OK部門の坂野太絃選手がAPGで覚醒、初優勝と連勝を達成!
2026年9月15日
全日本カート選手権 OK部門はいよいよシリーズ終盤に突入。8月29~30日、静岡県小山町のオートパラダイス御殿場(APG)で第7戦/第8戦が行われた。朝方まで残った雨が上がり、ドライコンディションへと変化したレースで圧倒的な速さを見せたのは、14歳のルーキー坂野太絃選手。第7戦でOK部門初優勝を飾ると、その勢いのまま第8戦も制し、2連勝を達成した。
2026年JAF全日本カート選手権 OK部門 第7戦/第8戦
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニア部門(ラウンドシリーズ1) 第7戦/第8戦
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニアカデット部門(ラウンドシリーズ1) 第7戦/第8戦
2026 Rok CUP JAPAN Round7/Round8
2026 AUTOBACS GPR KARTING SERIES
開催日:2026年8月29~30日
開催地:オートパラダイス御殿場(静岡県小山町)
主催:有限会社サンアイプロジェクト、GPR
国内カートレースの最高峰である全日本カート選手権 OK部門は、全10戦シリーズの第7戦/第8戦を迎え、チャンピオン争いは大詰めを迎えた。舞台となるオートパラダイス御殿場(APG)は、富士スピードウェイにほど近い場所に位置するカートコース。ハイスピードコースとテクニカルコースの2種類のレイアウトを持ち、今回は全長1006mのハイスピードコースを使用する。
前日から降り始めた雨は、決勝日の朝になってもわずかに残った。8時の走行セッション開始を迎えるころに雨は止んだものの、コースはびしょ濡れ。時間の経過とともに路面が乾き、さらにゴムが乗っていくという、コンディションを把握するのが難しい状況だ。ただし最高気温は25度程度にとどまり、不安視されていた厳しい暑さとの戦いを回避できたことは、ドライバーにとって幸いだった。
この大会では全日本カート選手権 OK部門に加え、ジュニアカート選手権ジュニア部門およびジュニアカデット部門(ラウンドシリーズ1)も同時開催。さらにGPR KARTING SERIESのRok CUP JAPAN Round7/Round8も行われた。
全日本カート選手権 OK部門 第7戦/第8戦
OK部門へのエントリーは18台。そのうち1台が参加を取りやめ、17台が出走。6分間のタイムアタックで争うタイムトライアル(TT)は、ジュニアカート選手権の2部門に続いて行われた。しかし、OK部門の開始時点でもコースは全面的にしっとりと濡れており、全車がウェットタイヤを装着。これにより、TT上位8名で争うスーパーポールは、ウェットコンディション時の規定により実施されなかった。
TTで44秒655のトップタイムを記録したのは、14歳のルーキー坂野太絃選手だった。坂野選手は2025年のジュニアカート選手権ジュニア部門(ラウンドシリーズ1)で出場した8戦すべてで優勝してチャンピオンに輝いている。大きな期待を背負ってOK部門に参戦したものの、ここまでは4位が最高位と、不本意な成績が続いていた。その坂野選手が、ようやく本来のスピードを取り戻した。
0.046秒差の2番手には、同じくルーキーの横山輝翔選手。トップから0.258秒差の3番手には菊池貴博選手が続く。四輪レースのトップドライバーとなった現在もカートに情熱を燃やす佐藤蓮選手は4番手につける。一方、シリーズランキング上位陣では、ポイントリーダーの松居寿來選手とランキング2番手の元田心絆選手がともに走路外走行のペナルティを受け、松居選手が7番手、元田選手が10番手。ランキング3番手の皆木駿輔選手は6番手からのスタートだ。
第7戦の決勝は22周。雨上がりのサーキット上空は曇り空となり、コースはほぼ全面が白く乾いてドライコンディションへと変化。グリッドに並んだ全車がスリックタイヤを装着した。フロントローの2台はポジションを維持してスタート。それに続く3番手には佐藤選手が浮上した。
2周目、佐藤選手が1コーナーで横山選手の前に出ると、その先のストレート区間で横山選手と菊池選手が佐藤選手をかわす。トップの坂野選手は、後続のバトルを尻目にリードを広げていく。
その2周目、レースの行方を大きく左右するアクシデントが発生した。競り合いながら最終コーナーに進入した佐藤選手がアクシデントに遭い、立ち上がりでストップしてリタイア。巻き込まれた元田選手もコース上に止まった。元田選手は再スタートしたものの、4周後にピットレーンへ戻ってレースを終える。また、3番手で2周目を終えた菊池選手も、3周目には6番手まで順位を下げた。
4周目、坂野選手は2番手の横山選手との差を約1秒半まで広げ、独走状態に入る。3番手は皆木選手、4番手には松居選手が浮上。目の前で起きたアクシデントによって表彰台圏内を捉えた皆木選手だったが、ペースが上がらず、8周目には松居選手、11周目には手塚大雅選手に先行を許す。
ウェットコンディションのTTで光った坂野選手のスピードは、ドライとなった決勝でさらに際立った。10周目にはリードを2秒以上に広げ、15周目には3秒以上の差を築く。そして迎えたゴール。坂野選手は両手を突き上げてチェッカーを受けた。苦しい時期を乗り越えて手にした、OK部門初優勝だ。
横山選手は自己最高位となる2位でフィニッシュ。松居選手は横山選手の真後ろまで迫ったものの、アタックを仕掛けられる距離までは詰められず、3位でゴールした。続いて手塚選手が4位、皆木選手が5位、菊池選手が6位に入った。
第8戦の決勝は26周。第7戦のベストタイム順で決まるスターティンググリッドでは、坂野選手が再びポールポジション(PP)、横山選手が2番グリッドとなった。2列目は松居選手と菊池選手、3列目は吉田侍玄選手と手塚選手。第7戦のクラッシュでダメージを負った佐藤選手はシャシーを交換し、最後尾からのスタート。そのひとつ前の16番グリッドには、逆襲を狙う元田選手が並んだ。
レースは再び坂野選手のワンサイドゲームとなった。最もリスクの大きいスタートを無事に決め、トップのまま1周目を終えた坂野選手は、背後で繰り広げられる後続のバトルとは無縁にリードを拡大。1周目終了時点で0.5秒強の差を築き、5周目には早くも1秒弱まで広げた。
オープニングラップで横山選手を攻略して2番手に浮上したのは松居選手。坂野選手と松居選手の差は6周目に一度縮まったものの、坂野選手はそこから再びじわじわと引き離した。12周目には約1秒のリードに広げ、その後は差を守ったまま周回を重ねる。
第7戦から4周増えた26周の長丁場となったが、坂野選手は体力、タイヤの摩耗ともに問題なく走行。1年前のジュニア部門時代を想起させる圧巻のスピードで走り切り、2連勝を達成した。
松居選手は序盤から単独走行となり、2位でフィニッシュ。坂野選手の逃げ切りを許したものの、2戦連続で表彰台を獲得し、前回のもてぎ大会での苦境から脱した。横山選手はグリッドからひとつ順位を下げたものの、3位でゴールし、今回も表彰台を獲得。4位には菊池選手、5位は皆木選手となった。
また、このレースの序盤を盛り上げたのは、第7戦でリタイアし、最後方グリッドからスタートした元田選手と佐藤選手だった。佐藤選手は鋭いスタートで一気に8台をかわし、1周で最後尾から8番手へ浮上。2周目には6番手まで順位を上げた。
それを上回る挽回劇を演じたのが元田選手だった。スタートで先行された佐藤選手に5周で追いつき、翌周にこれをかわすと、さらに前を走るマシンを攻略。最後には5番手にいた皆木選手を逆転するところまで迫った。フィニッシュは元田選手が6位、佐藤選手は7位だった。
シリーズは全10戦のうち8戦が終了。残すは鈴鹿サーキット南コースで行われる最終大会の第9戦/第10戦となった。チャンピオンシップでは、松居選手が167点までポイントを伸ばし、タイトルに最も近い位置につけている。皆木選手は2戦連続の5位によってランキングを3番手から2番手へ上げたが、ポイントシステムでは8戦が有効となるためチャンピオンの権利を失った。
そしてランキング3番手の元田選手は首位とは40点差。ただし、これまでノーポイントのレースがふたつあり、6戦で築いたポイントを捨てることなく、最終戦のポイントを有効得点に加算することができる。かくして、鈴鹿大会でのチャンピオン争いは松居選手と元田選手のふたりに絞られることとなった。
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニア部門(ラウンドシリーズ1) 第7戦/第8戦
ジュニア部門は2台のエントリー取り消しがあり、8台でレースが行われた。台数こそ少なかったものの、レースはこの大会でも特に熱く、見応えのある展開に。その気配は予選ヒートから現れた。TT首位の飯田一仁選手と藤原迪永選手、今村昴星選手の3台が最終ラップまでバトルを展開。飯田選手と横一線でゴールした藤原選手が、第7戦をPPからスタートすることになった。
18周で行われた第7戦決勝では、1周目にトップを奪った飯田選手が序盤に約1秒のリードを築く。しかし終盤戦に入ると、大集団のセカンドグループを抜け出した北村紳選手、今村選手、藤原選手の3台が飯田選手に追いつき、激しいポジション争いが始まった。
飯田選手は残り3周で再び0.5秒ほどのリードを築くが、後続は再び勢い付く。そして北村選手が最終ラップでトップを奪取。スポット参戦の北村選手は、第3戦/第4戦以来の出場。3戦目にして2勝を獲得し、5番グリッドからの見事な逆転優勝を果たした。2番手でゴールした藤原選手にはプッシングによる5秒加算のペナルティが科され、飯田選手が2位、新橋武選手が3位となった。
第7戦のベストタイムによって北中一季選手がPP、新橋武選手が2番グリッドとなった第8戦決勝は22周で争われる。スタートでは3番グリッドの藤原選手が先頭に、5番グリッドの今村選手が2番手に浮上。8台中7台が一列に連なった先頭集団ではポジションが二転三転し、トップは藤原選手、新橋選手、北村選手、今村選手の間で幾度となく入れ替わった。
戦況が変化したのは14周目。今村選手が2番手争いに乗じて0.6秒ほどのリードを築き、逃げに入る。ギヤ比の変更で本来の調子を取り戻した今村選手は、そのリードを保ったまま力強く周回を重ね、フィニッシュまで走り切った。速さとバトルの両面で成長を見せた今村選手にとって、ジュニア部門2年目で待望の初優勝だ。
セカンドグループでは、新橋選手が最終ラップに藤原選手を逆転。今季2度目の2位を獲得し、藤原選手が3位となった。
ポイントランキングでは、飯田選手が116点で首位をキープ。新橋選手が同点の2番手に浮上した。次回の鈴鹿大会、第9戦/第10戦では、飯田選手と新橋選手に加え、藤原選手、北中選手、北村選手の5名がチャンピオンの権利を持って最終戦に臨む。
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニアカデット部門(ラウンドシリーズ1) 第7戦/第8戦
22台が出走したジュニアカデット部門では、横井愛到選手がウェットコンディションのTTでペナルティを受け、ベストとセカンドのタイムを抹消されながらもトップとなった。スリックタイヤとウェットタイヤが混在した予選ヒートでもトップでゴールした横井選手だったが、第7戦決勝を迎えるとコースコンディションはドライへと変化し、戦況は一転して混沌としたものに。
14周で争われた第7戦決勝は、鈴木秀弥選手、丹羽舜也選手、横井選手、加納康裕選手によるトップ争いとなった。中盤戦の競り合いで横井選手がスピンを喫して集団から脱落。丹羽舜也選手が残り4周までトップをキープしたが、3番手につけていた加納選手が一気に2台を抜いてトップに浮上し、3勝目を挙げた。
2番手でゴールした丹羽舜也選手はプッシングのペナルティによって3位に降格。繰り上がりで鈴木選手が2位となった。
18周で行われた第8戦決勝では、第7戦以上の熱戦が展開された。レースが折り返し点に近づいても、18台が先頭集団に連なる状態。終盤戦に入ると、丹羽舜也選手と鈴木選手がトップを争う展開となった。しかし残り4周で発生したアクシデントを回避する間に後続が追いつき、トップ争いは4台による一団に変化。
先頭で最終ラップを迎えたのは、悲願の初優勝に闘志を燃やす丹羽舜也選手だ。だが、その真後ろにつけていた鈴木選手が最終コーナーの入口で丹羽舜也選手のインを突き、勝利を奪った。鈴木選手はこれで3勝目となった。
2位でフィニッシュした丹羽舜也選手は、ここまで全戦で表彰台に立っているものの、優勝だけがない。PPスタートの加納選手は3位でレースを終えた。
ポイントランキングでは、丹羽舜也選手が170点で首位に立ち、加納選手が166点で2番手につけている。3番手以下をやや引き離す展開となった。次回の鈴鹿大会には、この2人に132点で3番手の鈴木選手を加えた3名が、チャンピオンの権利を持って臨む。
Rok CUP JAPAN RokSHIFTER Round7/Round8
全日本、ジュニア選手権との同時開催となったShifter 第7戦/第8戦では、一昨年までGT500で活躍したロニー・クインタレッリ選手の初参戦が大会を大いに盛り上げ、また大きな存在感を示した。9台が出走した14周の第7戦決勝は、横山優之介選手をPPに据えてスタート。2番グリッドは松田次生選手、3番グリッドには久々の参戦となる伊藤聖七選手、4番グリッドにクインタレッリ選手がつけた。
スタートで横山選手がポジションを下げ、松田選手がトップに浮上。3番手に上がったクインタレッリ選手は3周目に伊藤選手をかわして松田選手に追いついた。プロドライバー同士のトップ争いは、7周目にクインタレッリ選手が松田選手に見事なオーバーテイクを決めてトップを奪取。2番手に上がった伊藤選手を引き離し、独走状態に入った。
最終ラップ、クインタレッリ選手は軽く拳を上げながらフィニッシュし、デビューウィンを飾った。正式なカートレースでの1位獲得は、2002年のCIK世界選手権FSA部門以来となる。松田選手は中盤戦の2番手争いでポジションを下げ、2位に伊藤選手、3位には大和田夢翔選手が入った。
続く第8戦決勝は18周。PPは、第7戦のベストタイムを記録したクインタレッリ選手が獲得した。
スタートで出遅れ、3番手まで後退したクインタレッリ選手だったが、7周目に大和田夢翔選手、9周目に大和田海翔選手をかわしてトップを奪い返す。再びトップを快走するクインタレッリ選手だったが、10周目にマシントラブルが発生。突如スローダウンし、そのままレースを終えることになった。しかし、レースを大いに盛り上げたクインタレッリ選手にはギャラリーから大きな喝采が贈られた。
クインタレッリ選手の脱落によってトップに戻った大和田海翔選手は、背後に迫る後続を振り切って優勝。残り4周まで2番手につけていた大和田夢翔選手は、バトル中に他車と交錯して順位を下げた。これにより松田選手が2位に浮上し、プロドライバーの底力を発揮。3番手でゴールの横山選手はプッシングペナルティによって7位に後退し、代わって52歳の島弘光選手が3位に入賞し、トップから約2秒差でゴールする大健闘を見せた。
ワンメイクレース世界大会の出場権獲得者を決定
この大会では、GPR KARTING SERIESのジュニアクラスとSHIFTERクラスの出場者を対象に、各エンジンサプライヤーのサポートによるワンメイクレース世界大会の出場権獲得者を、第8戦終了時点のポイントランキングによって決定した。第8戦の表彰式では、その受賞セレモニーも行われた。
PHOTO/EASTAGE、後藤佑紀[Yuuki GOTOU]、今村壮希[Souki IMAMURA]、長谷川拓司[Takuji HASEGAWA]、JAPANKART REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



