中国ダートラ第7戦PN1+、井上翔太郎選手が全日本勢を抑え優勝で初王者確定!
2026年10月20日
2026シーズンの最終戦となる、2026年JAF中国ダートトライアル選手権の第7戦が9月20日、広島県安芸高田市のテクニックステージタカタで開催された。全8クラス中、前戦の第6戦までにタイトルが確定しているのはRWDクラスとNS1クラスのみ。残る6クラスのタイトル争いが、この最終戦まで持ち越された。
2026年JAF中国ダートトライアル選手権 第7戦
2026年JMRC中国ダートトライアル チャンピオンシリーズ第5戦
2026年JMRC中国ダートトライアル チャレンジシリーズ第7戦
TBRダートトライアル’26
開催日:2026年9月20日
開催地:テクニックステージタカタ(広島県安芸高田市)
主催:TBR
今回の一戦の3週間後には、2026年JAF全日本ダートトライアル選手権の最終第8戦がタカタで開催されることもあり、オープンクラスのほか地区戦の各クラスにも他地区から全日本ドライバーが参戦。全クラス合わせて102ものドライバーが挑んだ。
当日、東海地方から東側の地域では台風25号の影響で強風や大雨の天候となっていたが、中国地方の広島県に建つタカタは晴れ。やや曇が多い時間帯はあったものの雨の心配はなく、両ヒートともにドライ路面の競技となり、全クラス第2ヒートが決勝タイムとなる、白熱した争いが繰り広げられた。
2026年JAF中国ダートトライアル選手権 第7戦
2026年JMRC中国ダートトライアル チャンピオンシリーズ第5戦
ATクラス
ATクラスは山口大学の学生ドライバー同士のタイトル争い。開幕三連勝の宮本耀斗選手と、第4戦から三連勝中の豊島優凜選手が勝利を分け合う。前戦までの有効ポイントでは宮本選手が11ポイントリードしているが、序盤の2戦を休戦した豊島選手は今回のポイントを全て加算することができるため、宮本選手のポイント差も決して有利とは言い難い。
まさに最終戦のガチンコ勝負となったが、第1ヒートで1分12秒02のトップタイムをマークしたのは豊島選手。タイトル確定に向けて先手を打つかたちとなったが、対する宮本選手も0.85秒差の2番手につけ、第1ヒートから鍔迫り合いの攻防戦が繰り広げられる。
そして第2ヒート、ダブルエントリー前走の豊島選手は2分4秒93をマーク、自らのトップタイムを7秒以上更新し、後走の宮本選手にプレッシャーをかける。宮本選手は豊島選手のトップを許してしまうと、2位のポイントでもタイトル確定には届かないため、トップタイムを奪いたいところ。しかし、7秒近くベストタイムは更新したものの、2分6秒01と2番手止まり。最後は豊島選手が1秒以上突き放すタイムで優勝し、二連覇を確定させた。
「今年は(シーズンインした)第3戦で宮本選手に負けて、残り1回でも負けたらチャンピオンはない、という状況で戦ってきました」と語った豊島選手は、「今回の走りは、まぁ良くできたかな、と思いますが、やはりシーズン中は納得いかない走りもありましたし、やれることはまだあったと思います。それと同じように宮本選手も調子が悪い時があって、そういった時に勝てたという、運にも恵まれて獲れたチャンピオンだと思います」と、シリーズを振り返った。2027年は大学を卒業して社会人になる豊島選手は、有終の美で学生最後の地区戦を終えた。
PN1+クラス
ポイントリーダーの井上翔太郎選手を、8ポイント差で山谷隆義選手が追う展開となっているPN1+クラス。今回の一戦で山谷選手が優勝した場合、有効ポイントが同点に。更に優勝と2位も同数となるため、有効ポイント外での決着となる。井上翔太郎選手が3位以下で山谷選手が勝利すれば逆転でタイトル確定の状況だが、第1ヒートでクラス唯一の2分切り、1分59秒87をマークしたのは井上翔太郎選手。山谷選手は2分0秒71で2番手につけて折り返す。
そして、第2ヒート早々に1分59秒3でトップタイムを更新したのが、九州地区の良本海選手。他地区からの遠征ドライバーが多く参戦した最終戦、その後も関東地区の飯島千尋選手、中部地区の西畑蒼選手など、全日本ドライバーがトップタイムを更新していく。その中で、関東地区の坂本勇樹選手が一気に1分56秒07をマークした。
これがターゲットタイムのまま進み、クラスラスト前ゼッケンの山谷選手が出走。ここでトップタイムを更新して、タイトル確定の権利を残したい山谷選手だが、タイムは1分57秒11の2番手タイムに終わり、タイトル確定の権利を失う。一方、山谷選手のタイムを聞く前にスタート切った、ラストゼッケンの井上翔太郎選手が叩き出したタイムは1分53秒29。坂本勇樹選手を2秒78上回り、再逆転で優勝を果たした。
「1本目は失敗したところがあったのですが全体的には良かったので、2本目はそれを修正できて、自分の力を発揮できたと思います」と、井上翔太郎選手は走りを振り返った。更に「昨年のシーズンオフの練習に“気付き”があって(笑)、タイムが出せるようになり、それと合わせて、シーズン前に足回りとデフのオーバーホールをして、いい感じで開幕戦優勝することができて幸先の良いスタートを切れたのが良かったと思います」と好調について分析した。2024シーズンはシリーズ3位、2025シーズンはシリーズ2位と順調に成績を上げてきた井上翔太郎選手は今季、ついに初のタイトルを確定させた。
NPSAクラス
今季は5戦成立で有効4戦となったNPSAクラスは、ポイントリーダーの重松良輔選手を、12ポイント差で小川一郎選手が追う展開となっている。ポイント差が大きいが、開幕第1戦をスキップした小川選手は最終戦のポイントを全て加算できるため、一発で逆転も不可能ではない。しかし、第1ヒートで2分1秒25のトップタイムをマークしたのは重松選手。小川選手は0.56秒差の2番手につけた。
続く第2ヒートでこのクラスも2分を切る戦いとなる中、シリーズ3番手の岡崎大悟選手がトップタイムを4秒以上上回る、1分54秒4をマーク。このタイムがタイトル争いにどう影響するか気になるところだが、ラス前の小川選手は1分56秒1で2番手タイム。注目のラスト、重松選手は1分57秒21の3番手タイムでフィニッシュし、優勝は岡崎選手。そしてシリーズは、小川選手が63ポイント、重松選手は64ポイントとなり、1ポイント差で重松選手がタイトル確定となった。
優勝を果たした岡崎選手は、「ダートラを始めてから約4年ですが、今回が地区戦初優勝です。JAFのタイトルは逃しましたが、JMRCでは(Nクラスで)チャンピオンを獲れたので、とても嬉しいです」と、地区戦初優勝と2026年JMRC中国ダートトライアル チャンピオンシリーズのタイトル獲得に笑顔を見せた。
そして、僅差で地区戦制覇を確定させた重松選手は、「早目にチャンピオンを決めれば良かったのですが(笑)、最終戦までもつれてしまいました。1本目は路面状況に戸惑いながらもしっかり走れたのですが、2本目はチャンピオンが懸かっている気負いもあって、ミスが多かったですね。小川選手が勝つと(タイトルが)獲れなかったので、岡崎選手に感謝です(笑)」と、岡崎選手から援護射撃を受けるかたちとなりながらも、2024シーズンのSCD1クラス以来、マツダ2に乗り換えてからは初のタイトル確定となった。
SA1クラス
SA1クラスはシリーズ上位3選手によるタイトル争いとなった。第6戦を終え、74ポイントを獲得してポイントリーダーに立っているのは松岡修司選手で、シリーズ2番手は60ポイントの一宮悠人選手。そして、髙橋義晴選手も54ポイントでシリーズ3番手につけて、タイトル確定の権利を残して最終戦を迎えた。第1ヒートで1分56秒6のトップタイムをマークしたのは松岡選手。2番手には一宮選手が0.33秒差で続き、1分57秒台の髙橋選手が3番手で折り返す。
第2ヒートでは、中盤ゼッケンの豊福克久選手が刻んだ1分52秒91がターゲットタイムとなり、後半ゼッケンに突入。ラスト3の髙橋選手は、トップタイムを更新することができず戦線離脱となるが、ラス前の松岡選手が1分51秒26でトップタイム更新。このまま逃げ切ることができれば松岡選手の二連覇確定となるが、それを許さなかったのがラストの一宮選手。1分50秒84と、松岡選手のタイムを0.42秒上回るタイムを叩き出し、逆転で優勝とともにタイトル確定となった。
「昨年はスイフトに乗り換えて1年目で微妙なところが多かったのですが、今年は乗り馴れてきたこともあり、開幕戦から調子良くいけました。2勝したあたりから、全勝を狙ってました」と、その言葉通り今季は4戦4勝で自身初となる地区戦タイトルを確定させた一宮選手。続けて、「前回の全日本(第7戦)では松岡選手に負けてしまったので『今回は絶対に勝つぞ!』と、1本目は頑張り過ぎてしまったのですが、2本目は上手く路面に合わせることができました」と、いなべモータースポーツランドでの全日本のリベンジも達成した。
一方、逆転を許してしまった松岡選手は、「シーズン前に仕様変更した足回りに対応できなくて……。いい感じにはなってきてるのですが、あと少し、という感じです。一宮選手は全日本でもチャンピオン争いをしているので、若い選手が活躍するのは良い刺激になっているのですが、ずっとヤラれっぱなしでオヤジ狩りにあってます(笑)。全日本の最終戦では、いいところ見せたいですね」と、今度はリベンジを果たす立場になり、苦笑いで語った。
RWDクラス
RWDでは畑窪琢巳選手が前戦までで4勝を挙げ、すでに今季のタイトルを確定させている。最終戦も勝てば満点チャンピオンが確定するが、第1ヒートでクラス唯一、2分を切る1分59秒9でトップタイムをマークしたのは、中部地区から遠征の全日本ドライバー、名倉陽太選手。畑窪選手は0.45秒差の2番手で第2ヒートを迎えた。
第2ヒートでは、2番目にスタートした入谷有星選手が1分55秒99でトップタイムを塗り替えて仕切り直しとなる中、名倉選手は後半で土手にヒットしてタイムダウンを犯してしまう。入谷選手がトップを守ったまま進行し、ラス前の望月浩孝選手も1分57秒台で2番手タイムに留まったが、勝負を決めたのがラスト畑窪選手。入谷選手を0.84秒上回る1分55秒15を叩き出して逆転優勝、満点チャンピオンを確定させた。
畑窪選手は、「今回は中部地区から名倉選手も来てくれて、同じZN6(型トヨタ86)なので『負けたくない!』という気持ちで走りました。2本目は、1本目で悪かったところを全て修正し、ミス無く走れました」と、走りを振り返ると「今年は、昨年末の西日本フェスティバルで転倒からハコ替えしてのスタートで、リハビリを兼ねながらのシーズンだったのですが、やはり自分では気づかないうちに若干抑えてしまっているところもあるのかな、と感じました。ただ、前回の全日本ではやっと入賞(5位)できて、最終戦は地元なので、更に上の順位を狙いたいですね」と、今年最後の全日本に向けての抱負も語った。
NS1クラス
NS1は、昨季からDAT搭載のGRヤリスを投入した河田富美男選手が、最終戦を待たずに今季のタイトルを確定している。「広島に来て5年ですが、やっとタカタでも上位の方々と戦えるようになってきました。また、今年は運が良くて、西田(ツカサ)選手もGRヤリスDATに乗り換えて、まだ立ち上がってきてないので、この隙に(笑)。川戸(惟寛)選手も調子を落としたところがあったので、ほとんど他力本願のタイトルです(笑)」と、河田選手は振り返った。
最終戦も優勝で締めたい河田選手だが、第1ヒートは大下剛選手が1分46秒73でトップタイムをマーク。2番手には約0.8秒差で青戸浩喜選手、村田康介選手が青戸選手と僅差の0.04秒差で3番手につけた。河田選手は1分48秒台で5番手、西田選手は6番手で折り返す。なお、川戸選手は今回の一戦を欠場した。
そして第2ヒートでは2番目に登場した井上博保選手が、1分46秒66でトップタイムを更新して早々に第2ヒート勝負となる。大下選手はタイムダウンでトップ返り咲きならずも、古谷哲也選手が井上博保選手と同タイムでフィニッシュ。第1ヒートのタイムで古谷選手がトップを奪うと、優勝争いが大きく動き出す。青戸選手が古谷選手を0.62秒上回りトップを奪うと、第1ヒートはタイムを残すことができなかった坂本達哉選手が、第2ヒートの一発勝負で1分45秒45をマークし、トップタイムを更新した。
しかし、タイムアップ合戦はまだ終わらない。坂本達哉選手のタイムを1秒近く上回ったのが、第1ヒートは7番手と出遅れていたラスト3の池内翔馬選手で、1分44秒52まで更新してトップに立つ。そして大詰めの西田選手と河田選手の出番となったが、ともにタイムを残せない波乱が勃発。その結果、池内選手が第2ヒートのタイムアップ合戦を制し、逆転勝利を収めた。
「開幕戦の2位以降、表彰台から遠のいていたので、まさか今回勝てるとは思ってませんでした。シーズン途中でクルマを(三菱・ランサーエボリューションIVから)エボXに変えたので、セッティングに苦労しましたが、今回はセッティングもクルマもコースに合っていたと思います」と語った池内選手、地区戦フル参戦は今季から。最終戦で地区戦初優勝を飾り、シリーズ2位も確定させた。
SCD1クラス
ポイントリーダーの夏明成己選手、シリーズ2番手の小川英二選手、同3番手の鈴鹿浩昭選手によるタイトル争いとなるはずだったSCD1だが、今回、出走台数が5台のために小川選手、鈴鹿選手のどちらかが優勝しても、夏明選手がタイムを残した時点でタイトル確定という状況に。加えてWエントリーの前走、小川選手が第1ヒートでリタイアとなってしまい、後走の鈴鹿選手も必然的に走れず、夏明選手がスタートを切る前にタイトルを確定。走りでも両ヒートでトップを譲らず、優勝で花を添えた。
「よく分からない感じで終わっちゃいましたね(笑)」と、拍子抜けの決着に、夏明選手は苦笑い。続けて「2001年にダートラを辞めてしまったのでしばらくの間、ここにも全く来なかったのですが、大学の部活の関係で来るようになり、色々あって3年前の途中から、また地区戦に出始めました」と明かした。
更に「空白の期間があまりにも長いので、上手くなっているのかは分からないです(笑)。走っていると少しずつ思い出して、自分のイメージに近づいているっていう感じですが、久しぶりにタイトルを獲れたことは純粋に嬉しいですね(笑)」と、夏明選手は四半世紀以上の時を経て獲得した地区戦タイトルに、笑顔をみせた。
SCD2クラス
SCD2クラスはポイントリーダー西元直行選手と、シリーズ2番手の古屋慶己選手によるタイトル争いとなった。西元選手と古屋選手のポイント差は、有効で僅か2ポイント。更に古屋選手は最終戦のポイントを全て加算できるため、西元選手が優勝しても、古屋選手は2位でタイトルを確定できる状況だ。
1分46秒2で第1ヒートのトップに立ったのは古屋選手で、2番手にはスポット参戦の全日本ドライバー、河内渉選手が0.04秒差でつけた。西元選手は0.7秒差の3番手と、苦しい展開を強いられる。
第2ヒートでは、前半ゼッケンの河内選手が1分44秒63までトップタイムを更新。このタイムがタイトル争いにどう影響するかが注目だが、更に2秒近く更新したのが古屋選手。1分42秒53を叩き出してトップを奪回する。そして、この時点で古屋選手の2位以上が確定、ラストの西元選手は1分45秒04で3位となり、古屋選手が優勝でタイトルを確定させた。
「今年の第2戦の楠(ハイランドパーク)で西元選手に負けてしまい、その影響で最終戦までタイトル争いがもつれてしまいました。今回、条件的に有利でしたが、西元選手の“口撃”にヤラれないよう、メンタルをしっかり保ちました(笑)」と古屋選手は語った。加えて「昨年はACDのトラブルなどに悩まされ、シーズンオフに配線を全部直しました。そのトラブルは解消しましたが、前戦はオイル下がりで、今回は1本目に水温が上がってしまったりと色々ありましたが、やれることを一生懸命やって、今回も良いタイムが出たので良かったかな、と思います」とトラブルに悩まされながらも、今季4勝を挙げた古屋選手が、一昨季以来のタイトル確定となった。
2026年JMRC中国ダートトライアル チャレンジシリーズ第7戦
チャレンジクラス
チャレンジクラスは別所雄大選手が、第1ヒートから2番手以下に7秒以上の差をつけトップで折り返す。第2ヒートでもクラス唯一2分を切る、1分57秒55で優勝すると同時にタイトルも獲得した。
「昨年はシリーズ2位に終わってしまったのですが、今年は3回優勝することができ、また、チャンピオンも獲れて、とても嬉しいです(笑)」と、昨季のリベンジを果たした別所選手が笑顔で語った。
オープンクラス、クローズドクラス
全日本ドライバーが多数参戦したオープンでは、三浦陸選手が1分41秒1で総合トップタイムを刻んだ。そして、排気量が異なるマツダ・デミオによる一騎討ちとなったクロースドクラスは、1500ccエンジン搭載車両を駆る井上草汰選手が、1分55秒29でトップに立った。
PHOTO/友田宏之 [Hiroyuki TOMODA] REPORT/友田宏之[Hiroyuki TOMODA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



