モータースポーツ審査委員会裁定について(2024年4月21日開催競技会)

公示 その他 その他

公示No.2024-WEB052
2024年6月10日

JAFモータースポーツ審査委員会は、「2024年4月21日開催SUGOスーパー耐久4時間レース決勝」において提出された控訴について審理した結果の裁定書を公示します。

2024年5月23日

裁 定 書

控訴人 GTNET MOTOR SPORTS
代表  阪本 淳 殿

一般社団法人日本自動車連盟
モータースポーツ審査委員会
委 員 長 園  高明
委 員 木下 美明
委 員 佐久間 豊
委 員 鈴木 洋洲
委 員 曽木 徹也

主 文
本件控訴を棄却する。
控訴料は控訴人に返還する。

裁定の理由

1 事案の概要

2024年4月21日、SUGOインターナショナルレーシングコース(宮城県柴田郡村田町菅生6-1)において開催されたSUGOスーパー耐久4時間レース決勝(以下「本件レース」という)において、アクシデントによるセーフティカー( 以下「SC」という) 活動中に、控訴人がエントリーする81号車がピットインし、ピットアウト後、ピットレーン出口でレッドライトが点灯されたため、約1分32秒間停止した。
控訴人は、競技会審査委員会に対し、SCの後に隊列が形成されていない状態であり、SCがホームストレートを走行した後は、ピットレーン出口でグリーンライトを点灯すべきだったのにレッドライトを点灯し続けたのは、不当であるとして、抗議(以下、「本件抗議」という)を提出した。
これに対し、競技会審査委員会は、「当該抗議者と競技運営者の規則解釈の齟齬により発生したものであり、ピット出口のシグナル運用自体は不適切であるとまでは言えない。」としたが、「解釈齟齬の解消を行うことが必要であり、大会競技団に対し、競技規則の運用についての周知徹底を命じた。」として、本件抗議を認め、抗議料を返還した。
控訴人は、本件レース中の81号車の不利益について、是正措置として、決勝順位又は周回数の変更及びシリーズポイントの付与を求めて控訴(以下、「本件控訴」という)した。

2 審査の経過及び判断の理由

当審査委員会は、本件レースのビデオを検証し、控訴人代表阪本淳氏、競技長大谷保志氏及び競技会審査委員長澤田公男氏を審問するなどして本件控訴について審理した。
(1)控訴人は、81号車の不利益について是正措置として順位の変更等を求めているが、これは、SC活動中のピットレーン出口でのレッドランプの点灯という競技運営についての控訴であり、規則上、当審査委員会ないしは当連盟にそのような是正措置を認める条項はない。
レース中の競技参加車同士の衝突でも、一方に罰則が科せられることによる順位変更はあっても、他方が受けた不利益について直接是正措置は取られない。
控訴人が求める順位の変更等は、他の参加者に影響が及ぶものであるし、控訴人が主張するライト点灯の運用がなされていれば、控訴人の主張している順位でフィニッシュしたとも言えない。
よって、本件控訴は、棄却する。
なお、本件控訴には(2)で指摘するとおり傾聴すべき内容を含むことから、控訴料は返還することとする。

(2)控訴人が主張するように、SCの後ろに隊列が整っていない状態で、SCがホームストレートを走行後、10数秒後に後続車がホームストレートを通過することが認められ、隊列ができていない状態では、グリーンライトを点灯すべきであるとの控訴人の主張も理解できるところである。
しかしながら、競技長は、コースやレースの特性、すなわちコース距離が短いこと、コース幅が狭いこと、ピットレーン出口がホームストレート上になく第3コーナーにあること、ピットからピットレーン入口が見えないこと、競技参加車の速度差が大きいこと等の事情を考慮して、最大限に安全を重視し、ピットレーン出口のレッドライト点灯を続けたものであり、規則違反とまで言うことはできない。そこで、当審査委員会は、オーガナイザー及び競技長に対し、SCの活動に際し、サーキット及びレースの特徴並びに参加者の速度差等の理由により隊列が速やかに形成されない場合のピットレーン出口でのライト点灯の運用について競技参加者及び競技運転者に周知するよう求めるものである。

以上

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