中国ダートラ開幕戦はあいにくの空模様となるがコース上では各クラス激戦を展開!
2025年3月18日

2025年JAF中国ダートトライアル選手権の開幕となる第1戦が3月2日、広島県安芸高田市のテクニックステージタカタで開催された。今季も全7戦のスケジュールが組まれており、開幕戦を含む5戦がテクニックステージタカタを舞台に、第2戦と第6戦は山口県宇部市に建つくすのきハイランドパークに会場を移しての開催となる。クラス分けもJAF地方選手権がかかる8クラス、そして併設のオープンクラスと2025年JMRC中国ジムカーナ チャレンジシリーズのチャレンジクラス、合わせて10クラスが設定される。2024シーズンと変更は無いが、チャレンジは昨季までタカタ開催時のみ開催されていたが、今季からくすのきも含めた全戦で競われることになった。
2025年JAF中国ダートトライアル選手権 第1戦
2025年JMRC中国ダートトライアル チャンピオンシリーズ第1戦
2025年JMRC中国ダートトライアル チャレンジシリーズ第1戦
HMCエキサイトダート
開催日:2025年3月2日
開催地:テクニックステージタカタ(広島県安芸高田市)
主催:HMC
レイアウトはハイスピートのタカタを存分に攻め込む高速設定となったが、当日は朝から雨模様。前日の土曜日までは、全国的に4月下旬並みの陽気で、タカタ周辺も日中は20℃前後と汗ばむほどだったが一変、朝靄が立ちこめる中競技がスタート。雨が降ったり止んだりの一日でウェット路面の勝負となったが、各クラスでコンマ数秒差の接戦が繰り広げられ、今季も激しい争いを予感させる開幕戦となった。


2025年JAF中国ダートトライアル選手権 第1戦
ATクラス
クラッチペダルを有しない2WDのAE・PN・N・SA・SAX車両で争われるATクラス。1Heatをトップで折り返したのは、昨季ランキング2位でマツダ・デミオを駆る豊島優凛選手。2番手は和歌山県から遠征してきたベテランの西岡章夫選手がつけるが、豊島選手は西岡選手を4秒以上上回る2分14秒04をマークする。
続く2Heatで西岡選手は約1.3秒のタイムアップを果たすも、1Heatでのタイム差を覆すことが出来ず2位止まり。また、ディフェンディングチャンピオンでホンダ・フィットに乗り換えた行友優太選手は4番手から逆転を狙い、5秒近くタイムを上げたが順位は変わらず4位で終える。この結果、ラストゼッケン豊島選手の2Heatはウィニングラン。惜しくもタイムダウンになるも、優勝を果たした。
「2本目は路面の変化に対応出来ず、土手にのり上げたり、横転しかけたりで無茶苦茶な走りになってしまいました(笑)。今年のクルマは行友選手から受け継いだクルマなので、行友選手が達成出来なかった全戦優勝でチャンピオンを狙います!」と、豊島選手は戴冠に向けて力強く語った。



PN1+クラス
排気量1600cc以下で2WDのPN車両及びラリー車両規定のRPN車両に限定する、1500CC以下で2WDのB車両で争われるPN1+クラスは、ZC32S型スズキ・スイフトスポーツ、デミオ、フィット、トヨタ・ヤリス、そしてトヨタ・ヴィッツと、車種のバラエティに富んだクラスだ。
1Heatで2分9秒台のトップタイムをマークしたのは、ディフェンディングチャンピオン山谷隆義選手。2番手には藤原祐一郎選手が0.06秒差で続き、フィット勢が1-2で折り返す。しかし2Heatでトップタイムを更新したのは、ヤリスを駆る井上翔太郎選手。山谷選手のタイムを1.14秒更新して2分08秒台に突入した。
続く藤原選手も2分8秒台までタイムを詰めるが0.07秒及ばず2番手止まり。2Heatも僅差の争いとなったが勝負を決めたのは、やはりラストゼッケン山谷選手。井上選手のタイムを0.21秒更新する2分8秒39で、逆転勝利を収めた。「2本目はもっとタイムアップ出来ましたね。もしかしたら負けたかなと思う走りでしたが、両ヒートともにトップタイムを出せたので良かったです(笑)」と、接戦を制して連覇に向けて好スタートを切った山谷選手は振り返った。



NPSAクラス
NPSAクラスは2WDのN車両と、ラリー車両規定のRJ車両を含む1500cc未満の2WDで2005年式以降のAE・PN・N・SA・SAX・B車両で争われる。1Heatは、クラスで唯一2分10秒台を刻んだハンター大谷ヒロシ選手がトップで折り返す。
2Heatに入ると、1Heatで4番手につけていた昨季SCD1クラス王者の重松良輔選手が、大谷選手のタイムを約0.3秒更新しトップに立つ。ここから2分10秒台の攻防戦が繰り広げられ、大谷選手もタイムアップを果たすが重松選手に0.07秒届かず2番手止まり。
しかし次ゼッケンの谷口成治郎選手が「まだまだ現役!」と意気込むトヨタ・スターレットGTを駆って、重松選手を0.3秒更新し2分10秒01をマーク。これで勝負ありと思われたが、更に0.11秒更新して2分9秒台を叩き出したのがラストゼッケン西隆司選手。1Heat2番手から逆転で勝利を収めた。
「今回は1本目を走った後、優勝というイメージがなく、2本目はクルマの速いところを引き出そう、ということだけを考えて走った結果、優勝しました。ラリーと掛け持ちなので全戦は出られませんが、出られるときはシリーズ争いの邪魔をしようと思ってます(笑)」と、西選手は無欲の走りだったことを明かした。今季もラリーとダートラの二刀流でシーズンを戦う。



SA1クラス
SA1クラスは、2WDのSA・SAX車両によって争われる。1Heatでトップタイムをマークしたのは昨季ランキング4位の髙橋義晴選手で、タイムは2分8秒14。2番手には昨季のJAF近畿ダートトライアル選手権S1クラスで好成績を収めてきた若手ドライバー、一宮悠人選手が0.1秒差で続いた。
しかし2Heatでは前半ゼッケンの岡崎大悟選手が2分7秒台に突入し、勝負は仕切り直しとなった。一気に2分05秒32までタイムを詰めたのは、1Heatで3番手につけていた松岡修司選手。続く髙橋選手はタイムダウンを喫してしまい順位を上げることが出来ず、一宮選手は2秒以上のタイムアップを果たすも2分6秒14で2番手に。更に後半ゼッケン、昨季ランキング2位の中畑有貴選手、同3位の丸本淳二選手も振るわず下位に沈み、松岡選手が逆転で開幕戦を制した。
「昨年、コルトからスイフトに乗り換えたのですが、思うようにクルマを動かせず悶々としたシーズンでした。ようやく方向性が見えてきた感じですが、まだまだ課題は多いですね」と、松岡選手と新たな相棒は人車一体を深めている途中の様子。続けて「今日は来る途中、色々ありまして(笑)、会場に辿り着けただけでもありがたかったのですが、そのうえ優勝もできて嬉しいです。周りの方々に感謝ですね」と慌ただしい一日だったようだが、ZC33S型スイフトでの初優勝を喜んだ。



RWDクラス
排気量区分なしで後輪駆動のPN・N・SA・SAX・SC・D車両が競うRWDクラス。ディフェンディングチャンピオンの畑窪琢巳選手が、1Heatから2分7秒台の圧倒的な速さを見せてトップタイムをマーク。2Heatでは2番手につけていた入谷有星選手が2分06秒9を記録してトップに立つが、畑窪選手は2分04秒94までトップタイムを更新し、完全優勝を決めた。
「昨シーズンから足回りや駆動系など、クルマの仕様を大幅に変更してコントロール性も上がり、トラクションもよく掛かるようになりました。特にショックアブソーバーが効いてますね。今年はスポットで全日本に出る予定ですので、少しでも上位に食い込めるよう頑張ります!」と、今季の抱負も語った畑窪選手。全日本への挑戦と地区戦三連覇に向けて、初戦で幸先の良いスタートを切った。



NS1クラス
4WDのN・SA・SAX車両によって争うS1クラスは、ディフェンディングチャンピオン西田ツカサ選手と、昨季ランキング2位の川戸惟寛選手が1Heatからコンマ秒差の接戦を展開した。
トップの西田選手を川戸選手が0.16秒差で追い、2Heatが始まった。川戸選手は1.18秒タイムアップさせてトップに立つが、西田選手は2.2秒のタイムアップで再逆転。チャンピオンの意地を見せる走りで優勝を果たした。
「シーズンオフはタービンを組み直したり、その他諸々クルマの整備にたっぷり時間を費やしたこともあり、トラブルなく順調に走れました(笑)」と、西田選手は準備万端で今季を迎えたことを明かした。続けて「2本目は再出走で、出走前に川戸選手の1分53秒台というタイムを聞いて、『えっ!?』と思ったのですが、冷静になって気持ちを落ち着かせて走ったのが良かったと思います」と、2Heatを振り返った西田選手のタイムは1分52秒2。開幕戦での全クラストップタイムを叩き出した。



SCD1クラス
SCD1クラスには、2WDのSC及びD車両を駆る猛者たちが集う。1Heatは昨季ランキング3位の鈴鹿浩昭選手が2分4秒台でトップタイムをマークし、2番手には2分5秒台で昨季ランキング2位の一柳豊選手がつけた。
2Heatが始まると、1Heatは3番手につけていたベテラン、夏明成己選手が2分3秒台でトップタイムを更新。続く一柳選手は更にタイムを詰め、一気に2分0秒台に突入。ラストゼッケン鈴鹿選手もタイムアップを果たすが2分02秒台に留まり、一柳選手が逆転で勝利を収めた。
一柳選手は「昨年は、クルマのセットと自分自身の気持ちが噛み合ないことが多かったのですが、最終戦でセットを変えて良いフィーリングが得られました。そのイメージで今回挑みましたが、やはり練習不足ということもあり、失敗は多かったですね。タイヤのおかげで勝てました(笑)」と、やや課題を残した様子を見せた。しかしながら2022シーズン以来のチャンピオン奪回に向けて、優勝で好発進した。



SCD2クラス
4WDのSC・D車両が対象のSCD2クラスは1Heat、JAF全日本ダートトライアル選手権のDクラスで活躍していた河内渉選手が、ディフェンディングチャンピオンの古屋慶己選手に約1.2秒の差をつけるトップタイムをマークする。
2Heatでも河内選手は1秒近くタイムアップしてトップを保持。ラストゼッケン古屋選手は1.7秒ほどベストを更新するも、河内選手には0.47秒及ばす2位のまま。全日本ドライバーの貫禄を見せた河内選手がトップを譲らず優勝を決めた。
「今年から地区戦の選手になろうと思いまして(笑)。今回は目標となるタイムが出せず寂しいね。何とか勝ったっていう感じです。また地区戦に出る時は西元選手をいじめて楽しみます(笑)」と、河内選手は勝利を振り返った。
河内選手の優勝コメントに登場した西元直行選手だがなんと、関東地区から遠征してきたアキマただゆき選手とベストが同タイム。セカンドベストタイムとなる1Heatのタイムがアキマ選手を0.44秒上回り、3位表彰台を死守した。



2025年JMRC中国ダートトライアル チャレンジシリーズ第1戦
チャレンジクラス
車両区分がなく、JMRC中国が認定するシードドライバーが参戦できないチャレンジは、主に学生や若手のダートトライアラーたちが集う。
矢吹陽選手が1Heatでトップタイムをマークし、2Heatではタイムダウンを喫するも、1Heatのタイムを守り切り優勝を飾った。「走りはイマイチでしたね(笑)。パワステ(パワーステアリング)が無いミラージュなので、2本目は“重ステ”に腕が負けちゃいました。ダートトライアルは去年から始めたのですが、これからも引き続き頑張ります!」と、笑顔でコメントした矢吹選手は20歳の学生トライアラ―だ。



オープンクラス
オープンはシリーズ賞典外だが全日本ドライバーも参戦し、11台と賑わいを見せた。マイケルティー選手が両Heatともにトップタイムをマークして2番手タイムに三浦陸選手、3番手タイムに大下剛選手が続き、全日本SA・SAX2クラスにも挑むトライアラ―が躍動した。


フォト/友田宏之、西野キヨシ レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部
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