インタープロト&KYOJO CUPがいよいよ開幕。坪井翔選手が開幕2連勝、そして翁長実希選手が勝利。
2020年7月10日

緊急事態宣言が解除されて約1か月、7月4日に他レースカテゴリーに先駆けてインタープロトとKYOJO CUPが富士スピードウェイで開催された。梅雨の時期で天候は芳しくなく、また1DAY無観客という厳しい条件下ではあったが、久々のレースということもありドライバーを始め関係者らは緊張の面持ちでレースに臨んだ。
インタープロトシリーズ POWERD BY KeePer 第1大会
KYOJO CUP SUPPORTED BY MUSEE PLATINUM 第1戦
(2020 富士チャンピオンレースシリーズ第1戦)
開催日:2020年7月4日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C、TMSC
2020シーズンのインタープロトシリーズは、新型コロナウイルス感染症の影響により、当初5月の開催を延期した。そして仕切り直しとなって7月4日、ついに待望の開幕戦を迎えることができた。とはいえこの開催は1DAYで無観客とし、各種感染予防対策等も講じられて、ようやく漕ぎつけたものとなる。
プロ・アマのドライバーが競演するこのシリーズの開幕には、インタープロトクラスが10台、CCS-Rクラスが4台エントリー。SUPER GTドライバーが参戦するプロフェッショナル、プロの走行データを共有してレースに挑むジェントルマンが、インタープロト専用車両“kuruma”でガチンコバトルを展開していくのが醍醐味となっている。
午前中はずっと横殴りの雨に見舞われて悪天候での予選となったが、それをものともせずプロフェッショナルはハイレベルな争いを繰り広げた。1年ぶりにインタープロトに復帰した平川亮選手が1分58秒956をマークしてポールポジションを獲得。そこに阪口晴南選手、坪井翔選手が続く。
午後になると雨も一旦止み、第1レースの決勝は路面が乾いた状態でスタートできるかのように見えた。が、そのスタート直後に激しい降雨となって、ウェット状態に逆戻り。さらに追い打ちをかけるかのごとく、コースは強風に見舞われた。各車グリッド順に1コーナーへ進入したものの、阪口選手が果敢に攻めてすぐさまトップを奪取。だが2周目、その阪口選手は1コーナーで痛恨のコースオフを喫し、再びポールの平川選手がトップに立った。
各選手ともスライドする車体をうまくコントロールして雨のレースに順応していた。序盤は平川選手、坪井選手、そして関口雄飛選手という並びでトップ集団を形成。その中でジリジリと後続を離していったのは平川選手だ。だがそれも束の間、中盤になって平川選手に襲い掛かったのは2番手の坪井選手。TGRコーナーでコースオーバーしてしまった平川選手のミスを見逃さず、坪井選手がすかさずトップに。
後方から虎視眈々とトップを狙う迫り来る関口選手やロニー・クインタレッリ選手からのプレッシャーを跳ね除け、着実にリードを築いた坪井選手がそのままトップチェッカーを受けた。2位はクインタレッリ選手、そして3番手を走行していた関口選手は7周目でスローダウンの後にピットインし、代わって中団から追い上げてきた阪口選手が3位を獲得した。
余韻に浸る間もなく続いた第2レースの決勝。第1レースの結果順がスターティンググリッドとなった。第1レースでマシンにトラブルを抱えた関口選手、クラッシュした野尻智紀選手と中山雄一選手は未出走となり、インタープロトクラスは7台で争うこととなった。
インタープロトシリーズの特徴として一大会の2戦目に照準を合わせてくる選手が増える中、スタートで勢いよく飛び出したのは4番手スタートの福住仁嶺選手。まず阪口選手をパスして3番手、2周目にクインタレッリ選手をかわして2番手に浮上。気づけばポールポジションの坪井選手に迫る速さを見せた。
しかし昨年のシリーズチャンピオンの坪井選手は福住選手を寄せ付けず、そのまま逃げ切って連勝を飾った。2位は福住選手、3位はクインタレッリ選手という結果で冨士大会の開幕戦を終えた。なおCCS-Rクラスは松井孝允選手がポール・トゥ・ウィンで第1レースと第2レースを制して2連勝し、片岡龍也選手が2位、阪口良平選手が3位となった。
またジェントルマンIP Eでは坪井選手とマシンをシェアした永井秀貴選手が2レースともに優勝し、2位は山口達雄選手、3位は第1レースが大蔵峰樹選手/第2レースが渡邊久和選手。IP Gは寺川和紘選手が2連勝、2位はけんたろ選手、3位は第1レースがとおる君選手/第2レースが八木常治選手。CCS-Rクラスは第1レースが1位に今井孝選手、2位に卜部治久選手、続く第2レースは1位に天野雅仁選手、2位に疋田亮選手と、大混戦となった。










同日に開催された女性ドライバーのみで争われるKYOJO CUP。今年で発足4年目となり、今シーズンは新たなドライバーが参戦。昨年まで全日本F3選手権に参戦していた三浦愛選手、全日本カート選手権に参戦していた辻本始温選手、JAF-F4に参戦していた猪爪杏奈選手、ローカルカートレース等に参戦していた斎藤愛未選手と、蒼々たるニューフェイスが揃った。
午後に組み込まれた雨の中の予選では、三浦選手が唯一2分3秒台のタイムを叩き出して堂々のポールポジション。2番手には猪爪選手と、新人ドライバーたちがフロントローを獲得して奮闘を見せた。続く3番手は山本龍選手。
決勝の時間になるとすっかり雨も止んでいたが、いざスタートしたらその直後に土砂降りの雨。ポールの三浦選手が逃げる展開になるかと思われたが、4番手スタートの伏兵、翁長実希選手が追いすがり一気にトップに躍り出た。一方の三浦選手は猪爪選手と接触してスピンしてしまい、最後尾まで順位を落としてしまう。
雨の激しさから3周目になってセーフティカーが導入、そして5周目には赤旗が掲示されてレースは25分の中断を余儀なくされた。その間に天候は若干の回復を見せ、セーフティカー先導で再開。8周目に再スタートが切られたが、やはり路面コンディションが悪化したことで各車スピンが続出。しかし先頭を走る翁長選手は雨をものともせずきっちり逃げ切って優勝を手にした。
RINA ITO選手が健闘して表彰台を獲得。最後尾から怒涛の追い上げを見せた三浦選手は、最終ラップでは4番手までポジションを上げ、最終コーナーでは斎藤愛未選手も捕らえて3位フィニッシュ。


フォト/石原康、Inter Proto Series事務局、KYOJO CUP事務局 レポート/Inter Proto Series事務局、KYOJO CUP事務局、JAFスポーツ編集部