3年ぶり開催のF1オーストラリアGP、初挑戦の角田裕毅選手は苦しいGPに

レポート レース

2022年4月22日

FIAフォーミュラ1世界選手権(F1)で2シーズン目を迎えた角田裕毅選手(アルファタウリ)。彼にとって初挑戦となった第3戦オーストラリアGPは15位でフィニッシュ、苦戦を強いられたGPウィークとなった。

2022年FIAフォーミュラ1世界選手権 第3戦
オーストラリアグランプリ

開催日:2022年4月8~10日
開催地:アルバート・パーク・サーキット(オーストラリア・メルボルン)

 2022年のF1第3戦の舞台となるオーストラリア・メルボルンに設けられた市街地コース、アルバート・パーク・サーキットでのF1開催は、2019年以来。新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で、これまで欧州や北・中・南米での開催に限られてしまっていたが、状況も少しずつ良くなり、ようやくオセアニア地域での開催にこぎつけた。

 そして、サーキットはレイアウトが一部変更された。中盤にあった、かつてはターン9、ターン10と呼ばれていたシケイン状のセクションが緩やかなコーナーに変わり、より高速レイアウトとなった。

 3年ぶりの開催であることと、第2戦に続く市街地コースということで路面も埃っぽく、金曜日のフリー走行1回目ではスピンやコースオフを喫するドライバーが後を絶たなかった。角田選手はこのサーキット初挑戦だったのだが、初日から順調な走りを見せた。フリー走行1回目で11番手につけると、フリー走行2回目では最多周回数となる30周を走破し、12番手タイムを記録した。

「このコースを走るのは初めてなので、どこが変わったとかは僕にはわからないですけど、楽しく走れています。序盤から良いペースを発揮することができて、そのまま1日を過ごすことができました。でも、まだ改善の余地が残っており、僕自身もまだまだ詰めていけると思っています。チームとともに全てのエリアで限界まで高めていって、予選ではより良いパフォーマンスを出したいです」。(フリー走行2回目後の角田選手のコメント)

 迎えた土曜日の予選。直前のフリー走行3回目でも順調な走りをみせ、トップから0.9秒差の10番手につけた角田選手。前戦のサウジアラビアGPではトラブルで予選・決勝ともに走れずじまいとなっただけに、フリー走行で築いた良い流れに乗ることを狙って、予選に臨んだ。

 Q1はウィリアムズのニコラス・ラティフィ選手のアクシデントで赤旗中断になるなど、波乱の展開になった。それでも限られた時間でしっかりとタイムを出した角田選手は13番手でQ1を突破。続くQ2でもタイムを更新したものの、トップ10圏内のタイムには届かずQ3には進めず。13番グリッドで決勝に臨むこととなった。

「今日はトップ10の中に入るだけのパフォーマンスを出すのが難しい状況でした。Q1からQ2にかけてクルマのフィーリングが変わってリアの動きが難しくなり、それに合わせ込むのに苦労しました。何が起こったのかをしっかりと振り返り、決勝ではポイントを獲得できるようにがんばりたいです」。(予選後の角田選手のコメント)

 日曜日の決勝では、13番グリッドから積極的に前を行くライバルを攻略しようと仕掛けていった角田選手。フェラーリのカルロス・サインツ選手や、昨季の最終戦でもバトルを繰り広げたアルファロメオのバルテリ・ボッタス選手と、サイド・バイ・サイドのバトルを演じた。

 オープニングラップでポジションを2つ上げた角田選手は、11番手でレース前半を進めていく。18周目にピットに向かったが、交換した新タイヤで思うようにペースを上げることができず、レース中盤は15番手を走行。さらにハースの2台にも抜かれてしまう、苦しい展開に陥った。

 ライバルの脱落などもあり、最終的に角田選手は15位でフィニッシュ。順調に見えたフリー走行から一変、予選では車両の変化に対応できずQ2敗退、決勝でもペースを上げることができず、入賞圏内からは遠い位置を争うレースとなってしまった。

「今日はペースがなく、レースを通して苦戦しました。こうした事が、また起こらないように、原因を突き止める必要があります。特に相手のクルマにDRSを使われた時は、ポジションを守るのが難しい状況でした。今回は全てにおいてパフォーマンスが不足していましたが、これが現状です。次のレースで改善できるように前を向いて進んでいきたいです」。(決勝終了後の角田選手のコメント)

前戦サウジアラビアGPでは予選も決勝も競うことさえ叶わなかった角田裕毅選手(アルファタウリ)。その雪辱を期して臨んだオーストラリアGPだったが、予選は13番手で決勝は順位を下げて15位。ペースを上げられなかった原因を解決して、第4戦に臨みたい。

 優勝争いでは、フェラーリのシャルル・ルクレール選手の躍進が続いた。予選ではただ1人、1分17秒代のタイムを叩き出してポールポジション(PP)を獲得。決勝ではホールショットを決めるとトップの座を一度も譲ることなく、ファステストラップも記録して今シーズン2勝目。さらにPP、全周回トップ、ファステストラップと優勝の4つを獲得する、自身初の“グランドスラム”を達成する完勝となった。

 角田選手と同じ、レッドブル・パワートレインズのパワーユニットを積むドライバーたちは、チームメイトのピエール・ガスリー選手は予選11番手から追い上げて9位でフィニッシュ。昨季のドライバーズチャンピオンで二連覇を狙う、レッドブルのマックス・フェルスタッペン選手はフロントロースタートだったものの、開幕戦とは異なる車両トラブルで戦線離脱。しかし、チームメイトのセルジオ・ペレス選手が粘り強い走りで2位表彰台を獲得した。

 第4戦は欧州に戻り、イタリアのイモラ・サーキットでのエミリア・ロマーニャGP。F1を初めて駆った想い出があるサーキットでの、角田選手の挽回に期待したいところだ。

角田選手のチームメイト、ピエール・ガスリー選手は今季初のQ2敗退を喫して11番グリッドからスタート。セーフティーカー導入直前にピットインしてしまう不運で順位を落とすが9位まで挽回して、ポイントを獲得した。
レッドブルは前戦を制したマックス・フェルスタッペン選手が車両トラブルでリタイア。3番手スタートだったチームメイトのセルジオ・ペレス選手が孤軍奮闘、2位で今季初めての表彰台に登壇した。

フォト/ホンダ・レーシング、Red Bull Content Pool レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部

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