スポーツランドSUGOが安全対策のための施設改修工事を実施

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2021年5月6日

各サーキットはこれまでさまざまな改修が行われて今日に至るわけだが、スポーツランドSUGOでは2020年末に久々の改修を実施し、今もなお進化を遂げている。そこで今回、SUGOの施設改修のポイントと意図を探ってみた。

 2020年のオフシーズンから2021年のシーズンインまでの期間、スポーツランドSUGOは施設の一部を改修した。最も主だった部分としては、ピットの作業エリアを2m拡幅。それに伴い、メインストレートがスタンド寄りに2mオフセットされている。

 その他、ピットロード出口の変更、車検場とメディカルセンターの移設によるパドックの拡大、そして最終コーナー側のピットの建て替えも行われた。この改修の目的や効果、そして今後に関して、スポーツランドSUGOを運営する株式会社菅生・モータースポーツ部の村林匡部長に話を伺った。

株式会社菅生のモータースポーツ部部長・村林匡氏によると、今回の改修は主に安全対策によるものだという。

 「改修の目的としては、安全対策に準じたものとご理解ください。ピットロードの拡幅と延長、さらに3コーナーと4コーナー間のランオフエリアを舗装しました。また最終コーナーのランオフエリアも舗装の幅も3~4m広げています。これらはすべて安全対策です」

 「そしてピットエリアを広げたのは、4月17~18日に開催されるスーパー耐久シリーズで何かしらの効果が出てくるんじゃないかと思っています。もちろん、作業する、参加してくださっているチームの方々の安全を確保するのが、一番の目的です」

 そう村林部長にコメントをいただいたのは、スーパー耐久シリーズ2021第2戦のレースウィーク金曜日だった。実際、ピットエリアの拡幅は、安全に作業できるようになったと、いたって好評の様子だ。

 またスーパー耐久のグループ2決勝において、序盤にセーフティカーが導入されたが、ピットでの大きな混乱は一切見られなかった。2グループに分かれてそれぞれ30台前後、という耐久レースとしては多くない台数だったとしても、注目すべきポイントだろう。

 ただし、レース前に多くのドライバーが「危ないかも」と口にしていたのが、変更されたピットロード出口だ。従来は2コーナー立ち上がりで合流となっていたのが、3コーナー出口にまで移動。新設された縁石の外からコースインする格好となり、走行ラインと重なりかねない、と。これに関して村林部長はこう語ってくれた。

 「ピットロードの出口はいろんな方の意見、主にドライバーさんの意見を聞いて、結果的にああいう形にいたしました。先日、JAFの査察を受けてOKもいただいています。でも、運用していて何か問題が出るとすれば、いろいろ使っていくうちに変更も……可能であればしていこうと思っています。でも、あれが一番ベストかなと思っているんですけどね」

 現時点での結果でいうと、スーパー耐久の決勝ではトラブルもなく、ドライバーの慎重な対応で対処されていた。ただし、より台数の多いスーパーGTにおいて、激しいバトルが繰り広げられている最中に……という心配はなくもない。このあたりは蓋を開けてみないと分からないし、またドライバーの配慮に期待するしかない。

メンストレート側に2m拡張されたピットロード。またコントロールタワーを中心に西側(最終コーナー寄り)のピットガレージも建て替えられた。
賛否両論となっているピットロード出口。従来の2コーナー付近から3コーナーまで延びた。
3~4コーナーアウト側のランオフエリアは砂地から舗装化された。縁石外側はわずかに未舗装となっている。

 車検場とメディカルセンターの移設も、パドックエリアの拡大という意味において、非常に好評だった。

 「西のパドックに車検場があって、今まで狭くてエントラントの皆さんにご迷惑かけておりました。ただ、うちは特殊な地形でなかなか広げられないんですよ。それで苦肉の策じゃないですけど、人工地盤を作って、その上に車検場を作って。去年までは土手だったんです。それでピットレーンも、最終コーナー寄りに若干伸びています」

 「一緒にメディカルセンターも置きたかったんですが、さすがにスペース的に厳しかったので、1コーナーのイン側、Eパドックにあった倉庫の位置に、メディカルセンターを移しました」と村林部長。

 なお、併せて改築された西のピットだが、従来より80cm拡幅され、これもまたエントラントから好評だ。今回の第1期工事では手をつけられなかった東のピットも、次のオフの第2期工事に改築され、同様のレイアウトになるとのこと。また、その際には現在は段差のある西のピットは再舗装され、完全なフラット状態になるという。

 余談であるが、東のピット上に西のピットのようなゲストルームが設けられることは、「グランドスタンド側から4コーナーが見えなくなるので……お客さんとしては見たいでしょう、なので設けません」ということなので、ファンの皆さんはご安心を。

1コーナーイン側に新設されたメディカルセンター。元々は西ピット裏側にあったものだ。
メディカルセンター跡地には車検場が移設。これによってパドックの拡大に寄与している。
若干の段差が残る西側ピット。来季にはフラットなピットエリアに生まれ変わることだろう。

 「細かい安全に関することは、今後も引き続きやっていこうと思っています」と村林部長。これからもより安全で、使い勝手のいいスポーツランドSUGOに期待したい。

フォト/はた☆なおゆき、吉見幸夫、JAFスポーツ編集部 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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