名古屋OJAが圧倒的強さでチーム王座を確定! 個人タイトル争いは最終戦へ

レポート Eスポーツ

2026年9月25日

UNIZONE e-Motorsport LEAGUE 2026は、8月29日に行われたRd.4で終盤戦に突入し、タイトル争いも佳境を迎えた。昨シーズンに続いて圧倒的な強さを見せる名古屋OJAに対し、ランキングで追従する遠州ハママツモータースやSaishunkan Sol 熊本が、最終戦を前にどこまでポイント差を縮められるかが見どころとなった。

UNIZONE e-Motorsport LEAGUE 2026 Rd.4
開催日:2026年8月29日
開催地:岩手馬コレーシング:ビッグルーフ滝沢 アクティブルーム(岩手県滝沢市)、遠州ハママツモータース:浜松市浜北文化センター3F大会議室(静岡県浜松市)、恒志堂レーシング北海道:恒志堂ガレージ(北海道札幌市)、Saishunkan Sol 熊本:eスポーツ高等学院クマモトeスタジアム(熊本県熊本市)、東京ヴェルディレーシング:e-Create Space AIM SASAZUKA supported by KEIO(東京都渋谷区)、名古屋OJA:コミュファ eSports Stadium NAGOYA(愛知県名古屋市)
主催:JeMO

 全5大会で争われるEモータースポーツ国内リーグのUNIZONEはRd.4を迎えた。チームランキング首位を独走する名古屋OJAは、Rd.3を欠場した武藤壮汰選手が復帰。小此木裕貴選手と1号車をシェアして参戦し、石野弘貴選手は758号車でRd.4の各レースに挑む体制となった。

 ランキング2番手の遠州ハママツモータースは、助っ人として福永龍我選手を起用。UNIZONE初参戦となる福永選手が小出峻選手とタッグを組んだ。またSaishunkan Sol 熊本では、UNIZONE初年度からチームに所属する荒川麟選手が今シーズン初参戦。上位チームのドライバー構成にも変化が見られた。

Rd.3終了時点で個人ランキング3番手につける齊藤祐太選手と、開幕戦以来のUNIZONE参戦となる小川颯太選手の2名体制で臨む岩手馬コレーシング。
遠州ハママツモータースはUNIZONE初参戦の福永龍我選手を起用。実車ドライバーの小出峻選手とともに、名古屋OJAの独走に待ったをかける役割を担う。
長和樹選手、加藤達彦選手、岡本大地選手で構成された恒志堂レーシング北海道。ここまでのラウンドで苦戦しているだけに、まずは表彰台獲得を目指す。
Saishunkan Sol 熊本は荒川麟選手が今シーズンUNIZONE初参戦。個人ランキングで上位につける黒沢和真選手との連携にも期待が集まった。
e-Create Space AIM SASAZUKA supported by KEIOを拠点とする東京ヴェルディレーシングは、木村偉織選手がRd.4の全レースに出場。佐々木光選手と兒島弘訓選手が交代で参戦した。
名古屋OJAはRd.3を欠場した武藤壮汰選手が復帰。石野弘貴選手、小此木裕貴選手とともに3名体制で臨んだ。SKE48メンバーによる女性eスポーツチーム「amshy」も応援に駆けつけた。
山中智瑛氏と杉本イムテイアーズアモンド卓弥氏が実況・解説を担当。今回は新たな試みとして生配信を行わず、大会翌日の20時からYouTubeプレミア公開を行う方式が採用された。
7月下旬に発生した令和8年熊本地震の被災地の復興を願い、各チームの参戦車両には「がんばろう熊本」の文字がフロントガラスバナーやリアウイングに掲げられた。

予選タイムアタック

 スプリントレースのグリッドを決める予選タイムアタックは、日本のモータースポーツファンにも馴染み深い鈴鹿サーキットで行われた。車両は4車種のGT3マシンから選択する方式だったが、iRacingの標準BoP(Balance of Performance)の影響もあり、全チームがFord Mustang GT3を選択した。

 早めにコースインした名古屋OJA勢がいきなりの好タイムを記録する。武藤選手が1分57秒645をマークすると、石野選手も1分57秒804で続いた。鈴鹿サーキットとGT3マシンの組み合わせでは、セットアップの違いがタイムに表れやすいのか、ほかのチームはなかなか1分58秒台を切ることができない。

 結局、名古屋OJAの1-2体制を崩すドライバーは現れず、武藤選手がポールポジションを獲得。そして名古屋OJA勢以外で唯一1分57秒台に入れた岩手馬コレーシングの齊藤祐太選手が1分57秒925で3番手につけた。

鋭いアタックを見せてポールポジションを獲得した武藤選手。今シーズンは欠場したRd.3を除き、すべての予選タイムアタックでトップを獲得している。

スプリントレース①

 5周で争われるスプリントレース①は、GT3マシンを使用して鈴鹿サーキットで行われた。スタンディングスタートから、上位陣は予選順位通りのポジションで1コーナーへ進入。6番手スタートからジャンプアップした佐々木光選手(東京ヴェルディレーシング)は、2コーナー進入に4番手の黒沢和真選手(Saishunkan Sol 熊本)と接触し、コースアウトを喫した。

 上位4台の順位に変化はなかった一方、後方では9番手スタートの小出選手(遠州ハママツモータース)が、恒志堂レーシング北海道の長和樹選手と加藤達彦選手とのバトルを展開。長選手をかわして6番手を狙う小出選手だったが、その隙を8番手の加藤選手に突かれる。加藤選手が7番手に浮上すると、長選手もその間にギャップを広げた。

 レースはトップ4台の順位が予選時から変わらず、名古屋OJAが1-2フィニッシュ。2台で29ポイントを獲得し、チームタイトル獲得へ前進した。一方、小出選手とのバトルを制して7番手でフィニッシュした加藤選手は、レース後に荒川選手(Saishunkan Sol 熊本)との接触についてペナルティが科され、5秒加算により9位となった。

上位に各チームのカラーリングが並ぶ中、1-2フィニッシュを決めた名古屋OJA。2台で29ポイントを獲得し、Rd.4でのチームタイトル確定に向けて大きく前進した。

スプリントレース②

 車両とコースはそのままに、リバースグリッドを採用し、7周に増えたスプリントレース②。ポールポジションは小川颯太選手(岩手馬コレーシング)。スタートでは2番手の加藤選手(恒志堂レーシング北海道)が好スタートを決めて小川選手に迫ったが、小川選手がイン側をブロックしてトップのまま1コーナーへ進入した。

 4番手スタートの福永選手(遠州ハママツモータース)はスタートで出遅れ、後方の東京ヴェルディレーシング勢が福永選手の両サイドから追い抜きを狙う。しかし、木村偉織選手と佐々木光選手が寄せ合う形で交錯。姿勢を乱した2台が福永選手を挟む形でクラッシュし、東京ヴェルディレーシングは同士討ちとなった。

 2周目に入ると小川選手の背後に小出選手(遠州ハママツモータース)が迫り、その後ろに恒志堂レーシング北海道の2台が続く。さらに11番手スタートの石野選手(名古屋OJA)が5番手まで浮上。さらにヘアピンでは長選手(恒志堂レーシング北海道)のインに飛び込み、石野選手は4番手にポジションを上げた。

 その勢いのまま加藤選手にも仕掛けた石野選手だったが、加藤選手も巧みなブロックで応戦。3番手以下の車間が一気に詰まる展開となった。5周目のヘアピンでは7番手の齊藤選手(岩手馬コレーシング)が5番手の武藤選手(名古屋OJA)に追突。スピンした武藤選手はサスペンションを破損し、勝負権を失った。

 同じ周のシケインでは石野選手が再び加藤選手に仕掛けたが、ここでも接触。加藤選手がスピンし、石野選手が3番手に浮上したものの、この接触により齊藤選手と石野選手にはそれぞれ10秒加算のペナルティが科された。

 トップ争いでは、小出選手が小川選手との間隔を詰めていたものの、6周目にステアリングのパドルシフターが動作不良となり、シフトアップができないトラブルが発生。小川選手が7周を逃げ切り、UNIZONE初のトップチェッカーを受けた。今シーズンから参戦する岩手馬コレーシングにとっても初優勝となった。

 2位にはトラブルを抱えながら完走を果たした小出選手が入賞。3位にはペナルティによる繰り上がりで黒沢選手(Saishunkan Sol 熊本)が入った。

小川選手自身、そして今シーズンから参戦の岩手馬コレーシングにとっても、スプリントレース初優勝となった。

スプリントレース③

 SNSでの選手人気投票の結果をもとにグリッドを形成するスプリントレース③では、東京ヴェルディレーシングの木村選手が最多票を集め、ポールポジションを獲得。2番手には昨年のチャンピオン・武藤選手(名古屋OJA)、3番手に加藤選手(恒志堂レーシング北海道)が続いた。

 木村選手の背後につけ、オーバーテイクの機会をうかがっていた武藤選手だったが、1周目のヘアピンで恒志堂レーシング北海道の2台が先に両脇から仕掛けた。イン側の加藤選手が立ち上がりで姿勢を乱し、武藤選手を押し出す形となる。

 この混乱を突いてポジションを上げたのが小川選手(岩手馬コレーシング)と小出選手(遠州ハママツモータース)だった。この2台のバトルは2周目の1コーナーで小出選手が小川選手をパスしたことで決着がつき、小出選手がスプリントレース②での雪辱を果たした。

 SNS人気投票グリッドのスプリントレース③で毎ラウンド強さを見せる東京ヴェルディレーシングが今回もレースを制するかと思われたが、2周目の130Rで木村選手がまさかの単独クラッシュを喫する。マシンにダメージを負い、トップの座を小出選手に明け渡した。

 トップに立った小出選手はそのまま逃げ切り、9ポイントを獲得。2番手に小川選手、3番手に石野選手(名古屋OJA)が入ったが、両選手はレース後のペナルティによって順位を下げた。その結果、恒志堂レーシング北海道の長選手が繰り上がって3位となり、チームそして自身にとって初のUNIZONE表彰台を獲得した。

猛追する後続集団を抑え切り、小出選手が優勝。スプリントレース②でのデバイストラブルを乗り越え、借りを返す形となった。

スプリントレース④

 スプリントレース④ではコースと車両を変更。F1イタリアGPの舞台でもあるモンツァ・サーキットを、国内最高峰フォーミュラマシンのSF23で走る、Eモータースポーツならではの興味深い組み合わせとなった。しかし期待とは裏腹に、スタート直後の第1シケインで大きなアクシデントが発生する幕開けに。

 9番手スタートの加藤選手(恒志堂レーシング北海道)と10番手スタートの兒島弘訓選手(東京ヴェルディレーシング)の接触をきっかけに、3番手以降の車両が次々と巻き込まれた。車両ダメージを逃れたのは、トップ2台の名古屋OJA勢、4番手スタートの黒沢選手(Saishunkan Sol 熊本)、5番手スタートの木村選手(東京ヴェルディレーシング)、11番手スタートの福永選手(遠州ハママツモータース)のみという大混乱となった。

 1-2のポジションを得た名古屋OJA勢は、無駄なバトルを避けて1号車の小此木選手、758号車の石野選手が順位をキープ。そのままチェッカーを受け、1-2フィニッシュを達成した。3位には黒沢選手が入った。

序盤の大きなアクシデントにより、名古屋OJAの独壇場となったスプリントレース。バトルすることなく、小此木選手、石野選手のオーダーでレースを走り切った。

スプリントレース⑤

 最終レースとなるスプリントレース⑤は、スプリントレース④と同じ車両・コースのフォーマットで、8周で争われた。ポールポジションの小川選手(岩手馬コレーシング)は好スタートを決めたものの、第1シケインでブレーキングポイントを誤ってコースオフ。

 代わってトップに立った長選手(恒志堂レーシング北海道)を、第2シケイン立ち上がりで木村選手(東京ヴェルディレーシング)がパスした。さらに小出選手(遠州ハママツモータース)も続き、トップ争いは実車のスーパーフォーミュラへの参戦経験を持つプロドライバー同士の争いとなった。

 2周目の第2シケインでは、小出選手が立ち上がりの加速勝負で木村選手との間隔を詰めたものの、木村選手の加速が鈍ったことで車間を調整しきれず、小出選手がスピン。その後方では小川選手と石野選手(名古屋OJA)の接触をきっかけにマルチクラッシュが発生し、齊藤選手(岩手馬コレーシング)や加藤選手(恒志堂レーシング北海道)も巻き込まれマシンにダメージを負った。

 そんな中、最後尾から圧巻の追い上げを見せたのが小此木選手(名古屋OJA)だった。5周目には第2シケインで木村選手をかわしてにトップ浮上。その後は一気にギャップを築き、スプリントレース④に続く連勝を飾った。木村選手が2位、黒沢選手(Saishunkan Sol 熊本)が3位でフィニッシュした。

わずか8周のレースで最後尾から追い上げ、優勝を遂げた小此木選手。速さに加え、接触を避けながらライバルをかわすレース運びでも存在感を示した。

エキシビションマッチ

 エキシビションマッチには、UNIZONEドライバー各チーム1名、JeMOが独自に発行するUNIZONEライセンスホルダー2名、UNIZONEチーム推薦ドライバー6名、JeMO招待ドライバー2名の計16名が参戦した。車両にはグローバルマツダMX-5カップを使用し、コースはアメリカのシャーロット・モータースピードウェイを選択。UNIZONEでは初となるオーバルレースとなり、前回に続いて2レース制で争われた。

 オーバルコースのレースでは独特の駆け引きが求められるが、2列で隊列を組んで走行することは見た目以上に難しく、各ヒートで大きなクラッシュが発生した。一見すると誰にでもチャンスがあるように思えるレースだが、荒川選手(Saishunkan Sol 熊本)が第1レース2位、第2レースで優勝と、連続して表彰台を獲得。両レースとも最終的に上位で生き残ったのはUNIZONEドライバーが中心で、オーバルレースならではの難しさを感じさせるエキシビションとなった。

エキシビションマッチの第1レースでは、小川選手と荒川選手がサイド・バイ・サイドのままフィニッシュ。両者の差はわずか0.003秒差だった。
第2レースでは荒川選手、小此木選手、長選手のUNIZONEドライバー3名に、UNIZONEチーム推薦ドライバーの渡邊優陽選手が加わった4台によるトップ争いとなり、荒川選手がこれを制した。

会場拠点レポート「遠州ハママツモータース」

 UNIZONE参戦チームの中でも、地域を巻き込んだ活動を積極的に展開している遠州ハママツモータース。これまでも飲食店や人通りの多いショッピングモールなど、さまざまな場所を参戦拠点としてきたが、今回のRd.4では浜松市浜北文化センターの一室を拠点にレースへ臨んだ。

 会場にはレース参戦用のシミュレーター2機に加え、来場者が体験できるシミュレーター1台、そしてシミュレーターで操作するR/Cカー体験も用意された。レース観戦だけでなく、来場者が実際にモータースポーツを体験できる場となっていた。

 また大会終了後には、EHMドライビングレッスンと題した、シミュレーターを使用したレッスンを開催。本戦に出場した小出選手や福永選手に加え、チームアンバサダーの脇阪寿一氏も参加し、26名の参加者にレッスンを行った。

 UNIZONEを通じて地域のファンを増やすとともに、拠点とする浜松市の交通事故撲滅を掲げる遠州ハママツモータース。その活動を象徴するような会場となった。

チームリリースによると会場には105名が来場し、地元チームを応援。小・中学生の姿も多く見られた。
司会は村松未波氏、コメンテーターはチームアンバサダーの脇阪寿一氏、解説は昨年選手として参戦したシミュレーターショップKMR代表の田中健太氏が務め、会場を盛り上げた。
大会終了後にはシミュレーターレッスンや選手トークショー、シミュレーター体験など、チーム独自の催しを実施。幅広い世代の来場者が体験や交流を楽しんだ。

 予選タイムアタックと5回のスプリントレースを合わせた総合ポイントでは、ランキング首位の名古屋OJAがRd.4で82ポイントを獲得し、合計350ポイントに到達した。一方、ランキング2番手の遠州ハママツモータースは37ポイントの獲得に留まり、合計194ポイント。

 この結果、1ラウンドで獲得できる最大ポイント数を上回る差がついたため、名古屋OJAが最終戦を残してUNIZONE 2026シーズンのチームチャンピオンを確定させた。

 個人ランキングでは、Rd.4で最多ポイントを獲得したSaishunkan Sol 熊本の黒沢選手がランキング首位との差を縮めた。ランキング首位の石野選手をはじめ、武藤選手、小此木選手、黒沢選手、齊藤選手、小出選手、百瀬翔選手の計7名が個人タイトル獲得の可能性を残して最終戦を迎える。

 ランキングトップ3を独占したいという名古屋OJAに対し、ライバル勢がどこまで食い下がることができるのか。チームタイトルをすでに手中に収めた名古屋OJAが、個人ランキングでも上位を独占するのか。最終戦は個人タイトル争いを中心に、さらに激しい戦いとなりそうだ。

Rd.4で82ポイントを積み上げた名古屋OJAが最終戦前に早くもチームチャンピオンを確定させ、2連覇を達成。最終戦では個人順位の争いに注目したい。

今村壮希[Souki IMAMURA]、UNIZONE、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/岡田衛[Mamoru OKADA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

ページ
トップへ