EV部門2年目の徳岡大凱選手が開幕2連勝を達成
2026年5月18日
東京都江東区のシティサーキット東京ベイで5月6日、全日本カート選手権 EV部門の第1戦/第2戦が行われ、その2026シリーズが戦いの幕を開けた。ふたつのレースで迫真の優勝争いを繰り広げたのは、参戦2年目を迎えたふたりのドライバーと、期待のルーキーだった。
2026年JAF全日本カート選手権 EV部門 第1戦/第2戦
開催日:2026年5月6日
開催地:シティサーキット東京ベイ(東京都江東区)
主催:RTA、TOM’S
全日本カート選手権 EV部門は、2025年に引き続き、人気の観光地であるお台場に位置するシティサーキット東京ベイ(CCTB)でシリーズすべての大会が開催される。CCTBでは持続可能なモータースポーツの発展と脱炭素社会の実現を目指し、4月17日から施設内で使用される電力を、株式会社CDエナジーダイレクトが提供する再生可能エネルギーへ100%切り替えた。
この先進的な取り組みは、2027年春に広島県広島市で開業予定の複合モータースポーツ施設、ひろしまモビリティワールドにも応用される予定だという。EVカートをはじめとする電動モビリティと再生可能エネルギーを組み合わせた地域共生型エネルギーモデルを展開し、モビリティを軸とした新たな体験・交流拠点の創出を目指すそうだ。
同部門が1チーム2名のチーム制を導入してから3年目。今シリーズも前年度と同じ6つのチームと12名のドライバーが参戦することになった。年齢は実技審査オーディション受講時のデータながら、最年少は14歳、最年長は19歳と、その顔ぶれはフレッシュ。
そのうち中井悠斗選手と徳岡大凱選手の2名は2025シリーズに引き続き2年目の参戦で、松井沙麗選手は2024年以来の参戦。ほかの9名は同選手権初参戦だ。2025年にチャンピオンを獲った三村壮太郎選手のような、若手たちのベンチマークになるベテランドライバーがいなくなったことがレースにどう作用するのか、興味深いところではある。
注目の新チーム、CDエナジー EV Kart Racing Teamは、イエローとライトブルーを基調とした明るいカラーリングのマシンで参戦だ。PONOS NAKAJIMA RACING EV Kart Teamの1台を駆る予定だったニュージーランド人のフリン・ムラニー選手は、オーディション合格者の発表後に参加を辞退。
替わって全日本カート選手権 FS-125部門の第1戦/第2戦にも出場した15歳の女性ドライバー、石崎百花選手が年間を通してそのシートに座ることになった。これで2026シリーズに参加する女性ドライバーは、先述の松井選手、新谷咲華選手と合わせて3名だ。
大会当日はサーキット上空を常に薄い雲が覆う天候になった。とはいえ、空は明るく降雨の心配はない。ときおり爽やかな風も吹き、まずは上々のレース日和と言えよう。前日に1名が都合でこの大会の欠場を表明して、レースは11名のドライバーで行われることになった。
新交通ゆりかもめ(東京臨海新交通臨海線)・青海駅の目の前に位置するCCTBには今回も大勢の観覧客が来場し、サーキットを見下ろす青海駅隣接のデッキからも多くのギャラリーが大会の様子を興味深げに眺めている。屋内施設で行われる同選手権恒例の屋内キッズカート無料体験会には、ゲートオープン早々から順番を待つ長い行列ができていた。
なお、2025シリーズの全大会で実施されたドライバー講習会は、初開催のオフィシャル体験会 in シティサーキット東京ベイが行われている都合で、この大会では実施が見送られた。
タイムトライアル
各者2周のタイムアタックを行うタイムトライアルで24秒563のトップタイムをマークしたのはティモフェイ・デグチャリョブ選手。この選手権ではルーキーだが、2025年の全日本OK部門で優勝も記録しており、実績は充分の選手だ。2~3番手には徳岡選手と中井選手が続き、4番手に佐藤琉葵選手がつけた。この順位が第1戦予選のスターティンググリッドとなる。
一方、第2戦予選のスターティンググリッドを決するセカンドタイムの比較では、ベストタイム順では5番手だったアクセル・ノコム選手が24秒848でトップとなり、これに徳岡選手、佐藤選手、デグチャリョブ選手、松井選手が続く結果に。中井選手は6番手とやや苦しい位置だ。
ヒートは第1戦/第2戦とも予選が15周、決勝が20周で行われる。
第1戦予選
第1戦の予選が始まると、デグチャリョブ選手は先頭をキープしてスタート。0.5秒ほど後れて徳岡選手と中井選手が続き、この3台が徐々に4番手以下を引き離しトップ争いを展開していった。レースが中盤戦に入ると徳岡選手と中井選手がデグチャリョブ選手との差を詰め、3台は一丸に。
残り2周、徳岡選手が狙い澄ましてデグチャリョブ選手をオーバーテイクし、決勝のポールを手に入れた。その後ろでゴールしたのはデグチャリョブ選手と中井選手。4番手には佐藤選手、5番手には2ポジションアップの松尾柊磨選手が続いた。ノコム選手は5番手走行中の序盤にリタイアを喫している。
第1戦決勝
決勝がスタートすると、オープニングラップに中井選手がデグチャリョブ選手をパスして2番手に浮上。トップのままレースを開始した徳岡選手は、これで1秒弱ものアドバンテージをもらうことに。やがて4台一列のセカンドグループから中井選手とデグチャリョブ選手が抜け出して徳岡選手を追うものの、その差はなかなか縮まらなかった。
だが、レースは徳岡選手のワンサイドゲームとはならず。折り返し点を過ぎたあたりから徳岡選手のリードが徐々に縮まり始め、中井選手とデグチャリョブ選手がじわじわと接近してくる。残り4周、3台はついに一体となった。
ピンチに陥った徳岡選手は、ここで成長した姿を披露する。2025シリーズでは随所で卓越したスピードを見せながら、その速さがなかなか結果につながらなかった徳岡選手。しかし、今年は崩れない。背後からのプレッシャーに屈せず、徳岡選手はゴールへとひた走っていく。
すると、徳岡選手にレースの神様が微笑んだ。最終ラップ、デグチャリョブ選手が中井選手に勝負を仕掛けてオーバーテイク。これで再び大きなリードを得た徳岡選手は、渾身のガッツポーズでチェッカーをくぐった。待望の初優勝だ。
1.87秒後れの2位はデグチャリョブ選手、そこから0.171秒差で中井選手が3位に。先頭集団の後方で繰り広げられたセカンドグループの戦いは、佐藤選手4位、松尾選手5位、松井選手6位で決着した。
第2戦予選
第2戦の予選では徳岡選手が早々に勝負を仕掛け、セカンドグリッドから抜群のスタートダッシュを決めて真っ先に1コーナーへ突っ込む。だが、ポールのノコム選手はその先の区間で徳岡選手を抜き返し、トップでオープニングラップを終了した。その背後ではデグチャリョブ選手が3番手に浮上している。
3周目、戦況が動いた。徳岡選手とデグチャリョブ選手がそろってノコム選手をパスしてトップと2番手に浮上。さらに、6番グリッドから挽回を続けていた中井選手も5周目にノコム選手の前へ。結局、このヒートは徳岡選手、デグチャリョブ選手、中井選手の順でゴールすることとなった。
すると徳岡選手に追い風が吹いた。強敵と目されるデグチャリョブ選手がジャンプスタートで5秒加算のペナルティを受け、6番グリッドに沈んだのだ。これで決勝の2番グリッドは中井選手、3番グリッドはノコム選手のものとなった。
第2戦決勝
決勝は予想に違わず、徳岡選手と中井選手の一騎討ちとなった。フロントローの2台はポジションキープでスタートを切ると、序盤からタンデムを組んで3番手のノコム選手以下を引き離していった。前の選手にとっては後ろを引き離せはしないが、後ろの選手にとってはオーバーテイクを仕掛けるのは難しい。そんな微妙な距離のまま、徳岡選手と中井選手は延々とラップを重ねていった。一瞬の油断も許されない、緊迫の優勝争いだ。
残り4周、徳岡選手と中井選手の間隔がわずかに縮まった。だが、徳岡選手はここでも強くなった姿を見せつける。揺るぎない走りで中井選手にアタックのチャンスを与えることなく20周を走り切り、会心の2連勝。大会前日に「2025年は三村選手が開幕2連勝でポイントをリードして、そのままチャンピオンになった。今年は僕がそれをやりたい」と語っていた徳岡選手。有言実行の勝利だった。
中井選手は第1戦からひとつ順位を上げて自己最上位タイの2位となったが、「2年目なので1勝が欲しいです」と語るその表情は苦々しげだった。トップ争いの2秒ほど後方では4台一列の接近戦が繰り広げられ、ジュニア部門からステップアップしてきたノコム選手がポジションを守り切って3位表彰台をゲット。デグチャリョブ選手は2ポジションアップの4位でこのレースを終えた。
PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、後藤佑紀[Yuuki GOTOU]、JAPANKART、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



