中国ダートラ開幕戦で重松良輔選手がNPSA初優勝!

レポート ダートトライアル

2026年3月19日

2026年JAF中国ダートトライアル選手権 第1戦が3月8日、広島県安芸高田市に建つテクニックステージタカタで開催された。今季も全7戦で争われる中国地区戦。舞台もタカタがメインとなり、第2戦と第6戦は山口県宇部市の楠ハイランドパークでの開催と、2025シーズンと同じカレンダーが組まれた。また、2023シーズンから続いているJAF九州ダートトライアル選手権との併催も継続されて、今回も2026年JAF九州ダートトライアル選手権 第1戦が同時に行われた。

2026年JAF中国ダートトライアル選手権 第1戦
2026年JMRC中国ダートトライアル チャンピオンシリーズ第1戦
2026年JMRC中国ダートトライアル チャレンジシリーズ第1戦
HMCエキサイトダートトライアル

開催日:2026年3月8日
開催地:テクニックステージタカタ(広島県安芸高田市)
主催:HMC

 競技会当日、朝方は小雪が舞う真冬を思わせるタカタだったが、1Heatがスタートする頃には天候も回復し、日中は快晴。雨の心配もなく、全てのクラスで2Heatのタイムが決勝タイムとなるバトルが展開された。

 開幕第1戦の主催は広島県のJAF加盟クラブ、東広島モータースポーツクラブ(HMC)。JAF全日本ダートトライアル選手権で活躍するダートトライアラ―、太田智喜代表が率いる新鋭クラブだ。

中国地区戦は2023と2024シーズンに山口県の老舗JAF加盟クラブ、カークラブ錦(CCN)と共催し、2025シーズンからは単独で開催。そして単独開催2戦目となる今回の一戦は、競技役員を若手に委ねて挑んだ。

 組織委員長と競技長、大会事務局長と三足のわらじを履いた太田代表にその意図を伺うと、「Bライ競技が一番盛りあがっていたのがバブルの頃で、その頃活躍していた方々が、現在も精力的にこの業界を牽引されています。しかし、そこから下の世代、いわゆる中間層で業界を引っ張っていく人が極端に少ないと思ってます」と現状を語った。

 続けて「これは悪い意味ではなく、20代と60代では、やはり感覚の差があると思います。その間をつなぐ意味で、僕のような40代の世代が競技会を運営できる体制をつくって経験していかないと、次の世代に引き継ぐことが出来ないと思うんです。なので、まずはこれまで先輩の方々が築きあげてきたものを真似することから始めて、若手も経験を積むことによって、今後もダートトライアルを開催できるようにしていきたいと思っています」と、今回の一戦の体制を組んだ意図を明かした。

 これから先、ダートラの継続と発展に向けて若い世代も運営に携わることでより業界を活性化させたい、と太田代表の想いはアツい。

 その熱意に応えるかのごとく、併催の九州地区戦やオープンクラスなどを含め、総勢111選手が参戦。HMCも2Heatはフィニッシュ後の上位車両をプールするキャッチ・アンド・リリース方式を採用するなど、全日本ダートラさながらの運営で盛りあげた。

真冬が帰ってきたかのような寒さの朝を迎えたテクニックステージタカタだったが、2026年JAF中国ダートトライアル選手権が開幕する頃には天候も回復。2026年JAF九州ダートトライアル選手権の開幕第1戦とともに好条件の下で熱戦が繰り広げられた。
中国地区戦の開幕を担ったのは、現役全日本ダートトライアラーであり、JMRC中国ダートラ部会長も務める太田智喜氏が代表を務める広島県のJAF加盟クラブ、東広島モータースポーツクラブ(HMC)。太田代表はダートラの将来を見据えた、若手主体の大胆な布陣を組んで臨んだ。
併催した九州地区戦と共通のレイアウトは直線が短く、常にコーナリングGがかかり続ける構成で競われた。

2025年JAF中国ダートトライアル選手権 第1戦
2025年JMRC中国ダートトライアル チャンピオンシリーズ第1戦

ATクラス

 ATクラスはクラッチペダルがない、2WDのAE・PN・N・SA・SAX車両で競う。なお、デファレンシャルギアの変更が禁止されている。昨季のこのクラスを満点で制した豊島優凛選手が欠場した中で2分17秒28をマークしてトップで折り返したのが、昨季シリーズ3位の西岡章夫選手。近畿地区から遠征を続けるベテラントライアラーだ。2番手には1.36秒差で楠昌樹選手、昨季シリーズ2位の宮本耀斗選手は、楠昌樹選手から1.51秒差の3番手につけた。

 2Heatでは好調のクラスファーストゼッケン、楠昌樹選手が2分14秒48を刻んでトップタイム更新。2Heat勝負となる中、西岡選手は楠昌樹選手のタイムを0.01秒更新して再びトップに立つ。しかし、宮本選手が更に0.92秒上回るタイムを叩き出し、逆転で開幕戦を制した。

「1本目はタイムが伸びず後輩(楠昌樹選手)にも負けてしまい、2本目も気合いが入り過ぎて、土手に乗りあげてしまったりと反省点はあるのですが、結果的には良かったと思います」と、振り返った宮本選手はまた、「西岡選手に勝つのも夢だったので、嬉しいです!」と笑顔でコメント。西岡選手は「チャンピオン(豊島選手)がいないうちに勝ちたかったけど……」と、悔しそうな表情を見せた。

DE5型マツダ・デミオを駆り、1Heatでの3番手から2Heatではアグレッシブな走りを披露、逆転で開幕戦を制した宮本耀斗選手(DL山大508QJデミオA)だったが、反省も多い走りだったようだ。
ZC33S型スズキ・スイフトスポーツをドライブしてATの1Heatトップで折り返し、“鬼(チャンピオン)のいぬ間”に勝利を掴みたかった西岡章夫選手(BRIG TAKMOスイフト)だったが、逆転を喫して2位に甘んじた(左)。3位は宮本選手の後輩、山口大学自動車部(YUAC)所属の楠昌樹選手(YUAC508借り物デミオ)がDE3型デミオを操り獲得した(右)。
ATは4位までのトライアラーが表彰された。左から2位の西岡選手、優勝した宮本選手、3位の楠昌樹選手、4位の了戒総司選手(DL藤川R尻尾ゆくデミオ)。

PN1クラス

 排気量1600cc以下で2WDのPN車両で競われるPN1クラスも、ディフェンディングチャンピオンの山谷隆義選手が欠場。1Heatは昨季シリーズ2位の井上翔太郎選手がクラスでただ一人2分10秒台の壁を破り、2分8秒48のトップタイムを刻んだ。2番手以降は藤原祐一郎選手が2分10秒33、岩田直也選手が2分10秒36、そして坂本勇樹選手が2分10秒37と、0.1秒の中に3選手がひしめき合う混戦となる。

 2Heatに入ると、2番目にスタートを切った坂本選手が2分5秒74でトップタイム更新。ここから勝負は仕切り直しとなるが、坂本選手がトップを保持したままラスト3が登場。1Heatは0.01秒、坂本選手を上回っていた岩田選手は2分06秒台に終わるが、藤原選手が坂本選手のタイムを0.35秒更新してトップに立つ。しかし、勝負を決めたのはクラスラストゼッケン井上選手。1Heatから頭一つ抜け出たタイムを刻んでいた井上選手は、2Heatでも2分4秒38と藤原選手を1.01秒上まわり、開幕戦を完勝で飾った。

「今回、山谷選手がいなかったということもありますが(笑)、シーズンオフにデフのオーバーホールやその他のメンテナンスをやったおかげで、クルマが凄くよくなりました。2本目はいくつかミスはありましたが、キレイに走ることができたと思います」と、井上選手はチャンピオン確定に向けた好スタートを喜んだ。

PN1クラスは1Heatから好調の井上翔太郎選手(DLJT鴎FUAC505ヤリス)がトヨタ・ヤリスを操り、両Heatを制する完勝でシーズンをスタートした。
PN1の2位と3位はホンダ・フィットを駆る全日本トライアラ―が占めた。2位は藤原祐一郎選手(田中自動車DL岡歯科29FIT)が獲得し(左)、関東地区から遠征してきた坂本勇樹選手(DLメープルFTヤマトFIT藤)が逆転で3位に入った(右)。
PN1は左から、4位の岩田直也選手(阪大☆FUAC☆DLスイフト)、2位の藤原選手、優勝した井上選手、3位の坂本選手、5位の西畑蒼選手(DLクスコWM速心IBスイフト)、6位の建部伸夫選手(B+:=F×P=1Nヴィッツ)が表彰を受けた。

NPSAクラス

 NPSAクラスは2WDのN車両及び排気量1500cc未満の2WDで2005年式以降のAE・PN・N・SA・SAX・B車両が対象で、参戦できる車種が幅広い。2WDのラリーRJ車両も対象に含まれることも特徴だ。

 昨季のチャンピオン、ハンター大谷ヒロシ選手とシリーズ2位の岩坂有洋選手が不在となった開幕戦。2分11秒41で1Heatをトップで折り返したのは、改造車のホンダ・シビックからマツダ2に乗り換え、昨季からNPSAに転向した重松良輔選手。続く2番手には楠弘隆選手、3番手に西隆司選手と、DJ型デミオ/マツダ2勢が上位を占める。

 そして2Heatでは1Heatはタイムを残せなかったファーストゼッケンの阿部和男選手が2分9秒7を刻んで仕切り直しとなり、各選手が続々とベストタイムを更新。楠弘隆選手は2分8秒台に突入し、更に1Heatで4番手の藤井啓壮選手が2分7秒63をマークしてタイムアップ合戦となる中、重松選手は2分7秒05を叩き出し、再びトップに返り咲いた。

 ラストゼッケンの西選手も2分7秒台までタイムを詰めてくるが、トップタイムには0.56秒届かず2位。重松選手がタイムアップ合戦を制した。「路面のギャップやグリップ感でやや戸惑うところもありましたが、車速を落とすことなくうまく修正できたと思います。シーズンオフにコンピュータをセッティングして、やっと周りのレベルに追いつきました(笑)」と語る重松選手は2023・2024シーズンにSCD1クラス二連覇を達成、しかし昨季は未勝利と苦しい戦いを強いられたが、NPSA2季目の開幕戦で嬉しい転向後初勝利を挙げた。

マツダ2に乗り換え、NPSAクラス転向初年の2025シーズンはシリーズ3位の重松良輔選手(DLBSTよしだやMAZDA2)が両Heatともトップに立つ速さを見せて、NPSA初優勝を挙げた。
NPSAの2位にはDJ型デミオの西隆司選手(RスポーツWESTデミオ)が順位を一つ上げて入り、地元・マツダ車を駆るトライアラーが1-2を決めた(左)。藤井啓壮選手(DL☆BST☆TTS☆スイフト)も逆転でZC33S型スイフト勢最上位の3位を獲得した。
NPSAは5位までのトライアラー、左から4位の楠弘隆選手(INDY☆BSTデミオ15MB)、2位の西選手、優勝した重松選手、3位の藤井選手、5位の岡崎大悟選手(DL☆SPIRIT☆インテグラ)が表彰された。

SA1クラス

 2WDのSA及びSAX車両が対象のSA1クラスには、昨季のシリーズ上位陣がほぼ出揃った。1Heatでは昨季シリーズ2位の一宮悠人選手が、2分5秒7のトップタイムをマークし、ディフェンディングチャンピオンの松岡修司選手が0.24秒差で2番手につける展開となる。

 2Heatになると、前半ゼッケンの髙橋義晴選手の2分2秒1がターゲットタイムとなるが更新されないまま、クラスラスト前ゼッケンの一宮選手がスタートを切った。ここで一宮選手は、髙橋選手を0.18秒上まわりトップに返り咲く。注目のラスト、松岡選手はタイムアップこそ果たすものの、髙橋選手にも0.89秒及ばず3位にダウン。一宮選手が王者を下し、開幕戦を制した。

「クルマのセッティングに関しては、昨年から特に変わってないです。スイフトは去年一年間走って、やっと最近慣れてきた感じですね。シーズンオフの練習会からタイムが出せる走りを掴めたので、それが今回反映されたと思います」と、勝因を明かした一宮選手は続けて「今年はチャンピオンを狙います!」と、力強く宣言した。

 一方、開幕戦を落としてしまった松岡選手は「今回はワダチを外し過ぎました。走りながらヤバい、ヤバいっていう感じだったので…… ミスが多過ぎましたね」と、苦笑いで反省しきりだった。

SA1クラスはZC33S型スイフトを駆り、今季こそチャンピオン確定にかける一宮悠人選手(502FAYH初音ミクスイフト)が両ヒートを制する完勝で発進した。
SA1でホンダ・インテグラをドライブする髙橋義晴選手(SPIRITテクノ・インテグラ)は2位で、昨季最終第7戦の3位に続くトップ3タイムを残した(左)。ZC33S型スイフトを操り王座防衛を期す松岡修司選手(S+クスコDLWMOLスイフト)だが、開幕戦は3位に終わった(右)。
SA1も5位までのトライアラーが表彰を受けた。左から4位の坂井秀年選手(SPY藤井レーシング スイフト)、2位の髙橋選手、優勝した一宮選手、3位の松岡選手、5位の坂上直博選手(スピリットオブマツダアクセラ)。

RWDクラス

 排気量区分なし、後輪駆動のPN・N・SA・SAX・SC・D車両が競うRDWクラスは、ディフェンディングチャンピオンの畑窪琢也選手が2分10秒14で1Heatのトップタイムをマーク。2番手には0.17秒差で織田一昭選手がつける。

 2Heatでは、1Heatで3番手につけていた藤井慎也選手が2分7秒95にトップタイムを塗り替えると、織田選手は更に0.74秒上まわるタイムを刻む。上位陣が2分7秒台の戦いになる中、ラストの畑窪選手は2分5秒89と、頭一つ抜け出たタイムを叩き出して勝負を決めた。

「昨年の西日本フェスティバルで転倒してしまい、クルマを変えたんですよ。シーズンオフは(車両製作を)開幕戦に間に合わすのが精一杯で、組み上がっただけの状態です。練習もできず今回がシェイクダウンなので、とりあえず勝てて良かったのと、無事に終わって良かったです(笑)」と、畑窪選手は暫定仕様ながらも貫禄の走りで開幕戦を制した。

RWDクラスは三連覇中の畑窪琢巳選手(GRタカタMotysDL86)が仕上がったばかりのトヨタ86を駆り優勝。4連覇に向けて好スタートを切った。
RWDの織田一昭選手(河野モータースYH86)は2Heatでタイムアップを果たすも、2位は変わらず。86勢が1-2を占めた(左)。トヨタ・アルテッツァをドライブする藤井慎也選手(SPIRITアルテッツァ)は2Heatで6秒以上タイムアップを果たしたが、小田選手に0.74秒及ばず3位に入った(右)。
RWDは4位までのトライアラーが表彰された。左から2位の織田選手、優勝した畑窪選手、3位の藤井選手、4位の徳永紘行選手(河野モータースMTMレガシィ)。

NS1クラス

 4WDのN・SA及びSAX車両で争うNS1クラスは、ディフェンディングチャンピオン西田ツカサ選手が欠場。その中でHeat1のトップタイムをマークしたのは、クラス唯一の1分52秒台を刻んだ昨季シリーズ2位の川戸惟寛選手。2番手は1分53秒35で清岡毅選手、3番手には1秒33差で河田富美男選手がつけ、やや差が開いた状況となった。

 2Heatに入ると、1Heatは10番手に留まった池内翔馬選手が7秒以上のタイムアップを果たし、トップタイムには0.09秒及ばなかったものの、1分52秒1で2番手を奪う。後続ゼッケンのタイムアップ合戦が繰り広げられるかと思われたが、各選手ベストタイムは更新するものの1分52秒台に入れることができず、トップ川戸選手、2番手池内選手の順位は変わらぬまま進行。

 後半ゼッケンの清岡選手がようやく1分52秒台に入れるものの、池内選手には0.33秒届かず3番手。ラス前の河田選手も1分52秒台を出すが4位に終わる。これで1Heatのタイムで優勝を決めた川戸選手はウィニングランとなったが、1分49秒51と圧倒的なタイムで駄目押しして開幕戦を制した。

「今シーズン、足まわりを新調したらもの凄くよくなりました(笑)。1分49秒台が出たので、タイム的にも満足できる内容です。第2戦から西田選手もGRヤリスで出てくるようなので、楽しいシーズンになりそうです」と、優勝の川戸選手は勝因を明かした。

 その横で満面の笑みを浮かべていたのが、2位に飛び込んだ池内選手。「ダートトライアル歴は2年です。とりあえず必死に走りました(笑)。1本目の失敗を確実に直したので、そこは上手くいきましたが、まさか2位に入れるとは思いませんでした」と、自身も驚きの地区戦最上位更新。しのぎを削るNS1のベテラン勢に割って入り、表彰台登壇を果たした。

NS1で三菱・ランサーエボリューションIXをドライブする川戸惟寛選手(YHチェリッシュ猫の手ランサー)は2位以下に2秒以上差をつけ、王座奪還に向けて優勝でスタートを切った。
ランエボIVを駆るNS1の池内翔馬選手(YHチェリッシュランサーエボ4)は1Heatの10番手から7秒以上タイムアップして2位入賞、岡山県のJAF加盟クラブ、チェリッシュモータースポーツクラブ(T.CHERISH)勢が1-2を決めた(左)。ランエボIXを操り、1Heatで2番手につけた清岡毅選手(河野M☆YH☆SPTランサー)は2Heatでタイムアップしたが池内選手の勢いには敵わず、3位に終わった(右)。
開幕戦で最激戦クラスとなったNS1は左から、4位の河田富美男選手(柴レプソルGR高田ヤリスDAT)、2位の池内選手、優勝した川戸選手、3位の清岡選手、5位の古谷哲也選手(DL・KYB・TA・ランサーX)、6位の福田憲道選手(Xshift HKタカタヤリス)が表彰を受けた。

SCD1クラス

 2WDのSC及びD車両を駆るトライアラーが競うSCD1は“レジェンド”の一人、夏明成己選手が2分1秒25で1Heatのトップタイムをマーク。ディフェンディングチャンピオンの鈴鹿浩昭選手は1.22秒差の2番手で折り返す。

 2Heatでは1Heatで3番手の小川英二選手が2分1秒13を刻んでトップタイムを塗り替えるが、夏明選手は2分台を切る1分59秒14を叩き出す。このタイムには鈴鹿選手も1.55秒届かず2位止まりとなり、夏明選手が圧倒的な速さで優勝を飾った。

「今回はワダチが予想以上に内側についていたりと、自分が思っていたラインと違ったね。それで外してしまったところが2カ所くらいあるんだけど、運転の感覚は少しずつ良くなってきてると思うよ」と、ダートラ復帰3季目の夏明選手は走りを振り返った。

 一方、鈴鹿選手は「まだ未熟なんでしょうね、夏明選手ほど熟してないので(笑)。1本目でクラッチトラブルがあって少し気になっていたのですが、それは関係ないですね……。ほとんどミスはありませんでしたから」と、夏明選手に完敗といったコメントを残した。

SCD1クラスでホンダ・シビックを駆る夏明成己選手(OHKINS511シビックDL)は2Heatで2WD勢最速タイムを叩き出し、開幕戦を制した。
SCD1でインテグラをシェアする鈴鹿浩昭選手(DL-SPIRITインテグラ)が2位(左)、小川英二選手(DLビルドKSprtインテグラ)は3位(右)と、揃って表彰台の左右に上がった。
SCD1は左から2位の鈴鹿選手と優勝した夏明選手、3位の小川選手とホンダ車を操る3選手が表彰台に立った。

SCD2クラス

 4WDのSC・D車両によって競うSCD2クラスは、クラス唯一のGRヤリス使いである今川正樹選手が、新旧三菱・ランサーエボリューション勢を抑えて1Heatをトップで折り返す。

 2Heatでは今川選手がトップタイムを1分52秒73まで更新するが、次ゼッケンで関東勢のアキマただゆき選手が1分51秒5でトップに躍り出る。アキマ選手は1Heatで2番手につけながらも今川選手からは3秒以上遅れていたが、5秒以上のタイムアップでトップタイムを塗り替えた。そしてラスト、昨季シリーズ2位の西元直行選手は今川選手のタイムを0.01秒上まわるもトップには1.22秒及ばず、アキマ選手が逆転で優勝を飾った。

「自分がコントロール出来ないスピードでコーナーに入ったりと、走りはハチャメチャでしたが、1本目から2本目の間に『外せるモノは全部外せ』とウチの監督(SCD1の小出久美子選手)から言われて、シートやトランクなど可能な限りのモノを外して軽量化したのが効きました(笑)」と、アキマ選手は勝因を明かした。

 そして「中国地区戦での優勝は、4年振りですかね。ただ、その時は望月(浩孝)選手がリタイアされてタナボタ優勝だったので、走り勝ったのは今回が初です(笑)」と、事実上の中国地区戦初優勝ともいえる勝利に笑顔を見せた。

SCD2クラスは関東地区から参戦を続けるアキマただゆき選手(⑦WGRTSタカタランサーDL)がランエボVIをドライブして全クラス2番目に速いタイムを叩き出し、久々の中国地区戦での勝利を掴んだ。
SCD2王座奪還を狙う西元直行選手(DL建将BSTA梶B川ランサー)はランエボIXを駆って2位で今季のスタートを切った(左)。ランエボ勢多数の中、GRヤリスで孤軍奮闘した今川正樹選手(IBPアクティブ ヤリス)が一時トップに立つ走りを見せて3位に入った(右)。
SCD2は左から、2位の西元選手、優勝したアキマ選手、3位の今川選手、4位の小田文之選手(オダ オートサービスランサー10)のトップ4が表彰された。

2026年JMRC中国ダートトライアル チャレンジシリーズ第1戦

チャレンジクラス、オープンクラス

 車両区分がないチャレンジクラスはダートラ初心者や、若手トライアラーがしのぎを削る。中国ダートラの登竜門クラスであるだけに、2026年JMRC中国ダートトライアル統一規則の附則によって、シード選手に認定されたトライアラーは参戦することができない。

 1Heatは別所雄大選手が2分12秒16でトップタイムをマークして折り返す。別所選手は2Heatに入ると4秒以上のタイムアップを果たしてトップをキープ。1Heatで6番手と出遅れたラスト、ディフェンディングチャンピオンの河内英選手が8秒以上のタイムアップを果たす猛追を見せるも3.82秒及ばず2位止まり、別所選手が完勝で開幕戦を制した。

「第1ヒートは路面がフカフカで、思ったとおりのラインにのせる事ができなかったのですが、第2ヒートは路面もいい感じになって、走りもマシになったと思います(笑)」と、振り返った別所選手。昨季からチャレンジシリーズに参戦し、デビューイヤーから1ポイント差でシリーズ2位の成績を収めている。幸先の良いスタートで「今年はチャンピオンを狙います!」と、力強く宣言した。

 7選手が参戦したオープンクラスは、三浦陸選手が2Heatで全クラストップタイムとなる1分49秒63をマーク。全日本SA2クラスで活躍するトップトライアラ―の貫禄を見せた。

チャレンジクラスは戴冠を期す昨季のシリーズ2位、別所雄大選手(よしだやタカタ独身シビック)がシビックを駆って勝利し、好スタートを決めた。
チャレンジの2位には1Heatで下位に沈んだ河内英選手がZC31S型スイフトを操り2Heatで奮起、8秒以上もベストタイムを上げて2位まで挽回した(左)。3位は広島県のJAF準加盟クラブでもある広島大学体育会自動車部(H.U.M.C.)所属、DE5型デミオをドライブする近藤真温選手(DL広大デミオDデミオ)が獲得した(右)。
チャレンジの表彰。左から4位の和田涼之介選手(DL広大Bデミオ)、2位の河内選手、優勝した別所選手、3位の近藤選手、5位の遠藤健太郎選手(藤大ミカサスターレット)、6位の福田空汰選手(S+速心DL☆WM☆OLコルト)。
オープンクラスではランエボXを駆る三浦陸選手(YHレプソル藤大ミカサランサー)が今回の一戦全体でトップのタイムをマーク。全日本SA2クラスで勝利も挙げている速さを見せつけた。
オープンの2番手タイムは関東勢のマイケルティー選手(MCブリッドEXEDYランサー、左)、3番手タイムは近畿地区から参加した寺岡知展選手(DL田中自LubEXDランサー)が(右)、ランエボIX使いがマークした。

 オンタイムで競技を終えた太田氏は最後に、「1台転倒車両があり、その時は先輩方にサポートいただきましたが、そういったサポートを受けつつも、時間どおりに競技を終えることができたのは良かったと思います」と総評を語った。

 また、4名の若き競技役員にも今回の一戦を終えて話を伺った。コース委員長を務めた北野壱歩氏は2023シーズンから中国SA1を二連覇したトライアラー。「マシンパワーに頼らず、コーナーのボトム(スピード)の処理を上手く出来た人がタイムを出せる設定にしました。具体的には高速区間に入る前に、複合コーナーや連続したコーナーを設け、そこの処理が上手くいかなかったらトップスピードが伸びないようなイメージです。初のコース委員長として、特に何かをキッチリできたということはないのですが(笑)、各ポストに競技経験者がいたおかげで円滑に進行できました。自分の中ではちょっと危なかったシーンもありましたので、次回に向けてそういったことがないコース設定や事前準備をしたいと思います」と、振り返った。

 技術委員長の南優希氏は昨季の全日本PN1クラス王者だ。「第2ヒートゴール後の上位車のプールは選手から評判が良いので、出来る限り選手が喜ぶことはしていきたいなと思います。ただ、朝の車検の段取りで反省点があるので、きっちりタイムスケジュールに合わせて行えるようにしていきたいと思います」と、トライアラーたちから好評を得た一方、反省点もあったようだ。

 計時委員長を務めた要田紗也加氏は、4名の中で唯一の役員経験者。「今回のメンバーは若手中心ということで、これまでベテランの方々に頼れることは心理的に安心ではあったのですが、同じ年代の人たちと一丸となって競技を運営していくということが新鮮で、やりやすい面もあったので、今後もHMCのメンバーとともに自分も成長していきたいです」と手応えを得た一戦だったことを語った。

 ここまでの3名はHMCのクラブ員だが、救急委員長を務めあげた下村槙哉氏は広島県のJAF加盟クラブ、スピリットオブマツダ(SPIRIT)のメンバーだ。「今回、怪我をされた方もなく終わることができたのがよかったです。救急委員長として競技に携わるのは初めてだったので、ベテランの方々にも救急委員として入っていただき、アドバイスをいただきました。そのおかげもあり、事前の対応をはじめ、転倒車の処理もスムーズに行えました」と、心強いベテランの助力に感謝していた。

開幕戦のオフィシャルは若手を中心に、経験豊富なベテランが後ろから支えるかたちでしっかりと主催できたようだ。競技会終了後に感想を伺った若手競技役員は、前列左からコース委員長の北野壱歩氏と技術委員長の南優希氏、前列右から救急委員長の下村慎哉氏と計時委員長の要田紗也加氏だ。

フォト/友田宏之 [Hiroyuki TOMODA] 、西野キヨシ[Kiyoshi NISHINO] レポート/友田宏之[Hiroyuki TOMODA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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