王者不在ながら名古屋OJAが他チームを圧倒!

レポート Eスポーツ

2026年7月9日

JAFが唯一公認するEモータースポーツ国内リーグ「UNIZONE e-Motorsport LEAGUE 2026」の第3戦が6月27日に開催された。ドライバーズポイントランキングで首位を独走する名古屋OJAのエース・武藤壮汰選手が欠場したことで、波乱の展開になることが予想されたが、チームメイトの小此木裕貴選手と石野弘貴選手の活躍により、名古屋OJAが今大会でも最多ポイントを獲得。“絶対王者”に依存しないチーム力の高さを強く印象づける結果となった。

UNIZONE e-Motorsport LEAGUE 2026 Rd.3
開催日:2026年6月27日
開催地:岩手馬コレーシング:ビッグルーフ滝沢 小ホール(岩手県滝沢市)、遠州ハママツモータース:イオンモール浜松志都呂 1F セントラルコート(静岡県浜松市)、恒志堂レーシング北海道:恒志堂ガレージ(北海道札幌市)、Saishunkan Sol 熊本:eスポーツ高等学院クマモトeスタジアム(熊本県熊本市)、東京ヴェルディレーシング:CROAK Prime Studio(東京都渋谷区)、名古屋OJA:コミュファ eSports Stadium NAGOYA(愛知県名古屋市)
主催:JeMO

 第2戦終了時点で、昨年の勢いそのままに開幕2連勝を飾っていた名古屋OJA。しかし第3戦では、チームの大黒柱とも言える武藤壮汰選手が欠場し、今シーズンから加入した小此木裕貴選手と石野弘貴選手の布陣で臨むこととなった。なお、武藤選手がUNIZONEを欠場するのは今回が初めてとなる。

 一方、他チームでもドライバーラインアップにも変更が見られた。Saishunkan Sol 熊本は、新谷昇馬選手に代わり、第1戦のエキシビションレースを制した伊藤剛選手を起用。また、東京ヴェルディレーシングでは、佐々木藍咲選手がUNIZONE本戦デビューを果たしたほか、木村偉織選手も今季初参戦。各チームでドライバーの入れ替わりが激しいラウンドとなった。

岩手馬コレーシングは開幕戦からビッグルーフ滝沢を拠点に参戦。チーム発足初年度ながら、赤一色で染まった会場は一体感にあふれ、ホーム拠点としての存在感を示している。
ホンダ育成ドライバーとして師弟関係にある百瀬翔選手と小出峻選手が参戦した遠州ハママツモータース。会場にはチームアンバサダーの脇阪寿一氏が駆けつけた。
恒志堂レーシング北海道は加藤達彦選手と長和樹選手の布陣で参戦。シミュレーター筐体「DRAPOJI」のメンバーがサポートに入り、万全の体制でレースに臨んだ。
エキシビションレースでの活躍が評価され、Saishunkan Sol 熊本は今大会から伊藤剛選手を起用。本戦出場ドライバーへと抜てきされた伊藤選手が、黒沢和真選手とともに戦いに挑む。
東京ヴェルディレーシングは東京都渋谷区のCROAK Prime Studioを拠点とした。木村偉織選手の今季初参戦に注目が集まり、会場は多くのサポーターで賑わった。
チームとして初めて武藤壮汰選手不在でUNIZONEに臨む名古屋OJA。しかし、小此木裕貴選手、石野弘貴選手はともに優勝経験を持ち、戦力面での不安を感じさせない布陣だ。
実況および解説は、これまでと同じく山中智瑛氏と、“スオミアッキ”のハンドルネームで知られる杉本イムティアーズアモンド卓弥氏が務めた。

予選タイムアタック

 グリッドを決める予選タイムアタックからスタート。コースはF1が開催されているオーストリアのレッドブル・リンクで、車両はスーパーフォーミュラのSF23が使用される。走行可能周回数は4周のみ。周囲の車両が透明化され、他車にアタックを妨げられる心配のないクローズド予選という、iRacingならではのフォーマットで行われた。

 この予選タイムアタックではこれまでのラウンドとは異なる展開となり、岩手馬コレーシングの2台が躍動する。齊藤祐太選手が1分10秒930を記録し、唯一の1分10秒台でポールポジションを獲得。さらにチームメイトの三井優介選手も1分11秒079で2番手に続き、チーム初のフロントロー獲得に華を添えた。

 そして3番手には名古屋OJAの石野選手が1分11秒175で続く。名古屋OJAにとっては今シーズン初めてポールポジションを逃す結果となった。4番手は遠州ハママツモータースの小出峻選手。貴重な予選1ポイントを獲得する。

岩手馬コレーシングに初ポールポジションをもたらした齊藤選手。縁石を使い過ぎないライン取りやタイヤの使い方はもちろん、チーム2台が上位進出を果たしたことからも、セットアップの完成度の高さがうかがえた。
三井選手が2番手に入り、岩手馬コレーシングの好調さをアピール。そして武藤選手からセットアップのアドバイスを受けているという石野選手が3番手に食い込んだ。

スプリントレース①

 予選タイムアタックと同じく、レッドブル・リンクとSF23の組み合わせで争われたスプリントレース①。レースは8周で行われた。ポールポジションからスタートした齊藤選手(岩手馬コレーシング)はトップで1コーナーをクリアしたが、チームメイトで2番手スタートの三井選手はスタートがうまく決まらなかった。

 三井選手は石野選手(名古屋OJA)と小出選手(遠州ハママツモータース)に挟まれる形で3ワイドのまま1コーナーへ進入。やや早めのターンインとなったことで小出選手と接触し、三井選手はスピンを喫してしまう。石野選手はその混乱を後目に2番手を奪った。

 その後、4コーナーでは小此木選手(名古屋OJA)、小出選手、黒沢和真選手(Saishunkan Sol 熊本)の3台が激しく3番手を争うが、その隙を突いた伊藤選手(Saishunkan Sol 熊本)がインから一気に3台をかわし、8番手スタートから3番手へジャンプアップ。オープニングラップで大きく順位を上げる。

 UNIZONEデビュー戦で早くも表彰台圏内に登り詰めた伊藤選手だったが、後続も黙っていなかった。4周目の3〜4コーナーで小此木選手がオーバーテイクシステム(OTS)を始動。迎え撃つ伊藤選手もOTSを使用したが、挙動を乱した一瞬を見逃さなかった小此木選手が意地を見せてポジションを奪還。3番手に浮上する。

 一方、スタートから首位を守っていた齊藤選手に対し、石野選手がじりじりとその差を詰め始めていく。5周目以降はテール・トゥ・ノーズの状態となり、両者による激しい首位争いが展開された。迎えた6周目、石野選手は4コーナーでアウト側から並びかけると、続く5コーナーでインへ飛び込んで首位を奪取する。

 さらに3番手の小此木選手も齊藤選手との差を詰めてきたものの、齊藤選手はOTSを駆使してなんとかポジションを死守。そして順位は変わらないままフィニッシュを迎えた。最終的に名古屋OJAを託された16歳の石野選手が見事な逆転勝利を飾り、スプリントレース①を制した。

岩手馬コレーシングの齊藤選手にとっては初優勝のチャンスだっただけに悔しい結果となった。一方で石野選手は名古屋OJAの次世代エースとして申し分ない力強いレース展開を披露。

スプリントレース②

 毎ラウンド波乱が起こるリバースグリッド方式のスプリントレース②は11周で争われた。レースのポールポジションには、恒志堂レーシング北海道の長和樹選手がつく。その後方には東京ヴェルディレーシングの2台が続いたが、2番グリッドの鈴木恵武選手はスタートに失敗し、チームメイトの木村選手に1コーナーまでに先行を許してしまう。

 3番手以下には小出選手(遠州ハママツモータース)、小此木選手(名古屋OJA)、石野選手(名古屋OJA)、齊藤選手(岩手馬コレーシング)といった予選上位組が浮上し、長選手と木村選手のトップ2台を追いかける展開だ。

 しばらく首位を守っていた長選手だったが、4周目でOTSを使用して一気にギャップを縮めた木村選手が3コーナーインからオーバーテイクを決めてトップに浮上。さらに長選手は翌5周目の3コーナーでブレーキをロックさせるミスを犯し、小出選手、小此木選手、石野選手、齊藤選手に次々と先行を許してしまい後方に沈む。

 小出選手はハイペースで木村選手との差を縮めていたが、木村選手も粘りを見せ、なかなか攻略を許さない。そして9周目の3コーナーでついに小出選手が木村選手を捕え、アウト側から勝負を仕掛けたものの、やや突っ込み過ぎてオーバーラン。その隙を突いて小此木選手が並び掛け、両者は半周近くにわたってサイド・バイ・サイドの激しい争いを展開する。

 さらに4番手の石野選手、5番手の齊藤選手も加わり、2番手争いが一層激化すると、トップを走る木村選手との差がやや開く形となった。この木村選手への挑戦権をかけた白熱の2番手争いは、10周目の3コーナーで思わぬ結末を迎える。小出選手のアウト側から並び掛けた小此木選手と、ノーズをインへ差し込んだ石野選手が接触。まさかの同士討ちとなり、両車ともに大きなダメージを負ってしまった。

 終盤にかけてライバルたちの猛追を受けていた木村選手だったが、巧みに逃げ切ってスプリントレース②を制覇。木村選手はUNIZONE参戦2年目にしてようやく勝利を手にした。2位には最後尾スタートから追い上げた齊藤選手が入り、3位には小出選手が続いた。

逃げる木村選手の後方では、名古屋OJAの2台がまさかの同士討ち。東京ヴェルディレーシングは予選で苦戦が続く一方、リバースグリッドレースではその好機を生かし、今季2勝目を挙げた。

スプリントレース③

 スプリントレース③はSNSでの選手人気投票の結果によってグリッドが決定されるものだ。KYOJO CUP参戦ドライバーであり、今大会がUNIZONE本戦デビューとなる佐々木藍咲選手(東京ヴェルディレーシング)が最多得票を獲得し、ポールポジションからスタートする。2番手は伊藤選手(Saishunkan Sol 熊本)、3番手は鈴木恵武選手(東京ヴェルディレーシング)で、フレッシュな顔ぶれが上位を占めた。

 シグナルがブラックアウトして始まったレースでは、ポールの佐々木藍咲選手が好調なスタートを切ったかに見えたが、SF23のクラッチミートに失敗。直後にリアがブレイクして左側のガードレールへ単独で激突し、フロントを大きく損傷して早々にリタイアを喫してしまう。

 また、3番手スタートの鈴木選手もスタートで出遅れて順位を落とすと、後方から好スタートを決めていた黒沢選手(Saishunkan Sol 熊本)と接触。鈴木選手、黒沢選手ともに戦列を離れ、東京ヴェルディレーシングは1コーナー通過前に2台ともリタイアとなる厳しいオープニングラップとなった。

 そんなサバイバルレースの中、伊藤選手が首位に立つも、3コーナーでアウト側から並び掛けた小此木選手(名古屋OJA)がオーバーテイクを決め、トップを奪われる。そして5番手スタートの石野選手(名古屋OJA)は東京ヴェルディレーシング勢の脱落により3番手へ浮上すると、2周目の4コーナーで伊藤選手をかわして2番手へ。これで名古屋OJAが1-2体制を築いた。

 伊藤選手はその後、4番手の小出選手(遠州ハママツモータース)にも迫られる。5周目の4コーナーで小出選手がインへ飛び込んだものの、ややオーバースピードとなってコースオフ。このミスによって生まれた約1.5秒のギャップを伊藤選手は最後まで守り切り、UNIZONEデビューラウンドで初表彰台となる3位フィニッシュを果たした。

 レースは小此木選手が優勝、石野選手が2位に入り、名古屋OJAが1-2フィニッシュ。2周目以降は危なげない走りで後続を引き離し、圧巻のレース運びを見せた。

今シーズン開幕戦のスプリントレース①以来となる名古屋OJAの1-2フィニッシュを、小此木選手と石野選手の組み合わせで達成。

スプリントレース④

 使用車種とコースが変更されるスプリントレース④。舞台は実際のル・マン24時間レースでも使用されるフランスのサルト・サーキット。ミッドシップレイアウトのGT3マシンを用い、2周で争われるレースとなった。大半のチームがスタンディングスタート時の発進性能を重視し、マクラーレン720S GT3 EVOを選択する。その中でSaishunkan Sol 熊本のみがフェラーリ296 GT3を投入した。

 レースがスタートすると、3番手スタートの石野選手(名古屋OJA)が好スタートを決め、岩手馬コレーシングの2台に並び掛ける。しかし接触によって姿勢を乱してコースアウト。その直後、後続集団の一部が減速し切れず、Saishunkan Sol 熊本の2台、佐々木藍咲選手(東京ヴェルディレーシング)、小此木選手(名古屋OJA)が絡むアクシデントが発生した。

 一方、ル・マンの名物であるユノディエール・ストレートへトップで入ったのは、2番手スタートの三井選手(岩手馬コレーシング)。だが、その直前のテルトル・ルージュでコースオフし、走路外走行ペナルティを受けて減速となる。代わってチームメイトの齊藤選手が第1シケインで首位に浮上するも、スタート直後のハーフスピンから復帰してきた石野選手にインを突かれて首位を奪取される。その後は石野選手が圧倒的なペースで後続との差を広げていく。

 2周目に入ると、齊藤選手から約2.5秒後方で小出選手(遠州ハママツモータース)、百瀬翔選手(遠州ハママツモータース)、小此木選手(東京ヴェルディレーシング)、加藤達彦選手(恒志堂レーシング北海道)による表彰台争いが展開された。しかし遠州ハママツモータース勢が連携してポジションを守り切り、順位は変わらないままフィニッシュを迎えた。

 トップ争いは石野選手が齊藤選手を振り切って優勝し、今大会2勝目を挙げた。齊藤選手は予選でポールポジションを獲得して大量得点の好機を迎えていたものの、好位置でスタートできるスプリントレース①と④で石野選手に敗れ、悔しさの残るラウンドとなった。

UNIZONEでは、予選タイムの上位順でスタートするスプリントレース①と④のポイント配分が大きい。齊藤選手にとっては大量得点のチャンスだったが、石野選手が強さを発揮し、いずれのレースでも勝利を挙げた。

スプリントレース⑤

 スプリントレース⑤はリバースグリッドが採用される最後のレース。これが今シーズン屈指の波乱に満ちた一戦となった。まずスタート直後の順位争いの中、3番手スタートの佐々木藍咲選手(東京ヴェルディレーシング)と伊藤選手(Saishunkan Sol 熊本)、さらに加藤選手(恒志堂レーシング北海道)と百瀬翔選手(遠州ハママツモータース)の2組が3コーナーで接触。

 伊藤選手と加藤選手がスピンを喫すると、加藤選手を避け切れなかった黒沢選手(Saishunkan Sol 熊本)と齊藤選手(岩手馬コレーシング)も巻き込まれる形に。とくに黒沢選手のマシンは大きなダメージを負い、大きく後退することとなった。

 さらにその直後、スピンから復帰した伊藤選手と、9番手スタートから慎重にレースを進めていた三井選手(岩手馬コレーシング)がダンロップブリッジ通過直後に接触。伊藤選手は勢いよくバリアへ飛ばされ、そのままリタイアとなった。

 波乱はまだ続く。1周目のインディアナポリス・コーナーを抜け、アルナージュ・コーナーへ向かう区間で、齊藤選手が7番手を走る佐々木藍咲選手をオーバーテイクしようとした際に接触。進路を乱された齊藤選手はアルナージュ・コーナーを横切るようにコースアウトし、前方を走っていた石野選手(名古屋OJA)に横から衝突してしまう。このアクシデントで齊藤選手はリタイア。石野選手も走行を続けたものの、右フロントタイヤが脱落して勝負権を失った。

 そんな大荒れのレースで主導権を握ったのが遠州ハママツモータース勢だった。百瀬選手は1周目のインディアナポリス・コーナー手前で首位に浮上すると、後方で発生したアクシデントを尻目にリードを拡大。チームメイトの小出選手も石野選手の脱落によって3番手へ浮上し、2周目のユノディエール・ストレートで小此木選手(名古屋OJA)をかわして2番手に上がった。

 抜かれた小此木選手も果敢に反撃。ミュルサンヌ・コーナー立ち上がり以降、小出選手に並び掛けるチャンスをうかがい、ポルシェ・コーナー手前では一度前へ出る。しかし小出選手も譲らず、ポルシェ・コーナー外側から見事に抜き返して再び2番手を奪還。最終的に百瀬選手が逃げ切って優勝。小出選手も小此木選手を抑え切って2位でフィニッシュし、遠州ハママツモータースが見事な1-2フィニッシュを達成した。

小出選手と小此木選手の終盤の争いは、車幅ギリギリまで寄せ合う鍔迫り合いをしながらも、クラッシュにつながる接触はなく、フェアなドッグファイトを見せて観客を大いに沸かせた。

エキシビションマッチ

 エキシビションマッチはBMW M2 CS Racingとイギリスのライム・ロック・パークという組み合わせが採られ、2ヒート制のレースとして実施された。UNIZONEドライバー、JeMOが独自に発行するUNIZONEライセンスホルダー、UNIZONEチーム推薦ドライバー、JeMO招待ドライバーの計20名が参戦。なおJeMO招待ドライバーには陸上オリンピアンの塚原直貴選手の名が表示され、注目された。

 国内のレースファンにとっては馴染みの薄いライム・ロック・パークと、大パワーの後輪駆動車であるBMW M2 CS Racingの組み合わせは難易度が高かったのか、後続車両同士の接触やスピンが相次ぐ荒れたレースとなった。そんな中、ヒート1はUNIZONEライセンスホルダーの岩田晶選手がポールポジションから逃げ切り、優勝を飾った。

 続くヒート2は、ヒート1の結果によるリバースグリッドが採られている。iRacingのシステムに不慣れな参加者が前方グリッドに並んだこともあり、スタートシグナルがグリーンに変わっても動き出せない車両が続出。ホームストレートでは多重クラッシュも起きた。

 波乱の展開の中、10番手スタートだった石野選手(名古屋OJA)がオープニングラップのうちに首位へ浮上。そのまま後続を寄せつけることなくチェッカーを受けた。グリッド順によるハンディを負うUNIZONEドライバーとしては、初のエキシビションマッチ優勝となった。

エキシビションレースのヒート1を制した岩田晶選手。普段からiRacingに取り組み、海外チームの一員として耐久レースにも参戦するなど、豊富な経験を持つ実力者だ。
UNIZONEドライバーとして初のエキシビションレース優勝を遂げた石野選手。テクニカルなコースで的確なライン取りを見せ、アクシデントを回避するレース運びが光った。

会場拠点レポート「Saishunkan Sol 熊本」

 UNIZONE初年度となる2025シーズンから参戦しているSaishunkan Sol 熊本は、その名の通り熊本県を拠点とするチームだ。地元のファンや観客の声援を受けながらオンラインで対戦する“HOME & HOME形式”では、一貫して「eスポーツ高等学院 クマモトeスタジアム」をホーム拠点としている。

 昨シーズンは唯一、名古屋OJAに黒星をつけたチームとして、一強状態に一石を投じる存在となった。今シーズンは新たに、iRacingの大会で実績を残している新谷選手を迎え入れ、黒沢選手とともに若手ダブルエース体制を構築。また、昨シーズンから所属するGT300参戦経験者の荒川麟選手は、主にマシンセットアップを担当するなど、チームをサポートしている。

 しかし、第3戦では新谷選手が体調不良により欠場。代役として起用されたのは、今季開幕戦に行われたエキシビションレースを制した20歳の伊藤選手だ。iRacingを本格的に始めてから約1年という短期間でUNIZONE本戦出場の機会をつかんだが、新谷選手らとの交流もあり、チームへの順応に不安は見られなかった。実際、デビュー戦となったスプリントレース③では3位表彰台を獲得している。

 チームマネジャーの吉本大祐氏は昨年、「熊本での認知度向上と、地域ファンの獲得に取り組みたい」と語っていた。今回の拠点の様子を見る限り、地域に根差したファンコミュニティの形成にはなお時間を要する印象も受けたが、それは決して同チームだけの課題ではない。

 所属選手の多くは若く、チームの個性や魅力が発展途上にある。一方で、選手たちの競技力は高く、将来性は十分。今後、チームとしてどのように地域との結びつきを深め、ファンを獲得していくのかに期待したい。

2026シーズンRd.3に代役として参戦した伊藤選手と、その走りを見守る黒沢選手。Rd.4以降は新谷選手の復帰が予定されている。
会場には、Saishunkan Sol 熊本所属のぷよぷよ部門選手・MGR氏がゲストとして来場。eスポーツ選手の視点からUNIZONEのレースを解説・コメントしていた。
会場では体験コーナーとして、MGR氏による「ぷよぷよeスポーツ」のレクチャーも実施された。ゲームタイトルの垣根を越えたコンテンツ展開は、eスポーツチームならではの取り組みと言える。

 次戦、UNIZONE Rd.4は8月29日に開催予定だ。全5ラウンドのうち、有効ポイント制により4ラウンド分の成績が最終結果として採用されるため、名古屋OJAはRd.4でチームチャンピオン連覇を確定させる可能性がある。

 ディフェンディングチャンピオンの連覇達成となるのか、それとも待ったをかけるチームが現れるのか。HOME & HOMEの拠点に訪れて生で観戦いただくか、YouTube配信を通じてその行方を見届けていただきたい。

名古屋OJAがトップをひた走るが、遠州ハママツモータースが粘り強く15pts差でつけており、全5戦中4戦の有効ポイント制ということもあってまだ逆転のチャンスはある。実質、上位3チームにチャンピオンの可能性が絞られた。

PHOTO/後藤佑紀[Yuuki GOTOU]、UNIZONE、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/岡田衛[Mamoru OKADA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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