全日本ダートトライアル 最終戦でPN2奈良勇希選手とSA1一宮悠人選手が初タイトルを奪う
2026年11月5日
全日本ダートトライアル選手権の最終戦となる第8戦「ダートトライアル in タカタ」が、10月10~11日に広島県安芸高田市のテクニックステージタカタで開催された。同会場では第2戦に続き、今シーズン2回目の全日本選手権開催となった。タイトル争いが持ち越されていたPN2、N、SA1、SA2、D2の5クラスも、ついにチャンピオンが確定した。
2026年JAF全日本ダートトライアル選手権 第8戦
「ダートトライアル in タカタ」
開催日:10月10~11日
開催地:テクニックステージタカタ(広島県安芸高田市)
主催:CCN、TBR
全日本ダートトライアル選手権の最終戦となる第8戦「ダートトライアル in タカタ」が、10月10~11日に広島県安芸高田市のテクニックステージタカタで開催された。
コース距離は2kmを超え、ハイスピードかつロングコースが特徴の同会場だが、今回はスタートとゴールの位置を入れ替え、従来とは異なる逆走レイアウトとなった。主催者によると、全日本選手権で逆走コースが採用されたのは近年では記憶になく、かなり珍しい設定とのことだ。
エントリーは全クラス合わせて162台。すでにPNE1、PN1、PN3、SC、D1の5クラスでチャンピオンが確定しており、未確定のPN2、N、SA1、SA2、D2の5クラスは、このタカタがタイトル決戦の地となる。チャンピオン争いはもちろんだが、翌年のシード権をかけた戦いも繰り広げられ、全クラスで目の離せないバトルが展開された。
PNE1クラス
すでに第7戦で小山健一選手がチャンピオンを確定しているPNE1クラス。第1ヒートでは、「タカタは九州の地区戦で走っているので、僕にとってはホームコースです」と語る田口和久選手(スズキ・スイフトスポーツ)が1分55秒976をマークしてトップに立つ。小山選手(スズキ・スイフトスポーツ)は、中間タイムでは最速だったものの、「ストレートエンドで思いっ切り飛び出してしまいました」と失速し、田口選手に0.844秒届かず2番手となる。
3番手には地元の太田智喜選手(トヨタ・プリウス)が続き、現在は関東在住ながら、かつてタカタをホームコースとしていたハンター大谷ヒロシ選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、太田選手から0.188秒差の4番手につけた。
第2ヒートは路面コンディションが改善し、全車がタイムを更新。小山選手は中間タイムで再びトップに立ち、フィニッシュでは1分52秒524をマークした。田口選手も1分53秒165までタイムを縮めたが、小山選手には0.641秒届かず2位を獲得。小山選手が逆転優勝を飾り、今季出場した大会では負けなしとなる7勝目を挙げた。
3位争いでは、ハンター大谷ヒロシ選手が1分56秒457をマーク。太田選手を0.042秒上回り、表彰台を獲得した。
PN1クラス
第7戦で工藤清美選手がタイトル争いを制したPN1クラスは、第1ヒートで井上翔太郎選手(トヨタ・ヤリス)が1分54秒794をマークしてトップに立つ。工藤選手(ホンダ・フィット)は0.379秒差の2番手、前戦で転倒を喫した飯島千尋選手(スズキ・スイフトスポーツ)が3番手につけた。
PNE1クラスと同様にタイムアップが相次いだ第2ヒート。井上選手が1分52秒台に突入してトップタイムを更新すると、第1ヒート5番手の坂本勇樹選手(ホンダ・フィット)が、さらに井上選手を0.203秒上回った。若手ドライバーのふたりが上位を占める中、工藤選手もタイムアップしたものの、両者には届かず3番手となった。
残るは最終走者の飯島選手のみとなり、記録は1分51秒979。1分52秒を切るタイムをマークし、最終戦で今季初優勝を飾った。
2位には「小さなミスはありましたが、今できる最高の走りができたと思います」と語った坂本選手が獲得、3位は「やはりこのクラスは、そう簡単には勝たせてくれませんね」と話した井上選手が入賞した。
PN2クラス
PN2クラスのチャンピオン争いは、第7戦を制してランキング首位に立つ張間健太選手(スズキ・スイフトスポーツ)と、2点差の有効得点で追う奈良勇希選手(スズキ・スイフトスポーツ)の一騎打ちとなった。奈良選手は優勝以外にチャンピオン獲得の道はなく、それ以外の結果なら張間選手の2連覇が決まる状況だ。
第1ヒートでは、張間選手が1分50秒426をマークしてトップに立つ。川島秀樹選手(スズキ・スイフトスポーツ)が1.373秒差の2番手、奈良選手は1分51秒910で3番手につけた。
第2ヒートは全車がタイムを更新する中、第1ヒート4番手の佐藤卓也選手(スズキ・スイフトスポーツ)が1分48秒885までタイムを縮めてトップに浮上。続く奈良選手は1分47秒878を記録し、首位を奪う。
そして、最終走者の張間選手はタイムアップを果たすが、1分49秒155と奈良選手に届かず3位となった。
この結果、奈良選手が最終戦で逆転優勝を飾り、自身初のシリーズチャンピオンを確定。2位は「若い選手に負けっぱなしではいけないですね」と話した佐藤選手、3位には「僕も精一杯攻めることができました。負けて悔いなしです」と語った張間選手が入賞した。
PN3クラス
19台が出走したPN3クラスは、第1ヒートでみっちー選手(トヨタ・GR86)が1分53秒229をマークしてトップに立つ。名倉陽太選手(トヨタ・86)が0.245秒差の2番手、南優希選手(マツダ・ロードスターRF)が0.322秒差の3番手につけ、若手ドライバー3人が僅差で上位に並んだ。
第2ヒートでは、第1ヒート7番手の畑窪琢巳選手(トヨタ・86)が、「今シーズンはなかなか思うような結果が出なかったのですが、タカタは地元なので、最終戦くらいはしっかり走ろうと、気持ちを切り替えました」と、第1ヒートの記録を3.109秒短縮する1分51秒420をマークして暫定トップに立った。
続いて、みっちー選手も1分52秒124までタイムを縮めるが、畑窪選手には届かない。そして名倉選手が1分51秒314をマークし、畑窪選手を0.106秒上回って首位に浮上。南選手も1分51秒399を記録して畑窪選手を逆転したが、名倉選手にわずか0.085秒届かず2番手となる。
その後もトップタイムは更新されず、名倉選手の逆転優勝が決定。2位は南選手が獲得、3位には畑窪選手が入賞した。
上位3人のタイム差はほんのわずか。20代の若手ドライバーが操る、2リッターエンジン搭載車が表彰台を独占した。
Nクラス
いずれもトヨタ・GRヤリスで参戦する、宝田ケンシロー選手、細木智矢選手、岸山信之選手が三つ巴でシリーズタイトルを争うNクラス。
第1ヒートは、浦上真選手(トヨタ・GRヤリス)が1分44秒270をマーク。ランキング首位の宝田選手は1分44秒131でこれを上回る。ランキング2番手の細木選手は1分45秒248で6番手にとどまるが、最後に出走した岸山選手が1分43秒217を記録し、トップに立った。
第2ヒートでは、浦上選手が1分42秒959でトップタイムを更新。次に宝田選手が1分42秒174でトップを奪うと、続く細木選手が1分42秒001をマークし、宝田選手を0.173秒上回った。
目まぐるしく入れ替わるトップ争いを締めくくったのは岸山選手。1分41秒482を記録し、細木選手を0.519秒上回り、両ヒートで最速タイムを記録。開幕戦以来となる今季2勝目を挙げた。
チャンピオン争いでは、細木選手の有効得点は90点。岸山選手と宝田選手の87点を上回り、2位を獲得した細木選手がシリーズチャンピオンを確定させた。
細木選手は「浮き砂用のタイヤを温存するために、第1ヒートはあえて硬質タイヤを選択しました。優勝したかったのは確かですが、シリーズを獲るには宝田選手よりも上位にいることが条件だったので、作戦は成功だったと思います」と振り返り、タイトル争いに照準を絞った戦術を語った。3位には、両ヒートとも硬質タイヤを使用した宝田選手が入賞した。
SA1クラス
SA1クラスのチャンピオン争いは、第7戦を制した平川慶一選手と、今季3勝を挙げる一宮悠人選手(スズキ・スイフトスポーツ)に絞られた。今季、彗星のごとく全日本に登場した一宮選手はランキング2番手につける。一方で、ランキング首位の平川選手は私用により本戦を欠場。一宮選手は8位以上に入れば、逆転チャンピオンが決まる状況となっている。
散水直後に行われた第1ヒートでは、北淳選手(スズキ・スイフトスポーツ)が1分50秒260をマーク。福島賢大郎選手(スズキ・スイフトスポーツ)は1分50秒532にとどまるが、続く一宮選手が1分50秒131を記録し、北選手を0.129秒上回ってトップを奪った。
第2ヒートも散水直後の走行となり、北選手が1分49秒768にタイム更新。福島選手が1分49秒272でこれを上回ると、一宮選手はさらに速い1分49秒127をマークし、福島選手を逆転。
その後に出走したシード選手たちも一宮選手のタイムを上回れず、一宮選手が両ヒートで最速タイムを奪い、今季4勝目を飾った。2位は福島選手が獲得、3位には北選手が入賞した。
一宮選手はシリーズ有効得点を92点に伸ばし、欠場した平川選手の75点を破って逆転。全日本選手権参戦初年度でシリーズチャンピオンを獲得した。
SA2クラス
SA2クラスのタイトル争いは、ランキング首位の浜孝佳選手(三菱・ランサーエボリューションIX)と、2番手の荒井信介選手(三菱・ランサーエボリューションX)に絞られた。
第1ヒートは、三浦陸選手(三菱・ランサーエボリューションX)が1分41秒612をマークしてトップに立つ。逆転チャンピオンを狙う荒井選手は1分42秒575で5番手。浜選手が1分41秒930を記録し、2番手につけた。
第2ヒートでは、三浦選手が1分41秒004にタイムを更新。続く荒井選手も1分41秒245とタイムを更新したが、三浦選手には0.241秒届かず2番手となった。
「超硬質タイヤを選択したけど、ちょっとタイミングが早過ぎました」と、荒井選手が悔しさをにじませる中、最終走者の浜選手も荒井選手にわずか0.030秒及ばず、3番手となった。
この結果、三浦選手が両ヒートで最速タイムを記録し、今季初優勝を飾った。2位は荒井選手が獲得、3位には浜選手が入賞した。
シリーズ争いでは、浜選手が有効得点を90点に伸ばし、荒井選手の84点を上回ってチャンピオンを確定させた。
SCクラス
SCクラスは、第1ヒートで北村和浩選手(三菱・ランサーエボリューションX)が1分39秒656をマークしてトップに立つ。前戦でチャンピオンを確定させた岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションIX)は1分40秒781で2番手。亀田幸弘選手(スバル・インプレッサ)が1分42秒450を記録し、最終走者の上村智也選手(三菱・ランサーエボリューションX)が亀田選手を0.390秒上回って3番手につけた。
第2ヒートでは、北村選手は1分41秒092とタイムダウン。一方、岡本選手は自己タイムを0.973秒短縮する1分39秒808をマークしたが、北村選手の第1ヒートのタイムには0.152秒届かない。
「第2ヒートはタイミング的には早いかなと思いましたが、来年のことを考えて超硬質路面用タイヤを選択しました」と話した亀田選手も第1ヒートから2.124秒タイムアップし、3番手に浮上した。
後続の選手も北村選手が第1ヒートで記録したタイムを破ることはできず、北村選手が今季初優勝を飾った。2位は岡本選手が獲得し、3位には第1ヒート4番手から順位を上げた亀田選手が入賞した。
D1クラス
パッション崎山選手が前戦でチャンピオンを確定させたD1クラス。第1ヒートは、大谷皇就選手(トヨタ・86)が1分48秒442をマークしたが、山下貴史選手(三菱・FTO)が0.621秒上回ってトップに立つ。
最終走者のパッション崎山選手(トヨタ・MR-S)は1分50秒225で7番手にとどまり、タカタをホームコースとする山下選手と大谷選手が1-2で第1ヒートを終えた。
第2ヒートでは、大谷選手が1分47秒361にタイムを更新して暫定トップに立つ。山下選手もタイムを縮めたが、大谷選手には0.270秒届かなかった。
続く山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)は、第1ヒートから2.519秒短縮する1分47秒194をマーク。大谷選手を抜き、トップに浮上した。
「第1ヒートは途中でドライブシャフトを折損してしまったけど、第2ヒートは万全の走りでした」と語った山崎選手が首位に立ったのもつかの間、最終走者のパッション崎山選手が1分46秒268を記録。山崎選手を0.926秒上回った。
「来年は、また新しいマシンを製作したいです」と話すパッション崎山選手が第1ヒートでは7番手からの逆転優勝を飾った。2位は山崎選手が獲得し、3位には大谷選手が入賞した。
D2クラス
チャンピオン確定が最終戦に持ち越されたD2クラス。第1ヒートは谷田川敏幸選手(スバル・BRZ)が1分40秒065をマークしたが、続く炭山裕矢選手(三菱・ミラージュ)が1分37秒699を記録してトップに立つ。
シリーズランキング首位の鎌田卓麻選手(スバル・BRZ)は、中間タイムでは2番手を記録していたが、中盤以降にエンジンの調子が悪化し、タイムは伸びない。最終走者の田口勝彦選手(三菱・ランサーエボリューションX)は1分39秒241をマークして2番手に浮上。谷田川選手が3番手、鎌田選手は4番手となった。
第2ヒートでは、谷田川選手が1分38秒227にタイムを更新。首位の炭山選手はさらにタイムを縮め、1分36秒882をマークした。
その一方、鎌田選手はエンジンの不調がさらに深刻となり、1分42秒384とタイムダウン。優勝以外には逆転チャンピオンの可能性がない田口選手も果敢にアタックしたが、1分37秒722にとどまり、炭山選手のタイムを破れなかった。
この結果、両ヒートで最速タイムを記録した炭山選手が優勝し、今季3勝目を獲得した。2位は「前日の公開練習から今日の第2ヒートまで、結局アンダーステアを解消することができませんでした」と語った田口選手が獲得。3位には「来年はしっかりチャンピオン争いに加わっていきたいです」と話した谷田川選手が入賞した。
鎌田選手は第1ヒートのタイムで4位を獲得。シリーズ有効得点100点で、炭山選手の96点、田口選手の95点を上回り、チャンピオンを確定させた。
鎌田選手は「最終戦はエンジンの不調で思うような走りができなかったけど、チャンピオンを獲ることができたのは、毎戦しっかりとクルマをセットアップしてくれたメカニックたちのおかげです」と、感謝の気持ちを述べた。
PHOTO/CINQ、成田颯一[Souichi NARITA] REPORT/CINQ、JAFスポーツ編集部 [JAFSPORTS]



