モータースポーツ審査委員会裁定
公示No.2018-WEB018
2018年7月25日
JAFモータースポーツ審査委員会は、「2018もてぎチャンピオンカップレース第3戦GLOBAL MX5CUP JAPAN Round.2」において出された控訴を審査し裁定しましたので、その裁定書を公示します。
2018年7月13日
裁定書
控訴人 H.M.RACERS
代表 永田康郎 殿
一般社団法人日本自動車連盟
モータースポーツ審査委員会
委員長 岩井重一
委員 木下美明
同 佐久間豊
同 眞田裕一
同 園 高明
同 高橋利昭
主文
本件控訴を棄却する。
控訴料は没収する。
理由
1.事案の概要
控訴人(代表永田康郎氏)を競技参加者とする佐々木孝太氏(以下、「佐々木氏」という。)は、2018年6月10日、栃木県芳賀郡茂木町桧山120‐1所在ツインリングもてぎにおいて開催された2018もてぎチャンピオンカップレース第3戦GLOBAL MX5CUP JAPAN Round.2(以下、「本件レース」という。)に競技車両(カーナンバー85、以下、「85号車」という。)を運転して参加し、また、梅田剛氏は、本件レースに競技車両(カーナンバー12、以下、「12号車」という。)を運転して参加した。
本件レース19周目(全19周)の第5ターン入口付近において、12号車と85号車は接触しながらコーナーに進入し、12号車はイン側から85号車を抜き去ったが、第5ターン出口付近において、85号車は12号車のリア部分に接触し、12号車はスピン状態に陥ってタイムをロスし、最終的には、85号車が2番目、12号車が3番目でフィニッシュとなった。しかし、競技会審査委員会は、9番ポストからの第5ターン出口での12号車のプッシングの判定及びVTR検証を行った結果85号車の第5ターン出口での前記接触行為は、2018もてぎチャンピオンカップレース特別規則書(以下、「特別規則」という。)第26条~4)「危険なドライブ行為①衝突を起こしたもの」に該当するとして、特別規則45条~2)②の競技結果への30秒のタイム加算を行った結果、12号車は競技結果暫定2位、85号車は競技結果暫定4位となった。
しかしながら、第5ターンの入口での接触は、12号車が濡れた路面であるにもかかわらず無理な追い越しをしたことに原因があり、その結果が第5ターン出口での接触に結び付いたものであり、12号車に対するペナルティーがないのに85号車に対してのみペナルティーを課すのは公平を欠くものであり、85号車へのタイム加算のペナルティーは取り消されるべきであるとして、控訴人から本件控訴がなされた。
2.当審査委員会の審議及び判断
(1)当審査委員会は、委員会を開催し、VTRを確認し、控訴人代表永田氏、競技運転者である佐々木氏を審問するとともに、競技会審査委員会委員長及び競技長に対しペナルティーの理由を質問し、その回答を求めるなどして慎重に審議した。
(2)これら調査及び審問の結果、当審査委員会は次の通り判断した。
控訴人の控訴の理由は、12号車に対してタイムペナルティーがなく、85号車に対してのみ衝突としてのタイムペナルティーを課すことは公平ではないと主張するところにある。しかし、第5ターン入口付近での12号車及び85号車の接触は、双方が競り合うなかで生じたレーシングアクシデントであり、12号車の責任による衝突とは認め難い。一方、第5ターン出口付近での85号車の12号車リア部分への接触について、衝突は回避できるものであれば回避した旨の佐々木氏の供述があるものの、結果として先行する12号車がスピンに至る85号車のプッシングと判断せざるを得ず、85号車の責任による「危険なドライブ行為①衝突を起こしたもの」(特別規則第26条~4))に該当するものと認定した。また、第5ターン入口での接触と第5ターン出口での接触をひとつのアクシデントとみることはできないものと判断した。
従って、12号車に対してタイムペナルティーを課さず、85号車に対してのみタイムペナルティーを課した競技会審査委員会の判断は正当として是認することができるものであり、控訴人の控訴は理由がないから本件控訴を棄却し、控訴料は没収することとする。
よって、主文の通り裁定する。