2018全日本ラリー唐津に参戦した”復活&デビュー組"に直撃インタビュー!

2018年5月11日

実質的な開幕戦となった全日本ラリー第2戦唐津には、新型マシンやチームなど、話題のニューカマーが多数参戦。ここでは、全日本ラリーの新顔たちの仕上がりぶりを聞いた!

2018年JAF全日本ラリー選手権第2戦
「Sammy ツール・ド・九州2018 in 唐津」
開催日:2018年4月6~8日 開催地:佐賀県唐津市周辺
主催:GRAVEL

全日本ラリー選手権第2戦唐津には、ニューマシンの投入を始め、新興チームの参入や名門チームの復活などが相次いだ。ここでは、そんなニューカマーたちの全日本ラリー参戦にかける思いを聞いた。

 モータースポーツ黎明期からラリー活動を続けている高崎正博氏率いるニッサンラリーサービス(NRS)が、全日本ラリーJN1に復活した。マシンはノートNISMO SのRPN車両で、ドライバーは全日本ラリー2輪駆動部門で2度のタイトルを獲得した高崎巧選手だ。
 まずはNRSの高崎正博氏に全日本ラリー復活の経緯を聞いた。
「これまで僕らはモータースポーツがメジャーになることを願って、日産のコンパクトカーでラリーをやってきました。日産は、約10年ぐらいのスパンで、ラリーで活躍する周期があるんですよ。我々が走らせたマーチやシルビアの後は空白でしたが、その後の10年、復帰のチャンスをうかがってました。
 マーチNISMO Sでやろうという思いもありましたが、思ったよりもクルマが軽すぎて見送ることになりました。そして、このノートNISMO Sが出たんです。早速乗ってみたら、マーチに比べて電子制御も良くなっていましたし、1.6リットルですし、岐阜のラリーに視察に行ったら、遅くないし、むしろ速いなという印象を受けたんです。
 重心が高いとかネガティブな話も聞きましたが、我々がやってきた、大きなコストを掛けずに競争力のあるクルマを作るという流れに適したクルマだと判断したんです」
 ノートNISMO Sというクルマは、普通に作ったらだいぶ軽くなってしまいました。そのため、ロールバーの点数を増やしたり、ガード類を肉厚の鋼板で作ったりして、規定の重量に合わせるために、車両製作の段階でかなり苦労しましたね。
 本当はレース車両みたいにバランスウェイトをしっかり設置できる規定になると、作る側としても苦労しないですし、その分、ユーザーの負担も減るんですけどね。
 今回の体制はNRSだけで、チームのメンバーが手弁当で運営します。大所帯になるとワークスっぽい雰囲気になってしまいますから、ウチみたいに仲間で集まったようなチームでも競争できるんだ、っていう所をアピールしていきたいですね」

全日本ラリーに復帰した高崎正博氏。2002年まではドライバーとして活躍し、旧2駆部門では5度のタイトルホルダーだ。

 そして、高崎正博氏の子息である高崎巧選手がドライバーを担当する。
「まだあまり距離を乗れていないのですが、サイドブレーキも使えますし、電子制御もあまり気になりませんね。現状では、急な路面変化に対するクルマの挙動を読み切れてません。でも、コーナー手前でしっかり姿勢を作ってやれば、変な動きはしませんね。
 初日はシフト関係のトラブルが出たので大事を取ってリタイアしましたが、すぐ修復できたので再出走しました。でも、レグ2は2本目辺りから3速に入りにくくなるトラブルが出てしまい、無理やり入れれば入る感じでしたが再びリタイアすることにしました。
 スポーツラジアルでラリーに出るのは初めてだったので、リアタイヤも使えるようになってきて、クルマも全体的に動かせるようになってきました。
 スポーツラジアルは、早めに舵が効いてくれるのはいいんですが、無理やり切ったり、切り足していくとアンダーが出てきます。  早めに姿勢を変えつつ、フロントが逃げないように切り足していくのがいいのか、それとも我慢するのか。その辺りが、今回走ってだいぶ分かってきましたね。
 久々のラリーで、しかも1ラリーで2回もリタイアするなんて散々でしたが、得られたものは多かったと思います」

NRSの高崎巧/馬場裕之組がノートNISMO SでJN1に復活。二度リタイアする苦しい結果だが、手応えは確かだった。

 そして、自動車ディーラーチームによる全日本ラリー参戦も大きなニュースだった。
 参戦してきたのは、名古屋トヨペットを核としたNTPグループによる「クルマ好きがモータースポーツを気軽に楽しむことを目的とした会員制組織」である「NAVUL(ナブール)」で、すでに、TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceや、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジに参戦していることで知られている。
 チームの指揮を執る名古屋トヨペットの兼重光弘宏氏によれば、
「今年は全日本ラリー選手権のJN4に、中村英一/大矢啓太組、JN2に長﨑雅志/秋田典昭組がトヨタ86で参戦します。
 両者とも、昨年のTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジのエキスパートクラスで、チャンピオンを獲得しましたので、ラリーチャレンジには参戦しながらも、チームとしては、次のステップに進むべきじゃないかという話が社内で持ち上がったんです。
 来年には日本でのWRC開催も予定されていて、中部地区も盛り上がっていますし、我々も何かできることはないか、という模索の中で今回の参戦が決まりました。
 地方選手権なのか全日本選手権なのかといった"次のステップ"を模索する話は2年ぐらい前から出ていました。我々は名古屋のディーラーなので、全国を飛び回る活動の意義がどこにあるのかという問題がありましたが、中村英一選手というベテランが関わっているということもあり、今回、全日本ラリーへの参戦が決まった次第です」

 ということで、真紅のRJ車両とRPN車両の86で参戦することになったNAVULチーム。新造したばかりのJN4仕様86のステアリングを握るのはベテランの中村英一選手だ。
「Sタイヤじゃないスポーツラジアルでのラリーが初めてだったので、それに慣れるのに時間が掛かりましたね。正直、舗装でのスピードの高さに驚きました。自分の速度もそうですが、トップ連中の速度域を考えると、とんでもないですね(笑)
 ドライのレグ2では、短いステージはそこそこいけましたが、ロングになるとかなり離されます。舗装での感覚を掴むまでに少し時間が掛かりそうです。でも、グラベルラリーになれば、だいぶ感覚も違うと思いますけどね。
 チームとしては両者とも今回は完走が目標でしたが、JN2の長﨑選手のほうが若いので、まだまだ伸びていくと思います。レグ2でも、初めて全日本の舞台に立った割にはいいタイムを出せてますから、とても期待してますよ」
 と語る中村選手。TGRラリーチャレンジ組のステップアップ先として期待されている全日本選手権。NAVULによる今回のプロジェクトが彼らの大きな指標になるだろう。

名古屋トヨペットNAVULのJN4担当はベテランドライバーの中村英一/大矢啓太組。緒戦はクラス5位で完走した。

名古屋トヨペットNAVULのJN2担当はTGRラリーチャレンジ出身の長﨑雅志/秋田典昭組。JN2の4位で気を吐く。

 2016年の全日本ラリー第5戦ラリー洞爺で起きたクラッシュで重傷を負った2015年JN3ドライバーチャンピオン岡田孝一選手が、デミオ15MBで復活。レグ1のSS3では、強者・天野智之選手に秒差で迫る2番手タイムをマークして存在感を見せ付けた。 「ずっとお世話になっている病院の先生が、ラリーに出られるように応援してくれて、今回のために自分の体を仕上げてくれたんです。
 今日も先生がサービスパークに来てくれて、ダメなようだったら診ますよって言ってくれてます(笑)。でも、座っていると尾てい骨が痛くて、まだまだ痛みは取れませんね。
 デミオ15MBは外径の小さいタイヤなので、ドライだったら、天野選手のご期待通りに勝負できるかなと思ってました。初日の序盤ぐらいの路面状況だったらイケるかなと思いましたが、その後は路面がズルズルだったので、攻めるのはちょっと厳しかったですね。  今年はずっと出る予定なので頑張りますよ!」
 と語る岡田選手。まだ体内に固定具を入れた状態で、ナビの多比羅二三男によればラリー中に苦悶の表情を見せることもあったそうだが、「完全じゃないですけど、大丈夫です。元気で明るく楽しい人生を送ってますから(笑)」と、サービスパークで気丈に振る舞った。

2016年の北海道ラウンド以来の復帰戦となった岡田孝一選手(左)。痛みをこらえた走りでJN3の3位を獲得。

 全日本ダートトライアル選手権の名門・オクヤマは、近年全日本ラリーに積極参戦しているが、今年はレーシングドライバー・いとうりな選手を起用して、全日本ラリーJN1をヴィッツGR SPORTのCVT車両でシリーズ参戦することになった。
 全日本ラリーではグラベルでもイキのいい走りを見せてきたいとうりな選手。TGRラリーチャレンジではアクアでの参戦経験もあるが、今回は我慢のラリーとなったようだ。
「このCVT車はタイムラグがあったりして、音を聞いている限りは速く感じるんですが、実際のスピードには繋がっていない印象です。CVTの特性に合わせたセットなどを、もっと煮詰めていかないといけないなと思っています。
 高い車速域にもっていければ、すごく速いクルマなんですよ。小さなコーナーが続いて、ブレーキ&アクセルが続くような操作になるとタイムラグが目立ってしまうんです。
 普通のMT車と同じタイミングでは苦しいので、そのラグを先読みして操作を前倒しするのか、それとも、もっと違うスムーズな走らせ方があるのか……。
 今回はドライビングの改造も含めて色々考えながらのラリーになりました。TGRで乗っていたアクアのCVTとも感触が全然違いましたから、ヴィッツ独自の走らせ方やセッティングを見付けていかないと、という感じです」

オクヤマ謹製のヴィッツGR SPORT(CVT車両)を駆るJN1いとうりな/竹原静香組。緒戦は”我慢のラリー”で6位完走。

 Bライ競技の名門、田嶋伸博氏率いるモンスタースポーツ設立40周年企画で、ZC33Sスイフトスポーツを使った、モータースポーツ振興プロジェクトが今年から始まった。
 全日本ジムカーナではPN2に小林伸人選手、全日本ダートラではPN2に河石潤選手が新型スイフトスポーツを駆り、すでに高いポテンシャルを示しているが、全日本ラリーでその一翼を担うのは、昨年のJAF東日本ラリー選手権BC3で初のドライバーチャンピオンを獲得した西川慎太郎選手だ。今年はナビゲーターが本橋貴司選手に代わり、全日本ラリーJN4に挑戦する。
「レグ1を走って、全日本の方々とのウデの差を痛感しましたので、クルマに慣れるというか、自分のスキルアップのために切り替えて、どうすれば速く走れるのか、ステージごとに次の課題を考えてトライ&エラーを繰り返した感じです。
 レグ2では同じ道でタイムを10秒短縮できたりしたので、まだまだ伸び代があるクルマであることを実感しました。ナビの本橋さんはスイフトスポーツに乗っている方なので『まだいける』という感触があったようです」
 ストリート出身の西川選手はこれまで後輪駆動を操ってきており、東日本ラリーでは86で参戦していた。全日本はおろか、前輪駆動でのラリー参戦は初体験ということもあり、緒戦となった唐津では、挙動が掴みやすいグラベル仕様での挑戦となっていた。
「でも、今回の”グラベル足”では、車速が上がってくると揺り返しの量が多くなってきて、どうしようもなくなってきました(笑)。クルマが軽いということもありますが、車速が乗り切ってないのでラインも選べる状態だったので、ターマック用サスへの変更も含めて今後の課題が少しずつ見えてきました」
 と語る西川選手。サービスパークには田嶋伸博氏も激励に訪れたが、このプロジェクトはモータースポーツをエンジョイすることを目的としているそうなので、初物づくしでもがき苦しむ西川/本橋クルーの成長ぶりにも注目したいところだ。

新型スイフトスポーツで全日本ラリーに挑む、モンスタースポーツ40周年企画で参戦した西川真太郎/本橋貴司組。

第2戦レグ1のステージとなった唐津市北部の林道では、曇り空から降雨や降雪が交互に現れる驚きの天候に見舞われた。

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