タイヤ2スペック制の導入で今年のスーパーフォーミュラはエキサイティングな1年になりそうだ

2018年5月25日

 4月に鈴鹿サーキットで開幕した全日本スーパーフォーミュラ選手権は、今季も多くの強豪選手やチャンピオン経験者、そして若手ドライバーと、国内トップフォーミュラにふさわしく実力派が顔を揃え、走行のたびに緊迫した雰囲気がサーキットを覆っている。

 その全日本スーパーフォーミュラ選手権では、一昨年から横浜ゴムがワンメイクタイヤのサプライヤーとなった。初年度は第4戦・もてぎのみ、ミディアムとソフトという2スペックのタイヤを投入。昨年は、同じくもてぎに加え、オートポリス戦でも2スペックが採用された。そして、3年目となる今季は、全戦で2スペック制を導入。昨年末の合同テスト/ルーキーテストから、今季投入する予定となっていた新たなソフトタイヤをテストしている。

 この新ソフトタイヤは、昨年仕様以上にコンパウンドが柔らかく、横浜ゴムがレースをより面白くするため、あえて“持たないタイヤ”として作ったものだ。その後、ノックアウト予選では、Q1が従来通りのミディアム、Q2以降はこのソフトタイヤでアタックが行われるということも決まった。

 その予選でまず見所になったのは、新しいソフトタイヤで一体どれだけタイムが伸びるのかというポイント。テストは寒い時期に行われる上、セッション最後にオーバーテイクボタンを使用できるという、予選とは違う条件もあるため、レコードタイムが出たといってもそれほど参考にはならない。

 だが、今季はいざ開幕すると、鈴鹿こそコンディション的にレコードが出なかったものの、第2戦・オートポリスでは小林可夢偉選手がQ2で、これまでのレコードを約コンマ4秒更新してみせた。ところが、その小林選手がQ3で失速。わずかな路面温度低下の影響もあったのか、大きくタイムを落とした。ここには、新ソフトタイヤのセンシティブさがあったのかもしれない。ただ、今後の予選でも、新ソフトタイヤに関してはタイムが大いに注目されるポイントだ。

 また、決勝レースでは、そのソフトタイヤをどれだけ性能低下なく持たせられるかがひとつの鍵であることもハッキリしてきた。残念ながら、オートポリスの決勝は雨と霧のために中止。“タイヤに厳しい”と言われるオートポリスのコースで、新ソフトタイヤがどれぐらい持つのかは、誰もが知りたかったところだ。

サイドに赤いラインが入ったタイヤがソフト。観客席からも識別できるよう工夫が凝らされている。

 だが、同じくタイヤへの負荷が高いと言われる鈴鹿ではソフトを使いこなし、24周に渡って持たせた関口雄飛選手が予選14番手から2位入賞という離れ業を演じている。関口選手は後半のミディアムでも好ペースをキープし、表彰台に上がった。両方のタイヤに対して、いかにセットアップを煮詰められるか。これが今後、各チームにとっての課題でもあり目標でもある。開幕前テストの時から、チームによって、またドライバーによって、「ミディアムの方にセットアップが合っている」、「ソフトの方にセットアップが合っている」と、さまざまな意見が聞かれたからだ。

 ただし、この時点では各チームともにデータが不足していたという部分もある。今後、データが増えるにしたがって、各エンジニアが両スペックのタイヤに対する解を見つけ始めるのだろう。しかし、週末を通して走行時間が限られているというのも事実。金曜日に専有走行が設定されていることから、各大会に対し各ドライバーは2セットずつ、前大会からタイヤを持ち越すことができるが、そのタイヤを使いわずか1時間でセットアップの確認を行っている状況だからだ。

 その持ち越しタイヤに関してさらに言うと、今年は“ニュータイヤでもOK”というチーム間合意ができている。つまり、前大会の予選でQ2、Q3に進出できなかった場合、まったく新品のソフトタイヤを持ち越すことができるようになった。これにより、土曜日のフリー走行で予選シミュレーションをすることができるドライバーが数名出てきている。このあたりも、タイヤの使い方としてはひとつの見所。前大会の予選で振るわなかったドライバーが、次の大会では土曜日朝の段階で一度ソフトを試せることになり、予選で大きくポジションを上げてくることも可能になるからだ。

 また決勝では、サーキット特性によって、レース距離によって、スタート時に装着するタイヤやピットインの周回数など、各チームの戦略に今まで以上の幅が出るはず。来季以降、さらに新たなスペックが投入されるのかどうかも含め、2スペックタイヤが全日本スーパーフォーミュラ選手権の見所を増やしているのは間違いない。

シリーズ序盤はまだタイヤのキャパシティが読みきれない段階。後半戦はタイヤ戦略がさらに重要なものになるかもしれない。

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