2025シーズンは変則2レースで開幕、seven × seven PORSCHE GT3Rがデビューウィン
2025年3月28日

3月21~23日にモビリティリゾートもてぎでスーパー耐久シリーズ2025「もてぎスーパー耐久 4Hours Race」が開幕。全10クラスに60台の車両がエントリーし、22日にST-Z、ST-TCR、ST-4、ST-5F、ST-5Rクラスの計40台による4時間のRace1が、23日にST-X、ST-Z、ST-Q、ST-1、ST-2、ST-3、ST-4クラスの計39台による4時間のRace2が行われた。
ENEOS スーパー耐久シリーズ 2025 Empowered by BRIDGESTONE 第1戦「もてぎスーパー耐久 4Hours Race」
開催日:2025年3月21~23日
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)
主催:ホンダモビリティランド株式会社、M.O.S.C.
参加型の耐久レースとして人気を集め、年々エントラントが増加中しているS耐ことスーパー耐久シリーズ。しかしサーキットのピット数は限られており、毎戦すべての車両を受け入れられない状態が続いている。ST-XクラスとST-Zクラスは全7戦で予定が組まれているものの、他クラスは年間どこかのラウンドで1戦不参加があり、全6戦のシリーズとなる。現状では各レースでの出走台数を調整している状態だ。
今回の開幕戦では全10クラスのレースが組まれたが、ST-Zクラス(第5戦オートポリスが不参加)とST-4クラス(第4戦SUGOと第6戦岡山が不参加)は、22日と23日にそれぞれレースを行う変則的なダブルヘッダーとなった。
22日は朝方が冷え込み、気温10度、路面温度13度の8時にRace1の予選がスタート。コースインの際に冷えた路面でスピン&クラッシュした車両があって、セッションが一時中断したが、A/Bドライバーの合算タイムでポールポジションを獲得したのは、2年連続クラスチャンピオンの埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2(山﨑学/吉田広樹/服部尚貴/野中誠太組)。これに25号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(植松忠雄/松田次生/名取鉄平/佐藤公哉組)、26号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(大塚隆一郎/富田竜一郎/篠原拓朗/荒聖治組)が続いた。
23日のRace2は前日より暖かくなり、気温16度、路面温度23度という8時30分に予選が始まったが、この予選でもコースイン直後の車両がクラッシュしてセッションは一時中断となった。A/Bドライバーの合算タイムでポールポジションを獲得したのは、今回がデビュー戦となったseven × seven PORSCHE GT3R(BANKCY/藤波清斗/近藤翼/渡会太一組)。2番手はDENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/蒲生尚弥/小林利徠斗/嵯峨宏紀組)、3番手はHitotsuyama Audi R8 LMS(鈴木建自/小川颯太/プル・ジェームス/猪爪杏奈組)となった。
Race1・ST-Zクラス
Race1の決勝レースは気温23度、路面温度31度と暖かくなった13時にフォーメーションがスタート。13時4分にバトルが開始された。トップの埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2の吉田選手の背後に25号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4の名取選手がつけ、トップ2台とやや距離を置いて26号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4の富田選手がトップグループを形成して周回。周回遅れが発生し始めた5周目の3コーナーで名取選手が吉田選手を抜き去ってトップに浮上、そしてじわじわと後続を引き離しにかかった。
レース開始から1時間15分が経過した36周で26号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4の富田選手、次の周に25号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4の名取選手がピットインし、それぞれ大塚選手、植松選手に交代する。トップを走る埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2の吉田選手は40周でピットインして山﨑選手に交代、4番手でコースに戻った。
53周で3番手を走行中のEBI GROUP Cayman GT4 RS CS(北園将太/久保凛太郎/平安山良馬組)が2回目のピットイン。しかし給油直後にピット前で火災が発生し、これでリタイアとなってしまった。トップ争いはレースが2時間を経過したころ、25号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4の植松選手に26号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4の大塚選手が追いつき、ホームストレートで逆転。これで26号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4がトップに立つ。
その後は26号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4が富田選手、篠原選手とつなぎ、2位に37秒の差をつけて初優勝。2位には25号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4がゴールしてTEAM ZEROONEが1-2フィニッシュを飾る。埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2は、スープラ勢最上位の3位で表彰台を獲得した。



Race1・ST-TCRクラス
ST-TCRクラス(全5台)は97号車 Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC(遠藤光博/中野信治/Jack Young/大宮賢人組)が優勝。S耐初登場となったセアト・クプラのBPR★NUTEC 制動屋 CUPRA TCR(東風谷高史/末廣武士/奥住慈英/大野尊久組)が2位表彰台、昨年の岡山大会で初登場したヒョンデ・エラントラのWAIMARAMA Elantra N TCR(KIZUNA/千代勝正/リ・ジョンウ組)が3位表彰台を獲得した。



Race1・ST-4クラス
ST-4クラス(全9台)はシェイドレーシング GR86(影山正彦/清水英志郎/山田真之亮組)が、エナジーハイドロゲン EXEDY GR86(石井宏尚/冨林勇佑/尾崎俊介組)の猛追を0.522秒差で退けて優勝している。



Race1・ST-5Fクラス/ST-5Rクラス
今季から駆動方式により区分されることになったST-5クラスだが、前輪駆動のST-5Fクラス(全8台)はYAMATO FIT(安井亮平/内山慎也/椋本陵/中村義彦組)、後輪駆動のST-5Rクラス(全7台)は88号車 村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/太田達也/黒沼聖那/吉田総一郎組)がそれぞれ優勝した。






Race2・ST-Xクラス
Race2の決勝は気温23度、路面温度32度と汗ばむような天候の12時30分にフォーメーションラップが始まった。12時34分のスタートとともにseven × seven PORSCHE GT3Rの藤波選手がダッシュ、後続を一気に引き離しにかかった。2周目にTKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/片岡龍也/奥本隼士/中山友貴組)の片岡選手が2番手に、6周目にはHitotsuyama Audi R8 LMSの猪爪選手が3番手に順位を上げた。
seven × seven PORSCHE GT3Rは35周でピットインするとBANKCY選手に交代。暫定トップに立ったTKRI松永建設AMG GT3は39周でピットイン、鈴木選手に交代したタイミングで再びBANKCY選手がトップに戻る。Hitotsuyama Audi R8 LMSは早めに猪爪選手から小川選手にバトンタッチして53周目にはトップを奪うが、55周目に2回目のピットインをすると再びBANKCY選手がトップに返り咲く。
今度はseven × seven PORSCHE GT3Rが65周でピットイン、その間にTKRI松永建設AMG GT3の中山選手がトップに立つが、こちらも69周でピットインするとseven × seven PORSCHE GT3Rの近藤選手が難なくトップを奪い、目まぐるしいトップの入れ替わりが起こった。
快調にトップを守ったseven × seven PORSCHE GT3Rは最後に藤波選手が再びバトンを引き継ぎ、TKRI松永建設AMG GT3に16秒差をつけてポール・トゥ・ウィン。3シーズンぶりにS耐に戻って来たポルシェは、最新型となるタイプ992としてデビューウィンを飾ることとなった。そして残り15分を切って表彰台圏内に順位を上げたHitotsuyama Audi R8 LMSが、何とファイナルラップでガス欠のためにストップ。もてぎを苦手とするDENSO LEXUS RC F GT3が3位表彰台を獲得することになった。



Race2・ST-Zクラス
ST-Zクラス(全10台)ではクラスポールのシェイドレーシング GR Supra GT4 EVO2(HIRO HAYASHI/平中克幸/国本雄資/佐野雄城組)が先行したが、予選のベストタイム抹消でクラス最後尾からのスタートとなった埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2が逆転優勝。2位はシェイドレーシング GR Supra GT4 EVO2、3位は26号車 raffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4だった。



Race2・ST-1クラス、ST-2クラス、ST-3クラス
ST-1クラス(全2台)はシンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹組)、ST-2クラス(全8台)はKTMS GR YARIS(富下李央奈/鈴木斗輝哉/平良響組)、ST-3クラス(全4台)はエアバスターWINMAX RC350 TWS(藤田真哉/眞田拓海/伊藤鷹志組)がそれぞれ優勝。








ST-4クラス
ST-Zクラス同様、今回2レースとなったST-4クラスは、シェイドレーシング GR86がエナジーハイドロゲン EXEDY GR86とのバトルを制して連勝した。なお今回がデビュー戦となったスズキ・スイフトのAutoLabo Racing(横尾優一/伊藤大輔/西村和則組)は、Race1で7位、Race2で5位と連続完走した。



Race2・ST-Qクラス
開発車両のST-Qクラス(全1台)はGR Yaris DAT Racing concept(大政和彦/山下健太/河野駿佑/松井孝允組)が109周で完走した。


フォト/吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部