FP-3部門の島津舞央選手が雨のSUGO西で待望の全日本初優勝!!
2026年8月6日
全日本カート選手権 FS-125部門およびFP-3部門の第7戦/第8戦が7月25~26日に宮城県村田町のスポーツランドSUGO国際西コースで開催された。今季初のウェットコンディションとなり、全部門で前戦までとは異なる顔ぶれが速さを発揮した。その中でもFP-3部門の島津舞央選手の優勝は、第6戦優勝の高橋佳音選手に次ぐ女性ドライバーの優勝となり、同一部門、同一シリーズでは初めての快挙となった。
2026年JAF全日本カート選手権 FS-125部門 第7戦/第8戦
2026年JAF全日本カート選手権 FP-3部門 第7戦/第8戦
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニア部門(ラウンドシリーズ2) 第7戦/第8戦
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニアカデット部門(ラウンドシリーズ2) 第7戦/第8戦
開催日:2026年7月25~26日
開催地:スポーツランドSUGO国際西コース(宮城県村田町)
主催:SSC
全日本カート選手権 FS-125部門およびFP-3部門のシリーズは、いよいよ終盤戦へ突入。全10戦で争われるシリーズは第7戦/第8戦を迎え、舞台となったのは今季最北の開催地、宮城県村田町のスポーツランドSUGO国際西コース。インターナショナルレーシングコースの最終コーナーのインフィールド内に設けられた全長984mのショートサーキットだ。
1975年に開場したこのサーキットでは、全日本カート選手権の創成期から数多くの重要なレースが開催されてきた。1978年に行われた国際イベント「第2回ジャパンカートレース」には、旧コースレイアウトで若き日のアイルトン・セナ選手も参戦している。
そんな歴史のあるコースは金曜から降り始めた雨が決勝日の日曜まで降り続いた。両部門にとって2026シリーズでは初のウェットレースとなり、これまでの勢力図が塗り替えられる可能性もある注目の一戦だ。気温は終日25度に届かず、全国的に厳しい暑さが続く今夏、会場で過ごす来場者にとっても比較的過ごしやすい一日となった。
そんなウェットコンディションのコースには、これまでとの違いも見られた。ドライバーを悩ませてきた深い水溜まりがほとんど姿を消していたのだ。7コーナーのインフィールドに設けられた排水溝へ水が流れやすいよう水路が改良され、水溜まりができにくいコースへと改善されていた。
決勝日、最も早く動き始めたのはオフィシャルたちだった。6時過ぎにコースマーシャルを中心としたスタッフが集合してミーティングを行い、7時からはSUGO西大会恒例のレスキュー講習会を実施。雨の中、メインストレートのコントロールライン付近に集まったコースマーシャルたちに、救急委員長の小畑雄樹氏からドクターパッド使用時の実践的な注意点が伝えられた。
続いてFROの樋口健士朗氏が講師となり、負傷したドライバーを安全に担架へ移すログロール(体位変換技術)の手順を実演。コースマーシャルの一人が負傷者役となり、雨に濡れた路面で救助方法を実体験しながら、有事に備えた対応技術を磨いた。
約15分間の講習会終了後は、そのまま各ポストへ移動し、ニュートラリゼーション時のフラッグ提示手順をシミュレーション。8時の公式練習開始まで休む間もなく、本番に向けた準備を着実に進めていた。
全日本カート選手権 FS-125部門 第7戦/第8戦
17台が出走したFS-125部門で圧倒的な速さを見せたのは、13歳のルーキー、中野貴介選手だった。タイムトライアルでは48秒368をマークし、2番手の金子壮太選手に0.279秒差をつけてトップを獲得。1周50秒足らずのコースで約0.3秒もの差を築いたその走りは、他を圧倒する内容だった。
第7戦と第8戦はともに予選が16周、決勝が22周で争われる。第7戦予選では、中野選手が1周目から約0.4秒のリードを築き、2周目には約0.8秒まで拡大。早々に独走態勢へ持ち込むと、その後も周回ごとに差を広げ、トップチェッカーで決勝ポールポジション(PP)を獲得した。2番手は金子選手、3番手は飯野暁介選手。ポイントリーダーの織田大和選手は5番手でフィニッシュしたものの、フロントフェアリングのペナルティにより7番手となった。
第7戦決勝は、雨脚がやや弱まる中でスタート。序盤は飯野選手が2番手へ浮上したが、金子選手がすぐにポジションを奪い返す。後方で順位争いが繰り広げられる間に、中野選手は1周目だけで0.8秒以上のリードを築き、独走態勢へ持ち込んだ。セカンドグループから抜け出した金子選手が懸命に追走する一方、4番グリッドから3番手へ浮上した松居寿來選手は、飯野選手との接近戦を展開した。
金子選手は1秒前後の差を保ちながら食い下がったが、中盤に入ると中野選手のペースはさらに上がり、13周目にはリードが2秒を突破。その後は危なげない走りでトップを守り切った。2024年にジュニアカート選手権へフル参戦を開始して以来、幾度も表彰台に立ち、全日本デビューとなった今季も開幕から6戦で5度の表彰台を獲得してきた中野選手。あと一歩届かなかった初優勝を、ついに手にした。
金子選手は単独走行で2位を獲得。松居選手が飯野選手を振り切って3位表彰台をもぎ取った。5位には本間詠吉選手、織田選手は6位でレースを終えた。
第8戦予選でも中野選手の速さは揺るがず、1周目からリードを広げて再びPPを獲得。2番手にはスタートで金子選手をかわした飯野選手が入り、以下、金子選手、松居選手、織田選手の順となった。
第8戦決勝は小降りの雨の中でスタートした。2番グリッドの飯野選手は序盤の攻防で5番手まで後退し、松居選手が2番手へ浮上。金子選手、織田選手、飯野選手、和田朋也選手、本間選手までが僅差で連なり、長く伸びたセカンドグループでは激しい順位争いが繰り広げられた。
その後方の混戦を尻目に、中野選手は4周目で約3秒、6周目には4秒以上までリードを拡大。そのまま誰にも付け入る隙を与えることなく22周を走り切り、7秒以上の大差を築いて圧勝した。
2位争いでは、序盤に順位を落とした金子選手が松居選手との差を徐々に縮めていたが、17周目に突然スローダウンしてリタイア。2位には松居選手が入り、3位には苦しい展開の中で粘り抜いた織田選手が続いた。4番手でチェッカーを受けた飯野選手は5秒加算のペナルティを受けて6位となり、本間選手が4位、和田選手が5位を獲得した。
シリーズはいよいよ最終大会となるモビリティリゾートもてぎ北ショートコースでの第9戦/第10戦を残すのみ。ランキング首位の織田選手は236点を獲得してトップを維持したが、2連勝の中野選手も230点まで迫り、タイトル争いはこの二人に絞られた。
全日本カート選手権 FP-3部門 第7戦/第8戦
スポット参戦2名を含む14台が出走したFP-3部門。タイムトライアルで50秒858のトップタイムをマークしたのは、14歳の島津舞央選手だった。2023~2024年のジュニアカデット部門では複数回の優勝を挙げる実績を残してきたが、2025年にジュニア部門へステップアップし、シニアサイズのカートへ乗り換えてからは苦戦が続き、思うような結果を残せずにいた。しかし、得意とする雨のコンディションで本来の速さを取り戻し、2番手の戸谷周選手を0.224秒上回る圧巻のタイムを記録した。
周回数はFS-125部門と同じく、予選16周、決勝22周。第7戦予選では、戸谷選手がスタートで大きく出遅れ、5番グリッドのウィンズロー・ライダー選手が2番手へ浮上した。一方、島津選手は危なげないスタートを決めると、1周目でライダー選手に約1秒差を築き、その後も周回を重ねるごとにリードを拡大。独走で決勝PPを獲得した。
2番手はライダー選手、3番手には9番グリッドから追い上げた吉岡拓雲選手が入った。一方、ここまでシリーズをけん引してきた橋口輝明選手と高橋佳音選手は、雨のSUGO西で苦戦を強いられ、橋口選手が4番手、高橋選手が5番手で予選を終えた。
第7戦決勝は、霧雨模様の中でスタート。ライダー選手が順位を落とす一方、吉岡選手が2番手へ浮上し、4コーナーでは島津選手をかわしてトップに立つ。しかし島津選手は7コーナーで即座に首位を奪い返し、2番手争いを繰り広げる後続を尻目に、オープニングラップだけで1秒以上のリードを築いた。
3周目には、8番グリッドから好スタートを決めた山田和輝選手が2番手へ浮上。3番手へ後退した吉岡選手は翌周に山田選手を抜き返し、橋口選手、高橋選手を加えた4台による激しい2番手争いが展開された。この接近戦によって、島津選手はさらにリードを広げる展開となった。
島津選手は4周目で2秒以上、7周目には3秒以上のリードを築き、序盤のうちに独走態勢を確立。中盤にはややペースを落としたものの、後続との差は着実に広がり続けた。
そしてチェッカー。島津選手は両手を高々と掲げ、待望の全日本選手権初優勝を飾った。第6戦では高橋選手も優勝しており、同一部門、同一シリーズで複数の女性ドライバーが優勝を記録するのは初めてのことだ。
セカンドグループでは吉岡選手を橋口選手が激しく追い上げていたが、18周目、橋口選手がオーバーテイクを試みた際に吉岡選手へ接触。この間隙を突き、直後を走っていた山田選手が2番手へ浮上。山田選手はそのままポジションを守り切り、自己最高位となる2位で初表彰台を獲得した。
橋口選手はその後、吉岡選手をかわして3番手でチェッカーを受けたものの、プッシングとフロントフェアリングの両ペナルティにより10秒加算となり、結果は10位。4番手でフィニッシュした吉岡選手が3位へ繰り上がり、こちらも全日本初表彰台となった。高橋選手が4位、ライダー選手が5位で続いた。
第8戦予選も雨の中で行われ、島津選手の速さは変わらなかった。スタートで3番グリッドから2番手へ浮上した橋口選手を早々に引き離し、そのまま独走で再びPPを獲得。2番手は橋口選手、ライダー選手と高橋選手は接近戦の末、それぞれ3番手、4番手となった。
第8戦決勝は、小降りとなった雨の中でスタートした。島津選手は首位を守って発進すると、2番手へ浮上したライダー選手との差を徐々に広げ、7周目には1秒以上のリードを築く。2連勝へ向けて順調にレースを進めていたが、14周目に突然スローダウン。そのままマシンを止め、エンジントラブルによる無念のリタイアとなった。
これで首位に立ったのは、序盤にライダー選手をかわして2番手を走っていた橋口選手。その背後には、8番グリッドから第7戦同様の追い上げを見せる山田選手が迫る。14周目の差は約1秒だったが、そのギャップは周回ごとに縮まり、ファイナルラップには0.2秒あまりまで接近した。
しかし橋口選手は最後まで冷静な走りを見せ、僅差で逃げ切って今季5勝目をマーク。あと一歩のところで大逆転優勝を逃した山田選手は、チェッカー後に悔しさをにじませ天を見上げた。雨の中で苦しい週末となった橋口選手だったが、最後まで諦めずに戦い抜いた末につかんだ価値ある勝利となった。
3位には単独走行でフィニッシュした高橋選手が入り、苦しいレースを表彰台という結果につなげて貴重なポイントを獲得。4位は3ポジションアップを果たした吉岡選手、5位にはスポット参戦した地元勢の斉賀航選手が入った。
シリーズ戦はいよいよもてぎ大会を残すのみ。橋口選手は239ポイントまで積み上げ、ランキング首位を堅持した。一方、ランキング2番手だった伊東諒真選手は28ポイントの加算にとどまり、高橋選手が51ポイントを獲得して192ポイントとし、ランキング2番手へ浮上。タイトル獲得の可能性を残した橋口選手と高橋選手によるチャンピオン争いは、最終大会へ持ち越されることになった。
ジュニアカート選手権 ジュニア部門(ラウンドシリーズ2) 第7戦/第8戦
同時開催されたジュニアカート選手権(ラウンドシリーズ2) 第7戦/第8戦では、ジュニアカデット部門は成立せず、ジュニア部門のみが開催された。
タイムトライアルでは、スポット参戦の兼田麗生選手が50秒407をマークし、2番手の粂川輝空斗選手に0.252秒差をつけてトップを獲得した。
予選でも兼田選手の速さが際立ち、全16周で後続に3秒以上の差を築いて第7戦、第8戦ともにPPを獲得した。粂川輝空斗選手はオープニングラップで弟の粂川輝陽斗選手に先行を許したものの、すぐに抜き返して2番手となり、3番手に粂川輝陽斗選手が続いた。
18周で争う第7戦決勝は、兼田選手の独走となった。スタート直後の4コーナーで粂川輝空斗選手に並び掛けられながらもクロスラインでトップを守ると、雨脚が強まる中でもリードを着実に広げ、ジュニアカート選手権デビュー戦を見事な優勝で飾った。粂川輝空斗選手は2位、粂川輝陽斗選手が3位となり、兄弟そろって表彰台に立った。
粂川輝空斗選手は、この2位でシリーズポイントを106点まで伸ばし、残る3戦で他選手が逆転する可能性が消滅。3戦を残してシリーズチャンピオン確定となった。
第8戦決勝では、1周目の4コーナーで粂川輝空斗選手が兼田選手をかわして首位へ浮上。兼田選手は逆転を狙ったが、前車のインへ飛び込んだ際にスピンを喫し、大きく後退してしまう。
その後は粂川輝空斗選手が独走態勢を築き、全18周で3秒以上のリードで走り切り、ジュニア部門参戦2年目で待望の初優勝を達成した。
最後尾まで順位を落とした兼田選手は、ファステストラップを記録しながら追い上げ、残り2周で2位まで浮上してチェッカー。3位には、スポット参戦でジュニア部門デビューとなった伊藤柊治選手が入賞した。
PHOTO/長谷川拓司[Takuji HASEGAWA]、JAPANKART REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



