その他の競技
JAF公認競技はレース(四輪)とラリー、スピード競技、カートに大別されます。中でも国内Bライセンスで出場できるスピード競技は、ジムカーナやダートトライアル、サーキットトライアル、ドリフト、オートテスト、ヒルクライムが代表的ですが、他にもドラッグレースやツイントライアル、オートクロス、ラリークロスがあります。
このスピード競技は、国内競技規則では「各車が定められたコース上を個別に走行し、個々の記録を順位判定の要素とする競技」と定義されています。
オートクロスやラリークロスは、見た目はレースですが「同一コースにおいて2台以上の車が同時に発走し、速度またはあらかじめ決められた時間内での走行距離が順位判定の決定的要素となる競技」というレースの定義からは外れるため、スピード競技になります。
ドラッグレースは、JAF公認競技としては「平坦な舗装路面の直線の一定競技区間を、停止状態から発進してその所要時間あるいは通過速度を争う競技」と定義されています。この直線の一定の競技距離は、1/4マイル(402.336m)または1/8マイル(201.168m)と定められていて、これが「ゼロヨン」と呼ばれている所以になります。
JAF公認競技は1964(昭和39)年に第1回JMSAドラッグレースが群馬県で開催された記録もあります。1990年代までは、仙台ハイランド日本ドラッグレースウェイやモビリティリゾートもてぎ、富士スピードウェイなどでイベントがおこなわれていました。
トップフューエルドラッグスターやファニーカーなど、本場の北米ではおなじみの改造車から、日本のスピードD車両や、ナンバー付きのスピードSA車両やB車両などで出場できますが、トップフューエル車両に乗るためには、国内Aライセンスを所持して、さらに国際ドラッグレース許可証(ドラッグレーシングライセンス)を取得する必要があります。
ツイントライアルは、JAF公認競技としては「2台の競技車両が2つの走路(等距離)を同時に走行して実施されるタイムトライアル」と定義されています。
1999(平成11)年からJAFの競技開催要項が施行され、独立した2つのコースはそれぞれ等距離に設定する必要があり、立体交差によって一つのコースとして連結するか、同じレイアウトのコースを2つ設定する、というコース設定方法が定義されています。
国内におけるツイントライアルは、栃木県の丸和オートランド那須や広島県のテクニックステージタカタで開催されたことがあり、愛知県のキョウセイドライバーランドでは、同じコースを2つ設定した模擬ツイントライアルが開催されたこともあります。
オートクロスは「未舗装を有する永久的または臨時的サーキットで行う競技」、ラリークロスは「路面が部分的に舗装された永久的なサーキットでおこなう競技」と定義されています。
実は、1979(昭和54)年からJAF公認競技として定義されていて、長らくFIA国際スポーツ法典付則M項の仮訳としてラリークロス規定とオートクロス規定がありました。
当時のラリークロス規定によれば「車両は少なくとも20秒から25秒以内の遅れでスタートする後続する別の競技車グループがあれば、そちらとともに、横に並列してスタートする。2つ以上の競技車グループは、同時にサーキットを走行することはできない」とあり、当時のオートクロス規定には「少なくとも2ヒート走行し、1ヒートの最小距離は2kmである。競技で最も速いタイムを出したドライバーが優勝者であり、そのタイムはヒートのどれか1つに記録されたものである」とありました。車両が一斉にはスタートせず各車の走行タイムを成績の判定要因とすることで、レースとの差別化を図っていたようです。
国内におけるオートクロスは、長野県のモーターランド野沢でJAF公認競技会が開催されていました。また、ラリークロスは、FIA世界ラリークロス選手権(WorldRX)などが有名で、北米で開催されていたラリークロスシリーズを原型に、欧州では地域選手権などもおこなわれています。国内においては、2018(平成30)年に福島県のエビスサーキット西コースで試験的な模擬ラリークロスがおこなわれました。