中部・近畿ラリー開幕! 決戦は霧中の石榑峠で!!

レポート ラリー JAFWIM

2026年6月25日

地元で開催したラリージャパンの興奮冷めやらぬ中部地区で、2026年JAF中部・近畿ラリー選手権 第1戦『いなべ東近江ラリー2026』が開催された。中部・近畿ラリー屈指の激戦クラスであるDE5には20台がエントリーし、決着は霧に包まれた最終SS4へもつれ込み笹岡亮佑/加藤昭文組が勝利した。

2026年JAF中部・近畿ラリー選手権 第1戦
2026年JMRC中部ラリー チャンピオンシリーズ第1戦
2026年JMRC中部ラリー チャレンジシリーズ第1戦
いなべ東近江ラリー2026

開催日:2026年6月6~7日
開催地:三重県いなべ市、滋賀県東近江市
主催:ON!

 大会は今年も初日にレッキ、二日目に競技を行う2DAY形式で実施。スペシャルステージ(SS)は、東近江市のギャラリーステージ『永源寺』2.11kmと『石榑(いしぐれ)峠西』10.22kmの2本が設定され、サービスを挟んでそれぞれ2回走行する全4SS、総SS距離24.66kmで争われた。

 名物ステージの石榑峠西は東近江市から上り、いなべ市へと下る峠越えのロングステージ。前半はフラットな舗装路をハイスピードでひたすら上るが、峠を越えると様相は一変。極めて狭く急勾配な下りが続く。ライン取りも難しいテクニカルなセクションを抜けると、道幅のあるターマックを駆け下ってゴールへ向かう構成となっている。

 天候は予報通り昼前から雨となり、SS1“永源寺1”から降雨に見舞われた。最終のSS4“石榑峠西2”では霧もたちこめ、選手たちは厳しいコンディションの中でのアタックを強いられた。

ヘッドクォーターは株式会社フジ技研が運営する“モノづくり複合施設”FUJI HUBに、サービスパークはフジ技研の職員駐⾞場内に設けられた。レッキ体験クラスも併せて総勢71組のエントラントが集まった。

2026年JAF中部近畿ラリー選手権 第1戦
2026年JMRC中部ラリー チャンピオンシリーズ第1戦

DE-1クラス

 DE-1クラスは、排気量2500ccを超える4WDのRJ・RF車両と4DWのRRN車両が対象となる。このクラスには9台が出走し、SS1では川瀬慈恩/吉田大樹組が伊藤淳郎/杉原慶彦組を0.7秒差で抑えてベストタイムを記録。しかし、続くSS2“石榑峠西1”では大きくタイムを落とし後退する。

 勝負の分かれ目となったSS2では中部期待の若手、中嶋健人/白川和樹組がベストをマークしたものの、SS1で3番手、このSSは2番手につけた河野健司/北田稔組がトップを奪取。中嶋/白川組に1.2秒差をつけてセクション1を折り返した。

 セクション2に入ると河野/北田組が本領を発揮。SS3“永源寺2”でこの日初のベストを記録すると、SS4でも逆転を狙う中嶋/白川組を5.6秒上回り連続ベストを獲得。最終的に9.7秒差をつけて優勝を飾った。

 2024年、10数年以来となるラリー復帰を果たし、2025年に続いて参戦した河野選手は「石榑峠はやはり難しい道でしたし、SS4は霧も出ましたが、北田さんが丁寧にペースノートを読んでくれたおかげで走り切れました。上り区間の方がフィーリングも良く、リズミカルに走れました」と幸先良い勝利に安堵した様子。また「これまで北田さんと何度もクルーを組んできたものの、なかなか勝つことができませんでした。今回初めて一緒に勝利できたので、それが何より嬉しいです」と語り、元JAF全日本ラリー選手権王者の先輩コ・ドライバーに感謝していた。

DE-1クラス優勝の河野健司/北田稔組(LUCK インプレッサ GDB)。
DE-1の2位は中嶋健人/自川和樹組(クスコWMDL スタイチインプレッサ)、3位は伊藤淳郎/杉原慶彦組(LM・YH・BRIC・アタックランサー)。
DE-1表彰の各選手。

DE-2クラス

 DE-2クラスは2500cc超で2WD、あるいは1500cc超2500cc以下のRJ・RPN・RF⾞両、そして2WDのRRN車両で競う。なお、RPNはJAF登録年が2006年以降の車両のみ参戦できる。このDE2クラスには15台がエントリー。昨年のチャンピオン松村智/谷内壽隆組が不在となり、混戦模様の開幕戦となった。

 SS1は鈴木皐起/鈴木桃香組がベストを記録し、渡辺謙太郎/船津和行組に2.5秒差をつけて首位発進。しかしSS2では渡辺/船津組が圧巻の走りを披露し、一気にトップを奪った。

 折り返し時点では渡辺/船津組が首位。明治慎太郎/谷口いづみ組が8.9秒差の2位、中井育真/鈴木聖子組が10.1秒差の3位につけた。SS3では鈴木皐起/鈴木桃香組が再びベストを獲るも順位変動はなし。勝負は雨脚の強まったSS4に持ち越された。

 ここで明暗を分けたのがタイヤ選択だった。スポーツラジアルタイヤを装着した明治/谷口組が総合ベストをマーク。総合2番手、DE-1を制した河野/北田組にも4秒近い差をつける快走で他を圧倒し、一気に逆転優勝。一方、セクション1同様にSタイヤを選択した渡辺/船津組は苦戦を強いられ、中井/鈴木聖子組にもかわされて3位に終わった。

 優勝した明治選手は「セクション1は頑張ったつもりでもタイムが出なかったので、サービスで思い切ってセッティングを変更しました。その結果、雨でも接地感が増してフロントがしっかり入るようになりました。霧もすごかったですが、頑張りました」と勝因を語った。明治選手はトヨタ86を駆り、元全日本王者の強さを見せてDE-1の4WDターボ勢を上回り総合優勝も達成。スバル・インプレッサWRX STIをドライブしたが土壇場で逆転を許し、総合2位となった河野選手を悔しがらせた。

DE-2クラス優勝の明治慎太郎/谷口いづみ組(YHガレージO.K.U.86)。
DE-2の2位は中井育真/鈴木聖子組(北野自動車 イマージュ 86)、3位は渡辺謙太郎/船津和行組(dirtroadスイフト)。
DE-2は5位までが表彰された。左から2位の中井/鈴木聖子組、1位の明治/谷口組、3位の渡辺/船津組。
左からDE-2で4位の鈴木皐起/鈴木桃香組、5位の石川紗織/坂丼智幸組。

DE-5クラス

 DE-5クラスは、1500cc以下のRJ・RPN・RF車両が対象。RPNはJAF登録年が2006年以降の⾞両のみ挑める。このクラスには今回の一戦で最多の20台が集結。中部・近畿ラリー指折りの激戦区との呼び声どおり、白熱した戦いが繰り広げられた。

 SS1ではTOYOTA GAZOO Racing Rally Challengeからステップアップしてきた三瓶智裕/伊藤祐哉組がベストを記録。しかし、0.8秒差の2番手につけていた笹岡亮佑/加藤昭文組がSS2で逆転し首位に立つ。そして今度は三瓶/伊藤組がSS3で再びベストを奪い、トップとの差を3.6秒まで詰め寄り、勝負はSS4に持ち込まれた。

 最終SSでは笹岡/加藤組がこの日2度目のベストを記録。一方、クラス最終ゼッケンの三瓶/伊藤組は霧による視界不良に加え、前走車に追いつく不運にも見舞われ4番手タイムに留まり、逆転はならなかった。

 優勝した笹岡選手は地元三重県在住ながら、実力者がそろう難関のJMRC群馬ラリーシリーズに参戦しており、2023年には優勝も飾った若手実力派ドライバーの一人。「苦手意識のあった永源寺で僅差の2位に入れたことで、今日はイケるかもしれないという感触がありました。石榑峠も自分のリズムで走れたと思います」と手応えを語った。

DE-5クラス優勝の笹岡亮佑/加藤昭文組(KRT プロアクティブ コルト)。
DE-5の2位は三瓶智裕/伊藤祐哉組(ADVICS新興K1ヤリスDL)、3位は栗原真多郎/中内仁香組(ADVAN BRIG TASC Vitz)。
DE-5は6位までが表彰を受けた。左から2位の三瓶/伊藤祐哉組、1位の笹岡/加藤組、3位の栗原/中内組。
左からDE-5で4位の窪崎蒼/窪崎智組、5位の小川由起/木村裕介組、6位の伊藤和馬/秋本祐輔組。

DE-6クラス

 DE-6クラスは、1500cc以下でATを搭載するRPN・RF車両と、2500cc以下のAE車両で争う。RPNについてはDE-2、DE-5と同様のJAF登録年の制限がかかる。このクラスには、昨年ドライバー王者の横山慎太郎選手やTGR MORIZO Challenge Cupにも参戦するドライバーのHARU選手もエントリー。その中でSS1ベストを叩き出したのは、トヨタ・アクアGRスポーツを駆る亀石典/中根達也組だった。

 2025年JMRC中部ラリー チャレンジシリーズドライバー王者の亀石選手とコ・ドラの中根選手は、2.4秒差で横山/福田悠治組を下してSS1をあがると、SS2では31秒もの大量リードを築いて独走態勢に入る。

 SS3、SS4は横山/福田組が連続ベストを記録して猛追。一方、亀石/中根組はSS4の残り4km地点で壁に接触してタイヤトラブルを抱えながらも走行を続け、何とかフィニッシュ。横山/福田組から10秒落ちのタイムだったが、セクション1で築いた貯金を守り切り優勝を果たした。

 地区戦デビューウィンとなった亀石選手は「雨を見越して微調整したセッティングがコースに合っていて、とても走りやすかったです。SS2でリードを築く作戦も上手くいきました。石榑峠の急な下りでは回生ブレーキが効いて、バッテリー回復にも助けられました」と攻略至難のステージが、ハイブリッドカーであるアクアのウィークポイントを補ったと振り返った。大型新人の登場によって、このクラスのタイトル争いがどのように変化していくのか、今後の動向に注目が集まる。

DE-6クラス優勝の亀石典/中根達也組(TRT・アクア GRSPORT)。
2位は横山慎太郎/福田悠治組(LUCK京都トヨタMASCヤリス)、3位はHARU/森博則組(G-EYES SYE CVT YARIS)。
DE-6クラス表彰の各選手。

2026年JMRC中部ラリー チャレンジシリーズ第1戦

チャレンジクラス、オープンクラス、Women’s Rally Cup 2026

 セクション1のみで競われたチャレンジシリーズには10台が参戦。SS1は86を駆る大和洋輝/田中佑樹組がベストを記録し、三菱・ランサーエボリューションIIIをドライブする藤波琢門/松浦俊朗組が2.7秒差で続く。しかしSS2ではインプレッサWRX STIを操る石王治仁/柴田晃季組が4WDの強みを生かして雨の石榑峠を快走。大和/田中組に35秒以上の大差をつけて逆転優勝を果たした。

チャレンジクラス優勝の石王治仁/柴田晃季組(Team SKR・ROC・インプレッサ)。
2位は大和洋輝/田中佑樹組(YH Moty's しろい86)、3位は山田秀司/川島健司組(せんぷく朋友会ヤマダデンタルRSTスイフト)。
チャレンジクラス表彰の各選手。
オープンクラス1位の兼松由奈/山下秀組(大東建託 ロッソモデロ GRYarisDAT)。
女性ラリーストを対象とした『Women's Rally Cup 2026』も今回のラリーで開幕。左からドライバーはDE-2で5位の石川選手、コ・ドライバーはDE-2を制した谷口選手が表彰された。

ラリー初日に『レッキ体験クラス』を開催!

 今年のいなべ東近江ラリーでは『レッキ体験クラス』が設けられて8組が参加し、6日に参戦選手と同様の形式でレッキを体験した。このクラスはJMRC中部ラリー部会が、ペースノートに特化したテーマで3月に開催したラリーセミナーの実践編として設定されたもので、参加者が実践の場でペースノート作成のノウハウを学ぶ貴重な機会となった。

 ドライバー役で参加した濱崎航規さんは「地区戦に出場している友人からコ・ドライバーを頼まれており、その練習として参加しました。分からないことだらけでしたが、何とかペースノートをつくることができました」と振り返った。

 またヒルクライムで一度、コ・ドラ経験を持つ清水喜仁さんは「セミナーで教わったロスト時の対処法も役立ち、実際に迷いかけた場面でも落ち着いて対応できました」と実践的な学びの成果を語った。

「ドライバーの視点から学べたことは大きな収穫でした」と、濱崎航規さんはレッキ体験クラスに参加した成果を語り、清水喜仁さんは「ラリーはリエゾン区間があるので、ミスコースしないようロードブックから目が離せませんでした」と、レッキ体験中での苦労の一つを明かした。二人ともラリー参戦に向けた収穫が多かったようだ。

PHOTO/田代康 [Kou TASHIRO] REPORT/田代康 [Kou TASHIRO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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