松井寿來選手が開幕2連勝でOK部門鮮烈デビュー

レポート カート

2026年5月1日

国内カートレースの最高峰、全日本カート選手権 OK部門の2026シリーズが開幕。ルーキーの松居寿來選手が第1戦も第2戦もポールからスタートすると、トップのままゴールへと突っ走り、デビュー大会で鮮烈な2連勝を飾った。

2026年JAF全日本カート選手権 OK部門 第1戦/第2戦
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニア部門(ラウンドシリーズ1) 第1戦/第2戦
2026年JAFジュニアカート選手権 ジュニアカデット部門(ラウンドシリーズ1) 第1戦/第2戦
2026 Rok CUP JAPAN Round1/Round2
2026 AUTOBACS GPR KARTING SERIES

開催日:2026年4月18~19日
開催地:モビリティリゾートもてぎ北ショートコース(栃木県茂木町)
主催:ホンダモビリティランド株式会社、GPR

全日本カート選手権 OK部門 第1戦/第2戦

 2026年の全日本カート選手権 OK部門は5大会/全10戦でシリーズが行われる。その幕開けとなる第1戦/第2戦は4月18~19日、モビリティリゾートもてぎ北ショートコース(栃木県茂木町)で開催された。決勝日は快晴。早朝や夕方のサーキットはひんやりと涼しいのだが、日中はまだ4月だというのに初夏のような強い日差しが降り注ぎ、Tシャツで過ごせるほどの暑さになった。

 2026シリーズ最初の大会の参加は20台。2025シリーズからその顔ぶれは大きく変わり、11名が同選手権初参戦というフレッシュな陣容になった。

一般社団法人日本カート協会の山本尚貴チェアマンが、JKAスカラシップ制度で選出されたドライバーたちの視察に訪れていた。
JAF公認Eモータースポーツ国内リーグの東京ヴェルディレーシングの会場でお馴染みの塩谷俊氏が今シーズンのGPR全戦の実況を行う。
第1戦の表彰式はARTAプロジェクトの鈴木亜久里氏が、第2戦の表彰式は日本レースプロモーションの上野禎久氏がプレゼンターを務めた。

 今季のOK部門にはマテリアルの面でも大きな変化があった。ワンメイクタイヤが、2023年から2025年まで使用されてきた国産のダンロップ製から、イタリアメーカーのベガ製に変更され、CIK公認のXH4(ドライ)とW6(ウェット)が使用されることになったのだ。ベガのCIK公認ドライ用タイヤには2タイプがあるのだが、XH4はオプションと呼ばれるハードタイプだ。

 参戦するドライバーたちのインプレッションを聞いてみると、おおむね好評な模様だった。加えて海外から参戦のドライバーを擁するチームの代表は「世界で広く使われているベガは製品の信頼性で高い評価を得ていて、ドライバーも『ベガだったら安心してレースができる』と言っています。ベガの採用はレースにとってプラスになると思います」と語っていた。

 ドライタイヤに関しては、レース用として全ドライバーに供給される1.5セットのタイヤとは別に、タイムトライアルの上位8名が出走するスーパーポールのために特別なロゴが貼付されたものが用意されている。また、ベガに関しては今回の大会でバーコードによるタイヤ管理が試験運用されており、問題がないようであれば今後この方式が採用されることになりそうだ。

今シーズンからOK部門で使用されるベガ製のタイヤ。ドライがXH4でウェットがW6だ。またスーパーポール用にはSuperPoleのロゴが貼付されているタイヤを使用する。
これまでタイヤにゼッケンを記入して確認作業が行われたが、サイドウォールに貼られたバーコードでタイヤ管理がなされることに。
「グリップ感は昨年までのタイヤよりちょっと高いくらいでしょうか。使い方次第でロングランの差が出てきそうな感触もあるので、自分の経験を生かせるレースになったらいいですね」とベガについてコメントする三村壮太郎選手。
皆木駿輔選手は「寒い時期のテストと比べて、温度が上がった今回はグリップが上がった印象です。昨年までのタイヤに比べてもグリップレベルは上がったと思います。ゴムと剛性の前後のバランスはマイルドですね」とインプレッション。

 タイムトライアルとスーパーポールで輝きを放ったのは、フレッシュなルーキーたちだった。まず6分間計測のタイムトライアルでは、8名がコースレコードを更新する中、横山輝翔選手が37秒112のトップタイムをマークし、0.065秒差で松居寿來選手が2番手に。

 2周の単独タイムアタックで行われるスーパーポールでは、松居選手が37秒272のトップタイムをたたき出し、横山選手が0.063秒差で2番手に。そこに坂野太絃選手と元田心絆選手が続いて、決勝第1戦のグリッドの2列目までをOK部門初参戦のドライバーたちが占めたのだ。

タイムトライアル(予選)上位8台で争われるスーパーポールを制したのは松居寿來選手(K.SPEED WIN)。

 決勝第1戦は22周。先頭のまま危なげなく発進した松居選手の背後では、元田選手がスタートで横山選手をパスして2番手に上がり、2周目には5番グリッドの皆木選手が3番手に浮上してきた。松居選手は後続からのチャージの脅威にさらされることなくトップをひた走っていく。

 松居選手のリードはじわじわと、だが毎周着実に広がり、9周目には1秒以上の差となった。独走態勢を確立した松居選手はさらにリードを拡大しながらラップを重ね、2番手以下を3秒弱も引き離して22周を走り抜くと、両手を真横に広げてフィニッシュ。堂々のデビューウィンだ。

 一方、その後方では目の離せない戦いが起きていた。中盤戦から横山選手のペースが周囲を上回り、残り5周で皆木選手を再逆転して3番手に上がると、1秒も前を走っていた元田選手に急接近していく。残り2周、ついに横山選手が元田選手の真後ろに追いついた。

 だが、元田選手はこのピンチを辛くも逃げ切って2位のままチェッカーを受けることに成功。横山選手は元田選手に0.2秒ほど及ばず3位でゴールした。この結果、表彰台の3席はルーキーたちが独占することとなった。元田選手から約2.3秒後れて、皆木選手が4位でフィニッシュ。準ルーキーの國岡光貴選手が5位、三村壮太郎選手が6位となった。

OK部門 第1戦優勝は松居選手(K.SPEED WIN)。
「全日本の一番上のクラスでデビューウィンできて、今までで一番うれしいです」と松居選手。「スタート前は緊張していたけれど、スタートしてからはいつもの練習どおりにノリノリでイケました。ピットからの『落とせ』のサインが出ているのが見えて、落としたつもりなんですけれど、タイムは変わりませんでした(笑)」
2位は元田心絆選手(YAMAHA MOTOR Formula Blue)、3位は横山輝翔選手(HIROTEX RACING)。
OK部門 第1戦の表彰式。左から2位の元田選手、1位の松居選手とK.SPEED WINのチーム代表、3位の横山選手。

 第1戦のベストタイム順で決まる第2戦のグリッドは、松居選手が再びポールに。18番グリッドから10台抜きを演じた菊池貴博選手が2番グリッドを手に入れた。グリッド2列目は横山選手と手塚大雅選手、3列目は元田選手と田中照久選手だ。第2戦で使用が認められている0.5セットの新品タイヤは、第1戦をスタートできなかった1台を除く全車が右側(周回のアウト側)に装着していた。

 26周の第2戦が始まると、トップ3は各々のポジションをキープしたままスタート。手塚選手は7番手に順位を下げ、元田選手が4番手に、10番グリッドの三村選手が5番手に上がってきた。第1戦で独走劇を演じた松居選手だったが、今度は逃げ切りを許されない。

 7周目には上位5台が一列に連なった。やがてその中から松居選手、菊池選手、横山選手が抜け出していく。先頭集団の3台は、互いに2~3車身ほどの間隔で周回を重ねていった。わずかなミスも許されない緊迫の優勝争いだ。

 我慢比べのような戦いを続けていた先頭集団に変化が起きたのは、残り4周のこと。松居選手と菊池選手の間隔がじわりと開いた。その差は翌周には1秒へ。厳しい接近戦に耐え続けてきた松居選手が、ようやく背後のプレッシャーから解放された。

 最後のドラマは残り2周のこと。コース終盤の複合コーナー手前で菊池選手のエンジンにトラブルが起き、急に失速した菊池選手に横山選手が当たって、2台がそろってコースアウトしたのだ。これで2番手に元田選手が上がり、松居選手のリードは一気に3秒以上へ。日本カート選手権での優勝は2022年のFP-Jr Cadets部門での1勝に止まっていた松居選手が、最高峰デビューで目の醒めるような2連勝を達成した。

 元田選手は2戦続けて2位を獲得。OK部門デビューイヤーの2025年からたびたび光る速さを披露していた手塚選手が、スタートの出遅れを挽回して初表彰台の3位に。4位は9番グリッドから5ポジションアップの坂野選手。皆木選手と三村選手のベテラン勢が5~6位に連なってチェッカーを受けた。

OK部門 第2戦優勝は松居選手(K.SPEED WIN)。
松居選手が開幕2連勝を飾った。「とてもうれしいです! 後ろがぴったりくっついてきてプレッシャーがあったんですけれど、しっかりと走って優勝することができました。今日は自分でもびっくりするくらい完璧だったと思います。これからもチャンピオンを獲れるように、ポイントを獲れるだけ獲ります」とシリーズの抱負を語った。
2位は元田選手(YAMAHA MOTOR Formula Blue)、3位は手塚大雅選手(Zi-Vivre RT)。
OK部門 第2戦の表彰式。左から2位の元田選手、1位の松居選手とK.SPEED WINのチーム代表、3位の手塚選手。

 同時開催のジュニア選手権(ラウンドシリーズ1)には、ジュニア部門11台、ジュニアカデット部門20台の参加があった。今季のジュニア選手権ではタイムトライアルの後に予選ヒートが設けられ、その結果で決勝第1レースのグリッドが決まることになった。なお、決勝第2レースのグリッドは2025年と同様、第1レースのベストラップ順で決定される。

ジュニアカート選手権 ジュニア部門 第1戦/第2戦

 ジュニア部門は2025シリーズの上位ランカーがエントリーリストに多数名を連ねる充実の顔ぶれとなった。予選ヒートでは、タイムトライアルでトップの北中一季選手が大集団を率いて先頭のまま走り切り、決勝第1戦のポールを獲得。2番手でゴールしたユン・イサック選手はフロントフェアリングのペナルティを受け、林樹生選手が2番手、藤原迪永選手が3番手となった。

 18周で行われた第1戦の決勝では、林選手がローリング中にストップしてノースタートに。北中選手、藤原選手、飯田一仁選手、新橋武選手の4台が先頭集団を形成する中、中盤に藤原選手がトップに立つと集団を抜け出してフィニッシュ。

 ジュニアカデット部門でランキング2位となった2024年以来、1年間のブランクを経てジュニアカート選手権に戻ってきた藤原選手が、復帰戦を見事な勝利で飾った。2番手でゴールした新橋選手はフロントフェアリングのペナルティを受け、繰り上がりで北中選手が2位、7台抜きのユン選手が3位に入賞した。

ジュニア部門 第1戦優勝は藤原迪永選手(SD-STYLE)。
「タイムトライアルはいろいろミスがあって直すところがあったし、予選では細かいミスが多すぎて前に追いついたり離れたりしました……」と振り返りつつ、決勝ではそれを直すことができたようで、「うまく1位を獲れました」と藤原選手。「次のレースも今回と同じように、順調に1位を獲りたいです」と目標を明かした。
2位は北中一季選手(HIROTEX RACING with IMPUL)、3位はユン・イサック選手(TEAM EMATY)。
ジュニア部門 第1戦の表彰式。左から2位の北中選手、1位の藤原選手とSD-STYLEのチーム代表、3位のユン選手。

 22周の第2戦では、ポールから先頭を行く新橋選手に飯田選手が続く。2番グリッドの藤原選手はスタートで大きく順位を下げた。レース中盤、最後尾から挽回してきた林選手がトップ争いに追いつき、先頭集団は3台に。

 新橋選手はこのタフな接近戦に耐えてトップのままフィニッシュしたのだが、幅寄せで3秒加算のペナルティを課され、飯田選手を逆転して2番手でチェッカーをくぐった林選手が、最後尾からの勝利を手にする結末となった。

 林選手は2025年の第9戦/第10戦から年をまたいでの同部門3連勝だ。3~4番手でゴールした飯田選手とユン選手もペナルティを取られ、5番手ゴールの北中選手が2位に、新橋選手が3位に入賞した。

ジュニア部門 第2戦優勝は林樹生選手(HIROTEX RACING with IMPUL)。
「順調に1台ずつ抜いていけたのは良かったんですけれど……、最後は1位でゴールしたかったです」と2番手チェッカーに不満の表情を見せる林選手。一方で、第1戦でノースタートだったことに触れ、「1ヒート走ってない分、タイヤは良かったです」とコメント。次回の鈴鹿は「2連勝したいです」と意気込んだ。
2位は北中選手(HIROTEX RACING with IMPUL)、3位は新橋武選手(Sigma Racing)。
ジュニア部門 第2戦の表彰式。左から2位の北中選手、1位の林選手とHIROTEX RACING with IMPULのチーム代表、3位の新橋選手。

ジュニアカート選手権 ジュニアカデット部門 第1戦/第2戦

 ジュニアカデット部門では、ジュニアカート選手権初参戦の横井愛到選手が大活躍。タイムトライアルのトップから予選を独走で制して決勝第1戦のポールについた。14周の第1戦ではオープニングラップに加納康裕選手の逆転を許して2番手に下がった横井選手だったが、2周で先頭に戻ると残る周回を独走、見事デビューウィンを果たした。2位は6番グリッドから5台抜きの鈴木秀弥選手。2番グリッドの丹羽舜也選手が3位となった。

ジュニアカデット部門 第1戦優勝は横井愛到選手(TEAM EMATY)。
横井選手は「ちょっとスタートが悪かったと思います」と自身のレース展開を分析。「トップに戻れて良かったです。他の選手に抜かれてびっくりしたけれど、落ち着いて走れました。後半は少しだけミスが多かったですね。次のレースもこういう(独走の)勝ち方をしたいです」と冷静に語った。
2位は鈴木秀弥選手(チームTKC)、3位は丹羽舜也選手(LUCE MOTOR SPORTS)。
ジュニアカデット部門 第1戦の表彰式。左から2位の鈴木選手、1位の横井選手とTEAM EMATYのチーム代表、3位の丹羽選手。

 18周の第2戦では、またも加納選手が3番グリッドからオープニングラップで先頭に躍り出て、ポールの横井選手は2番手に後退する。しかし、横井選手は今度も3周でトップに返り咲き、一気に独走して2連勝を飾った。2位は長く続いた3台一丸の戦いを制した加納選手。丹羽選手が3位でフィニッシュして2戦連続の表彰台に上った。

ジュニアカデット部門 第2戦優勝は横井選手(TEAM EMATY)。
「うれしいです」と開幕大会を2連勝で終えて安堵の表情を見せる横井選手。「1周目に抜かれたときはびっくりしたけれど、焦らず落ち着いて抜き返すことができました」と振り返る。「これからもずっと優勝したいです」と次戦に向けて高い志を抱いていた。
2位は加納康裕選手(TOPLABO)、3位は丹羽選手(LUCE MOTOR SPORTS)。
ジュニアカデット部門 第2戦の表彰式。左から2位の加納選手、1位のTEAM EMATYのチーム代表と横井選手、3位の丹羽選手。

Rok CUP JAPAN RokSHIFTER 第1戦/第2戦

 GPR KARTING SERIESのカテゴリーとして同時開催されたRokSHIFTER第1戦/第2戦は、若手ドライバー5名によるレースになった。第1戦のウィナーはポールシッターの横山優之介選手。タイムトライアルでは2番手の大和田夢翔選手と0.089秒差の僅差だったのだが、レースでは1周目から後続を引き離してリードを4秒以上に広げ、文句なしの優勝を飾った。2位は単独走行を続けた大和田夢翔選手。大和田海翔選手が中盤に松尾柊磨選手をパスして3位となった。

RokSHIFTER 第1戦優勝は横山優之介選手(TAKAGI PLANNING)。
「本当にうれしいです。事前準備で出場した鈴鹿のレースでは、予選でエンジンをストールさせてしまったので不安は大きかったんですが、イメージトレーニングなどで克服して、今回のスタートは成功することができました」と横山選手は勝利を喜んでいた。
2位は大和田夢翔選手(HRT)、3位は大和田海翔選手(HRT)。
RokSHIFTER 第1戦の表彰式。左から2位の大和田夢翔選手、1位のTAKAGI PLANNINGのチーム代表と横山選手、3位の大和田海翔選手。

 横山選手は第2戦でもポールについたのだが、スタートで出遅れて3番手に下がり、代わって2番グリッドから好発進を決めた大和田夢翔選手がトップに立つ。横山選手は2周で2番手に戻って1秒以上前を行く大和田夢翔選手を追ったが、中盤には0.5秒を切ったその差は終盤に再び広がり、大和田夢翔選手が歓喜の勝利を遂げた。横山選手は2位のままフィニッシュ。大和田海翔選手が3位でゴールして2戦連続の表彰台登壇を果たした。

RokSHIFTER 第2戦優勝は大和田夢翔選手(HRT)。
「最後の最後に追いつかれて正直苦しかったんですけれど、押し切ることができました」と大和田夢翔選手。「爆弾級にうれしいです(笑)。次のラウンドも優勝目指して頑張ります」とコメント。大和田海翔選手も一緒に勝利を喜んだ。
2位は横山選手(TAKAGI PLANNING)、3位は大和田海翔選手(HRT)。
RokSHIFTER 第1戦の表彰式。左から2位の横山選手、1位の大和田夢翔選手とHRTのチーム代表、3位の大和田海翔選手。

PHOTO/今村壮希[Souki IMAMURA]、後藤佑紀[Yuuki GOTOU]、長谷川拓司[Takuji HASEGAWA]、JAPANKART、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/水谷一夫[Kazuo MIZUTANI]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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