KYOJO CUP参戦ドライバーがEVカートでフォーミュラEの舞台を駆け巡った!

レポート レース カート JAFWIM

2026年8月7日

東京ビッグサイト周辺で開催された2026 FIAフォーミュラE世界選手権シリーズ TOKYO E-prixにおいて、本コースの一部を活用したスペシャルステージ“World Appearance & EV Kart Trial” with KYOJO CUP が実施された。KYOJO CUPに参戦する女性ドライバーたちが世界的な舞台でEVカートのハンドルを握り、そのポテンシャルを国内外へ発信した。

World Appearance & EV Kart Trial with KYOJO CUP
(2026 FIAフォーミュラE世界選手権シリーズ TOKYO E-prix内)

開催日:2026年7月25~26日
開催地:Tokyo E-prix Street Circuit(東京都江東区)

 “World Appearance & EV Kart Trial” with KYOJO CUPは、KYOJO CUP代表の関谷正徳氏がフォーミュラE世界選手権の東京E-prix開催に合わせ、全日本カート選手権で使用する競技用電動カートのTOM'S EV-KC22とコラボレーションさせたいという発想から生まれたものだ。女性がモータースポーツで活躍できる環境の創出、そしてその姿を世界へ発信したいとの思いから今回のプログラムを実現した。

 とはいえ、開催に至るまでの道のりは険しかったようだ。EVカートというハード面は整っていても、それを動かすための人材や運営資金、安全性の確保といったさまざまな課題があったと関谷氏は語る。そんな難しい状況下でも、FIAやJAFを筆頭に、大会プロモーターのフォーミュラEオペレーションズ(FEO)、大会運営のビクトリーサークルクラブなど、関係者の協力を得られたことが開催実現に大きく貢献したと振り返った。

 このプログラムは単なるデモンストレーションではなく、国内モータースポーツの統轄団体であるJAFが公認する“練習・模範走行”として公式プログラムとなっている点が特徴として挙げられる。なお安全面への配慮を最優先した結果、複数台で走行するレース形式ではなく、一台ずつタイムアタックに挑んでベストラップを競う形式が採られた。

 コースは東京E-prixストリートサーキットのホームストレートからターン6までの約600メートルの区間。前半はS字やターンといったパイロンスラロームのテクニカルセクション、後半はレーストラックを駆け抜けるハイスピードセクションで構成されている。ドライバーにはテクニックやスピードだけでなく、公道ならではの路面環境への対応力も求められた。

“World Appearance & EV Kart Trial” with KYOJO CUPの見どころについて、「女性もモータースポーツで活躍できるんだっていうところを一番見てほしいですね」と話す関谷正徳氏。
フォーミュラE世界選手権で使用される東京E-prixストリートサーキットを舞台に、約600メートルのコースに2つのセクションを設定してレイアウトされた。
前半区間のパイロンセクションはS字、180度ターン、360度ターンが盛り込まれ、マシンを正確にコントロールするスラローム的な要素があった。

 KYOJO CUPで活躍する8名の選手がこのプログラムに参戦。EVカート経験者の富下李央菜選手、白石いつも選手、松井沙麗選手をはじめ、カート出身の三浦愛選手、斎藤愛未選手、佐藤こころ選手、そして海外勢としてケルシー・ピンコウスキー選手、ジョアンヌ・チコンテ選手が名を連ねた。加えて佐々木藍咲選手がセーフティカーの役目を担うことに。

 プログラムは7月25~26日の2日間に渡って開催。全車がコースインする様子がコースサイドの大型モニターに映し出されると、ピットレーンウォークの時間と相まって観客の注目を集めていた。MCは関谷桃子氏と高橋二朗氏が務め、アピアランスゾーンでKYOJOドライバーたちの紹介が始まり、会場の熱気が一気に高まる。

前列左から白石いつも選手、三浦愛選手、斎藤愛未選手、富下李央菜選手、そして後列左から松井沙麗選手、ジョアンヌ・チコンテ選手、ケルシー・ピンコウスキー選手、佐々木藍咲選手、佐藤こころ選手が参加。
全日本カート選手権 EV部門で使用される競技用電動カートTOM'S EV-KC22は、ドライバーが所属するチームのKYOJOフォーミュラをイメージしたリバリーとなった。
高橋二朗氏と関谷桃子氏がMCを担当。ドライバー紹介から競技中の解説まで、朗らかなトークで盛り上げた。
セーフティカー役を務めたのは佐々木選手。ガレージからコースまで先導し、タイムアタック前の慣熟走行を披露した。

 初日は薄曇りながらドライコンディションだった。最初にタイムアタックに挑んだのは、今シーズンの全日本カート選手権 EV部門にもエントリーしている松井選手。現役選手ということもあって、EVカートを巧みに操ってパイロンセクションを正確にまとめ、50秒013をマークする。これに続いたのは3番目に走行したチコンテ選手で50秒599。そして最終走者の富下選手が51秒621で3位を獲得した。

25日の1位は50秒013の松井選手。2位はチコンテ選手、3位は富下選手となった。

 2日目はゲリラ豪雨の影響でウェットコンディションとなり、レインタイヤを装着して走行が行われた。出走順は前日と同じ。松井選手が54秒909を記録して最初の基準タイムを打ち出すと、続くチコンテ選手が54秒356でこれを更新した。その後、チコンテ選手のタイムを上回る選手は現れなかったものの、最終走者の富下選手が唯一の53秒台のタイムをマークし、トップの座を獲得した。

26日の1位は53秒521の富下選手。2位はチコンテ選手、3位は松井選手となった。

 26日の走行終了後には、ドライバーたちがフォーミュラEの公式予選や決勝をグランドスタンドで観戦した。また限定ピットツアーとしてFEO関係者、チームオーナー、チームマネジャーと交流する機会が与えられ、参加したドライバーは有意義な時間を過ごした。

KYOJO CUP参戦ドライバーを対象としたピットツアーでは、チーム関係者とコミュニケーションを図りながら自分自身をアピールし、現場での見聞を広めていた。

 東京E-prixにおける“World Appearance & EV Kart Trial” with KYOJO CUPは、電動モビリティの普及促進と、女性の活躍推進を同時にアピールする先進的な取り組みだったと言える。世界選手権が行われる舞台で女性ドライバーたちがEVカートを駆る姿は、多くの観客に強い印象を残し、「女性もモータースポーツで活躍できる」という力強いメッセージを発信した。

 またドライバーのみならず、エンジニアやメカニック、チームマネジャー、大会運営スタッフ、オフィシャル、カメラマンなど、多様な分野で女性が活躍できる可能性を示した点も大きな意義と言える。モータースポーツでの将来的な人材育成や業界活性化につながる契機として注目されることだろう。

「女性が挑戦できる環境づくりこそがモータースポーツの未来につながる」と語る関谷氏の言葉を体現するかのような今回の取り組みは、その実現に向けた象徴的な一歩であり、今後のモータースポーツのさらなる発展に寄与するイベントとなった。

KYOJO CUPが掲げる“日本発の新しいモータースポーツ文化を世界に広げる”ことに一歩前進した。

PHOTO/石原康[Yasushi ISHIHARA]、遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、後藤佑紀[Yuuki GOTOU] 、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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