オートランド千葉での関東ダートラ、S2の“異次元対決”を大橋邦彦選手が制す!

レポート ダートトライアル

2024年6月13日

2024年JAF関東ダートトライアル選手権は5月12日、千葉県に建つオートランド千葉ダートトライアルコース第1コースで第2戦が開催された。4月第1週に栃木県の丸和オートランド那須で開幕した2024シーズンの関東ダートラは、10月第1週の最終戦まで全7戦のシリーズが予定されている。丸和と、長野県のモーターランド野沢でそれぞれ3戦ずつが開催されるが、今季は千葉での一戦が2019シーズン以来となるシリーズに組み込まれた。

2024年JAF関東ダートトライアル選手権 第2戦
JMRC関東ダートトライアルシリーズ第2戦
DEVILトライアル2024 in千葉

開催日:2024年5月12日
開催地:オートランド千葉ダートトライアルコース第1コース(千葉県千葉市)
主催:DEVIL

 今季の関東ダートラの大きな話題のひとつが、全戦が地区戦と併催されるJMRC関東ダートトライアルシリーズに、初級者対象のチャレンジクラスが駆動方式別に2クラス設定されたことだ。地区戦以上の選手権対象クラスに参戦実績がないドライバーが対象で、シリーズチャンピオンには、12月8日に丸和で開催予定のJMRC関東ダートフェスティバルに無料で招待されて表彰される、という特典が用意されている。

 関東地区では丸和、野沢そして今回の千葉と、3コースそれぞれを舞台とした独自のシリーズも開催されているが、このチャレンジクラスは、そうしたシリーズを追いかけるビキナードライバーに対して地区戦と同時開催のクラスを設定することで、より実戦を走る機会を提供してスキルアップを図ってもらう、というコンセプトを兼ね備えたものだ。

 こうした動きを受けて今季の関東ダートラは開幕戦に続き今回の一戦も、慣熟走行を設けて実質的に3本走れるかたちとしている。これまでも丸和での一戦などでは、ウォームアップランとして決勝の前にコースの一部を走る枠を設けてきたが、決勝コースを3回走るというのは近年なかった試みだ。慣熟走行を設けるかどうかは主催者の判断に任せられるのだが、特にチャレンジクラスのドライバー達にとってこうした施策は有意義なものとなるだろう。

 第2戦の舞台となった千葉は昨季、千葉県ダートトライアルシリーズが久しぶりに復活したことでJAF公認競技会も本格的に再開された。しかし、競技会が開催されなかった期間も練習走行は可能であったため、今回の一戦が千葉初走行というドライバーはそれほどいなかった様子だ。ただ若手ドライバーの中には、千葉での実戦は初走行という例は珍しくなく、また地区戦に参加するベテランも久しぶりに走る千葉の地区戦ならではの勝負勘を久しぶりに思い起こすこととなった。

 コース設定は、林道区間と広場を何度か往復してフィニッシュという、いつもの千葉ならではの設定が採られた。天候は慣熟走行中に雨が降る一幕もあったが、決勝の間に降雨はなく路面も乾き出したため、2トライはタイヤ選択に頭を悩ますドライバーも多かったようだ。

コース手前の広場と奥の林道、趣が異なる2つのエリアで構成されていることも、オートランド千葉ダートトライアルコース第1コースの大きな特徴。広場はその名のとおり広いスペースに島が点在し、パイロンも組み合わせればテクニカルなレイアウトも組める(左)。生い茂る木々で暗くて道幅も狭く、土質が広場とは異なる林道はコース奥に縦横に走り、多彩なレイアウトを組むことができる(右)。
チャレンジクラスも併催されることも考慮されてか、林道コースは目いっぱい使わず比較的シンプルなレイアウトが採用された。
今回の一戦を主催し、オートランド千葉で数多くの競技会も主催してきた千葉県の加盟クラブ「デビルスポーツチーム(DEVIL)」の湯本敬代表。クラブ名は“デビル”だが、湯本代表は“鬼の湯本”とも呼ばれ、1991年JAF全日本ダートトライアル選手権CⅢクラスチャンピオンにも輝いている名手だ。

2024年JAF関東ダートトライアル選手権 第2戦
N1500&PN1クラス

 N1500&PN1クラスは5車種、7名のドライバーによるバトルとなったが、1トライはZC32S型スズキ・スイフトスポーツを駆る佐藤聖選手がただ一人、1分16秒台に入れてトップで折り返す。2トライでは路面状況が難しくなったのか、タイムアップする選手がいる一方でタイムダウンする選手も。佐藤聖選手も再び1分16秒台に入れてくるが、約0.3秒のタイムダウンとなってしまう。

 しかし佐藤聖選手のトップタイムは塗り替えられることのないまま、クラス最後のシードゼッケン、布施浩之選手がスタート。自らのタイムを1秒以上詰めて1分16秒台に入れてくるが、佐藤聖選手には約0.6秒届かず。結果、佐藤聖選手が逃げ切って今季初優勝を飾った。

 佐藤聖選手は「1本目は大きなミスもなく走れました。千葉では初めてウェットタイヤを履きましたが、クルマを前にうまく進める運転ができたと思います」と、勝負を決めた1トライの走りを振り返った。さらに「千葉での競技会は初めてですが、ここは練習会に通ってダートラのキャリアをスタートさせた場所なので、勝てて良かったです」と会心の笑顔を見せていた。

N1500&PN1クラスは両トライともトップタイムをマークした、佐藤聖選手(YHライン・カモメスイフト)が1トライのタイムで逃げ切り優勝した。
1トライは2番手タイムだったものの、佐藤聖選手に1秒以上の差をつけられたN1500&PN1の布施浩之選手(M’sYHタクミCFTスイフト)だが、2トライで順位は変わらなかったが1分16秒台に入れ、シードゼッケンを背負う意地を見せた(左)。1トライでは5番手だった鶴岡隆広選手(デミオ)だったが、2トライで1.6秒タイムアップを果たして3位に上げた。
N1500&PN1は左から、6位の佐藤稔選手(カモメ・ラインヴィッツ)、5位の長田尚士選手(メープルスポーツスイフト)、4位の石井亮丞選手(TRSヴィッツ)、3位の鶴岡選手、優勝した佐藤聖選手、2位の布施選手が表彰を受けた。

N1&PN2クラス

 N1&PN2クラスは、1トライからトップ5選手が約0.3秒の間にひしめく大接戦となった。しかしこのクラスも、2トライはわずかではあるがタイムダウン傾向が顕著になり、上位4選手は全員タイムダウン。1トライで1分15秒735のトップタイムをマークした、三島真太郎選手が松坂元樹選手を0.028秒差で抑えて優勝した。

 関西の大学自動車部で活動する有志が立ち上げた“藤原大学”チーム所属の三島選手は、京都コスモスパークがホームコース。2023年に就職で関東に移ったが、「関東はいろんなコースが走れるので楽しいです」と新たな土地で切磋琢磨中だ。「1本目は慣れないウェットタイヤを履いた割には、まずまずの走りができました。ワダチはコスモスの経験が少し役に立ったかもしれませんね(笑)」と僅差のバトルを振り返った。

PN車両のZC33S型スズキ・スイフトスポーツが多勢を占めるN1&PN2クラス。N車両のDC2型ホンダ・インテグラで孤軍奮闘した三島真太郎選手(FUAC☆YH☆インテグラ)が1トライのタイムで逃げ切って勝利を挙げた。
N1&PN2の2位と3位はZC33S型スイフト使いが占めた。2位は2023シーズンのランキング2位、松坂元樹選手(YHアングル2&4スイフト)。1トライで三島選手に僅差まで迫るベストタイムをマークした(左)。3位はクラスで2番目にスタートした八木信昭選手(ベーコンCBSスイフト)が獲得。やはり1トライのタイムがベストタイムだった(右)。
N1&PN2で表彰を受けた6選手。左から6位の山﨑純選手(FASWAKOSSWIFTSP)、5位の田村啓喬選手(TRS七転び八起きスイフト)、4位の小山健一選手(A DLベリティーMSスイフト)、3位の八木選手、優勝した三島選手、2位の松坂選手

PN3クラス

 PN3クラスは後輪駆動が対象のクラス。9選手が参戦したが、現行のZN8型GR86は2台のみで、残る7台はZN6/ZC6型のトヨタ86/スバルBRZが占め、関東ダートラはまだ初期型が主流だ。バトルの主導権を握ったのもこの初期型勢で、86の平井泰選手がまずは1トライのトップタイムを奪う。

 だが、2トライに入ると、骨折のため松葉杖で慣熟歩行を行った“イリエモン”こと入江慧士選手の86が、平井選手のタイムを約0.4秒凌いでトップに立つ。再逆転を狙った平井選手はタイムダウンに終わり、満身創痍の入江選手が優勝を果たすかと思われたが、入江選手とダブルエントリーしていたラストゼッケンの鈴木義則選手が一気に3秒以上のタイムアップに成功。土壇場で入江選手を約0.7秒かわして優勝を決めた。

「オーナーの意地で負けるわけにはいきませんでした(笑)」と安堵の表情を浮かべた鈴木義則選手は、「ここで86を走らせるのは初めてだったので、1本目は勝手が分からなかったけど、ドライタイヤに変えた2本目は、タイヤに合わせて走りを調整することができたので、ミスなくゴールできました」と大逆転劇を振り返った。

ダブルエントリーで同じ車両を操る、シードゼッケンを背負うふたりがトップを争ったPN3クラス。勝負は鈴木義則選手(YHファジーFORTECBRZ)が車両オーナーの意地を見せ、僅差で優勝を果たした。
2023年JAF東北ダートトライアル選手権の2WD-1クラスチャンピオンの入江慧士選手(いりえもん 鈴木さんレンタルBRZイエロー)が鈴木義則選手のZC6型スバルBRZを駆ってPN3で2位を獲得、駆動方式を問わない速さを見せた(左)。1トライでトップを獲った平井泰選手(YH・LOVCAおーとま86)は、さらなるタイムアップで勝利を狙った2トライで無念のタイムダウン、3位に終わった(右)。
PN3の表彰は左から、6位の淺尾真人選手(DLアクト・アスPAOGR86)、5位の橋本憲司選手(M’s・セラメタYH86)、4位の竹内輝仁選手(ファニースポーツBRZ)、3位の平井選手、優勝した鈴木義則選手、2位の入江選手が受けた。

N2クラス

 N2クラスの1トライは開幕戦で関東ダートラ初優勝を飾った中島明彦選手がただ一人、1分12秒台にタイムを乗せてトップで折り返すが、2トライはタイムダウンに終わってしまう。

 その2トライではシードゼッケン勢が速さを見せて、安藤輝明選手が1分12秒273をマークして逆転に成功。最後にスタートした昨季のチャンピオン、影山浩一郎選手も1分12秒台に乗せるが安藤選手には0.231秒届かず。「2本目でようやくドライタイヤの路面になってくれました。1本目に前輪をインに引っかけたので、2本目は集中してインを攻めたのが良かったと思います」と、振り返った安藤選手が今季初優勝を飾った。

4WDターボ車両がしのぎを削ったN2クラスでは、1トライでは3番手だった安藤輝明選手(YHオリジナルBOXランサー)が、2トライで1秒以上のタイムアップに成功し、逆転優勝を果たした。
N2のディフェンディングチャンピオン、影山浩一郎選手(itzzDLホリベSPランサー)の1トライは4番手タイム。逆転での今季初勝利を賭けた2トライでは安藤選手に約0.2秒及ばず、2位となった(左)ノーシード勢の中島明彦選手(YHワカバボーエムランサー)の1トライは好調でトップに立ったが、2トライではベストタイム更新を果たせず3位と2つ順位を落とした(右)。
三菱・ランサーエボリューションVIIIとIXを駆るドライバーがトップ4を占めたN2は左から、6位の田尻雄一選手(BSCフジノYHインプレッサ)、5位の神保俊宏選手(JパワーYHコサリックヤリス)、4位の細谷光弘選手(メープルYHセラメタランサー9)、3位の中島選手、優勝した安藤選手、2位の影山選手が表彰を受けた。

S1クラス

 S1クラスは唯一のシードドライバー、平川慶一選手が1トライから2番手以下を1秒以上も突き離すトップタイムをマークして貫録を見せる。2トライに入るとEP82型トヨタ・スターレットを駆る鈴木陵太選手が、平川選手と同じ1分14秒台に入れてくるが届かず。ラストゼッケンの平川選手はウイニングランとなったが、自らのベストタイムには約0.3秒及ばなかったため、1トライのタイムで優勝をさらうことに。

 昨季までの愛車、CJ4A型三菱・ミラージュから乗り換えたZC33S型スズキ・スイフトスポーツのデビューウィンを開幕戦で飾り、これで二連勝の平川選手は、「スイフトも、ようやく慣れてきました。今日は1本目ダメだった所を修正できたので、2本目の方が走りは良かったと思いますが、路面が荒れてきたのでタイムアップできなかったんだと思います」とコメント。

 若手の平川選手は千葉でのJAF公認競技会は初走行だったが、「動画でここを走った人達のインカーを見返して、速い人達の特徴的な走りを真似てみたら、勝てました(笑)」と“予習”の成果を勝因に挙げていた。

S1クラスは第1戦を制した平川慶一選手(メープルスポーツYHスイフト)が、1トライでマークした今回の一戦に参戦した2WD勢でトップのタイムで開幕二連勝。「ようやく慣れてきました」と謙遜するも、新たな愛車でのシーズンを最高のかたちでスタートした。
車種のバラエティー豊かなS1の2位と3位は20世紀に製造された“旧車”勢が占めた。2位はターボを搭載したEP82型トヨタ・スターレットGTを駆ってトップタイムまで約0.6秒差に迫った鈴木陵太選手(TinkプロμDLスターレット)が獲得(左)。優勝した平川選手も昨季まで乗っていた、CJ4A型三菱・ミラージュを操る杉浦忠洋選手(BF-AベリティMSミラージュ)が両トライとも3番手タイムで3位となった(右)。
S1で表彰を受けた上位6選手。左から6位の塩田一雄選手(オータムTRSミラージュ)、5位の坪井亮介選手(アピア湖北MS白馬スイフト)、4位の渡邉知成選手(DLクスコWMシビックDRBA)、3位の杉浦選手、優勝した平川選手、2位の鈴木陵太選手。

S2クラス

 12選手が挑み、この一戦で最激戦区となったS2クラスのバトルは、北島広実選手が1トライで2番手以下を2秒近く突き離す1分11秒717のスーパーベストをマークする、派手な展開で幕を開けた。

 2010年JAF全日本ダートトライアル選手権N3クラス王者のランエボマイスターは、昨季から地元・千葉のコース限定でダートラに復活。今季はたまたまホームコースで地区戦が開催されるということでスポット参戦してきたが、1トライの全体トップタイムを奪う速さを見せて健在ぶりをアピールした。

 しかし2トライで北島選手は痛恨のタイムダウン。だが、ライバルたちも1分12秒台までは詰め寄るも、逆転は果たせない。北島選手が優勝する気配が濃厚になる中、ラストゼッケンの大橋邦彦選手がスタート。するとシードゼッケンの意地を賭けた走りを見せたこのベテランは、土壇場で北島選手を0.367秒上回るタイムを叩き出してフィニッシュし、“異次元バトル”を制した。

「ドライタイヤに換えた2本目で、ようやく自分のイメージした走りができました。みんなインベタだったけど、何カ所か中途半端にインを攻めると掘れて危ない所があったので、そこは割り切って外して車速重視の走りに変えたんです」と、大橋選手は2トライの走りのポイントを教えてくれた。さらに「今日についてはやっぱり3本走れたことは大きかったですね」と感想も語った。

 一方の北島選手は、「ここでドライタイヤを使うことは想定していなかったので3本ともウェットタイヤで走りましたが、決勝の2本目はいつもの千葉の路面ではなかった。いい勉強になりました」と激戦を振り返った。

1トライではS2クラスの8番手に沈んだ大橋邦彦選手(YH大翔SRSボーエムランサー)だったが、タイヤを換えて走り方も変えた2トライで見事に復活。今回の一戦全体でも2番目に速いタイムをマークして逆転優勝をさらった。
地元・千葉の一戦で関東ダートラに復帰した、S2の北島広実選手(スマッシュDL RBACランサー8)は0.367秒差で優勝はならずも2位を獲得、衰えていない元全日本王者の速さを見せた(左)。第1戦では6位だった川村永二選手(RYPDL大翔堀部SPランサー)が2トライで2秒近くタイムアップして3位を奪取、今季初の表彰台に上がった(右)。
S2で表彰を受けた上位6選手はランエボ使いが占めた。左から6位の大隅幸博選手(侍・たまご入りランサー8RS)、5位の高橋昌宏選手(YHワコーズMテックランサー)、4位の赤羽政幸選手(メープルスポーツランサーエボ10)、3位の川村選手、優勝した大橋選手、2位の北島選手。

Dクラス

 今回の一戦の大トリを務めたDクラスは、開幕戦を制した森正選手が両トライともトップタイムをマークして盤石の二連勝。1トライでは北島選手に持っていかれた全体トップタイムも、「2本目はチョイスした細目のドライタイヤがいいフィーリングだったので、タイムアップできると思った」と、ただ一人1分10秒台を叩き出して奪回に成功。

「1本目は(クルマが)曲がらなくて。2本目は多少、路面が荒れてる感じはあったけど、それほど気にはならなかったね。ともかくオーバーオールが獲れて良かったです(笑)」と最後は安堵の表情を見せていた。

関東ダートラ最高峰のDクラスは昨季、2018シーズン以来のチャンピオンを獲得した森正選手(ベストYHモティーズランサー森)が今回の一戦で唯一の1分10秒台に突入して開幕二連勝。連覇に向けて好スタートを切った。
バルボリンカラーをまとうD車両を駆るカジロタダシ選手(RS未来ADVAN FTO)は両トライともDの2番手タイムを残して2位を獲得した(左)。3位にはやはり両トライともクラス3番手のタイムだった下屋敷勝弘選手(RYP*ほりべSPスイフト)が入った(右)。
Dは左から4位の渋谷修一選手(YHワコーズSRSランサー)、3位の下屋敷選手、優勝した森選手、2位のカジロ選手が表彰を受けた。

2024年JMRC関東ダートトライアルシリーズ第2戦
チャレンジ1クラス、チャレンジ2クラス

 注目のチャレンジ1クラスは、開幕戦から2戦続いて10選手を超えるエントリーがあり、バトルも白熱した。1トライのトップは、スターレットを駆って1番ゼッケンで走った青柳明日華選手。開幕戦で2位に入ったZC32S型スイフトをドライブする、大野俊介選手が0.165秒遅れで2番手に続いた。

 しかし、2トライに入ると1トライでは10番手に沈んでいた岩澤秀造選手が、「1本目で一番ダメだった所が改善できたので、タイムアップできた実感はあったんです」という走りで7.403秒もベストタイムを詰める1分18秒804をマークし、一気にトップに躍り出る。これに対して後続のドライバーたちは最後まで1分20秒の壁を破ることができないまま、バトルは終了。断トツのタイムで9台抜きを果たした岩澤選手がクラス初優勝を達成した。

 社会人1年生の岩澤選手のミラージュ、実は大学自動車部の先輩にあたる、S1を制した平川選手が昨季まで駆っていた車両だそうだ。「今日は少しだけ、クルマの速さを引き出せた感じですが、今後はもっとこのクルマのポテンシャルを生かす走りをしていきたいです」と岩澤選手は、さらなる飛躍を誓っていた。

 開幕戦は5選手が参戦したチャレンジ2クラスは、その開幕戦で3位を獲得した大山薫選手のみエントリーと、寂しい展開となった。しかし、大山選手は両トライともしっかり完走を果たしてポイントを持ち帰った。このクラスも次戦以降の盛り上がりを期待したいところだ。

チャレンジ1クラスでは、S1を制した平川選手から受け継いだミラージュを駆る岩澤秀造選手(初心者ビエノミラージュ)が1トライでの9番手から大逆転で優勝。同じ大学の自動車部出身の先輩・後輩が揃って勝利を挙げた。
チャレンジ1の2位と3位はZC32S型スイフトが占めた。1トライで2番手だった大野俊介選手(アクションスイフト)は2トライで2秒近くタイムアップさせたが、岩澤選手の強烈な挽回にはかなわず2位にとどまった(左)。第1戦で記念すべきこのクラスの初ウィナーとなった坂下文哉選手(トヨタカローラ新潟スイフト)は3位で二連勝はならず(右)。
チャレンジ1で表彰を受けた6選手。左から6位の青柳明日華選手(126選手になるぞスターレット)、5位の坂本勇樹選手(TAC-D☆FIT)、4位の黛学都選手(126選手になるぞスターレット)、3位の坂下選手、優勝した岩澤選手、2位の大野選手。
GDB型スバル・インプレッサWRX STIを駆る大山薫選手(KIT・インプレッサ)だけの参戦となってしまったチャレンジ2クラスだったが、大山選手は2トライではベストタイムを約1秒更新する走りを見せた。

フォト/田代康 レポート/田代康、JAFスポーツ編集部
※一部誤りがございましたので、修正を施して再公開いたしました。

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