FS-125部門の初戦は竹本優月輝選手が勝利! 昨年FP-3部門に続き琵琶湖大会2連勝!!

レポート カート

2021年3月24日

2021年の全日本/ジュニアカート選手権は西地域から開幕した。3月21日、滋賀県・琵琶湖スポーツランドで開催された西地域第1戦はウェットコンディションの中、FS-125部門では竹本優月輝選手(TAKAGI PLANNING)がデビュー戦でポール・トゥ・ウィンを果たした。

2021年JAF全日本カート選手権FS-125部門/FP-3部門 西地域第1戦
2021年JAFジュニアカート選手権 FP-Jr部門/FP-Jr Cadets部門 西地域第1戦

開催日:2021年3月20〜21日
開催地:琵琶湖スポーツランド(滋賀県大津市)
主催:BSL

 2021年最初の全日本カート選手権はFS-125部門、FP-3部門ともエントリー18台と、なかなかの盛況ぶりだ。

 前夜から降り始めた雨は、走行セッション開始間近になって勢いを増し、レースは全部門フルウェットのコンディションに。全ヒートのスターティンググリッド整列位置となるメインストレート上には一部に深い水溜りが現れ、混乱を避けるためグリッド整列とローリングは一列で行われることとなった。

 FS-125部門は、2020年の西地域で津野熊凌大選手が5戦すべての優勝を独占したこともあり、今回の出場選手の中に優勝経験者はゼロ。誰が勝っても初優勝というフレッシュな一戦になった。

 その予選では波乱が相次いだ。どしゃ降りの雨の中、1周目にポールの山口大耀選手(HRS JAPAN)がスピンを喫し、セカンドグリッドの加藤大翔選手(HRS JAPAN)もストップ。3周目には2番手を走る卜部和久選手(Team EMATY)がコースアウト。中盤過ぎには冨田真弥選手(EHRE motorsport)からトップを奪った直後の安藤哉翔選手(ONE POINT)がコースアウト、続いて冨田選手もスピンして、トップゴールは5番グリッドから発進した竹本選手のものとなった。

 しかし、15歳のルーキー竹本選手は、この決勝ポール獲得をタナボタだとは思っていなかった。「まだこのエンジンをちゃんと理解できていなくて、タイムトライアル(TT)ではキャブレターの調整がぜんぜん合っていなかったことが後で分かった。それがなければTTでもトップを獲れていたはず」と竹本選手。

 その自信のとおり、竹本選手は26周の決勝が始まるとスタート直後から後続との間にギャップを開き、10周目にはリードを約1.5秒に広げて完全な独走状態に。そのまま突っ走った竹本選手は、ナンバー1サインを掲げてFS-125部門デビューウィンのチェッカーをくぐった。さらに竹本選手は、昨年のFP-3部門第5戦に続いて琵琶湖大会2連覇だ。

 2位は25歳のベテラン菊田悟選手(TEAM CRESCENT with ONE POINT)だ。今季から変更したシャシーが、練習日のドライコンディションでも決勝日のぶっつけ本番のウェットコンディションでも好調。セカンドグリッドからポジションキープで好感触のまま走り切り、全日本9年目で初の表彰台に立った。

 3番手を走った加納康雅選手(TIGRE)には終盤、黒川史哉(Ash)が迫ったが、加納選手は最後まで逆転を許さず、全日本デビュー戦を3位表彰台で飾った。

「いつでも開幕を迎えられるように備えていました」という竹本優月輝選手。「初戦でこうやって勝てて、今後に向けてすごくいいスタートが切れたと思います。去年、FP-3部門で勝った時と同じように、後ろが離れていてすごく楽でした」と、はにかんだ表情で初優勝を喜んだ。
FS-125部門の表彰式。左から2位の菊田悟選手、1位の竹本選手、3位の加納康雅選手が登壇。

 FP-3部門の決勝ポールは、参加者中ただひとりの優勝経験者、舟橋弘典選手(HIRAIPROJECT with Ash)だ。オープニングラップには森岡真央選手(Ash)と中村海斗選手(Formula Blue Team Nagao)の先行を許して3番手に後退。だが、ここで焦りはなかったと舟橋選手はいう。

 ここからレースは森岡選手、中村選手、舟橋選手の3台が一列となって抜け出し、淡々とラップを重ねる静かな展開に。そんな状況が動いたのは折り返し点が近づいた頃だった。舟橋選手が11周目にまず中村選手を抜き返し、13周目には森岡選手も一発で再逆転してトップに復帰した。

 ここからレースは舟橋選手の思いどおりの展開になる。舟橋選手がじわりと背後との距離を開くと、それに後れまいと背後の2台がバトルを開始。この機に乗じて舟橋選手は一気にリードを広げ、独走に持ち込んだ。あとは一人旅を続けてフィニッシュ。舟橋選手が堂々の開幕戦2年連続ウィンを遂げた。

 全日本デビュー戦で並々ならぬ速さを披露した森岡選手は2番手でゴールするも、サイドフェアリングが外れかかっており、無念の降格に。これで同じく全日本デビュー戦の14歳、中村選手が2位を、45歳のベテラン佐々木克行選手(バリバリバリ ヒストリー)が3位を手に入れることとなった。

優勝の舟橋弘典選手は「1周目に3番手に下がった時は、あの2台(森岡選手、中村選手)ならタイムは同じくらいなので大丈夫だろうと思って、不安はありませんでした。そこからは前のふたりを泳がせてタイヤを使わせてから抜こうと思っていました」と狙い通りの展開で勝利を収めた。
FP-3部門の表彰式。左から2位の中村海斗選手、1位の舟橋選手、3位の佐々木克行選手が登壇。

 同時開催のジュニアカート選手権・西地域開幕戦。FP-Jr部門では、ポールからトップを独走していた伊藤聖七選手(Ash)が中盤にスピン。代わって先頭に立った松土稟選手(LIFE・ROAD.Racing with Ash)が、ほぼ2年ぶりのジュニア選手権復帰戦、そしてFP-Jr部門のデビュー戦を勝利で飾った。

 2位は松土選手を目前まで追い詰めた箕浦稜己選手(BirelART West)。3番手を走った田邊琉揮選手(TAKAGI PLANNING)は残り1周で戦線を離脱し、3位は武藤雅奈選手(TAKAGI PLANNING)のものとなった。

 FP-Jr Cadets部門では、澤田賢征選手(ERS with SACCESS)がポールからの独走で2年目の初優勝。2番手を争う2台が中盤戦のアクシデントでポジションを下げ、替わって澤田龍征選手(ERS with SACCESS)が2位に。昨年、40戦近くもの参戦で大きく実力をつけた澤田兄弟が、1-2フィニッシュを達成した。3位は同部門3戦目で健闘を演じた森谷永翔選手(シナジーリンクス)だった。

「この琵琶湖で勝ちたいと思って、ずっと練習してきました。自分らしいレースをしようと思いながら走りました。次の神戸大会でも優勝して、チャンピオンを獲れるように頑張ります」と語ったのは、FP-Jr部門デビュー戦初優勝の松土稟選手。
FP-Jr部門の表彰式。左から2位の箕浦稜己選手、1位の松土選手、3位の武藤雅奈選手が登壇。
兄弟で1-2フィニッシュをキメた澤田選手。「ゴールした時はめっちゃうれしかったです。独走中は集中力をキープしたまま、わりと気楽に走れました。雨はもともと得意なので、難しいとは思いませんでした」と優勝した兄・賢征選手。
FP-Jr Cadets部門の表彰式。左から2位の澤田龍征選手、1位の澤田賢征選手、3位の森谷永翔選手が登壇。
2020年FP-3部門西地域でシリーズ上位2選手に振興策として贈られるヤマハのエンジンは、日本カート選手権オーガナイザー協会の饗庭喜昭代表理事より、坂上真海選手と佐々木選手に手渡された。

フォト/JAPANKART、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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