新潟大会は駆け引きの応戦で手に汗握る激闘
2026年5月8日
全日本カート選手権 FS-125部門およびFP-3部門の第3戦/第4戦が4月25~26日、新潟県胎内市のスピードパーク新潟で開催。両部門ともゴールの瞬間まで結末が分からない迫真のバトルが展開された。
2026年JAF全日本カート選手権 FS-125部門 第3戦/第4戦
2026年JAF全日本カート選手権 FP-3部門 第3戦/第4戦
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニア部門(ラウンドシリーズ2) 第3戦/第4戦
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニアカデット部門(ラウンドシリーズ2) 第3戦/第4戦
開催日:2026年4月25~26日
開催地:スピードパーク新潟(新潟県胎内市)
主催:SPN
スピードパーク新潟で全日本カート選手権が開催されるのは2025年に続いて2年目のこと。今季の全日本の中で唯一、日本海側のコースで開催される大会だ。全長1049mの広大なサーキットにはFS-125部門15名、FP-3部門18名のドライバーが集まった。なお、同時開催が予定されていたジュニアカート選手権ラウンドシリーズ2の第3戦/第4戦はジュニア部門、ジュニアカデット部門とも成立に至らなかった。
決勝日の空模様は快晴。早朝のひんやりとした空気は走行セッションが始まるころには暖かさを増し、初夏らしい爽やかな気候の中でレースが行われた。そんな中、公式練習の開始時間を前にしたコースでは、ホームストレートにコースマーシャルが集合して恒例のレスキュー講習が実施された。
この講習の講師を務めた救急委員長の小畑雄樹氏は「ドライバーの救出に向かうときにはドクターパッド(人員と止まったカートの盾になるウレタンパッド)を持っていってください」、「アクシデントの現場にいるオフィシャルだけでなく、他の位置のオフィシャルも救急車などの導線確保に協力してください」など、口頭で説明。
豊富な経験に基いた実践的な救護術がレクチャーされ、さらに受講者側のコースマーシャルからも「いきなり走ると足が攣ることがあるので、準備運動をしておいた方がいいと思います」との提言が出て、意欲的な姿勢が伝わってくるレスキュー講習会になった。
そしてFS-125部門第3戦決勝のスタートでは、ミススタートの判定に気づかなかった数名のドライバーがしばらく全開走行を続ける事態が起きてレースが赤旗中断になったのだが、これはミススタート旗の提示がドライバーから確認しづらい位置だったことに一因があると大会運営側が判断。
次のヒートからミススタート旗の提示箇所をより視認しやすいポストへと移し、スタート前のブリーフィングでそれをドライバーたちに伝達している。この迅速かつ柔軟な対応は、2年目を迎えた新潟大会のオーガナイズが熟練度を増していることをうかがわせるものだった。
全日本カート選手権 FS-125部門 第3戦/第4戦
FS-125部門は今季大きく顔ぶれが入れ替わったことで、大半の選手がこのコースでのレースを初めて経験する一戦となった。まずタイムトライアルで46秒271のトップタイムをマークしたのは、新東京サーキットでの第1戦/第2戦を完勝して鮮烈な全日本デビューを飾った織田大和選手だ。0.035秒差の2番手はFP-3部門とダブルエントリーの金子壮太選手。3・4番手には沢口直希選手と中野貴介選手が続いた。
織田選手は第1戦の予選を危なげなく制して決勝のポールを獲得。金子選手も0.6秒程度のギャップで織田選手に続いて2番グリッドを手に入れた。そこからやや後れて、スタートで1ポジションアップの中野選手と8番グリッドから浮上の松居寿來選手がゴール。スタートで順位を下げた沢口選手と飯野暁介選手が5・6番手でこのヒートを終えた。
第1戦の決勝では前述のとおりスタートで混乱があり、赤旗中断の後にスタート時間を遅らせ、22周のままレースがやり直しされることとなった。織田選手はここでも速さを見せつける。スローペースのローリングでじっくり発進のタイミングを測ると、スタートダッシュを決めて先頭のままレースを開始した。
織田選手の後ろでは中野選手が2番手に上がり、金子選手、松居選手とともにセカンドグループを形成している。金子選手が3周目に中野選手をパスして2番手に戻った時、織田選手はすでに1秒半も前方へと逃げていた。しかし、レースは織田選手のワンサイドゲームとはならなかった。
中盤戦から2番手単独走行になった金子選手とトップ織田選手とのギャップが縮まり始め、残り5周を切った辺りで2台はほぼ一体に。この2台が二度ポジションを入れ替えるバトルを演じたことで、3番手の中野選手もそこに追いつき、ラスト3周は3台一丸のトップ争いとなった。
だが、気合を入れ直した織田選手は、もう後続にアタックのチャンスを与えなかった。ピンチを乗り越え先頭の座を守り切った織田選手は、両手でシャカサインを示しながらチェッカーをくぐり、開幕戦から3戦連続のポール・トゥ・ウィンを果たした。金子選手は勝利に0.174秒及ばず2位でフィニッシュ、そのすぐ後ろでゴールした中野選手は3戦連続表彰台の3位だ。
第4戦の予選では、今季初めて織田選手のレースに乱れが生じた。序盤で金子選手にトップを明け渡すと、中盤には5番グリッドから上がってきた本間詠吉選手にもオーバーテイクを許し、さらに先頭集団から後れを取って3番手のゴールに終わったのだ。このヒートを制して決勝のポールとなったのは金子選手。本間選手もそのすぐ後ろでゴールし、決勝をフロントローからスタートすることになった。
決勝は今度も22周。そのスタートが切られると、織田選手が真っ先に1コーナーへ飛び込むが、続くセクションで織田選手は3台に先行を許して4番手に後退した。トップは金子選手、2番手には本間選手。松居選手が4番グリッドから3番手に上がってきた。
金子選手と本間選手はペースが他を大きく上回り、2周目から3番手以下を置き去りにしてふたりだけの戦いへと突入していく。トップ2の間隔は0.5秒以内の範囲で微妙な接近と拡大を繰り返している。2台はわずかなギャップを保ったまま、緊迫のマッチレースを延々と続けていった。
金子選手は、この痺れるような戦いに耐え切った。本間選手に逆転のチャンスを与えることのないまま最後の最終コーナーを立ち上がると、ピットサインレーンでチームメイトたちが歓喜の雄叫びを上げる。全日本デビュー4戦目での見事な初優勝だ。金子選手はこの大会でダブルエントリーを終了し、次の大会からはFP-3部門に専念する予定になっているというのだが、この勝利で予定変更となるのか否か、その去就に注目が集まる。
本間選手は金子選手に0.322秒及ばず、2025年最終戦以来の自己最上位タイとなる2位でフィニッシュ。その10秒ほど後方では5台による接近戦が繰り広げられ、中野選手が最終ラップのオーバーテイクを成功させて3位をもぎ取り、4戦連続の表彰台に。織田選手は出入りの多いレースを4位で終えたが、ポイントリーダーの座はしっかりとキープしている。
全日本カート選手権 FP-3部門 第3戦/第4戦
FP-3部門には普段このコースでローカルレースに出場している地元ドライバーたちの参加が多数あり、18台中8台をスポット参戦組が占めている。その優勝争いは、一瞬も目を離せないホットな戦いになった。
タイムトライアルでは、FP-3部門2年目の戸谷周選手がトップに。前大会のタイムトライアルで全日本デビューにして2番手のタイムをたたき出し注目を浴びた女性ドライバー、高橋佳音選手が今回も2番手になり、第3戦で劇的な逆転優勝を飾ったルーキー橋口輝明選手が3番手につけた。
第3戦の予選では、8番グリッドの山田和輝選手がスタートで一気にトップへ浮上した。やがてこれを橋口選手、高橋選手、戸谷選手が次々にかわして3台で先頭集団を形成。残り4周で高橋選手が先頭に立つと、橋口選手が最終ラップの攻防で再逆転に成功して決勝のポールを獲得した。高橋選手と戸谷選手は僅差のまま2・3番手でゴール。4番手を走っていた山田選手は残り3周でリタイアを喫した。
20周の決勝も、予選と同じ3人がトップ争いを繰り広げた。先制パンチを決めたのは高橋選手。周回方向は左回りながら1コーナーが右へターンするコースレイアウトを利してスタートで先頭の座を奪い、橋口選手と戸谷選手を引き連れてラップを重ねていく。
事態が動いたのは18周目。橋口選手が10コーナーからの長い並走の末に高橋選手をパスしてトップに立った。バトルは終盤に入ってさらに過熱する。残り4周、高橋選手と戸谷選手が相次いで橋口選手をパス。残り3周、戸谷選手と橋口選手がそろって高橋選手を抜き、さらに橋口選手が戸谷選手をかわして先頭に復帰。
残り2周、高橋選手が戸谷選手を抜き返し、さらに橋口選手にアタックを仕掛けるが、橋口選手は逆転を許さない。最終ラップ、勝利に執念を燃やす高橋選手が3コーナーでトップ奪還を狙うが、ここも橋口選手が防ぎ切った。
こうして熱闘は幕を閉じ、橋口選手が両手を高々と挙げて勝利のチェッカーをくぐった。高橋選手は勝利こそ逃したものの、レースで崩れた前大会から大きく成長した姿を披露して、2位フィニッシュで初表彰台を獲得。戸谷選手も不調に終わった前大会の汚名を払拭する走りで3位となった。
第4戦の予選でも、3人の熱い戦いは続いた。スタートで高橋選手がトップに立ち、橋口選手と戸谷選手を引き連れてラップを重ねていく。すると中盤、戸谷選手が橋口選手の前に出て、さらに高橋選手をかわして先頭に復帰。すると残り2周で高橋選手が戸谷選手を抜き返し、第4戦決勝のポールをつかみ取った。2番手の戸谷選手と3番手の橋口選手、さらに4番手の伊東諒真選手も高橋選手のすぐ後ろでのゴールだ。
再び20周で行われた第4戦決勝には、思わぬ幕開けが待っていた。戸谷選手がスタートで6番手まで順位を下げ、いきなり優勝争いから脱落してしまったのだ。その後ろのグリッドにいた伊東選手も7番手へ後退した。一方、高橋選手は先頭をキープしたまま発進し、橋口選手は2番手に上がって高橋選手を目の前に捕らえている。
4周目、高橋選手と橋口選手の間隔が急に開き、その差はやがて1秒近くにまで広がった。だが、高橋選手は逃げ切りを許されなかった。レースが中盤戦に入ると橋口選手が再び高橋選手とのギャップを詰め、折り返し点で2台は再び一丸に。12周目、橋口選手が1コーナーで綺麗に高橋選手をパスしてトップに立った。
残り2周、いよいよ最後の戦いが口火を切った。ピットサインレーンからの檄を受けた高橋選手が、コース終盤の12コーナーで橋口選手から先頭の座を奪い返す。最終ラップ、1コーナーで橋口選手がトップを奪還。すると高橋選手が3コーナーでそれを抜き返し、馬にムチを入れるかのように体を揺すって逃げを図る。
ドラマはまだ終わらない。右ヘアピンの10コーナーで、橋口選手が高橋選手のインにマシンを潜り込ませた。2台はその先の全開区間を横並びのまま駆け抜け、コース最後のクランクに入る12コーナーで橋口選手が前に出た。ウィナーは今度も橋口選手だ。会心の3連勝を果たした橋口選手は、ポイントリーダーとして次の大会を迎えることとなった。
ファイト溢れる戦いを披露した高橋選手は0.074秒差の2位でフィニッシュ、初優勝は次戦以降にお預けだ。戸谷選手は折り返し点の前に3番手まで順位を戻し、その順位のままゴールしたが、プッシングの裁定を受け10秒加算のペナルティで結果は8位に。3位は、やはりスタートの出遅れを取り戻した伊東選手のものになった。
PHOTO/長谷川拓司[Takuji HASEGAWA]、JAPANKART、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]



