JKA有望選手発掘夏合宿を開催。34名の若手ドライバーが挑戦

レポート カート

2026年9月10日

静岡県小山町のオートパラダイス御殿場(APG)で8月18~19日、一般社団法人日本カート協会が有望選手発掘夏合宿を開催。9~12歳の若き34名のドライバーたちがスカラシップ獲得を目指し、プロドライバーへの道を切り拓くべく、真夏の2日間に臨んだ。

JKA 有望選手発掘夏合宿
開催日:2026年8月18~19日
開催地:オートパラダイス御殿場(静岡県小山町)
主催:一般社団法人日本カート協会

 スーパーGTのGT500クラスで活躍するプロレーシングドライバーの山本尚貴選手が代表理事(チェアマン)を務める一般社団法人日本カート協会(Japan Karting Association=JKA)は、8月18~19日に静岡県小山町のオートパラダイス御殿場で有望選手発掘夏合宿を開催した。

 2025年6月に設立されたJKAは、同年8月に第1回の有望選手発掘夏合宿を実施。今年で第2回を迎えたこの夏合宿でも、優れた資質を認められたドライバーに対し、年間給付上限500万円の資金援助を含むスカラシップと、フィジカルや栄養学、メンタル面などを支援する特別育成プログラムが提供される。

 今年はさらに次世代才能発掘プロジェクトを始動させ、この夏合宿に先立ち、地域発掘プロジェクトとして山本チェアマンと育成アドバイザーが全国5か所のローカルレースシリーズを訪問している。各サーキットで有望選手のスカウティングを行い、夏合宿への招待選手を選出してきた。

 今回参加したのは、その地域発掘プロジェクトで選出された特別招待枠の9名と、一般参加枠の応募者の中から書類選考を通過した25名の計34名。9~12歳の若手ドライバーたちが、スカラシップ獲得を目指して2日間のプログラムに挑んだ。

 スカラシップ対象者の選定には山本チェアマンに加えて、山内英輝選手(18~19日担当)、イゴール・オオムラ・フラガ選手(18日担当)、坪井翔選手(19日担当)、平峰一貴選手(19日担当)の4名の育成アドバイザーがあたる。

静岡県小山町のオートパラダイス御殿場で、スカラシップ獲得を目指す9~12歳の34名の若手ドライバーたちが2日間のプログラムに挑んだ。
山本尚貴選手が代表理事(チェアマン)を務めるJKAは、今年も有望選手発掘夏合宿を開催。この合宿で優れた資質を認められたドライバーには、資金援助を含むスカラシップや、特別育成プログラムが提供される。
スカラシップ対象者の選定は、山本チェアマンに加え、山内英輝選手(左上)、イゴール・オオムラ・フラガ選手(左下)、坪井翔選手(右上)、平峰一貴選手(右下)の4名の育成アドバイザーが務めた。
夏合宿開催前に地域発掘プロジェクトとして山本チェアマンと育成アドバイザーが全国5か所のローカルレースシリーズを訪問している。各サーキットで有望選手のスカウティングを行い、夏合宿への招待選手を選出した。写真は神戸スポーツサーキットで選手たちと交流をはかる山本チェアマン。
ほか、4か所のサーキットで行われた地域発掘プロジェクトの様子。大村湾サーキット(左上)、スポーツランドSUGO(右上)、サーキット秋ヶ瀬(左下)、石野サーキット(右下)。

 夏合宿のメインプログラムとなるのは走行セッション。2日間を通じてフリー走行が6本、タイムトライアルが2回、模擬レースが6回と走る機会がたっぷり用意されている。エンジンはデリバリー制で、18日の終了後と19日の昼にシャッフルされ、エンジンの性能によらずドライバーの資質をチェックできるシステムが採られている。

 加えて、コースは18日がハイスピードレイアウト、19日の午前がテクニカルレイアウト、午後から再びハイスピードレイアウトと変更された。フリー走行は18日の4回が各10分間、19日午前の5回目は15分間、同午後の6回目はまた10分間。タイムトライアルは18日がA/Bの2グループに分かれてのタイムアタック、19日が単独走行の2周アタック。

 そして模擬レースは18日の2ヒートが各10周、19日午前の3ヒートが各8周、同午後の1ヒートが15周で、スターティンググリッドの決定方法も各ヒートで異なり、多様な走行スタイルでドライバーたちのポテンシャルが観察される。

 さらに、18日午後のフリー走行2本では、チェコのMitas社製タイヤをエア圧が指定された状態でいきなり履いて走行し、グリップ力の低い未知のタイヤへの対応力を試すセッションもあった。こうした状況の中、山本チェアマンと育成アドバイザーはセッションのたびに観戦場所を変え、時にはコースのインフィールドに立って、精力的に参加者たちの走りを観察していた。

合宿の2日間では、フリー走行が6回、タイムトライアルが2回、模擬レースが6回。通常の練習走行とは異なり、緊張感を持って臨んでいた。
コースレイアウトはハイスピードとテクニカルの2種類を設定。2日目は午前と午後で両レイアウトを走り分けることとなり、コースへの柔軟な対応力が求められた。
使用するエンジンはデリバリー制が採られた。合宿期間中に2回シャッフルされ、ドライバーの腕が問われることに。
慣れ親しんだタイヤとは性格が異なるチェコのMitasタイヤを履くことで、その適応力がチェックされた。
コースのアウトフィールドから参加者たちの走りを鋭い視線で観察するイゴール・オオムラ・フラガ選手。

 参加者たちがチェックされるのは、ドライビングとレースの能力だけではない。両日の昼にはディスカッションの時間が設けられ、参加者たちはここで山本チェアマンや育成アドバイザーといっしょに昼食を採りながら会話を交わす。さらに山本チェアマンと育成アドバイザーは車検場やエンジン回収の作業場などにも足を運び、参加者たちの言動を注意深く観察していた。いわばこの2日間はすべての時間が、レースに向き合う態度やマナーと、自身の未来をつかみ取る熱意を観察される機会だったといえるだろう。

 参加者たちの様子を観察していた山本チェアマンが、ブリーフィングなどの時間にたびたび口にしたのは、「せっかくの貴重な機会なのだから、もっと積極的に私たちに声をかけ、名前を覚えてもらったり、走りのアドバイスを求めたりしてほしい」という苦言だった。

 その言葉に触発されたか、初日には憧れのプロドライバーたちを前にして照れくさそうにしていた参加者たちも、2日目には自ら育成アドバイザーのところにやって来て大きな声で挨拶するようになり、修了式が終わった後には、プロドライバーたちの前にレースへのアドバイスを求める子供たちの長い列ができていた。

合宿2日目にはテクニカルコースでランニングが行われ、トランスポンダーでタイム計測がなされた。選手たちとともに山本チェアマンも参加。
走行の合間には参加選手と育成アドバイザーによるディスカッションの時間が設けられ、注意喚起のほか、選手の質問に答えた。
昼食は育成アドバイザーたちとコミュニケーションを図れる貴重な時間。さまざまな質問が飛び交っていた。
2日間に及んだ合宿修了式の後も個別アドバイスを求めて育成アドバイザーのもとに並ぶ選手たちの列ができた。

 有望選手発掘の場という独特の緊張感と熱気の中で、濃密な2日間の幕を閉じた第2回のJKA夏合宿。34名の中からスカラシップや支援を得られる者は数名のみだが、惜しくも選考から漏れたドライバーたちにとっても、今後への大切な糧になる時間だったことだろう。

PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、長谷川拓司[Takuji HASEGAWA]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]  REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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