのため、第2ヒートに入る前に何度もビデオを見返しました」とクラス唯一の1分27秒台のタイムで快走。「第1ヒートと同じ所でミスをしてしまいました。完全に自分のミスですね」という岡本選手に競り勝ち、今季3勝目を獲得した。
3位には「上のふたりはちょっと速すぎるので別として、自分なりにはしっかりと走れたと思います。もう少し攻められた所もあると思いますが、路面も難しかったのでこんなところだと思います」というマイケルティー選手(三菱・ランサーエボリューションⅨ)が入賞。上位3台は奇しくも昨年とまったく同じ顔ぶれ、同じ順位となった。




SCクラス
開幕戦いなべから2連勝を飾っている上村智也選手(三菱・ランサーエボリューションⅩ)と、第3戦丸和から3連勝中と勢いにのる目黒亮選手(トヨタ・GRヤリス)がシリーズ争いの主軸となっているSCクラス。クラストップバッターの國政九磨選手(スバル・WRX)が第1ヒートを制したものの、第2ヒートに入ると第1ヒート4番手だった目黒選手が「攻められるところはきっちり攻めて、抑えるべきところはしっかり抑えて、かなり良い感じで走れたと思います」とベストタイムを更新。第2ヒートの逆転劇で、破竹の4連勝となった。
2位には「いやぁ悔しい! メチャクチャ悔しいです。今日はどうしても勝ちたかった」という上村選手が目黒選手から0.064秒差の僅差で入賞し、残り2戦での逆転チャンピオンに望みをつないだ。また、3位には今回の結果次第ではまだチャンピオンの可能性が残っていた坂田一也選手(三菱・ランサーエボリューションⅩ)が入賞したが、「今シーズンはミスやトラブルで、うまいこと嚙み合わなかったですね。頑張ってシリーズ3位は獲りたいです」と、シリーズ上位争いへと気持ちを切り替えることとなった。




D1クラス
D1クラスは、パッション崎山選手(トヨタ・MR-S)が2位に1.438秒という大差をつけて第1ヒートを折り返す。続く第2ヒートでも「前半区間でアウト側に大きく飛び出してしまってかなりロスをしてしまったんですが、そのあとも慌てず冷静に対処できたのが良かったのかなと思います」と、2位とのタイム差を1.531秒差に広げ、今季2勝目を獲得するとともに、シリーズランキングでもトップに浮上した。
2位には「切谷内は好きなコースなので、自分の走りで2位に入ることができて満足です」という深田賢一選手(ホンダ・シビック)が入賞した。3位には「今回は完璧にドライバーのミスです。残り2戦で何とか頑張ります」と、パッション崎山選手よりも先に2勝を挙げている志村雅紀選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入っている。
D1クラスは6名の選手がチャンピオン獲得の権利を持った状態で残り2戦を戦うこととなった。




PHOTO/CINQ、成田颯一[Souichi NARITA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]
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