全日本ラリー第7戦、JN-X天野智之/井上裕紀子組がタイトル連覇

レポート ラリー JAFWIM

2026年10月13日

全日本ラリー選手権 第7戦「MSCCラリー in 福島伊達 2026」が9月25〜27日、福島県伊達市周辺でマツダスポーツカークラブ(MSCC)の主催により開催された。かつて福島県では、同クラブが棚倉町やいわき市を拠点に全日本ラリーを開催してきたが、伊達市を拠点とするラリーは今回が初めてとなる。JN-Xクラスでは、天野智之/井上裕紀子組が勝利を飾り、タイトルが確定した。

2026年JAF全日本ラリー選手権 第7戦
MSCCラリー in 福島伊達 2026

開催日:2026年9月25〜27日
開催地:福島県伊達市、南相馬市周辺
主催:MSCC

 第7戦のMSCCラリー in 福島伊達 2026は、伊達市の保原総合公園を拠点に競技会本部(HQ)とサービスパークを設定。初日のLEG1は、SS1/4のRYOZEN(5.85km)、SS2/5のSHIONOMICHI(10.35km)、そしてSS3/6のNANATSUMORI Rev.(6.94km)の3ステージを走行する。

 LEG2は、初日のSS3/6を順走するSS7/11のNANATSUMORI(8.09km)、同じくSS1/4を逆走するSS8/12のRYOZEN Rev.(5.59km)、ギャラリー観戦エリアが設けられたSS9/10のKIBOUNOMORI(1.2km)を走行する構成で、2日間で全12SS、SS総距離76.04kmで争われた。

 各ステージとも中速コーナーが連続するセクションが多く、多くのドライバーは「トリッキーなコーナーが少なく走りやすいけど、逆にタイム差がつきにくいかも」と予想していた。しかし、LEG1は雨の影響でウェットコンディション。LEG2は早朝に雨が止んだもののウェット路面が残る難しいステージとなり、クラスによっては予想外の大差がつく結果となった。

伊達市の保原総合公園を拠点に競技会本部(HQ)とサービスパークを設定。伊達市での全日本ラリー開催は今回が初めてとなる。
2027年シーズンのJN-3クラス参戦を発表したHKSは、本格参戦に先立ち11月の最終戦MONTREにスポット参戦することも同時にリリース。サービスパーク内のHKSブースには“HKS GR YARIS”が横づけされており、新コンビ、田口勝彦/北川紗衣組の活躍が期待される。
セレモニアルスタートは、保原総合公園内に建つ伊達市の重要文化財“旧亀岡家住宅”の前で行われた。

JN-1クラス

 JN-1クラスは、新井大輝/立久井大輝組(トヨタ・GRヤリスラリー2)が、ラリー初日のSS1から好タイムを連発。ウェットコンディションの中、SS1~6のLEG1全ステージでベストタイムを奪い、2番手の鎌田卓麻/松本優一組(シュコダ・ファビアR5)に32秒差をつけて初日を終えた。

 3番手には勝田範彦/保井隆宏組(トヨタ・GRヤリスラリー2)がつけ、奴田原文雄/東駿吾組(トヨタ・GRヤリスラリー2)が、わずか2.5秒差で続いた。

 雨がやんだもののウェット路面が残るLEG2でも、新井大輝/立久井組の勢いは衰えない。SS8とSS12では勝田/松本組がベストタイムを奪ったものの、新井大輝/立久井組はSS7とSS9〜11でベストタイムを記録した。

「タイトル争いに関してはまだ確認していませんが、今回ここでしっかりと勝ち切れて良かったです」と話した新井大輝選手が、12SS中10SSでベストタイムをマークする快走で今季4勝目を獲得するとともに、シリーズランキングトップの座を奪い返した。

「トップに対してついていけるところは何が良くて、ついていけないところは何が悪かったのか、確認する必要がありますね」と、ベストタイムはなかったものの鎌田選手が57.3秒差の2位を獲得した。

 3位には「いいところなしだった気もするんですけど、徐々にペースを上げてベストを獲ることができて良かったです」と、LEG2では2本のベストタイムを記録した勝田/保井組が入賞した。

JN-1クラス優勝は新井大輝/立久井大輝組(R2R x YAHAGI GRヤリスラリー2)。
2位は鎌田卓麻/松本優一組(Castrol TEIN DUNLOPファビア)、3位は勝田範彦/保井隆宏組(ラックルーキーDLGRヤリスRally2)。
JN-1クラスセレモニアルフィニッシュの各選手。

JN-3クラス

 第6戦を終え、大倉聡/豊田耕司組(トヨタ・GRヤリスDAT)と山田啓介/藤井俊樹組(トヨタ・GRヤリス)が同点トップで第7戦を迎えたJN-3クラスは、山田/藤井組が初日のSS1から安定した速さを発揮。LEG1を終え、2番手の大倉/豊田組に34.8秒差をつける首位で折り返した。

 LEG2でも山田/藤井組はペースを崩さず、最終的には大倉/豊田組に59.3秒差をつけて優勝。シリーズランキングでも単独トップに躍り出た。山田選手は「まったく新しいラリーで、クルマのセットアップやペースノートをしっかりとアジャストしていかなければならなかったんですけど、そういった中で快勝できたのは、今までやってきたことの成果だと思います」と満足そうに話した。

 2位の大倉選手は「タイム差が大人と子供の喧嘩のようで悔しいですね。DATをもっと意のままに操れるようにならないと」と課題点を語った。

 3位争いでは、LEG1を4番手で終えた小泉敏志/加勢直毅組(トヨタ・GRヤリス)が、LEG2のオープニングとなるSS7で3番手に浮上。「新しいイベントでしたが、それなりにバラエティに富んでいて、天候の変化もあって面白いラリーでした」と話し、その後も着実にタイムをまとめ、開幕戦三河湾以来となる表彰台の一角をつかんだ。

JN-3クラス優勝は山田啓介/藤井俊樹組(FlT EASYソミック石川DLGRヤリス)。
2位は大倉聡/豊田耕司組(AISIN GR Yaris DAT)、3位は小泉敏志/加勢直穀組(MAYA DL クスコドリームドライブGRヤリス)。
JN-3クラスセレモニアルフィニッシュの各選手。

TOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cup

 JN-3クラスの中で展開されているTOYOTA GAZOO Racing MORIZO Challenge Cup(MCC)は、米林慶晃/菅野総一郎組(トヨタ・GRヤリス)と最上佳樹/小藤桂一組(トヨタ・GRヤリス)が僅差の接戦を繰り広げた。両者の勝負は、最終SSとなるSS12で決着。最上/小藤組が2.1秒リードで迎えたSS12では、「最後のSSが僕の得意なハイスピードステージだったので、全力で攻めました」という米林選手が、最上/小藤組より4.1秒速いタイムでフィニッシュ。トータルで最上/小藤組を2秒差で逆転し、第2戦佐賀以来となる今季2勝目を獲得した。

 惜しくも優勝を逃した最上選手は「ハイスピードステージには若干苦手意識があったし、ペースノートを一瞬ロストしてしまったところもあったので、この結果は仕方がないです」と悔しさをにじませた。3位には、第6戦を制した三枝聖弥/木村裕介組(トヨタ・GRヤリス)が44.5秒差で入った。

 また、女性ドライバー部門では、平川真子/冨本諒組(トヨタ・GRヤリスDAT)がSS1でターボトラブルによりレグを離脱。及川紗利亜/山本磨美組(トヨタ・GRヤリスDAT)はSS8でコースアウトという波乱の展開となる中、今橋彩佳/槻島もも組(トヨタ・GRヤリス)が女性部門トップでフィニッシュ。コンビ初となる最優秀女性ドライバー表彰となった。

MCC表彰は左から2位の最上佳樹/小藤桂一組、1位の米林慶晃/菅野総一郎組、3位の三枝聖弥/木村裕介組(左)。最優秀女性ドライバー表彰は今橋彩佳選手とコ・ドライバー槻島もも選手(右)。

JN-4クラス

 シリーズポイントで山本悠太選手を追いかける上原淳選手、曽根崇仁選手が欠場したJN-4クラスは、山本悠太/山本祐也組(トヨタ・GR86)がLEG1のSS2〜5で4連続ベストタイムを記録し、首位で初日を折り返した。2番手には、2リッターエンジンで健闘する渡部弘樹/横山慎太郎組(トヨタ・86)、3番手には山口清司/澤田耕一組(トヨタ・GR86)が続いた。

 LEG2に入ると、山口/澤田組がSS7、SS9、SS10でベストタイムを奪い、渡部/横山組との2位争いが激化。一方、首位の山本悠太/山本祐也組はSS8、SS11でベストタイムを記録してリードを守り切り、今季4勝目を飾った。

 山本選手は「今回のラリーは、自分の中でもリズム良く走ることができました。LEG2はマージンがあったのですが、レグトップポイントも獲りたかったので、抑えつつもバランス良くまとめることができたと思います」と嬉しそうに語った。

 2位には「LEG2はコンディションも良くなり、少しずつペースアップして順位を上げることができました」と話した山口/澤田組が入った。3位は「LEG2は最初のSS7で乗り切れなかったり、ギャラリーSSで刺さってしまいました。後半追い上げたんですが、負けてしまいました」と悔やんだ渡部/横山組が、山口/澤田組にわずか0.6秒差で入賞。最後まで緊張感のある表彰台争いとなった。

JN-4クラス優勝は山本悠太/山本祐也組(Sammy愛知トヨタKoneYHGR86)。
2位は山口清司/澤田耕一組(エナペタルADVAN久與GR86)、3位は渡部弘樹/横山慎太郎組(WinmaX CUSCO DL WURTH 86)。
JN-4クラスセレモニアルフィニッシュの各選手。

JN-5クラス

 JN-5クラスは、全日本ラリー4戦目の若手・高岡威/大倉瞳組(トヨタ・ヤリス)と有川大輔/梶山剛組(トヨタ・ヤリス)が序盤から接戦を展開。SS1では両者が同タイムを記録したが、その後は一進一退の攻防となり、LEG1終了時点では有川/梶山組が高岡/大倉組を5.9秒リードして初日を折り返した。

 しかし、LEG2ファーストステージのSS7から高岡/大倉組がペースアップ。有川/梶山組との差を逆転し、そのままトップを守って全日本初優勝を飾った。

 優勝の高岡選手は「地元の福島で勝てたことが、すごく嬉しいです。安定してトップ付近のタイムを出せたことが良かったと思います。チャンピオンの松倉(拓郎)選手を目指して、これからも頑張ります」と意気込んだ。

 2位は「次は最終戦のモントレーに出場します。しっかりと反省して、高岡選手を倒せるようにリベンジします」と語った有川選手が獲得。3位には「今回はペースノートがあまり良くなかったので、もっと改善していきたいです」と話した全日本2戦目のルーキー、炭山速斗/坂井理崇組(トヨタ・ヤリス)が入賞した。

JN-5クラス優勝は高岡威/大倉瞳組(ZACS DL Yaris)。
2位は有川大輔/梶山剛組(CUSCD WM DL TWR OTSヤリス)、3位は炭山速斗/坂井理崇組(FIT-EASY ZEAL DL YARIS)。
JN-5クラスセレモニアルフィニッシュの各選手。

JN-Xクラス

 JN-Xクラスは、天野智之/井上裕紀子組(トヨタ・RAV4 PHEV)がLEG1から安定した走りを披露。初日を首位で折り返すと、LEG2でも大きくペースを乱すことなくトップを守り切り、今季のシリーズチャンピオンを確定させた。

 2位には清水和夫/黒木美珠組(トヨタ・ヤリスHEV)が入り、TGRラリーチャレンジからXCRスプリントカップ、地区戦、県戦と毎週のようにラリーに出場する大塚祐樹/HANA組(トヨタ・ヤリスHEV)が3位に入賞した。

 天野選手は「今回は完走するだけでタイトルが確定という状況だったのですが、清水さんが想定以上に速くなってきているので、底力を感じました。僕も長い間ラリーをやってきていますが、清水さんは僕らが運転免許証を取得した頃から活躍してきた方で、清水さんが走っているビデオを見て勉強させてもらってました」と、モータースポーツ界で長く活躍する清水和夫選手への敬意を示した。

 長年にわたって全日本ラリーを走り続けてきた天野/井上組。大ベテランらしい強さと安定感を今季も改めて示した。

JN-Xクラス優勝は天野智之/井上裕紀子組(TRT DL RAV4 PHEV GR SPORT)。
2位は清水和夫/黒木美珠組(TCS YARIS HEV)、3位は大塚祐樹/HANA組(トゥーザコアメープルYHヤリスHV)。
JN-Xクラスセレモニアルフィニッシュの各選手。
JN-Xクラスは天野智之/井上裕紀子組がチャンピオンを確定した。

PHOTO/CINQ、大野洋介 [Yousuke OHNO]、中島正義 [Tadayoshi NAKAJIMA] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部 [JAFSPORTS]

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