高橋佳音選手がFP-3部門で悲願の初優勝!
2026年6月9日
兵庫県神戸市の神戸スポーツサーキットで5月23~24日、全日本カート選手権 FS-125部門およびFP-3部門の第5戦/第6戦が開催された。FS-125部門ではニューヒーローが誕生し、FP-3部門では前戦・新潟大会に続き、最終ラップまで勝敗の行方が分からない熱戦が繰り広げられた。
2026年JAF全日本カート選手権 FS-125部門 第5戦/第6戦
2026年JAF日本カート選手権 FP-3部門 第5戦/第6戦
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニア部門(ラウンドシリーズ2) 第5戦/第6戦
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニアカデット部門(ラウンドシリーズ2) 第5戦/第6戦
開催日:2026年5月23~24日
開催地:神戸スポーツサーキット(兵庫県神戸市)
主催:有限会社ナガオカート・KSC
5大会/全10戦で行われる全日本カート選手権 FS-125部門およびFP-3部門の2026シリーズは、早くも折り返し点に突入。チャンピオンの栄誉をかけたポイントレースも白熱の度合いを増す時期だ。この大会ではジュニア選手権ラウンドシリーズ2・ジュニア部門およびジュニアカデット部門の第5戦/第6戦も同時開催された。ジュニアカデット部門が今季初めて成立したのは、ジュニア・キッズドライバーの育成に力を入れる神戸スポーツサーキットの大会ならではの朗報と言えよう。
1045mの全長に172mの最大直線長と多彩なコーナーを備えた神戸スポーツサーキットは、関西を代表する人気カートコースのひとつだ。ユーザーの利便性向上を考慮した施設改修を積極的に行っており、この5月にはメインストレートのコントロールライン上にスタート灯を備えたシグナルブリッジが新設された。この設備はスタートシグナルとしての役割に加え、メディア関係者がメインストレートを横断するための陸橋としても活用される。今回の大会が初めての実戦使用だ。
決勝日を迎えたサーキットの上空は快晴。薄い雲が空に広がる時間帯もあったが、すべてのヒートは良好なコンディションの下で行われた。FS-125部門およびFP-3部門の周回数は第5戦、第6戦とも予選が16周、決勝が22周だ。
全日本カート選手権 FS-125部門 第5戦/第6戦
水冷125ccリードバルブ吸気エンジンを使用するFS-125部門には16台が出走した。第4戦で初優勝を飾りながら今季の参戦終了を示唆していた金子壮太選手は、第4戦までダブルエントリーしていたFP-3部門の参加を取り止めて、こちらのFS-125部門に継続参戦してきた。
タイムトライアルでは今季からフル参戦を開始した19歳、地元勢の真子鉄朗選手が44秒227のトップタイムをマークした。0.067秒差の2番手は、3勝を挙げてポイントレースをリードする織田大和選手。中野貴介選手が3番手、金子選手が4番手に続いた。
第5戦の予選では、中野選手がイン側グリッドのメリットを活かして2番手に上がり、先頭のままレースを開始した真子選手にピタリと続いていく。だが、中盤戦に入ると真子選手がじわりと背後にギャップを開き、そのまま走り切って決勝のポールを獲得した。2番手ゴールの中野選手から2秒遅れて、織田選手が3番手でこのヒートを終了。7番グリッドからのスタートで3つポジションを上げた松居寿來選手が、金子選手を従えて4番手でゴールした。
決勝ではスタート早々に戦況が動く。中野選手が1コーナーでライバルたちにラインを奪われ、その立ち上がりで行き場を失くしてコースアウト、11番手までドロップしてしまう。これで2番手は織田選手、3番手は松居選手に替わった。4番手には本田羽選手が7番グリッドから躍進してきたが、やがて本田選手は後れを取り、金子選手が4番手に上がることになる。
序盤戦は真子選手、織田選手、松居選手の3台が一列に連なる展開。その先頭集団はレースの3分の1を過ぎたあたりから徐々に間隔が広がり始め、間もなくこの3台はそれぞれ単独走行となった。真子選手のリードは13周目に1秒に開き、完全な独走態勢を築いた。
16周目にはアドバンテージを約1.5秒にまで広げた真子選手は、自分の走りのみに集中してラップを重ね、最終ラップの最終コーナーを立ち上がると右手でナンバー1サインを掲げた。2025年の神戸大会でスポット参戦したときは2レース目に3位表彰台を獲ってみせたが、今季は6位が最上位とやや低迷していた。そこからの覚醒を感じさせる、真子選手の見事な初優勝だった。
織田選手は真子選手から1.5秒弱遅れて2位でフィニッシュ。さらに1秒以上離れて松居選手が3位に。中野選手は懸命の挽回で5番手まで上がってきたが、その追撃を金子選手が振り切り、金子選手が4位、中野選手が5位という結末になった。
第6戦の予選では、ポールの真子選手が1周目から若干のリードを獲得し、そこにスタートでひとつ順位を上げた中野選手、織田選手、金子選手、松居選手が一丸で続く。真子選手はここからじりじりとリードを広げて16周を走り切り、またも決勝のポールにつくことになった。
真子選手の後方では、一時ギャップが開いていた中野選手と織田選手が、終盤に入って再びテール・トゥ・ノーズになり、金子選手もそこに近づいてくる。最終ラップ、金子選手が織田選手をパス。しかし、最終コーナーの立ち上がりで織田選手が金子選手に並びかけ、辛くも再逆転に成功。2番手に中野選手、3番手に織田選手、4番手に金子選手、5番手に松居選手の順でこの予選ヒートを終了した。
決勝が幕を開けると、またも織田選手が2番手に浮上。松居選手と金子選手も3番手、4番手に順位を上げ、中野選手は5番手に後退した。織田選手と松居選手の間隔は序盤で広がり、織田選手はひとり真子選手を追いかけていく。その後方では中野選手がスタートの出遅れを取り戻すべく奮闘、4周目に金子選手を、10周目に松居選手を抜き返して3番手まで戻ってきた。しかし、先頭を競い合うふたりはすでに遥か前方だった。
2番手の織田選手は、真子選手を逃すまいと全力で後を追う。だが、レースが折り返し点を過ぎると、真子選手のペースがわずかに織田選手を上回り始めた。ふたりのギャップは周回ごとに少しずつ広がっていき、15周目には約1秒に達した。またも真子選手が逃げ切り成功だ。織田選手を1.5秒ほど後方に従えて、Vサインを突き上げた真子選手がフィニッシュ。この日一度も先頭の座を譲ることのない、完璧な2連勝だった。
それぞれ単独走行の織田選手と中野選手は2位、3位のままでゴール。4台が連なった4番手争いの集団では、金子選手と原知滉選手が接触して脱落。松居選手が4位、藤田真人選手が5位となった。ポイントランキングは、織田選手が191点で首位をキープ。そこに160点の中野選手、139点の松居選手、136点の金子選手が続く状況となった。
全日本カート選手権 FP-3部門 第5戦/第6戦
空冷100ccピストンバルブ吸気エンジンを使用するFP-3部門には、19台がエントリーしてきた。地元の大会に手軽にスポット参戦することができるFP-3部門らしく、今季初参戦の8台が地元の関西勢だ。その中には、つい先日開催された全日本カート選手権 EV部門 第1戦/第2戦で2連勝を飾った徳岡大凱選手の名前もあった。
タイムトライアルで48秒851のトップタイムをたたき出したのは、目下3勝を挙げてポイントランキングの首位を行く橋口輝明選手。計測時間の終了間際に他車のトップタイムを塗り替えてふたつの予選のポールを手に入れた。
2番手は、その橋口選手と前回の新潟大会で熾烈な優勝争いを繰り広げた高橋佳音選手。3番手はポイントランキング2番手の伊東諒真選手。ここまでが48秒台のタイムをマークしている。4番手は徳岡選手。5番手につけたのは、最年長59歳の大野弘志選手だ。
第5戦の予選は、思わぬハプニングで幕を開けた。橋口選手がトップのまま発進した一方、高橋選手は1~2コーナーでインにつかせてもらえず、他車にヒットされてコースアウトを喫して最下位に転落。徳岡選手も接触されてコースを外れ、リタイアしてしまったのだ。
これで橋口選手は早々に独走となり、危なげなく決勝のポールを手に入れる。その後方では、4周目に大野選手が伊東選手をパスして2番手に上がり、その後も伊東選手の追撃を封じ込めてセカンドグリッドをゲットした。高橋選手は懸命に追い上げるも12番手のゴールに留まっている。
迎えた決勝、橋口選手はポールから無事に先頭のままスタートを切った。それに対してアウト側グリッドの大野選手は5番手までポジションダウン。4番グリッドの西川侑輝選手もふたつポジションを下げた。2番手に上がった伊東選手の後ろには、5番グリッドから浮上の金子准也選手がつけている。
トップの橋口選手のペースはライバルたちを上回り、リードを7周で1秒以上、12周で2秒以上に広げていく。盤石の独走だ。一方、その後方で1台のマシンがギャラリーの注目を集めていた。驚異的なペースで逆襲を展開する高橋選手だ。10周で7台を抜き去った高橋選手は、瞬く間に金子選手と大野選手の真後ろに迫り、3台で3番手を争う集団を形成した。
15周目、大野選手が金子選手の前へ。すると翌周に高橋選手も金子選手をパス。さらに高橋選手は懸命に逃げる大野選手を18周目にかわし、とうとう3番手に上がってきた。橋口選手は4秒弱にまでリードを広げると、ナンバー1サインを突き上げながらフィニッシュ、4連勝を飾った。高橋選手は残り2周で伊東選手も下し、怒涛の11台抜きで2位を獲得。伊東選手は今季4度目の3位に。大野選手は表彰台こそ逃したものの、ホームコースのスポット参戦で見事4位入賞を果たした。
第6戦の予選では、4番グリッドの徳岡選手がエンジンがかからずノースタートに。セカンドグリッドの高橋選手はまたもスタートで順位を下げて5番手となった。また、大野選手は3番手を走行中の4周目に突如スローダウン、リタイアを喫した。背後で相次ぐハプニングを尻目に、橋口選手は1周目から独走、再び決勝のポールを獲得した。
4周で3番手まで順位を取り戻した高橋選手は、すかさず伊東選手のテールをキャッチ。3番手のまま走り切って有利なイン側グリッドを得る選択肢もあったが、ピットからの檄を受けて伊東選手をパス、2番手でこのヒートを終えた。伊東選手に続いて4番手でゴールしたのは、6番グリッドから発進した山田和輝選手だった。
決勝では、橋口選手が危なげなく先頭の座をキープしてスタート。それに対して高橋選手は今回も4番手に後退、すぐに1台を抜き返して3番手でオープニングラップを通過した。2周目、高橋選手が伊東選手をパスして2番手に復帰すると、5周目には約1秒前方を走っていた橋口選手のテールを捕らえる。これが前回の新潟大会に続く、橋口選手と高橋選手の激闘の始まりだった。
6周目を迎えるストレートで、高橋選手は橋口選手の真横に並び、1コーナーで前に出て、マシンを揺さぶりムチを入れる。すると、7コーナーで橋口選手がトップを取り返し、そのすぐ先で高橋選手が再々逆転。ここから2度のポジションチェンジを経て高橋選手が先頭に立つと、橋口選手はその真後ろに貼りつき、一旦アタックを控えて高橋選手の後ろについていった。
静かな、だが緊迫感に満ちたタンデム走行に、再び熱戦の火が灯ったのは残り5周のこと。橋口選手が綺麗なオーバーテイクでトップの座を取り返すと、最終コーナーのインを締めて逃げ切りを図った。すると高橋選手がストレートエンドで逆転。橋口選手もそれに対抗して、めったにオーバーテイクが起きない5コーナーで高橋選手をパスしてみせた。火花を散らす2台に、後れを取っていた3番手の伊東選手も急接近してくる。
残り3周、橋口選手がインを締め気味にして1コーナーを回ると、今度は4コーナーで高橋選手が橋口選手のインを刺して前に出た。このヒート5度目のトップ奪取を果たした高橋選手は、全力で逃げる。すると、橋口選手との間に1.5台分ほどの間隔が空いた。橋口選手が前のインに飛び込むことが難しい、ぎりぎりの距離だ。
そして最後の最終コーナーを、高橋選手がトップのまま抜けた。コントロールラインの手前で、高橋選手の右拳が何度も振られる。14歳の高橋選手に、ついに訪れた初優勝の瞬間だ。女性ドライバーのFP-3部門での優勝は、2020年西地域 第4戦の森岡泉美選手以来。全日本では2023年EV部門 第3戦の富下李央菜選手以来のことだ。
橋口選手は0.235秒差で5連勝を逃したが、今季まだ2位より下になったことがない。伊東選手は6戦で5度目の3位フィニッシュ。スポット参戦の西川選手が4位、FS-125部門とダブルエントリーのウィンズロー・ライダー選手が5位に入賞した。ポイントレースでは、橋口選手が198点を上げて首位を快走。162点の伊東選手と141点の高橋選手がそれに続いている。
ジュニアカート選手権 ジュニア部門 第5戦/第6戦
3月に新東京サーキットで行われた第1戦/第2戦以来の開催となったジュニア部門。エントリーは6台で、うち3台が今季初参戦だ。その中には2025年のジュニアカデット部門(ラウンドシリーズ1)でランキング2位となった北村紳選手の名前もある。
予選を独走で制してふたつの決勝のポールを獲得したのは、スポット参戦の中野遼選手。同じくスポット参戦の北村選手が2番手に、粂川輝空斗選手が3番手に続き、第1戦/第2戦ウィナーの阿部瑠緯選手は4番手だ。
18周の決勝では、スタートで北村選手がトップを奪う。中野選手は2番手に下がり、さらに競り合いの中で片輪をエスケープゾーンに落として4番手に後退した。だが、中野選手のスピードは決勝でも他を上回り、4周でトップに戻ると、追いすがる北村選手を突き放して優勝を飾った。北村選手は3秒弱遅れての2番手ゴール。粂川輝空斗選手が阿部選手に競り勝ってポイント獲得圏内の3位に入った。
第6戦の決勝でも中野選手の速さはライバルたちを凌駕していた。スタートシグナルのトラブルでやり直しになったスタートを、今度はうまくクリアして先頭のまま発進した中野選手は、1周目からの独走でゴールまで突っ走り無敵の2連勝を達成だ。
北村選手は単独走行で2戦続けての2位を獲得。序盤から延々と続いた粂川輝空斗選手と阿部選手の接近戦は、最終ラップで接触を招くこととなり、阿部選手はゴールまで残り3分の1周でリタイア、粂川輝空斗選手が今度も3位に入った。これで粂川輝空斗選手は4戦すべてでポイントを獲得し、ランキング首位に躍り出た。ともに2勝の中野選手と阿部選手が、同点で続いている。
ジュニアカート選手権 ジュニアカデット部門 第5戦/第6戦
今季初めて選手権が成立したラウンドシリーズ2のジュニアカデット部門には、関西圏のチームから7台が出走した。そのうち6名がジュニアカート選手権初参戦で、残る1名も2025年に1大会のスポット参戦経験があるのみというフレッシュな顔ぶれだ。
第5戦の決勝を制したのは、ポールシッターの谷口大和選手。オープニングラップで0.8秒ほどのリードを築くと、その差を保ったまま14周を走り切ってデビューウィンを果たした。スタート直後からゴールまで続いた3台によるセカンドグループの戦いは、保志岩蓮選手がポジションを守り抜いて2位に入賞。井上武人選手は前に0.3秒ほど及ばなかったが、1周目に川本空選手をパスしたことが功を奏して3位表彰台を獲得した。
第6戦の決勝では、川本選手がスタートを決めて3番グリッドからトップに浮上する。しかし、ポールの谷口選手のスピードはこのレースでも衰えを見せず、2周目の1コーナーでトップに戻ると、残る周回を独走して2連勝を飾った。
谷口選手の後方では川本選手、井上選手、保志岩選手の3台が、目まぐるしく順位を入れ替えるバトルを披露。ここは残り2周で川本選手が井上選手をかわして2位でフィニッシュした。井上選手は保志岩選手にも先行されて4番手に下がったが、最終ラップに抜き返して3位入賞を果たした。
PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、JAPANKART、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



